最近のわたしのブログ・・ なんかガン過ぎ。
今日はガラッ! と、こんなの貼り付けてみたくなった。
~ てのひら ~
四か月ぶりに、友人のHPに書き込みがされた。
ソーシャルワーカーの彼は、相談を受けてきたある青年の「自死」に衝撃を受け、果たして自分には「ソーシャルワーカー」として仕事をしていく資格などあるのだろうか!? と、この数か月自分に問い続けてきたようだ。
そして、その打ちのめされるような衝撃から何とか立ち直れそうな気がしていた矢先、新たなショックが襲った。
この夏、29歳になる女性が病気で亡くなった。
彼女は彼が3年前から色々と相談を受け、心に寄り添ってきた人。
今日の彼の日記は、大量の文字で埋められていた。
~ この間、ぼくはいろいろなことを考えてきた。
彼は3年前に彼女と初めて会った時に、ある 宿題 を投げかけられたそう。
というか、彼は勝手にそう受けとめた。
よくぞ今まで生き残ってこれたと思うほどの彼女の人生。
「殺人以外の他のことは全部やってきたから」 と彼女は笑って語ったという。
そんな道程を抱えていた彼女に、彼は純粋にこう尋ねたくなった。
「教えて欲しいんだけど、あなたやあなたのもとに集まってくる女の子たちが、そのような哀しみと苦悩に満ちた人生の中で生き残っていく上で必要なものって、何なのかな?」
すると彼女は優しく微笑んで、彼に右手を伸ばし 「それは “これ” だよ。」って。
そのしぐさの意味がわからなかった彼は、もう一度尋ねたそうだ。
「だから、これだよ、 『手のひら』 だよ。」
そう言いながら彼女は笑い、次のようなことを話してくれたという。
「昼の世界から排除され、はじかれた私たちは夜の世界で生きるしかないんだよ。
そんな時に明らかに危険と思われる男たちが私たちに寄ってくるんだ。
『そうか、そうか辛かったんだね』 って言って 『手のひら』 を差し出して、頭をヨシヨシしてくれるんだ。
わかっているんだよ、そいつらが何を求めているのかは。
でもね、心の奥にどうしようもない淋しさや哀しみを抱えている者にしたら、その危ない 『手にひら』 にすがってしまうんだ。
私たちが生き残るためにはその 『手のひら』 が、その時には必要なんだよ。」
そう話した後に、彼女は彼の眼をまっすぐに見つめて真剣な眼差しで、
「Kさん、 Kさんは私たちのような人間を支えることが出来る? そんな偽りではない本当の 『手のひら』 を私に差し出すことができるの?」
こう言って、悪戯っぽく笑ったそうだ。
彼は彼女の生前の写真を眺めながら、今も彼女から問われている。
“Kさん、あの時の 『手のひら』 の意味、わかった?”
“Kさん、私が欲しかった 『手のひら』 を差し出すことができるようになった?” ・・・って。
わたしは今日、久しぶりに本を読んでいた。 浅田次郎の 「昭和侠盗伝」。
その中に出てくる寅弥という男が、我が子のように可愛がっていた勲。
その子が召集されることになった。
絶対帰って来いと言いながら、出征の日 寅弥は思っていた。
「読み書き算術も教えることはできなかった。
そればかりか人並みの説教すらできず、肩車に乗せ、頭を撫でて十五年を寄り添った。
ほかにはなにひとつできはしなかった。 寅弥は俯いて 掌 を見た。
何もしてやれなかったけれど、この 掌 が勲の肌の温もりを覚えていた。」
手のひら ・・・ 掌 ・・・
今日は ふたつの “てのひら” のこと、 わたしも考えた。
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