『 夢 』

2015-10-10 | 日記

       

        

パブロ・ピカソが1932年に描いた油彩画 『 夢 』 ( 130×97cm ) 。思ったより大きな作品である。こういう絵が部屋にあったら嬉しいな … 、といつも思うのである。部屋の隅々までが夢で充満するのである。落ち込むことがあっても、こんな絵が部屋に掛かっていたら勇気百倍はもとより、日々の生活がきっとゆたかに、何があってもへこたれないでいることができるだろうナ … 。こういう絵を描いた、または描けたピカソを羨ましく思う。ピカソには、愛する女性が変わるたびに絵が変わって新しい飛躍を遂げる、という伝説がある。この作品もまた伝説を裏切らなかった。1927年、スイス生れのマリー・テレーズという17歳の “ ミューズ ” と出会い、愛したのだった。ピカソはこの時46歳。以来、また別な “ ミューズ ” と出会うまでの数年、テレーズはピカソに霊感を与え続けたのである。 『 夢 』 は僕の最も好きな絵の一つである。いつか同じ大きさのキャンバスで模写をする、というのが僕の一つの夢である。だけど、テレーズの指を六本にしようかどうかは、ずっと迷い続けている。十数年後、ピカソが彼女に送った手紙にはこんな言葉が残されている、という。

        この世で僕は、君と出会ってから生き始めたんだ ……