goo

■ 浜平温泉「しおじの湯」(三岐温泉センター)



<浜平温泉「しおじの湯」(三岐温泉センター)>
(群馬県上野村楢原3487-2、10:00~20:00 第2・4火休、500円/4h、0274-59-3955)
オフィシャルページ
紹介ページ (@nifty温泉)

※ 写真は、特記のないものは2009年2月入湯時のものです。

利根川支流、神流(かんな)川流域は”多野エリア”とよばれ、その最奥にあるのが上野村です。
これは2006年4月に、上野村の温泉4湯を一気に攻めたときのレポです。

伝説の名湯、浜平鉱泉を1㎞引湯利用ということで、この掲示板でも何度が話題になったお湯。3/3に仮オープン(料金200円)、4/24にグランドオープン予定。ONKEN21さんの速攻レポ(3/6)あり。


【写真 上(左)】 エントランス
【写真 下(右)】 休憩所

西上州の山ふかく、神流本流、中ノ沢、北沢が合流する三岐の集落にできた公営の日帰り施設。
2004年3月、下仁田方面から入る湯の沢トンネルが開通しているので、下仁田ICから30分程度でアクセスできます。
黒屋根と茶クリームの外壁をベースにした外観は優れた意匠、木をメインにした館内も落ち着いたもの。
廊下の奥に男女別の浴室があり、男女固定制です。


【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 露天からの眺め

浴室は木貼りの天井と広い窓をもつ雰囲気のいいもの。
ただし、檜シャンプーの香りが強烈。
内湯(石枠青鉄平造10人以上)に露天(岩&石枠石敷6-7人、一部軒下)とシンプル。
露天からは川の合流点がパノラマのごとく望めます。

カラン8、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
集落もまばらな山奥なのでガラガラかと思いきや、週末11時で常時5人以上とけっこうな盛況。


【写真 上(左)】 内湯
【写真 下(右)】 露天

内湯・露天ともに赤茶に色づいた湯口からぬる湯投入+熱湯底面注入で底面吸湯+軽いオーバーフロー。
投入湯はお湯の感じからして加熱源泉と思われ、湯口源泉投入+槽内循環オーバーフロー併用の半循環方式かと・・・。

お湯は内湯、露天で大差なく、ほぼ適温で微濁。
白と灰茶の湯の花が盛大にただよいます。
酸性泉系の小酸味に弱いながらしぶ焦げイオウ臭と焦げ臭が湯面でも香ります。

とろみと非常に強いキシキシというかペトペト感のある個性的な湯ざわりで、浴後は肌が粉っぽくなります。
”山の温泉”のイメージが強く、えらくあとを曳くお湯でなかなか脱出できません。

弱酸性の硫酸塩泉系のお湯は、日光沢の露天姥子「秀明館」伊豆山「般若院浴場」などを思い起こすほどのすばらしいもので、規定泉引湯混合循環の非力なイメージを見事にくつがえしてくれます。


【写真 上(左)】 混合使用時の内湯
【写真 下(右)】 混合使用時の露天

ここは浜平鉱泉(S-Na・Ca-Cl、15.3℃、pH=6.3、等張性)と湯ノ沢源泉(弱酸性低張性冷鉱泉)を混合利用しています。
ONKEN21さんも指摘されていましたが、浜平は濃いめの硫黄食塩泉。

加水なしということなので、混合で成分総計=0.52g/kgまで薄まるとしたら、湯ノ沢源泉はかなりうすめでしかも混合量が多いと思われます。
混合により浜平源泉のpHが低下してSO4型の泉質となっているので、湯ノ沢源泉はうす目ながら酸性明礬緑礬泉系の実力派の源泉では・・・?

この日は上野村4湯(塩ノ沢、向屋、野栗沢、ここ)を一気に攻めましたが、ここのお湯がダントツでした。
この湯づかいがキープされるならば温泉ファンも納得の一湯でしょう。


【写真 上(左)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-1
【写真 下(右)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-2

その後、浜平鉱泉にいってみました。廃業した一軒宿「奥多野館」とおぼしき建物には人が住んでいる気配があり、すぐ上の山腹からは真新しい送湯パイプが延びていました。

規定泉 (メタけい酸)(Ca・Mg-SO4型) 11.6℃、pH=4.1、湧出量不明、成分総計=0.52g/kg、H^+=0.08mg/kg、Na^+=14.6 (11.63mval%)*、Mg^2+=17.3 (26.07)、Ca^2+=40.6 (37.11)、Fe^2+=6.20、Al^3+=9.43 (19.21)、Cl^-=1.7 (0.88)、SO_4^2-=257 (98.69)、陽イオン計=89.4、陰イオン計=93.3、メタけい酸=92.9 <H16.8.5分析> (源泉名:湯ノ沢の湯と浜平の湯の混合泉)
*) mval%は筆者にて算出したもの、有効桁数等考慮していないので概数です。

