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■ 向屋温泉 「国民宿舎 ヴィラせせらぎ」 〔 Pick Up温泉 〕



<向屋温泉 「国民宿舎 ヴィラせせらぎ」>
(群馬県上野村勝山684-1、12:00~20:00(月・木は15:00~)、600円、0274-59-2585)
オフィシャルHP
紹介ページ (MAPPLE観光ガイド)

利根川支流、神流(かんな)川流域は”多野エリア”とよばれ、その最奥にあるのが上野村です。
これは2006年4月に、上野村の温泉4湯を一気に攻めたときのレポです。

上野村にある国民宿舎。ここも「浜平温泉「しおじの湯」(三岐温泉センター)」とおなじく川の合流点(神流川&野栗沢)にあります。
赤屋根レンガ壁の南欧風のつくりで一見、温泉がありそうにはみえません。


【写真 上(左)】 川の合流点にあります
【写真 下(右)】 浴場入口

フロントから浴場にかけてのつくりは「やまびこ荘」よりこぢんまりとしていますが、ここにも日帰り客がくつろげる休憩所が用意されています。
入浴用の券売機もあって、日帰り入浴の受け入れに力を入れているようです。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 内湯

狭めながら二面採光のあかるい浴場に内湯(みかげ石枠石貼8-9人)、サウナ(ぬるかった)に2005年春に増設された露天(三波石造7-8人)という構成。
どこがどうという指摘はできないのですが、なんとなくそっけない感じの浴場。


【写真 上(左)】 露天
【写真 下(右)】 露天からの景色

川の合流点という立地が似ているためか、露天からの眺めは「浜平温泉「しおじの湯」(三岐温泉センター)」と同様、雄大なもの。

カラン8、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜14時で2人とすいていました。

内湯・露天とも熱湯側面注入+底面吸湯でオーバーフローなしの循環仕様。
露天は、湯の花キャッチャー付カランからごく少量の投入。「非加温源泉か?」と思いきや無味無臭で、ひねっても投入量はかわりませんでした。


【写真 上(左)】 湯の花キャッチャー付カラン
【写真 下(右)】 内湯の湯色

ほぼ適温のお湯は無色透明で赤茶色の浮遊物。ほぼ無味無臭できもちヌルすべととろみがあるかも・・・。
スペックほどの濃度感はなく、浴感よわめで特徴もうすいですが、浴後はかなりあたたまる、なんとなく変わった感じのお湯です。

個人的には残念ながら上野村4湯にうちでいちばんインパクトのうすいお湯に思えましたが、じつはこの源泉はかなり貴重なものです。

それは「強アルカリ性の食塩泉」ということで、かつて温泉みしゅらん掲示板で話題になったことがありました。

やませみさんによると「塩化物泉の場合、成分が濃くなるとpHが高くなるのを妨げるので、pH10超になるのはたいへん珍しいです。」(同掲示板2001/08/21)とのことで、これはやませみさんの「温泉の科学」のグラフ(図5-6-1-2 アルカリ性泉のpH頻度分布と泉質)からもうらづけられます。
これによると、pHが10を越えるような強アルカリ性の食塩泉は、全国的にみてもほとんど例がないのです。

いくら加水があるといっても、CO_3^2-=133mg/kgもあれば多少なりともヌルすべが出てくるハズですが、ほとんど感じられないのは、塩化物泉系の泉質のためとも思われます。
(これについても「温泉の科学」(5-6-3 つるつる温泉の謎/つるつるしないアルカリ性泉)に詳述されています。)

このようなめずらしい源泉なので、どうしても源泉にふれてみたいところですが、強アルカリ泉は、じつは肌へのダメージがかなり大きいときいたことがあるので、やっぱりむずかしいのかな?(館内掲示にも「強アルカリ性のため加水しています」とある。)
それにしても上野村にはかわった泉質のお湯が多いですね・・・。

Na-塩化物冷鉱泉 15.2℃、pH=10.4、15.4L/min(掘削揚湯)、成分総計=1.70g/kg、Na^+=614mg/kg (97.49mval%)、Fe^2+=0.15、F^-=3.5、Cl^-=744 (72.05)、SO_4^2-=23.0、HCO_3^-=133 (7.48)、CO_3^2-=133 (72.05)、OH^-=11.7、ほう酸イオン(BO^2-)=4.10、ヒドロけい酸イオン(HSiO_3^-)=6.45、陽イオン計=639 (27.4mval)、陰イオン計=1059 (29.1mval) <H11.4.27分析> (源泉名:未定)
※ OH^-=11.7mg/kgという正真正銘の強アルカリ性泉です。

