ニイハオ! 我的朋友!

中国留学生活を綴ったのがこのブログのはじまり
今は日々のこと旅のことなど徒然に・・
そして加わった乳がんカテ

心荒らしていられない

2007-01-19 | ● “ わたし ”
ーおらは生まれたまんまー (まえがきにかえて)

おらは生まれたまんま
九十六になっても生まれたまんま
なんじょに学校しないもの
だから話をするたって、まっすぐに正直に語るの
嘘の語りようも知らないもの

おらは貧乏の生き証人
明治も末の貧乏盛りに生まれて
国も貧乏、村も貧乏
なかでもわが家は貧乏者(びんぼたがり)の一等賞

九つで子守に貸され
十六で製糸工場に売られ
二十一で嫁にくれられ
あとは土方ひとすじ
汗水たらして土を背負い
いくら骨揺(ほねほろ)って稼いでも
いつでも貧乏真っ最中
テレビの「おしん」どころでなかったよ
一番楽だったのは製糸場
テレビの「野麦峠」どころか、なんと別天地だったね

おらは貧乏したから
ひもじい人の気持ちがわかるよ
かないしい人の気持ちもわかるよ
だからどんな人にも親切にしたよ
お母(が)つぁん、教えてくれたもの
「人を助けてわが身助かる」って

おらは人とくらべないもの
おらは欲濃(よくこ)くしないもの
うらやましがったり、うらんだりして
心荒らしていられないもの
昔の人たち、教えてくれたよ
「雪と欲ぁ、積もるほど道(みち)忘れる」って

そうやって百ちかくまで生きてきたから
みんな、おらのこと
「さつよさんはいいなぁ、入り日明るくて」って
おら、もとは地獄、いまは殿様だよ
世の中平(たい)らだね
人は生きてるんでなくて生かされてるんだって

おらは生まれたまんま
嘘の語りようも知らないから
おらの一生語るたって、ありのまんま




今日、検診帰りに立ち寄った本屋さんで見つけた 一冊。
表紙の上の方に小さく書かれたことば・・
それ読んだら、何かが心にずんずんと込み上げてきた。
「まえがきにかえて」 を読み進むほどに それが涙に形を変えた。
そしてこの本を 読みたくなった。

   おらは人とくらべないもの
   おらは欲濃(よくこ)くしないもの
   うらやましがったり、うらんだりして
   心荒らしていられないもの
   昔の人たち、教えてくれたよ
   「雪と欲ぁ、積もるほど道(みち)忘れる」って



『さつよ媼(おばば) おらの一生、貧乏と辛抱』 (草思社)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031729420&Action_id=121&Sza_id=A0



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