風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

10月の国はハローウィン!/イベント・レポート

2006-10-23 11:10:05 | 曲水の宴/う・た・げ
Halloween_egpp06 E.G.P.P.100というオープンマイク・イベントの連続開催60回突破記念として行われたStep63は、ハローウィンの色どり一色だった。ボクがもう半額セール(!)になっていたハローウィングッズや手作りのコウモリやパンプキンのお化けを持参して、手伝ってくれたピリカとともにデコレーションを終えると、いつもの「水族館」は、黄昏れる10月終わりのハローウィンの会場に一変していた。

 それにしても、扮装してくれば500円引きだと広報した割には、仮装者が少なかったのはどうした訳だったのでしょう? みなさん金銭欲を超越してらっしゃるのでしょうか(笑)? 魔女帽子(市価300円位。半額セールで150円!)ひとつでも割り引きだったのです。キモカワイイこのハローウィンの行事は、AKIRAがメキシコの「死者の祭り」(11月1日)のことを喋っていたが、まったく同じルーツ(カソリック、プロテスタントを問わずキリスト教のそれ。ただメキシコの「死者の祭り」には、先住民の記憶が混濁しているようだ)の祭りです。ハローウィンとは、万聖節(11月1日)のイブのことで、死者が墓地から甦ると考えられているようです。日本では、おそらくディズニーランドのりか、ティム・バートンの「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」(21日公開された3D版はディズニー映画)で、ハローウィンを知ったひとが多いかも知れません。

 ボクの設定は、ちと違う。ボク自身がハローウィンのことを知ったのは、以前も書いたと思うが、レイ・ブラッドベリィの短編集『10月はたそがれの国』や長篇『何かが道をやってくる』を通じてだった。最近、再読して不思議に思ったのは「ハローウィン」という訳語がその両者共に使われていないことだ。10月の作家ブラッドベリィがハローウィンとむすびついて認識されるのは『ハローウィンがやってきた』という作品を発表し、翻訳刊行(これも伊藤典夫訳で晶文社)されて以降かも知れない。

 だからボクがMCで多用したミュージシャンの紹介コピーは、ブラッドベリの作品世界のように季節外れの10月にやってくるカーニバルやサーカス団と、11月に大酉神社で繰り広げられる江戸時代以来の伝統の酉の市に立つ見せ物小屋のイメージをミックスしたものでした。

 だから、一番手のEGPPの歌姫マツイサトコは「玉乗りの少女」だったし、ねたのよいは刺青の男たちだったのです。マツイサトコは、黒のミニワンピース姿で登場し、本当に「玉乗りの少女」のように可憐で可愛かった。いや、彼女は充分に大人の女性なのですが、「セックスするより歌う方が気持ちいい」(サトコのブログより)と言い切るまでに、歌うことに思いを定めてから不思議なことにますますボクらを魅惑し、少女のようになっていっているのです。もしかしたら、サトコは回転木馬を逆回しにして、どんどん若返って行くあのブラッドベリの木馬にまたがっているのでしょうか?(写真1)

 「ねたのよい」は、あい変わらず不思議な爆音バンドです(笑)。彼らこそはイラストラテッドマン、その生身の肌にこの世界の生き物と神々とを生かす男たちです。タトゥは、先住民の人々にとっては民族そして人間としてのアイディンティティに結びついています。あるいは、生まれながらの呪符のようなものだと言ってもいいでしょう。きっとこの男たちの肌にはロックという呪符が音符のようなかたちでのたくって彫り刻まれているのではないでしょうか?
 まさしく彼らこそは21世紀の村八分ではないでしょうか?(写真2)

 そして次はなんとボクが最近こわいくらいに澄みきった秋空をみて「私の青空」を思いだしたとブログに書いたその歌を歌いながら登場すると言う心憎い演出でボクを喜ばせてくれたララリーヌさんです。この「平成の笠置シヅ子」は、「東京ブギブギ」などの笠置シヅ子ナンバーを歌いまくり、それに「イパネマの娘」を「イカ焼きの娘」とモジった素敵なコミックソングを聞かせるかと思えば、沖縄(波照間島に住んでいたそう)の風を運んで来たかのようなオリジナルを歌ったりと、八面六ぴのネコ娘のような変化ぶりです。でも、魅惑されたステージングでした。
 それにしてもサポートギターの永守健治さんのギターは素晴らしかったです。

 ここで、AKIRAにそんなのコスプレじゃん!と一蹴されてしまったコスプレ好きのボク、フーゲツのJUNの登場です。時間が押していたために、やや短かめでしたが、「異教徒のうた」を読みました。そう、ボクはここではMC、DJ、ポエットの骸骨男もしくは吸血鬼ヴァンパイアといった役回りでしょうか?

