
発信者:全労連(全国労働組合総連合)
署名提出先:河野太郎・デジタル相、加藤勝信・厚労相、寺田稔・総務相
10月13日、河野太郎デジタル大臣が会見し、「健康保険証を24年秋に原則廃止し、マイナンバーカードを事実上義務化」することを発表しました。
多くの国民がこのようなことを求めている、という話は聞いたことがありません。一体誰のためにこんなことを進めようとしているのでしょうか?
マイナンバーカードは2016年1月から交付が始まっていますが、普及率はいまだ5割強にとどまっています。
マイナポイントなどのPRによって一時的に取得者数は増えましたが、制度そのものに対する不安が払拭されたとはいえません。政府はこうした現実に業を煮やして、今回の強引な「事実上の義務化」に踏み切ったのではないかと思われます。
そしてこの突然に思われる「事実上の義務化」は、カードを持っていない人だけではなく、すでに持っている人にとっても大きな影響があることが予測されています。
【すでにマイナンバーカードを持っている方へ】
マイナンバーの目的のひとつに、「金融資産を把握して、医療費負担などに金融資産状況を反映させ、利用者負担を増やす」ことがあります(政府の改革工程表の項目57をご参照下さい)
健康保険証を廃止してマイナンバーカードを義務化した後には、さらに「金融口座のひも付けの義務化」にすすむのではないかと予測されています。
例えばすでに介護保険では、資産が500万円をこえれば、特養などの自己負担額がアップしていますが、この「個人データのひも付け」により、たとえば「貯金が500万円あったら、後期高齢者の医療窓口負担を重くする」というようなことができるようになります。
つまり政府は「貯蓄して老後に備えよう」と言っておきながら、貯蓄したらしたで、その分医療・介護にかかる負担を増やそうとしているのです。
健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化することは、その方向に歩みを進めることになる危険性が非常に高いのです。
また保険証との一本化によって、カード紛失時のリスクも今まで以上に高まることになります。
【現在マイナンバーカードを持っていない人へ】
現在マイナンバーカードを持っていない人には、さまざまな事情があります。
「個人情報の保護に不安がある」、「紛失のリスクが恐ろしく高い」、「メリットがないから」、「よくわからない」、「手続きが面倒くさい」、「そもそもマイナンバー制度自体に反対」などなど。
政府は従来より「多様な幸せの実現ということですからマイナンバーカードを始めデジタルを全く活用しない生活様式を否定しているものではありません」(平井卓也前デジタル大臣 内閣委・総務委連合審査 2021年3月24日)と答弁していましたが、今回の「事実上の義務化」は、その態度を180度変えたことになります。
大臣が変わったからといって、なんの議論もなくこんなことを勝手に決めてよいのでしょうか?
また、マイナンバー法第16条の2によれば、「機構は、政令で定めるところにより、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき、その者に係る個人番号カードを発行するものとする」とあります。
そもそも「申請」を事実上義務化することは、法に反するのです。
すでにメディアやSNSにおいても、このニュースに対する反対の声が広がっています。私たちはこの声を「署名」という形にして、所轄の大臣に届けたいと思います。
「保険証を廃止して、マイナンバーカードに一本化することに反対」の方は
①この署名にサインをお願いします。
②大臣に伝えたいメッセージをコメントに記入してください。
③この署名の情報をシェアして広めてください。
みなさんの署名が、コメントが、シェアが、「紙の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードを事実上義務化」することをストップするための力になります。ぜひみなさんの力を貸してください。
最後に私たちの元に届いている、現場からの声の代表的なものを紹介したいと思います。
《医療現場からの声》
・現在の健康保険証による資格の確認には、なんの問題もおきていません。それなのに、普及している健康保険証を廃止して、無理やり普及していないマイナカードに置き換えるというのは無駄なのでは?
《患者からの声》
・健康保険証が廃止されたら、マイナンバーカードを持っていないと保険診療を受けられなくなるのでは?
