(2/5からの続き)
(桜中学の職員室)
お願いです、ボク達に行かせて下さい。
お願いします。
ダメですっ!いけませんっ!!
どうしてですかぁ。
行ってどうするつもりですか。
すでに警察も動いてるんですよ?
そんなところへ行ったら君たちまで巻き込まれるのは目に見えてます。
わかってます。
代表だけでもいいです。
森下さん。
私たち騒ぎに行くんじゃありません。その反対です。
そうです。
私たちが呼びかければ加藤君だって松浦君だって・・・。
あのな、サコタ。
もうすぐ卒業式です。私たちみんな一緒に卒業したいんです。
お願いします。
ボク達の気持ち、必ず二人にわかってもらいますから。
いいえっ!なりませんっ!!
なんでぇ・・・
ならいいよ、オレら勝手に行くからなっ!
そうだよぅ・・・
頭を冷やせっ!(怒鳴る乾先生)
お前達みんな高校棒に振ってもかまわんのかっ!
そ、そんな言い方ってないと思うわっ!
そんな言い方、頭じゃなくて心が冷えますっ!(乾先生に対して引きつって怒る国井先生)
国井さん、だけどねぇ・・・(なだめる服部先生)
先生お願いします。
みんな一緒に卒業させて下さいっ!
お願いしますっ!!
(TVから流れるアナウンサーの声)
只今ニュースが入りました。
都内荒谷第二中学で一部暴力生徒達が校長を人質にろう城している、と、こういう事なんです。
いやぁ、大変なことになりましたねぇ・・・
こりゃ一体どういうことなんですかねぇ・・・
ありうるべからずというか、ただ驚いたとした申せませんな。
(そのTVを見ていた荒谷二中卒業生の男子が慌て出す)
(スナックZ)
緊急事態なんだ、頼む、帰ってくれ。
また来てくれよな~。(お客さんに帰ってもらえるよう促すコウズ先輩)
(バイクで荒谷二中に向かう卒業生男子)
(荒谷二中に到着して校庭をバイクで走り回る卒業生ら)
(その騒ぎに校内から出てくる警察)
出て行きなさーい。
本校校庭のバイクの乗り入れは禁じられているー。
おい、優ーっ、がんばれよぅ!サツどもなんかビビるな。
お前らにゃ我々「魑魅怒呂」がついてんぞー!
ヒーローになれよ、ヒーローに!
(窓を開けて先輩に手をふる男子生徒)
窓しめろっ。
そいつらの言う事とこれは関係ねぇんだ。(先輩に目をくれない優。手を振る男子に注意する優。)
バッキャロー!遠慮することねぇんだ。
魑魅怒呂300人はすぐに集まる。
早く出て行きなさい。
勧告に従わないとただちに実力を行使する。
やってみろぉ。
おらぁ、やってみろぉ。
(校内から飛び出してくる上林先生と金八)
セイイチっ!
バカモノっ!さっさと出て行けっ!(叱る上林先生)
頼むから帰ってくれ、セイイチ、な。(説得する金八)
バカ言うな、オレたちゃ、優の応援に来てんだ。
そんなものは頼んでないっ!
そうかよぅ。二人も優をサツに渡そうってんだろうが。
そんなこっちゃないんだよ。
勝手に騒いだら、騒ぎが大きくなったらね、アイツを追い込むことになるんだよ。
方法は間違っているから。
加藤達は今一生懸命学校側と話し合ってるんだ。
力のごり押しは困る。
オレだって二中の卒業生だぜ?
文句は五万とあるんだ。
そーだよぅ。
こらっ!ごたくを言うんだったら、何で在校中に言わなかったんだ、お前達はぁ!
なんだと!?
ほら見ろ、ブーたれて出て行った卒業生にアイツらをけしかける権利はないっ!
な、頼むからセイイチ、帰ってくれ。
加藤にはさ、このオレだって上林先生だって校長先生だってついてるから。
な、頼む、頼むから帰ってくれ。な。
(大山先生も校内から出てくる)
ようし、わかった。いったん引き上げるかぁ。
オレ達はいつでも動き出せるからな。
優ぅ、最後まで頑張れぇ。
おぅ、いくぜ。
おぅ。
(引き上げて行くコウヅ先輩達)
(すでに学校に群がっている報道陣にケリを入れるマネをする先輩ら)
(入れ替わりでタクシーでかけつける加藤の母と松浦の父親)
ろう城している生徒のお母さんですか?(群がる報道陣)
いや、違います、違います。(加藤の母親を囲ってかばう上林先生や金八ら)
(駆けつける桜中学3Bの生徒達)
加藤くーん!
加藤ーーっ!!
(その様子を窓から眺める加藤)
(放送室前に加藤の母や松浦の父をつれてくる金八)
どいてくれる?
