RICHARD PAUL LOHSE ( 1902-1988 ) はスイス・チューリッヒ生まれのグラフィック・デザイナーであり画家である。つい最近、この本を手に入れた。書名は 『 リヒャルト・パウル・ローゼの構成的造形世界 』 ( 多摩美術大学ポスター共同研究会・編著 中央公論美術出版 2004年刊 ) という。2003年に多摩美術大学美術館でローゼの展覧会があった時に見に行って、とても感動したのを思い出す。ローゼの本は日本語で書かれたものはあまり目にしたことはなかったが、僕が気づかなかっただけかも知れない。外国の文献にはいい本がいくつか見受けられたが、ちょっと高価だったように思う。この本には、ポスター作品と絵画作品とローゼの論文などが収録されていて、僕のようなシロウトには、いいテキストである。その中で気になる言葉があった。
同じものの反復が全体の可変性を創り出す。
このアフォリズムは、ちょっと考えてみても面白いかも知れない。見方を変えれば、われわれの社会はある意味、「 同じもの 」 つまりピースで構成されているのである。ユニットはピースから構成されているのであるから、社会というユニットも、美というユニットも、表現というユニットも、ピースで構成されているということになれば、ピースの配列ひとつでモノの本当への入り口が見つかるかも知れない。 「 反復 」 という意味を、クローズアップする、という意味に取っても面白い、と思う。まあ、こういう言葉はいろいろ勝手に考えたほうがいいようである。単純に、変化を生み出すのは日々の反復の中でしかない、ということなのかも知れない。
油彩・キャンバス153×153cm ( 1953/1983年 )
ポスター ( リトグラフ ) 127×90cm ( 1958年 )