・マイナンバーカードを紛失すると、同時に保険証をも紛失することになるので不安だ。
※全労連はマイナンバー制度反対連絡会に参加しているため、全労連のアカウントを通じてこの署名を呼びかけています。
前回記事で紹介した例の旅行記ですが、今から思うと甘めの評価でした。旅行記がネットに公表された後、元ホームレス当事者の方の感想など読む中で、自分もいかにあいりん地区の事に無頓着であったか思い知らされました。
例えば、あいりん地区にやって来た旅行者の女性が、ひょんな事から野宿者の方と仲良しになり、一日限りのデートで彼に食事やたばこをおごる話の中でも。女性から自分の特技を聞かれて、「九九」や「ドッジボール」と答える野宿者の反応を見て、私もつい笑ってしまいました。当初はほほえましいエピソードにしか思わなかったその場面も、小学校の授業で習う「九九」や「ドッジボール」しか、彼には良い思い出が無かった事を思うと、笑って済ませられる話ではないのに。
そもそも、最初の居酒屋で見知らぬおっちゃんがこの女性に2千円おごったのも、彼女と楽しい時間が過ごせたからです。そのお礼の意味をこめておっちゃんは2千円払ったのです。多分、その場の勢いもあったのでしょうが。おっちゃんにとっては、あくまでフィフティ・フィフティのつもりで払ったのです。
それに対し、野宿者の方は、濡れタオルを入れるビニール袋を渡しただけなのに、890円の定食に560円のたばこ、130円の缶コーヒーまでおごられたのでは、もう女性に何も言えないじゃないですか。もう頭が上がらない。言いなりになるしかない。
そうやって、女性の言いなりになるしかない野宿者の人に、「缶コーヒーおごってやった代わりに私をほめてくれ」と、この女性は言ったのですよ。今までの人生の中で、ほとんどほめられた経験のなかった人に。見ようによっては、これほど残酷な事はありません。
しかも、よりによって「ティファニーで朝食を」という映画の名前を記事の題名にして(「ティファニーで朝食を。松のやで定食を。」)、ネットに公開してしまいました。この映画は、往年の大女優オードリー・ヘップバーンの名演技でヒットしましたが、その内容は新人女優の成り上がり物語です。おそらく、この女性は、そんな映画のあらすじとは無関係に、松のやの定食に引っ掛けて、この名前を記事の題名にしたのでしょう。しかし、それが更に油に火を注ぐ結果となってしまいました。「あんた、何を女優気取りでおんねん。しかも、野宿者を自分の引き立て役にして」と。
だから、元野宿者の方から、「珍獣扱いするな!」と、猛抗議を受ける羽目になってしまったのです。
でも、この旅行者の女性だけが悪いのでしょうか?一番悪いのは、この女性をここまでミスリードに追い込んだ、「新今宮ワンダーランド」「新世界・西成ワンダーランド!」の観光キャンペーンそのものではないでしょうか?
何故そう思うのか?ここで一つ質問します。皆さんは、どこからどこまでの範囲が「あいりん地区(釜ヶ崎)」だと思いますか?
