ウヰスキーのある風景

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アンジョー・ヤスオの結婚式

2013-05-17 | 雑記
このたび 私たちは結婚式を挙げることになりました


嘘である。


先日の予告ラヂヲと(分量配分的に)偽った中で、兄貴の結婚式への出欠について語った。飲みながら。


飲んだ勢いで啖呵切って、売り言葉に買い言葉になった、ということはないのだが、「料理をビーガン対応したら、スーツで出てくれるか」との問いにまだ返事をしてなかった。


一日経った昨日の夕方、メールを返した。


「料理は副次的なもの。本来の目的は着物で出席することである」とメールしたら、後でメールは返ってきていた。


お前は嘘をついたのだな?常識を無視しやがって!母親に謝れ!という風な内容であった。


母親に謝れというのは、まだ腹が決まってなかったときに「しゃーないからスーツ着る」と言ってあったからである。

母親に相談したから伝わったというわけだが、しかし、これは母親の結婚式だったかな?とも思うわけで、それなら主役の兄貴に話を通すのが筋であろうと考えたからこそ言ったのだが。



料理については、あまりしたくないから食ってやってもいいとはいえ、「残すという選択肢がある」、とは向こうも言っていたこと。


それに、究極の目的がグラハム博士のフルータリアンダイエットに根ざしたもの。

浮く浮くと憂いた顔でものいう人間には、到底受け入れられない浮き具合であろう。

それなので、料理については早々に副次的な目的として、半ば策略に使ったわけだ。どちらもやりたかったことだが、優先順位は着物が上だったというところである。


ともかく、あちらから「お断りだ」と言われたということである。


それはさておき。


何がこんなに結婚式に出るのを嫌だと思わせたのか?


兄貴が嫌だから?結婚式なんぞ馬鹿げてるから?それもある。


だがしかし、それじゃいつまで経っても判らないので、もし自分が結婚式をするならば、と考えてみた。相手がいようがいまいがやらんがな。


兄貴のようにホテルの宴会場を借り切ってやると。

で、招待状を「来て欲しい人」(ここ重要)に送ったと。

すると、所謂わがままを言う相手が現れたと。

なにを言っているのかと。

料理を変えろだとか、好きな服で出席させろというわけである。


実際にそんな立場に立たないと判らんといえばそうかもしれんが、こういうところ。

「わしはお前さんに来て欲しいから、お前さんの好きなようにして欲しい。だから、料理も変えさせるし、お前さんが恥ずかしいと思うかっこうでなけりゃ、仕事帰りに寄った感じでも構わない」と。

そんなことを考えた時、ハタと思い至った。


先日のラヂヲといい、その後のちと問題ありげなメールの返信の後といい、何か妙な感じがあった。

夜、電車に揺られながら、「もしかして出席したかったのかな?」と思ったりしたが、よく判らない。

飲みすぎて胃が荒れて気分が悪いのだ、というのは冗談である。

で、上記の想像を始めた。


そして上記に思い至ったとき、本当は、着物も料理もどうでもよかったのかもしれないな、と。


「着物で出るぞ」と言った時に、こう来ることを期待していたのかもしれない。

「親や親戚が文句言うかもしれんが、来て欲しいから、俺は構わないよ」と。

そうしたら、スーツで出てやってもよかったんだろうな、と。料理がそのままならほぼ食べなかったろうが、酔ってそのまま食っていたかもしれない。まあ、それはそれで。


結婚式の話をする母親の言といい、兄貴の言といい、違和感しかなかった。


ラヂヲで言った内容だが、ええっと、最近、ファンブログをやってくれている方が、抜き出してくれていた。

ありがたい。このような酔っ払いの話を熱心に聞いてくれると・・・お酒が進んでしまう。

む?今見たらタイトルが変わっていたぞ・・・。まあいいや。

さて、こうである。

「みんなをもてなしたい」って言いながら・・・ほんとは全くもてなす気なんかなかったんだよね。
さっきも言った通り、もてなしたかったのは世間の目なんだよ、ね。
僕もそういう兄貴にいろいろと説教されながら生きてきたんで、世間の目を気にしすぎるところはありましてねえ、うん。
・・・で、気づけばちょっと人目を気にしなさすぎるようなところになっちゃいましたが。