どいてくれ、どいてくれ、ごめんね。
優ーっ!(放送室前で息子の名前を叫ぶ加藤の母)
悟!
私だ、パパだ。何をしてるんだ、お前一体、そこで。(放送室前で息子の名前を呼ぶ松浦の父)
オレは何もしていない。(放送室の中から応える松浦)
じゃぁここを開けてすぐ出てきなさい。すぐに。
出る時はみんなと一緒に出るよ。(放送室の中から応える松浦)
悟っ!
オレが証人なんだ。
パパや先生や3Bのみんなに話すために全部をここで見てるだけだよ。
乱暴はいっさいしてないから安心してよ。(放送室の中から応える松浦)
優ーー!
あんたっちゅう人はまたまた皆さんにご迷惑かけてぇ・・・(放送室前でワナワナしている加藤の母)
(放送室の中)
あんた、オレが遅刻した時、どうせサラ金で蒸発するようなオヤジだからと言ったよね。
どうせってありゃ、どういう意味ですかっ。
そんなことは記憶にないよ。
国会の答弁じゃねぇんだよっ!
オレが初めて暴れた時、あんた、おふくろ呼んで「飲み屋で働いてるから」とネチネチ痛ぶったよね。
おふくろだってな、毎日毎日暴力団に金の取り立てくってなかったら、そんなところに働きに行くかっ!
優・・・(泣き崩れる加藤の母親)
お母さん・・・(抱きかかえる桜中学の校長)
オレは向こうの中学に行って、そういう家には奨学金制度や民政法ってもんがあるってことを聞いた。
あんた弱い者いじめをしてる暇があったらどうしてそういう事を教えてくれなかったんですか。
私は君の担任じゃなかったからね。
けど、オレは学校が好きだったんだ。
仲間もいたし、小学校からの友達もいたもんね。
けど、あんた達はオレ達を鼻つまみ扱いした。
それはだねぇ、その仲間が問題だった・・・
どうしてそう区別するんですか。
その仲間もこの仲間もみんなこの中学の生徒でしょう?
それはそうだよ。
しかしねぇ・・・
いや、それがそうならサワイの家庭学習ってのをこの場で取り消して下さい。
こんな形でそんな要求は聞けない。
ましてや職員だけで決まった・・・
いい加減聞けってんだよぅ!
卒業式まであと5日だ。
けどその5日はこいつにとって2度と戻ってこない中学生活なんだ。
あんた達、こいつの身になって考えた事あんのか?
うちで勉強らしいことしてれば学校に来た風にしてやるって冗談じゃねぇよっ!
こいつには学校に来る権利があるんだっ。
そしてお前らには例えあと5日でもこいつを学校に来させて、いい事悪い事をちゃんと教える義務があるんだ!
オレのおふくろをバカにしたことと、サワイの権利を取り上げたことを、この場で謝れっ!!
手をついて謝れーーーーっ!!!(絶叫する加藤)
加藤!(校庭に集まっている桜中3Bの生徒)
よぅ、どうしたんですか。こっちは言う事言ったんだ。
どうしてだんまり決め込んじゃうんですかっ?
(警察がそろそろ動こうとし始める)
これ以上こっちも時間をかける訳には行きませんよ?
校長が強制監禁されているのは事実だし、実力で排除しますから。
お願いします。(とにかく警察になんとかして欲しい音羽先生)
断ります。(音羽先生と同じ二中の他の男性教師)
(放送室のドアを叩く桜中学校長)
加藤くんっ!
私ですっ、桜中学の君塚校長です。
先生とゆっくり話し合いますから。
これ以上騒ぎを大きくしないで下さい。
出てきなさい。
加藤くんっ!加藤くんっ・・・・
優ーーーーっ!(呼びかける加藤の母親)
開けなさい。(説得する松浦の父親)
加藤ーーーっ!
松浦ーーーーっ!!(感情が高ぶって叫ぶ金八)
(放送室の中)
謝ります。(やっと謝罪の言葉を口にした二中の校長)
(放送室前の生徒達)
謝るってよぅ・・・
やったーーーーぁ!
(放送室の中)
今度のことは色々行き違いのあったことです。
そういった意味で今日まで君たちに誤解を与えたままきてしまったことを反省し、その点について善処することを約束します。
(拍手が湧く校内)
静かにしろ。
オレ達の目的は達した。
だが尻馬に乗ってものをぶっ壊して学校荒らしたヤツは親が叱るなり、学校が文句言うなり、サツがつかまえるなり、「いけないことはいけない」と言ってやれ。
そこまで責任取れないってのは・・・
(校庭でこの騒ぎを中継している報道記者達の風景)
(4/#につづく)