そう聞かれると、大抵の人は「JR・南海と堺筋に囲まれた南北に細長い地域」と答えるはずです。住所で言えば、大阪市西成区萩之茶屋1・2・3丁目です。そのほとんどが日雇い労働者のドヤ(簡易宿泊所)街です。それに加え、堺筋より東側の太子1・2丁目も、民家の中にドヤが点在しているので、「あいりん地区」に含める人が多いはずです。
どちらにしても、JRより北側の新世界は含まれないはずです。あいりん地区とは違い、新世界にはドヤはありませんから。そもそも新世界は、浪速区の一部であって、西成区ですらありません。そういう、あいりん地区とは本来全く異質な地域であるにも関わらず、「優しい街、下町の人情が残る街」という多分に情緒的な言葉で、あいりん地区と一括りにして、大阪市の観光キャンペーン対象地域に含まれてしまいました。
左:あべのハルカスを動物園前商店街から望む。右:星野リゾートがJR新今宮駅北側に開業予定のOMO7(オモセブン)と、その横に建つ低所得者向けの大隅アパート。
※上図は、大阪商工会議所が阪南大学の研究室と共同制作した「新世界・西成食べ歩きマップ」。「新今宮ワンダーランド」観光キャンペーンの為に作られたものの一つだが、最初の曼陀羅の地図(同キャンペーンPR地図)とは違って、堺筋・阪堺線以西のあいりん地区はほとんど無視されてしまっている事が分かる。この事から、いくら同キャンペーンであいりん地区の歴史や日雇い労働の現状について力説しようとも、観光の重点はあくまで堺筋より東側の新世界・動物園前商店街にある事が、はからずも証明されてしまった。
だから、この旅行者の女性も、「優しい街、下町の人情の残る街」とホンワカ気分で、野宿者の人に接してしまったのです。野宿者の人にとっては、餓死や凍死と背中合わせで、不良少年の襲撃からも身を守らなければならない、およそ「優しさ」とか「人情」とは無縁の、生きるか死ぬかの毎日なのに。
大阪市は、何故そんなミスリードを誘発するような観光キャンペーンを敢えてしたのか?あいりん地区だけでは観光にならないからです。今から15年ほど前までは完全なスラム街で、麻薬の密売買も横行し、暴動もしょっちゅう起こっていた地域に、昔は観光に来る人なぞほとんどいませんでしたからね。今も年配の人は、この地域に近づこうとはしません。
ところが、交通の便が良い、宿泊代も安いという事で、外国から観光客が押し寄せるようになり、今までスラム街だった所が観光地に生まれ変わりました。近くには繁華街の新世界もあります。難波や天王寺のターミナルにも近い。行政や企業からすれば、まさに「ひょうたんから駒」です。だから「人情の街」というキャッチで、新世界もあいりん地区もお上の都合で全てぶっこみにされ、一大観光キャンペーンが張られた為に、旅行者の女性のミスリードを誘発してしまったのです。
確かに、あいりん地区にも「優しさ」や「人情」はあります。しかし、それは単なる「下町情緒」なぞという甘っちょろいものではありません。もっと過酷な、それこそ生きるか死ぬかのギリギリの所から生まれて来た処世訓です。
あいりん地区に「来たらだいたい、なんとかなる」(新今宮ワンダーランドのキャッチコピー)のは、そうしなければ、誰も生きて行けないほど、過酷な環境下にあるからです。早朝の午前4時に起きて5時にはあいりんセンターで職探しをしなければならない。その職種も、キツい、汚い、危険な建設現場の土工やとび職が大半です。そんな所には食い詰めた人しか来ない。雇う方も雇われる方も、従業員や仕事をえり好みなぞしていられない。それが「西成に来さえすれば仕事にありつける」「えり好みさえしなければいくらでも仕事はある」という事の本当の姿です。