<温泉利用掲示> 加水:あり(強アルカリ性のため) 加温:あり 循環ろ過装置使用:あり 塩素系薬剤及び銀イオン殺菌装置使用:あり

〔 2009年10月13日UP (2006年4月入湯) 〕



〔参考〕<上野村の温泉>



西上州も奥まった上野村は、周囲を山々に囲まれた自然ゆたかなところです。
以前はどこから入るにも厄介なアプローチでしたが、平成16年3月、下仁田から入る湯の沢トンネルが開通し、下仁田ICから約30分と便利になりました。
ハイキングコースや滝、関東一の規模を誇る鍾乳洞「不二洞」など見どころも多く、まいたけにしいたけ、十石みそ、いのぶたなど特産品もたくさん。


【写真 上(左)】 黒瀧山不動寺
【写真 下(右)】 上野村の山々

また、下仁田からの途中、南牧(なんもく)村には普茶料理で有名な黄檗宗の名刹、黒瀧山不動寺もあります。
エリア的にはうどん文化圏ですが地粉蕎麦もあって、道の駅の前にある「福寿庵本店」の蕎麦はかなりのレベルでした。


【写真 上(左)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-1
【写真 下(右)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-2

上野村には現在4つの温泉入浴施設があります。(かつては伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」がありましたが、いまは休業しているようです。」)

1.塩ノ沢温泉「国民宿舎 やまびこ荘」
(上野村楢原塩ノ沢887/TEL0274-59-2027、日帰り入浴12:00~17:00 火休 600円)
含鉄-二酸化炭素-Na-塩化物・炭酸水素冷鉱泉 11.6℃、pH=6.2、成分総計=10.81g/kg


【写真 上(左)】 「国民宿舎 やまびこ荘」の外観
【写真 下(右)】 「国民宿舎 やまびこ荘」の内湯

2.向屋温泉「ヴィラせせらぎ」
(上野村大字勝山684-1/TEL0274-59-2585、日帰り入浴12:00~20:00(月・木は15:00~)、600円)
Na-塩化物冷鉱泉 15.2℃、pH=10.4、成分総計=1.70g/kg


【写真 上(左)】 「ヴィラせせらぎ」の外観
【写真 下(右)】 「ヴィラせせらぎ」の露天

3.野栗沢温泉「民宿 すりばち荘」
(上野村大字野栗沢506/TEL0274-59-2161、日帰り入浴12:00~20:00頃 不定休 500円)
Na-塩化物冷鉱泉 21.9℃、pH=6.8、成分総計=6.87g/kg


【写真 上(左)】 「民宿 すりばち荘」の外観
【写真 下(右)】 「民宿 すりばち荘」の浴槽

4.浜平温泉(浜平の湯・湯ノ沢の湯)「しおじの湯」
(上野村楢原3487-2/TEL0274-59-3955、日帰り入浴10:00~21:00(冬季~18:00) 第2・4火休 500円)
規定泉(メタけい酸)(Ca・Mg-SO4型) 11.6℃、pH=4.1、成分総計=0.52g/kg


【写真 上(左)】 「しおじの湯」の外観
【写真 下(右)】 新設された浜平源泉槽


いずれも冷鉱泉ながら、いかにも西上州らしいクセもの系のお湯です。
ただ、温泉利用掲示は4軒とも、加水(1.4はなし)、加温、濾過循環、殺菌処理ありでした。4はスペック以上の浴感がありましたが、他の3湯はスペックほどの浴感は感じられず。

個人的感想ですがお湯的には、
浜平 > 塩ノ沢 > 野栗沢 > 向屋 かな
ただし、野栗沢の源泉槽に入れるときは(底に少したまっていた源泉?はよさげだった)、
浜平 = 野栗沢 > 塩ノ沢 > 向屋 になるかも・・・

午後からのお湯があるので、4湯一気に制覇するにはくふうがいります。
下仁田から入り、鬼石(or秩父)へ抜けるルートだと
浜平 →(昼食)→ 塩ノ沢 → 向屋 → 野栗沢 の順かな
ただ、これだと浜平-塩ノ沢の往復が余計になるのと最後にまた浜平に入りたくなる(笑)のが難点です。鬼石ルートなら、白寿の湯で仕上げるのもいいかも。

帰路ですが、下仁田に戻るのがいちばん楽。つぎが志賀坂峠を越えて秩父に抜けるルート。鬼石~本庄のルートは道幅狭くカーブの多い道が延々とつづくので、運転に不慣れな方にはあまりおすすめできません。

上野村では「しおじの湯」の開設にあわせ湯巡りスタンプラリーが導入されていますが、温泉で村おこしするなら、もう少し湯づかいを改善してほしいところ。(現在はもっとよくなっているかもしれません。)

いまいち地味で温泉好きのあいだでもなかなか話題にならないエリアですが、ひとつの村でこれだけバラエティあるお湯を揃えているところはめずらしく、各施設が非加水源泉槽をととのえれば、温泉好きにはたまらないエリアになるのでは?
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