ウヰスキーのある風景

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崇拝と選民と有頂天、もしくは恥知らず

2018-02-18 | 雑記
久方ぶりにブログを開いてみたら、この一週間で、何故か二月十四日のアクセスが多かった。

何か書くのかと期待されたのかもしれないし、昔書いた話が検索に掛かったのかもしれないのだが、詳細は不明である。

前回の記事は十二月で、マグロの話をしていたらしい。何ゆえマグロなのかは、ひとえにいつものノリだという以外に思い当たらなかった。


さて、この件は書いたかどうかは忘れたのだが、記しておく。

猿、じゃなくて然る自然賛美者が、「どうやら無理なので肉も食います」と言い出して、やりだしたのだとか。

草だけ食った自然に沿った生き方をしているとかいう牛の肉を買って食ってるのだとか。それ以前の食事方法などは変わらずだが、付け加えられたというところだろう。

はて?かの者の伴侶は「世の中はどんどん付け加えていっておかしくなっていくけど、本物はシンプルなんだ。減らすべし」的なことを言っておったのだが、肉を食うことを付け足したことについて、どうお考えなのかは知らない。

口を極めて肉を食うのが常態化している世の中とそれに疑いを持たない一般人をゴイムなどと蔑んでいたのに、一般的な言葉で言えば、肉食は道義的に許されざる行為だと言っていたのに、何故こうなったのか?

別に難しい話を始めるわけではないのだが、かの者が自然賛美者の食生活として、フルータリアンというのを知り、その教義への理解と実践を深めていたころに、こう語っていた、ということを付け加えておく。

「わたしは、フルータリアンになるために、今まで色々やってきたんだ」

さて、そういう何か有頂天になって訳のわからないことを言った上にすぐ忘れるのは、何も彼だけでなく、人間の性である。そんな状態なのに、「人間やめます」などと(記憶が正確なら、その伴侶の発言)言うのだから、恥の上塗りであろう。

しかし、彼らは恥ずかしいとは思わないのである。そのことについて少々お話をしていく。

話は宗教と呼ばれるものの事になる。

キリスト教というものがある。その教典たる聖書には、「神は人間を自身の姿に似せて作られた」とある、というのは有名なところ。

そして、祖先が楽園から追放され、それらの子孫が現代人だというわけである。楽園から追放されたのは、罰せられたからであり、これを「原罪」と呼びなす。

つまり、人間というのは原罪というのがなければ、その素晴らしい神様と同等なのだ、といえる。

実際にそういう風な思想があり、異端とされたグノーシス派というのがあって、キリスト教では許されない、人間が神になるという考えを持ち、実践していたという。


それはともかく、キリスト教は神を崇めることによって、自身も神に近い存在になったと考える。

考えているかはともかく、歴史を紐解けば、西洋白人の非白人に対する態度は、相手を同じ人間だと思っていないというのをしこたま見かけるだろう。「キリスト教=白人に非ずんば人に非ず」といったところか。

これは、神が人間を創ったからではなく、人間が神を作ったがゆえの、選民思想なのである。

同じ「一神教」で括られるイスラム教などは、詳細は省くが、キリスト教のような血塗れの歴史は歩んでいない。まったく争いがなかったというものではなかろうが、一つ、決定的な違いを示しておく。

同一の信仰を持つか持たないかに関わらず、相手を攻撃するための教義やシステムがないという点である。

キリスト教にある、異端審問の如きは、宗派によってはあったりしたかもしれないが、本義ではない。

彼らは本当の意味で、神の元に生きているからなのである。


例の自然賛美、というより崇拝者の話に戻す。


大昔に生きていたであろう人類の生活を取り戻すことによって、地球を楽園にする。これが彼の教義である。

これは、実際に今も書いている。先日、HPを見に行った。

上記に示したキリスト教の教義に準えるならば、大昔の理想の生活をしていた人類は神、現代人はそれを忘れた、いわば原罪を背負わされた迷える子羊、となる。

そして何故か仏教気取りなのか、「それに気づかず、人類は繰り返している」などと言い出す。


そもそも、魔術の伝統では、物質化したことが一番の堕落という。

そして、仏陀は語っていた。「何度も人として生まれてきたが、もう生まれてくることはない」と。


己を神の生き写しだと見なし、自惚れるのは、輪廻に囚われているが故の迷妄なのである。

何故なら、そのような神もまた、輪廻のうちにあるものに過ぎないからである。

繰り返しているのは、彼らだけではないのだが、彼ら自身というわけだ。


無自覚なキリスト教にはご注意を。

これは現代社会全般に及んでいるが故に、判る人にしか伝えられないのである。



では、よき終末を。