そんな中では、お互い助け合わなければ生きていけない。ドヤには敷金も保証金も不要で一日の宿泊費さえ払えばすぐ泊まれるのも、住所不定の食い詰めた客ばかりだからだ。雑貨屋も、早朝から動き出す労働者の動きに合わせて、朝6時には商売を始めなければならない。ほとんどの住民は、風呂もトイレもない、洗濯機も室内にはおけないドヤ住まいだ。それを当て込んで、銭湯やコインランドリーが街中に乱立するようになる。工事現場の飯場を渡り歩き、狭いドヤには自分の荷物も置けない人も多い。それを当て込んでコインロッカー屋も乱立するようになる。単身者のドヤ住まいで、部屋の中にはキッチンも満足になく、自炊が難しい人も多く住む。それを当て込んで、弁当屋も乱立するようになった。
それを何も知らない観光客が見て、「ドヤは敷金も保証金も不要で、その日から泊まれる。店も朝早くから開いている。何て便利な街なんだ」「あちこちに弁当屋や銭湯があるとは、何て下町情緒にあふれた優しい街なんだ」と勝手に感動して、「人情味あふれる下町」神話が出来てしまったのです。
実際には、観光客で潤う表通りの小洒落たホテルと、その恩恵を受けない裏通りの古い福祉アパートやドヤという形で、あいりん地区内にも格差が広がっているのに。
本当にあいりん地区の事を知りたいと思うのであれば、新世界の串カツ屋や、あいりん地区の居酒屋だけ見るのではなく、野宿者支援の炊き出しや夜回りにも参加したら良いのです。あいりん地区では、いくつもの団体が、炊き出しや夜回りに取り組んでおられます。そこまで無理だと言うのであれば、見るだけでも良いです。
野宿者の人に中途半端に飯をおごって、その人に惨めな思いをさせてしまうくらいなら、まだその方がよっぽど為になります。そのどちらも嫌だと言うのであれば、もう西成なんかよりも有馬温泉にでも行ってくれた方が、観光客にとっても良いだろうし、地元の私達も珍獣扱いされなくて良いです。
何も見てくれの良い上辺だけ見せるのが観光キャンペーンではありません。幾ら見てくれの悪い「地域の負の遺産」でも、歴史的価値や社会的価値があるなら、それは立派な観光資源です。現に、原爆ドームや沖縄のチビチリガマも、そうやって観光地に立派に脱皮できたではないですか。あいりん地区の貧困も、その原因と対策を知る事で、派遣切り対策やブラック企業対策に活かせるなら、それは立派な観光資源となります。そこまでやってこそ、初めて「新今宮ワンダーランド」の観光キャンペーンをやる価値があると思います。
左:あいりん地区内にも建ちだしたオートロックのホテル。右:昔ながらの一泊500円のドヤ。
「ティファニーで朝食を。松のやで定食を。」という旅行記があります。大阪市のあいりん地区観光キャンペーン「新今宮ワンダーランド」の協賛記事です。最近、本屋の店頭に並ぶようになった「新世界・西成ワンダーランド」という雑誌で、このキャンペーンが盛んに宣伝されています。そのキャンペーンの為にかかれた旅行記がネットで炎上してしまいました。












鍼灸師さんの話では、前日の29日まで普通に営業していたそうです。それが、翌30日にパートさんが出勤したら、店の陳列も前日のまま、ドアだけ施錠され、ガラス戸に破産公告が貼られていたそうです。
経営者とは連絡が取れず。これでは給料も出ないと、パートさんも途方に暮れているとの事でした。
帰りに様子を見て来ましたが、本当に、前日まで営業していたままの形で、店頭にはキャンペーンやパート募集のポスターも貼られたまま、倒産の生々しい姿を晒していました。



イケチューは、堺市の本店の他に、高石市や和泉市に数店舗を構えるだけのローカルスーパーですが、新鮮な品揃えで有名でした。特に魚介類の品揃えが良かったと聞いています。
そこに10月からの消費税増税で、レジの買い換えも出来ず、破産に至ったのです。消費増税さえなければ、経営再建できたかも知れないのに。
まさか、消費税増税のブログ記事を書いた矢先に、増税倒産の現場に遭遇するとは思ってもみませんでした。「アベノミクスでデフレ脱却」と言っていたのは、何処の何奴か?「増税しても好景気だから大丈夫」じゃなかったのか?