外れてみて分かるという本筋もあるんじゃなかろうかとね。



世間の目からしかものを言っていない、というのをずっと感じていた。


つまり、わしに対して誠意のある言葉がずっと聞こえなかったし、結局出なかった。そういうことである。


世間の目というものから言えば、我が兄とやらは実に誠意ある対応をしているというところだろう。

だが、それだけである。


わしを見ずに世間の目とやらに向けて誠意ある対応をしているだけだったわけだ。


こちらに誠意を見せていない(見せているとしてあさっての方)か、ないのなら、こちらも見せないし、ない。


そういう手合いにこちらだけ誠意を見せるのは、徒労というもの。

兄貴に誠意は有りや無きや?それを見極めたかったがための反発だったのであろう。

そして、なかった。無意識に期待していたのだろう。架空結婚式で描いたあの言葉を。


ともかく。

元から気が進まない理由がはっきりしたし、お墨付きも出た。

昔なら、ああいうメールを送られただけでも怖かったものだが、今は滑稽である。

こっちは真っ直ぐ相手に向かって話しているが(敢えて言えば、斜に構えている)、向こうはどこか別の方を見続けている。

こんな滑稽な話はあるまいて。



ところで、知人にこれ以前の兄貴とのやり取りを伝えたところ、こういう兄貴評が。

「意外と気のちっちゃい人」

いや恐れ入った。


気が小さいから、こっちを見てなかったわけだな。うむ。



さて、先日のラヂヲ、本来は宣伝なのだが・・・。


為清氏までもが酔っ払いの話を最後まで熱心に聞いてくれ、しかも内容(酔っ払いの話自体)に関わる内容を載せている。

以下、そっくり持ってくる。書くまでもないので、こちらへのリンクは取っ払った。



リニューアル予告は最初の20分程度まで、それ以降は酔っ払いの「もてなす」と「世間の目」の話。


大辞林 第三版 (三省堂)

もてなす[持て成す]

( 動サ五[四] )
①御馳走を出すなどして,心をこめて客を接待する。 「客を-・す」 「手料理で-・す」
②人を取り扱う。待遇する。 「丁重に-・す」
③うまくとりなす。 「世の覚えはなやかなる御かたがたにも劣らず,何事の儀式をも-・し給ひけれど/源氏 桐壺」
そうであるかのようにみせかける。外見・態度をとりつくろう。 「小舟に乗せ奉り,御上に柴をとりつみて,爪木の舟の如くに-・し/保元 中」
⑤取りあげてあれこれと問題にする。もてはやす。 「鎌倉の海に鰹と云ふ魚は,かの境ひには左右なきものにて,この頃-・すものなり/徒然 119」
http://www.excite.co.jp/dictionary/japanese/?search=%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%99&match=beginswith&itemid=DJR_motenasu_-010



ご注目。丸4の段には強調が入っている。これは原文どおり。



面白かったので話をしてみたところ、「お兄さんに一杯食わされましたね(笑)」とのこと。


ラヂヲで言った「世間の目をもてなす」というのは、つまり、相手に誠意を見せているかのように振舞っているだけ、ということである。

天晴れである。どんどん「もてなす」がよい。



人へ本当の誠意を見せることが出来るというのは、己自身に誠意を見せ続けて来たからである。

同じく己に誠意を見せ続けてきた人間は、それに必ず答えるであろう。

これは自分自身への問いかけでもある。「己は己自身に誠意を見せ続けて生きているのか?」と。


耳が痛くなる。耳より胸か。これを言い換えれば「今を生き抜く」なのだろう。


わしが今を生き抜いている、とは断言しない。寧ろ兄貴に近いからだ。


だが、今気付いたのなら、今その選択肢を掴み取ればよい。それだけである。では、また。