元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アウトランド」

2013-08-04 16:25:32 | 映画の感想(あ行)
 (原題:Outland )81年作品。この頃は79年に公開された「エイリアン」の影響でSFサスペンス物の製作が相次いでいたが、本作は往年の西部劇の代表作「真昼の決闘」を下敷きにしていることが異彩を放っている。SF映画にはあまり出なかったショーン・コネリーが主役を引き受けたのも、ある種古風な筋書きが影響しているのかもしれない。

 人類が他の天体の資源を活用するようになった時代、木星の衛星イオにも鉱石採掘のためのプラントが建設されていた。そこで労働者が次々と不可解な死を遂げる事件が発生。現地に派遣された保安官のオニールは、採掘会社が作業能率を上げるために労働者に麻薬を流している事実を突き止める。



 だが、イオは実質的に採掘会社による独裁状態が構築されており、捜査に当たるオニールを邪魔だと考えた会社側は、地球から殺し屋どもを雇い入れ、保安官を抹殺しようとする。殺し屋達がイオに到着するまでの間にオニールは周囲に協力を呼びかけるが、誰も応じない。仕方なく彼は、単身で複数の敵を相手にすることになる。

 結果は読めている映画だが、主人公が悪者を仕留める段取りに、SF映画ならではの仕掛けを応用しているところは面白い。敵方があまり強くないのが難点だが、テンポの良い演出で退屈しないで観られる。SFXの出来は及第点に達しているし、上映時間がさほど長くないのも良い。ジェリー・ゴールドスミスの音楽は快調だ。

 監督はピーター・ハイアムズだが、快作「カプリコン・1」を撮った勢いが続いていたと言えよう。ただし、ハイアムズはこの後大作「2010年」を演出したが、それからは質的に下降線の一途を辿る。今では高齢に差し掛かってきたが、ここらで今一度の奮起を期待したいものである。
コメント
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