申請代理人は上甲悌二弁護士(大阪市中央区北浜3-6-13日土地淀屋橋ビル、弁護士法人淀屋橋・山上合同、電話06-6202-4776)ほか1名。
当社は、1966年(昭和41年)創業、73年(昭和48年)12月に法人改組。堺市や高石市を中心とする南大阪地区で、食料品・日用品主体のスーパーマーケット6店舗を運営するほか、リカーショップ、喫茶店、ベーカリーショップ、フラワーショップ13店舗も併営し、ピークとなる2001年8月期には年売上高約126億6600万円を計上していた。
しかし、不況長期化に伴う個人消費の低迷やコンビニ・大型スーパーの進出による競争激化で利益率が低下。2003年8月期の年売上高は約105億2500万円にまで落ち込み、2期連続で欠損を計上していた。このため、不採算店舗の閉鎖や人件費圧縮、原価見直しなど諸経費削減で経営の立て直しを図っていたが、その後も業況は回復せず、2004年2月に負債約40億円を抱えて民事再生法の適用を申請していた。
同年9月に再生計画認可決定が確定し、不採算店舗の閉鎖などリストラを進め、2007年9月に再生手続きを終結。その後も地元密着のスーパーマーケットとして運営を続け、リサイクルショップなど異業種に参入するなど2018年8月期には年売上高約50億円を計上していた。しかし、同業他社との競争激化や、人件費の高騰などにより収益面は低調に推移。ここへ来て10月から始まる消費税増税に伴う設備投資も行うことができず、先行きの見通しが立たないことから今回の措置となった。
負債は推定10億円。


この本は、消費税が5%から8%に値上げされた2014年に刊行された。それから更に5年経ち、2019年10月からは消費税が10%に値上げされた。既に同じ本の最新版が河出文庫から出ている。軽減税率やポイント還元の事を知るには、最新版の方が良いだろう。文庫版なので電車の中でも手軽に読める。
しかし、最新版は大人向けに書かれているので、仕事で疲れた頭で読むには、少々荷が重いかも知れない。分かりやすさという点では、図書館から借りて読んだ、こちらの旧版の方が良いだろう。旧版には「14歳の世渡り術」の副題が付けられ、難しい漢字には振り仮名が振られ、中学生でも一応分かる文章で書かれている(それでも結構、高度な内容だが(^^;)。
軽減税率やポイント還元についても、消費税について分かりやすく書かれた旧版で、その基本点を抑える事が出来たからこそ、その出鱈目をはっきりと認識出来たのだ。
消費税の問題点として、まず挙げられるのが「逆進性」だ。消費税は、タバコ税や自動車税とは違い、どんな生活必需品にも課税されるので、低所得層ほど負担が大きく、高額所得層の負担は小さい。それが「逆進性」だ。そういう意味では、消費税は「究極の不公平税制」だと言える。
その逆進性を緩和する対策として打ち出されたのが、「軽減税率」であり、「ポイント還元制度」だ。同じハンバーガーを店内で食べれば消費税は10%になるが、持ち帰りにすれば8%になる。酒を買うと消費税10%取られるが、味醂では8%で済む。持ち帰りより外食の方が贅沢(ぜいたく)であり、料理酒の味醂は生活必需品だが、嗜好品の酒は贅沢品だからという理屈だ。現金決済にせずにポイントで買い物すれば、更にお得になる。
でも、そもそも消費税とは、たまたま最後に税金を払うのが消費者だから、そう呼ばれるようになったに過ぎない。その前の、仕入れや製造の各段階でも、それぞれの業務に携わる業者の方々が、消費税を税務署に払っている。勿論、二重に課税されるのを防ぐ為に、既に先の段階で支払われた消費税分は控除される仕組みにはなっているが。(上記「消費税の負担と納付の流れ」図参照)
同じ事は弁当屋にも言える。400円の幕の内弁当も買えず、100円のご飯と80円の味噌汁だけで夕食を済ます人も多いのに、そんな人に更に消費税を上乗せして売る事なぞ出来るか?そんな事をしたら、誰も弁当を買ってくれなくなる。