 最後は今夜のメインゲストAKIRAの登場です。歌も歌いましたが、自作の小説(神の肉テオナナカトル)の朗読もまじえてよく喋りました(笑)。AKIRAのややかん高い声は、歌を歌うためにあったのかもしれません。そもそもはアーティスト(美術家)として出発したAKIRAは、いまや日本でのネアリカ(毛糸を材料とした絵画)の第1人者だし、ついで作家(コットン100%、アヤウスカ、風の子レラなど)として異色の地位を築き、最近ではバンドONSENSを結成しての音楽活動と、その表現のパワーは全開でとどまることを知りません。ボクは、この夜はこのような説明は一切はぶいて「髪がヘビになった男」として、見せ物小屋風の紹介に徹しました。AKIRAのドレッドヘアのことを指して言ったのですが、それはきっと「神をヘビにした男」とも聞こえたことでしょう。アヤウスカ(LSDの100倍以上の強さを持つ幻覚剤)を探究してアマゾンにまで行き、さらに神の肉テオナナカトルを致死量まで食した男AKIRAは、まさしく「神のヘビ」としてのパワーを手に入れたに違いありません(って、神格化しているのではなく、武道もやる少し汚らしい男なのですが(笑))。
 ソロで歌いはじめたAKIRAの最後の2曲に、ONSENSのベーシストであるリュウが群馬から駆けつけてくれベースを加えてくれました。音は抜群に厚くなり、神もうらやむロック歌手の片鱗がそこに現れました。

 いったい、この夜は2006年10月のひと夜としてどのように語られるのでしょうか? 出演者、スタッフを含めて総勢50名ほどの参加者が一体になり、楽しみ、祈りのパワーをも再認識した「黄昏れの国」であったようです。

 ちなみに、AKIRAと来たピリカに協力してもらってものの小1時間ほどで作り上げた会場のハローウィンのデコ(デコレーション)は、今月一杯「水族館」を飾ることになりました。ハローウィンの使い回し? いやいや、安上がりにあげようというマスターの賢明な判断でしょう(笑)。見たいひと、この夜の雰囲気を味わいたいひとは今の内に、新大久保「水族館」でどうぞ!

(スペシャル・サンクス:bambiさん。おもとなほさん(以上受付け・会計)。13号倉庫(佐藤)さん(撮影・記録)。ピリカ(デコおよび物販)。御協力ありがとうございました!)

(写真6)この日の記念イベントのハローウィン的なデコが一番よく撮れている写真です。この日の会場の雰囲気を味わって下さい。ステージで歌っているのはマツイサトコ)。



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3 コメント

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じゅんさん、ありがとう。 (ララリイヌ)
2006-10-23 22:34:57
じゅんさん、ありがとう。
こちらこそ楽しませていただきました。
素晴らしい一夜になりました。
そして60回目おめでとうございます。
これからもどうぞよろしくね。
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ララリーヌさん! コメントまでいただきありがと... (フーゲツのJUN)
2006-10-23 23:47:06
ララリーヌさん! コメントまでいただきありがとうございます!
いや、もうレポートで言葉をつくしました。同じことは書きますまい。
御出演と素敵なステージをありがとう!
また、イベントの時はよろしく!
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けいすけです。 (jksk)
2006-10-24 00:08:02
けいすけです。
今回はいけなくて残念だったなあ。でも、JUNさんの文章でばっちり楽しませてもらいました。AKIRAは、このごろずっと行き続けているので、今回とくにいけなくて無念。だが、またこの次をねらってますよーー。
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