※ その後の情報によると、浜平源泉は運搬利用しているようです。

<温泉利用掲示> 加水なし 加温あり 循環濾過あり 塩素系薬剤使用あり

〔 2006年4月16日レポ 〕

-----------------------------------------------------------------------
「白濁して硫黄の臭いがする昔の浜平温泉に入りたい」という利用者の声に応えて、2006/10/9より「浜平源泉浴槽」が設置されました。
また、湯ノ沢源泉と浜平源泉のブレンド使用もやめています。(出所:温泉みしゅらん掲示板(ONKEN21さん2006/09/30))

湯づかい変更後のレポです。
「浜平源泉浴槽」が設置されたのは露天の一画。1人用のちいさな檜風呂です。
人気で順番待ちかと思いきや、たいてい空いていて入り放題でした。(土曜15時で3-7人と浴場じたいも空いていました。)


【写真 上(左)】 浜平源泉浴槽-1
【写真 下(右)】 浜平源泉浴槽-2

熱湯側面注入と(たぶん)源泉パイプ(常時出ていなかったような・・・)と水カラン(真水?)の3つ。
槽内排湯はみあたらず、入るとかなりのオーバーフローがあります。

うすく懸濁したお湯はかなり熱めで白とうす茶の浮遊物。
ごくよわい塩味に磯の香。硫酸塩を含んでいるらしく、湯中の指先が青白く発光しています。
土類系のキシキシペトペトとした湯ざわりもある複雑なお湯。
本来の浜平温泉は塩味が強く、イオウ臭がするハズなので、かなりの加水があると思いますが、異様な力感とあたたまり感があって、名湯の片鱗は感じられます。


【写真 上(左)】 内湯の湯口
【写真 下(右)】 露天の湯口

それにもましておどろいたのが、内湯と露天でつかっている湯ノ沢源泉です。
内湯は赤茶に色づいた湯口からの投入で槽内注入不明でよわいオーバーフロー。
露天は赤茶に色づいた湯口からの投入+側面注入+底面吸湯でよわいオーバーフロー。


【写真 上(左)】 露天の湯色
【写真 下(右)】 露天の析出

内湯と露天のお湯はほぼ同じコンディションで、内湯はややぬる、露天は適温。
うすく懸濁したお湯には白い浮遊物が少量ただよい、「浜平源泉浴槽」より強い青白発光。にごりは混合泉時代よりうすくなっているようです。
また、湯口まわりは鉄分の赤茶と白い石膏の析出で盛大にいろどられていますが、これらの変色&析出は混合泉時代より多くなっています。

よわい酸性泉系のレモン味+微収斂味に焦げ臭+微ドクダミ臭(^^;)+収斂(?)臭。
ベースはきしきしで、これにわずかながら酸性泉系のぬるが乗ってくる、肌に染み入るような絶妙な湯ざわりのお湯で、あとを曳きまくります。
あたたまりはかなり強めですが、浴後は熱の抜けがよくすっきりとした充実感がでて肌がしっとりと落ちつきます。

硫酸塩ベースの弱酸性泉と思われる湯ノ沢源泉は、上に挙げたような酸性泉の名湯群をほうふつとさせるものさえあって、関東周辺でも屈指の規定泉だと思います。

今回の湯づかい変更は正解かと・・・。
どちらも個性の強いお湯なので、やはりそれぞれに楽しめるのはうれしいことです。
ただ、欲をいえば、「浜平源泉浴槽」の希釈をもうすこしよわめてくれるといいのですが・・・。


【写真 上(左)】 使用源泉の説明
【写真 下(右)】 うどんといのぶたソーセージ

なお、分析書は従来の混合泉のものだけで、浜平、湯ノ沢単独の掲示はありませんでした。

ps.食事処で名物のいのぶたソーセージを出していました。コクがあってなかなか美味。

<掲示>
1.「しおじの湯では、露天にある檜風呂には、浜平の源泉を、内風呂と露天風呂には、湯ノ沢の源泉と別々の2種類の源泉を使用しています。」
2.「露天風呂と内湯 新源泉! 湯ノ沢の源泉(しおじの湯) 泉質:メタけい酸温泉 弱酸性低張性冷鉱泉 メタけい酸が温泉法の限界以上のため、温泉法にいう温泉に該当している。」

