アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

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万国のプレカリアート、団結せよ!(その2)

2007年12月07日 23時09分08秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 12月5日放送のNHK「クローズアップ現代」で、在日外国人研修生の問題を取り上げていたのを見ました。その番組では、技術習得などの為に来日した開発途上国の人間が、本来の目的である研修や技能講習からかけ離れて、つなぎの低賃金労働力としてこき使われている問題を取り上げていました。

 日本では90年代から外国人研修制度・技能実習制度が実施されています。この制度本来の趣旨は、開発途上国への技術指導の一環として、3年を期限として当該国人を日本に呼び寄せ、1年目は研修生、2年目は技能実習生として各種技術の習得を図るというものでした。
 1年目はあくまで研修としての位置づけなので、即戦力として働かしたり残業させたりは出来ません。この期間は研修生に月7万円の生活費が支給されます。2年目に入ると技能実習生の扱いになり、協力企業の一員として働かされ、月12万円前後の法定最低賃金が支給され、社会保険も適用されます。この趣旨に沿って62職種114作業の習得が図られ、3年後の帰国後には有為の技能工として母国で活躍してもらう―これがこの制度の建前です。

 ところが実際は、中国・インドとの競争でダンピングを強いられ3K職場故に人材確保もままならない中小企業を中心に、これらの外国人研修生・実習生に対して、研修・実習など全く施さずに、残業や休日出勤まで強いておきながら、最低賃金の半分以下の基本給・残業代しか払わないという実態が、今までまかり通ってきました。1日10数時間労働、休日は年間数日・月に1日あるかないか、時間外賃金が時給換算で僅か300円台という様な、詐欺紛いの労働実態がそこにはありました。
 要するに、外国人研修制度・技能実習制度が、違法労働の呈の良い隠れ蓑として使われてきたのです。この辺の事情は、日本国内での派遣・請負・業務委託などのアウトソーシング契約が、得てして偽装請負や偽装委託(実際は従業員として働かされているにも関わらず雇用責任逃れの為に業務委託契約の形にされている)の隠れ蓑として使われているのと、非常によく似ています。

 それに対して、労働組合や市民団体の支援によって、外国人研修生・実習生(実質は労働者)の労組結成や不払い賃金の支給、労働条件の改善を勝ち取る動きも次第に広がってきていますが、それで即解決とはならないのです。外国人研修生・実習生がせっかく闘争に勝利して違法労働の是正を勝ち取っても、今度は出身地の本国で、ブローカーから「相手に損害を与えた」「契約不履行」と逆に言いがかりをつけられて、訴えられるケースが出てきたからです。
 番組では中国のケースが取り上げられていました。中国では、ブローカーの人材派遣企業が出稼ぎ人夫募集の形で人を集め、「日本企業の言う事には絶対服従」との内容の誓約書まで出させて、そして研修制度を利用して日本に労務輸出を行っていたのです。今の中国はホンマ、社会主義国というのは形だけで、やらせ番組・食品偽装(例のダンボール肉まん事件など)に加えて、グッドウィルみたいな違法人材派遣会社まであり、その辺は日本とも何ら変らない、否、政治的自由や労組活動の自由が無い分、日本よりも更に酷いという事が、よく分りました。これでは北朝鮮がロシアに送り出している労務輸出と何ら変りません。

 そして、表では中国や北朝鮮の脅威を煽り立てて改憲・軍拡を志向している今の日本の自民党政府・財界も、裏ではちゃっかりと中国共産党政府と馴れ合って、日本国内でワーキングプアを搾取しているのと同様に、中国のワーキングプアを搾取しているという事も、この番組を見てよく分りました。
 ここには、EPA(経済提携協定)に基づくフィリピンからの低賃金介護士輸入や、太平洋ベルト地帯や北関東などの自動車・電子部品組立工場で日系人労働者が低賃金でこき使われているのと、同じ様な構造が存在します。ひとり大企業だけがリストラによる増益で「我が世の春」を謳歌し、その下で多くの中小企業や勤労者が賃金目減り・生活縮小・格差拡大に苦しむ中で、国の国内産業・地方切捨て政策の為に潜在需要があるにも関わらず意図的に3K職場にさせられて立ち行かなくなり人材確保もままならなくなった産業分野(農業や介護・福祉・医療など正にそうでしょう)に、外国からワーキングプアを呼び寄せて、国内ワーキングプアの「沈め石」に仕立て上げた上に、日本人と外国人のワーキングプア同士を互いに反目させて、自民党・財界支配が揺るがないようにしているのです。実に巧妙な作戦という他ありません。

 この搾取構造を打ち破っていくには、一つしかありません。それは、靖国派ファシストやネットウヨクの尻馬に乗って外国人排除に精を出す事でもなければ、新自由主義政府・財界のお先棒を担いで外国人の「沈め石」輸入を無原則に肯定する事でもありません。日本人・外国人労働者が共に団結して、共通の敵(搾取構造を支えているそれぞれの国の支配層)を打ち破っていくしか根本的な打開の道はありません。万国のプレカリアート団結せよ!

(参考資料)
・NHK「クローズアップ現代」12月5日放送 国境を越える“研修生トラブル”
 http://www.nhk.or.jp/gendai/
・外国人研修制度・技能実習制度の解説(JITCO)
 http://www.jitco.or.jp/contents/system.htm
・外国人研修・技能実習制度問題を考える(名古屋国際センター)
 http://www.nic-nagoya.or.jp/japanese/kokusai_center_news/kokusai_koryoku_corner/eandc0407.htm
・外国人労働者の雇用・労務管理の部屋
 http://www.asunaro-as.net/foreigner/
・現代日本の外国人労働者問題とコミュニティ・ユニオン
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/sssp/112taikai/F4-1Lee.pdf#search='在日中国人 労働組合'
・移住労働者と連帯する全国ネットワーク
 http://www.jca.apc.org/migrant-net/Japanese/Japanese.html
・同胞の雇用守ります《外国人労働者を助けるマルコスさん》(名古屋タイムス)
 http://www.meitai.net/archives/20070712/2007071206.html
・万国のプレカリアート、団結せよ!(その1)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/8914c524d222708b63058f97f5e86f11

※注:プレカリアート=「不安定(プレカリアス)な雇用や生活を強いられている労働者(プロレタリアート)」を意味する造語。ワーキング・プアを政治的・階級的に表現した言葉。私のHNもここに由来します。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88
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