アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

秋山和慶のブルックナーを聴く

2013-11-12 21:00:00 | 音楽/芸術

急に思い立ち、秋山和慶氏のブルックナーを聴いてきた。

一頃に比べれば、ブルックナーに関しては実演が減り、いわゆる「暗黒時代」に入ったのかと言えるかもしれないが、やはり、そこは聴衆をも魅了する魅力的が指揮者が不在であるということにつきる。30年前の80年代、この頃は、日本にはマーラーブームが訪れており、その陰に隠れてブルックナーの演奏も徐々に増えていった時代。その牽引者は、間違いなく朝比奈隆であり、このアントンKも完全に虜になったひとりである。しかし、2001年に朝比奈氏が亡くなると、いよいよブルックナーは口を閉ざしてしまったのだ。クラシック音楽の分野は、CDでいくら再生しても、何かわからずじまいなことが多く、特にこのブルックナーに関しては、贅沢な話、実演ありきである。実際に足を運んで大変感動した演奏会が、後にその日の演奏会がCD化されて、期待してCDを聴いたときも、まったくと言ってよいほど印象が違っていた経験が何度となくある。記憶の中の演奏とは違い、何度がっかりしたことか・・・

かなり横道にそれてしまったが、そんなブルックナー演奏、今回は70歳を過ぎ、「巨匠」の風貌すら最近覗える指揮者秋山和慶氏だ。彼のブルックナーは、CDでの8番以外経験がない。そのときのまじめで実直な演奏が今日は聴けるのか、はたまた年齢を重ねて変わっているのか、これが聴きどころであった。

この日のオケが、音大生ということもあるのか、基本は以前とは変わらない、まじめでキッチリと音楽を作り上げていくタイプの演奏内容だった。テンポは速めのインテンポですっきりまとめるといったもの。解釈としては、ノヴァーク版のごく一般的な演奏といえる。おそらくほぼ譜面通りに指揮していると思われるが、音楽大学生のオケということもあり、出てきた音色は、瑞々しく大きく、しかし叙情的なポイントもあり、全体として素晴らしい演奏を繰り広げていたように思う。第1楽章や、第2楽章に現れる、ブルックナーの囁きや、問いかけにおける、木管楽器群には、多少不満は残ったが、それでもオケについては、指揮者によく就いていった印象を持った。この秋山氏のブルックナー、オケがやはり学生だから、やりたい事や言いたい事を抑えたのかもしれないが、ごくオーソドックスな解釈に留まり、予感は当たってしまった。

今回は、指揮者の芸術性よりも、現代の音大生の技術レベルの高さを再認識する機会となった。

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2013(H25)-11-11 ~ミューザ川崎シンフォニーホール  

第4回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル

 ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調

   秋山和慶 指揮

   洗足学園音楽大学管弦楽団