アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

都響マーラーチクルス~第6番「悲劇的」

2013-11-02 20:32:04 | 音楽/芸術

今年も都響のマーラーチクルスの季節になった。今日は、その中の第6を聴きにみなとみらいへ向かう。

本当はパスしようと思っていた今日の演奏会、実は直前で友人K氏のお誘いを受けて同行させて頂くことになった。大変有難いお誘いだった。こんな機会が無いと最近では中々話もろくに出来ず、早めに待ち合わせをして食事を共にすることにした。もう彼これ30年以上のお付き合いになり、鉄チャンでもあるK氏は、カメラはマイペースで撮影に出ておられるようであり、台湾や中国にも撮影に行って中々活動的。演奏会は、相変わらずマーラーがお好きなようで、また都響の定期会員で毎月会場には通っているようで心強い。

さて、今日の内容は、チクルスだから、マーラー第6番、この大曲一曲で終わり休憩すらない。こういう演奏会の方が個人的には好みで、偏ったマニアも多いが、客層も洗練されているように思うのだ。指揮者のエリアフ・インバルは、今やマーラー指揮者の第一人者になった。90年代の最初のマーラーブームを起こしたのは、まさにインバルだろうし、あの時も都響を振って交響曲全曲を振り、聴衆を魅了したことは懐かしい。当時は、フランクフルト放送響を振りCDも全曲リリースするなど、今思えば派手で活動的な時代だった。ほぼ同時に、ベルティーニも来日してマーラーを振っており、どちらの解釈が好みかなどと議論したことも思いだした。あれから20年、インバルもどのように第6番を料理するか興味深々で会場へ、座席は、舞台全体が見下ろせるRB席で、指揮者も良く見え、音響もダイレクトに伝わりベストだろう。

90分におよぶ第6を聴き終えてみて、まず印象に残るのは、都響のコンディションが素晴らしいこと。インバルが指揮して、なおかつレコーディングも行っているからとも思うが、第1楽章の提示部から張りつめた緊張感が伝わり、気合いの入り方が本気だったように感じる。木管楽器も雄弁でびっくり。Hrnのベルアップも揃っていて非常にカッコ良い。インバルの解釈はどうかというと、これは、基本的には昔とは大きく変わることないもので、奇手を狙わずオーソドックスな解釈と言えるだろうか。バーンスタインのマーラーが好きなアントンKとしては、もう少し大胆に表現しても良かった箇所も散見できたが、そんな細かいことより、今日の演奏はインバルの情熱に都響が全身全霊で答えたかのような演奏であった。ここしばらくマーラーは聴いてなかっただけに、多くの充実感と少しの疲労感を持って会場を後にした。