
キジムナーとは、沖縄に棲むと言う伝承的な精霊だ。年老いたガジュマルの巨樹に棲息すると言われている精霊だ。どこか、タイなどの森に住むピーと似ているのではないかと言う印象をボクは持っている。しかし、このキジムナーはどうやら本土の河童や座敷童の仲間なのではないかと言う説がある。森や、ガジュマルに棲む河童や座敷童というのもファンタジックだが、河童は照葉樹林帯を流れる河の深い淵に好んで棲息するから、キジムナーのように亜熱帯の鬱蒼とした森の気配を好む精霊とは違うのではないかと、個人的には考えている。水木しげる氏の妖怪コレクションにも入っているが、妖怪と言うよりこれは精霊だ。もっともラフカディオ・ハーンの『KUWAIDAN(怪談)』にも登場する雪女などは、精霊のような気がする。妖怪とはなんだか、今度は気になってきた。
キジムナーそれ自体も、沖縄本島の中の中部の地域的な伝承が始まりのようである。喜如嘉(きじむか)に伝わる話がそれだ。ところが、名前は違えど沖縄それぞれの島の中には昔から似たような伝承が伝わっていた。
本島北部:アカカナジャー(伊平屋村)、アカブサー(伊是名村)、ブナガヤ・プルパカヤー(国頭村・大宜味村・東村)、ヤンバサカー(名護市屋我地)、ポージマヤー(名護市羽地)、カムローグワー(名護市屋部地区安和)、ツノーラー(名護市屋部地区旭川)、スノールキジムン(名護市名護地区)、シェーマ・セーマ・カムラグワー・カムローグワー(本部町)、ガヤブヤー(金武町)
本島中部:フカゾークークー・キジムン(与那城町平安座島)、ヤチバー(与那城町屋慶名)、ウンサグワー・イッチョイグワー(津堅島)、ケンケンジムナー(勝連町)、イッチョイグワー(勝連町平敷屋)、カーガリモー(中城村)
本島南部:キジムナー(南風原町)、マージャ(玉城村)
久米島:マア・キムナー(仲里)、カーカブロー(具志川)
宮古諸島:マズムヌ(宮古島、多良間)、インガマヤラウ(伊良部町)
八重山諸島:マア・マンダー・マージャッピ(石垣島)、マンジー・マンジャー(小浜島)、マーザ・カムラーマ(鳩間島)、キディムナ・マディムナ(与那国島)
(つづく)
※画像は水木しげるロード(境港市)にあるキジムナーのオブジェ。
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