しかし、弁当屋には、食材やトレイなどの具材を提供する業者から、消費税分が上乗せされた請求書が容赦なく送られて来る。その為、薄利多売で頑張って来た弁当屋も、遂に値上げに踏み切らざるを得なくなる。客離れを最小限に食い止めるには、売れ筋の弁当価格は据え置いたまま、低価格帯の弁当を値上げするしか無い。
だから、売れ筋の唐揚げ弁当は500円に据え置いたまま、400円の幕弁当を450円に、一気に50円も値上げせざるを得ないのだ。8%から10%に2%の消費税値上げだけなら、こんな50円もの値上げにはならない。
かくして、消費税値上げは、軽減税率やポイント還元とも無縁の日雇い労働者や、日雇い労働者から「早くしろ」とせき立てられる薄給激務の弁当屋パート従業員に、最もしわ寄せが行く事になる。


あいりん地区以外の下町でも事情は同じだ。あいりん地区の隣の天下茶屋にあるイズミヤで買い物して、隣の整骨院で治療してもらい、向かいの和菓子屋で100円のアイスクリンを買うのが、私の公休日の朝の日課だ。しかし、その100円のアイスクリンも、この10月から110円に値上げされた。
和菓子屋のおっちゃん曰く、「他の和菓子は全て価格据え置きで頑張ってるが、このアイスクリンだけは、流石に100円ではやって行けないので、110円に値上げせざるを得ない」と。
私もそれに応え、「おっちゃんは何も悪ないよ。マスコミは軽減税率とか言って、持ち帰りは消費税8%に据え置きだとか言っているが、このカップのコーンや、それを包んでいる紙にも、消費税10%かかっている。おっちゃんはその10%を全て自腹切って税務署に払いながら、私に売るアイスクリンを110円に抑えてくれてんねや。
悪いのは、それをあたかも恩恵みたいに言うマスコミだ。テレビも新聞も、自分達が軽減税率の対象になっているから、安倍政権に逆らえないのだ。今のマスコミは戦時中の大本営や、今の北朝鮮と同じだ!」と、おっちゃんに励ましの言葉をかけてあげた。

それに引き換え、輸出産業の大企業はどうか?米国には消費税なぞ無いから、トヨタ自動車の米国への輸出には、「輸出戻し税(消費税還付金)」の形で、消費税分が丸々還元される仕組みになっている。その一方で、トヨタ自動車は、部品メーカーに対しては、取引停止をチラつかせながら、コストダウンの名目で、下請け単価を叩きまくっている。消費税も下請けにしわ寄せしながら、輸出にかかる消費税はチャラにしてもらっているのだ。
大企業に課せられる法人税も、名目は40%だが、実際は前記の「輸出戻し税」や研究開発減税などの形で、実際はごく僅かの税率しか負担していない。所得税も、以前は所得に応じて19段階、10〜75%の累進課税だったのが、今や6段階、5%〜最高でも40%と、高額所得者ほど税負担が軽くなっている。だから、法人税や所得税については、滞納はほとんど無い。国税庁HPの統計でも、2017年(平成29年)度滞納額6154億円のうちの約6割、実に3632億円が消費税によるものだった。
今年10月からの消費税10%への値上げ前も、「消費税が払えないから」と廃業する業者が相次いだ。真っ当に商売して来た業者ほど、顧客や下請け、従業員に増税コストをしわ寄せするのは忍びないと、廃業する道を選んだのだ。
残った業者が生き残るには、西成の弁当屋のように、より下の日雇い労働者やパート従業員に、犠牲を強いざるを得なくなる。元々貧しかったそれらの人々に、更に消費税値上げの重圧がのし掛かる事になる。(# ゚Д゚)
物価値上げと賃下げ、増税の行き着く先は、もはやデフレスパイラルしかない。不況と貧困の連鎖が果てしなく続く事になる。消費税は、まさに「悪魔の税」だ。


消費税値上げが10月からと言うのも、何だか皮肉にしか聞こえない。10月と言えばハロウィン。子供達が「Trick or Treat」(トリック・オア・トリート:お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ)と言って練り歩く季節だ。まるで徴税官が「Tax or Threat」(タックス・オア・スリート:税金払わなければ差押えするぞと脅迫)している様に聞こえる。その一方で、大企業や高額所得者は、税金大負けの大盤振る舞い。