〔 2009年10月14日レポ (2009年2月入湯) 〕



〔参考〕<上野村の温泉>

西上州も奥まった上野村は、周囲を山々に囲まれた自然ゆたかなところです。
以前はどこから入るにも厄介なアプローチでしたが、平成16年3月、下仁田から入る湯の沢トンネルが開通し、下仁田ICから約30分と便利になりました。
ハイキングコースや滝、関東一の規模を誇る鍾乳洞「不二洞」など見どころも多く、まいたけにしいたけ、十石みそ、いのぶたなど特産品もたくさん。

また、下仁田からの途中、南牧(なんもく)村には普茶料理で有名な黄檗宗の名刹、黒瀧山不動寺もあります。
エリア的にはうどん文化圏ですが地粉蕎麦もあって、道の駅の前にある「福寿庵本店」の蕎麦はかなりのレベルでした。

上野村には現在4つの温泉入浴施設があります。(かつては伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」がありましたが、いまは休業しているようです。」)

1.塩ノ沢温泉「国民宿舎 やまびこ荘」
(上野村楢原塩ノ沢887/TEL0274-59-2027、日帰り入浴12:00~17:00 火休 600円)
含鉄-二酸化炭素-Na-塩化物・炭酸水素冷鉱泉 11.6℃、pH=6.2、成分総計=10.81g/kg

2.向屋温泉「ヴィラせせらぎ」
(上野村大字勝山684-1/TEL0274-59-2585、日帰り入浴12:00~20:00(月・木は15:00~)、600円)
Na-塩化物冷鉱泉 15.2℃、pH=10.4、成分総計=1.70g/kg

3.野栗沢温泉「民宿 すりばち荘」
(上野村大字野栗沢506/TEL0274-59-2161、日帰り入浴12:00~20:00頃 不定休 500円)
Na-塩化物冷鉱泉 21.9℃、pH=6.8、成分総計=6.87g/kg

4.浜平温泉(浜平の湯・湯ノ沢の湯)「しおじの湯」
(上野村楢原3487-2/TEL0274-59-3955、日帰り入浴10:00~21:00(冬季~18:00) 第2・4火休 500円)
規定泉(メタけい酸)(Ca・Mg-SO4型) 11.6℃、pH=4.1、成分総計=0.52g/kg

いずれも冷鉱泉ながら、いかにも西上州らしいクセもの系のお湯です。
ただ、温泉利用掲示は4軒とも、加水(1.4はなし)、加温、濾過循環、殺菌処理ありでした。4はスペック以上の浴感がありましたが、他の3湯はスペックほどの浴感は感じられず。

個人的感想ですがお湯的には、
浜平 > 塩ノ沢 > 野栗沢 > 向屋 かな
ただし、野栗沢の源泉槽に入れるときは(底に少したまっていた源泉?はよさげだった)、
浜平 = 野栗沢 > 塩ノ沢 > 向屋 になるかも・・・

午後からのお湯があるので、4湯一気に制覇するにはくふうがいります。
下仁田から入り、鬼石(or秩父)へ抜けるルートだと
浜平 →(昼食)→ 塩ノ沢 → 向屋 → 野栗沢 の順かな
ただ、これだと浜平-塩ノ沢の往復が余計になるのと最後にまた浜平に入りたくなる(笑)のが難点です。鬼石ルートなら、白寿の湯で仕上げるのもいいかも。

帰路ですが、下仁田に戻るのがいちばん楽。つぎが志賀坂峠を越えて秩父に抜けるルート。鬼石~本庄のルートは道幅狭くカーブの多い道が延々とつづくので、運転に不慣れな方にはあまりおすすめできません。

上野村では「しおじの湯」の開設にあわせ湯巡りスタンプラリーが導入されていますが、温泉で村おこしするなら、もう少し湯づかいを改善してほしいところ。(現在はもっとよくなっているかもしれません。)

いまいち地味で温泉好きのあいだでもなかなか話題にならないエリアですが、ひとつの村でこれだけバラエティあるお湯を揃えているところはめずらしく、各施設が非加水源泉槽をととのえれば、温泉好きにはたまらないエリアになるのでは?
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ■ 向屋温泉 「... ■ 王様温泉(... »