「手風琴」という洋菓子

2016-05-08 | 日記

           

手風琴というのはアコーディオンの古風な言い方である。先日いただいて食べたパイ生地で餡を包んだ和洋菓子「手風琴」の、小さな栞に描かれた昭和初期風のモダン・ガールのポートレートをコラージュして、パステルで描いたのがこの絵である。絵のタイトルは“手風琴の音色のごとく”。お菓子のメーカーは愛知県岡崎市にある1782年(天明二年)創業になるという和菓子舗「備前屋」。栞を見た時に、手風琴と言い、モダン・ガールのその後ろにはガス灯のようなものが描かれていて、餡とパイの組み合わせと言い、どうも明治文明開化時代の和と洋のハイブリッドな所謂ハイカラな香りが漂ってきたのである。パッケージからも文字からもレトロな印象である。なので、その栞が捨て難くてツマラナイを絵を描くのに執心するのである。最近、ツマラナイ物が僕をインスパイアするのである。

 


『ビアズリーと日本』展

2016-05-03 | 日記

        

先日、新潟県立万代島美術館でこの展覧会を見てきた。オーブリー・ビアズリー(1872-1898)は19世紀末の時代の寵児として一世を風靡したイラストレーターだった。特に書籍出版物の挿絵において彼のイラストやグラフィック・デザインは今もフレッシュである。紙上に表現された白(余白)と黒(ペンのライン)の世界は耽美的退廃的黒衣的 atmosphere (空気)を放って、魅力である。また彼の短い生涯の黒衣の裏には、隠れて先鋭で純潔なペン先のブラック・ラインが清流しているのである。ビアズリーという一人の才能は国境を越えて、時代を通過してもなお鮮烈で、その作品に向き合えるのは嬉しい。

 


中村忠二の絵

2016-05-02 | 日記

         

5月11日から22日まで画廊 “ アーロサロン二代目環 ” (新潟市中央区東出来島10-1-1F)で『中村忠二詩画展』があるという。掲載の絵は以前、東京・京橋で「藝林」という画廊を主宰していた梅野隆氏(今は故人となられた)から求めたもので、この『詩画展』があるというので思い出して飾ってみた。また、長野県東御市にある梅野氏が設立した梅野記念絵画館という美術館でも『中村忠二 生きものの漫画展』が5月29日まで開催中である。このペンと水彩で描かれた小さな絵を入手したのは、もう20年以上も前になる。当時の東京でのサラリーマン時代が彷彿とする。僕は当時「5時から男」を標榜していて、会社の退社時間の目標を5時としていて、夕方になると通勤鞄をブラブラさせなら、銀座界隈の画廊を覗くのが日課になっていた。良い時代だったように思う、「悦びは誰にもあ」り 「悲しみは誰にもある」のだった。