民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「過去」 山本恭司

2016年06月08日 00時11分18秒 | 生活信条
 「徒然日記」 その351  2015年7月9日 山本恭司(日本のトップ・ギターリスト)

 「過去」

 過去に遡って何かを変えることなんか出来ないのに、想像の中で「あの時ああしておけば良かった…」と後悔し、現在の自分を苦しめることがある。過ぎ去ったことは過ぎ去った事実として残っているだけなのに、日々こうして新たな自分として歩き始めているのに、どうして思い出しては胸を痛めてしまったりするのだろう。

 過去から学ぶ、それは決してネガティヴな考え方ではなく、未来へ向かっての教訓とすべく、とてもポジティヴな考え方と言っても良いはず。それでも何らかの形でそこにいた当事者としての自分のことを責めてみたり、あの一言さえ言わなければとか、あと1分そこに留まっていればとか、その想像のドラマの中でもがき苦しんでしまうのだ。そしてその後に訪れた未来を変えられたかもしれないのに…と、自分に都合の良いドラマを何度も心の中で再生しては、悔しい思いをする。

 忘れ去りたい過去との決別、それには時間もかかることだろうし、予期せぬ事でふいに記憶を呼び覚まされることもあるだろう。
それでも、“未来に照準を合わせるべき”だと思う。後悔や自責の念は、まだまだ押し寄せてくることも覚悟する。それだってきっとこの先起きるだろう事実なのだろうから。持病と一生付き合っていかなければならないのと同じように、後悔する気持ちとも騙し騙しかもしれないが上手くやって行ける日も来るはず。
現に10代の頃の苦い思い出は、いつの間にか美しい思い出に変わってしまっている。赤面する程の大失敗も今なら笑って話すことも出来る。・・・時の魔法とでもいうのだろうか。

 時には振り返ることも必要、でも未来はこれから作って行くことが出来る。変えることなど不可能な過去に縛られるよりは、これからいくらだって自分の思い通りに変えられる可能性を持った未来のことを思う方がずっと楽しいはずだ。

 今日の、そして明日の笑顔の為に♪