今夜はシューベルトを …

2014-04-04 | 日記

今朝フトンの中で読了した小説のストーリーで、脳梗塞で意識を失った音楽を愛する高名な建築家の伯父に、ピアノを聴かせてなんとか意識を回復させたいと願う村井麻里子が、自分の演奏をテープに録音するのに選んだ曲がフランツ・シューベルト ( 1797-1828 ) のピアノ・ソナタ第21番であった。そこで僕は今夜、最晩年に作曲された 『 ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D960 “ 遺作 ” 』 をスヴャトスラフ・リヒテル ( 1915-1997 ) の演奏で聴くのである。このピアノ・ソナタはシューベルトがピアノのために作った最後のソナタと言われている、だから “ 遺作 ” なのだろうか … 。小説の中で、ヒューマン・スケールが信条の、寡黙で温和なこの建築家の 「 国立現代図書館 」 のプランは実現を見なかったが、しかしモダンな美しい “ 遺作 ” となった。

小説の話を思いながらと、シューベルトのこのソナタを聴いていると、この小説の物語の中に紛れ込んだようで創造的妄想または想像的幻想が湧いてくるのである。きっといつか、僕のためだけの美しい “ プラベート・モダンライブラリー ” が建築されることを。