逆じゃないか。そんなに財源が無いなら、大企業や高額所得者の遊休資産や、景気が冷え込んで使い道がなく眠っている内部留保、カジノ投機やオリンピックの無駄遣い、贅沢品にこそ、消費税20%でも30%でも課税すべきではないか。逆に、それを買わなくては生きていけない様な、なけなしの生活必需品については、軽減税率やポイント還元などのマヤカシではなく、すっきりと消費税をタダにすべきではないか。
かつては直接税や累進課税が税制の中心だった。「まず払える者から税金を払う」という「応能負担」が税制の基本だった。それがいつの頃からか、直接税から間接税に、所得税や法人税から消費税に、税制がシフトし、「サービスを受ける者が税金を払う」「応益負担」を唱える者が跋扈(ばっこ)するようになってしまった。
贅沢品への課税なら、「応益負担」でも良いだろう。でも、最低限の必需品や公共サービスについては、「応益負担」ではなく「応能負担」に戻すべきだ。障がい者の僅かな収入から作業所利用料をピンハネしたりするような阿漕な真似なぞ論外だ。誰しも好き好んで障がい者になった人間なぞいない。現にマレーシアのマハティール政権は、消費税を廃止して、景気浮揚に成功している。日本も早くそうすべきだ。


遂に山本太郎のポスターが大阪・西成の「あいりん地区」(動物園前一番街)にも現れた!
人は山本太郎の事を「売名芸能人」と呼ぶが、私は必ずしもそうは思わない。売名でこんな反権力の主張なぞ出来ない。
また、芸能人という事で軽く見られるが、政党渡り鳥の世襲政治家や、選挙で負けた途端に掌を返す様に都構想反対から賛成に転じる自民党府議よりは、よっぽど骨があると思う。
確かに、彼には、左派でありながら元号(天皇制)にシンパシーを抱き「れいわ新選組」という名の政治団体を立ち上げる等、そそっかしく粗削りな所がある。しかし、そういう「向こう見ず」さに魅力を感じる人たちもいる。今まで政治にそっぽを向いていた人にも訴える力がある。
そんな山本太郎と対照的なのが共産党だ。格差是正など、同じ様な事を共産党も主張しながら、なぜ共産党の党勢がなかなか伸びないのか?山本太郎が言ってる「働いたら誰でも食える様にしろ」「税金は無い所から搾り取るのではなく、在る所から先に取れ」という主張こそ、ある意味では「共産主義」そのものなのに。
西成出身のラップミュージシャン、SHINGO★西成の歌詞も、この様な内容で、若者に人気を博している。昨年の米国中間選挙で大量当選した民主党若手が掲げたのも、反格差を唱える「共産主義」的な公約だった。
同じ事を主張していて、片方は若者の心を掴みつつあるのに、他方はいまだに「暴力革命」や「北朝鮮」のイメージでしか捉えられないのは何故か?私は、「共産」という不正確な訳語に、その原因があると思う。
共産党も山本太郎の「向こう見ず」さにならい、「全国に子ども食堂を」「誰でも毎日ワンコインで飯が食える様にする」と訴えれば、もっと党勢が伸びると思うが、どうだろうかw?
川崎殺傷事件(左上ニュース)で、模倣犯を生まない為にも犯人への過度のバッシングを諌めた人が、逆にネットで叩かれている。「死にたいなら他人を巻き添えにしたりせず、さっさと一人で死ねば」。この書き込みを見た自殺願望の持ち主が、更に逆上して「そんな事書かれる位なら、一層の事、他のリア充も皆殺しにしてやる」となるのを防ぐ為に、過度の犯人叩きを諌めただけなのに、「犯人をかばうのか」と叩かれている。
川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい(藤田孝典)https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20190528-00127666/
「犯人をかばうのか」と言ってる人に私は逆に問いたい。「秋葉原の無差別殺傷事件をもう忘れたのか?」と。スパルタ教育で育てられた挙句に、両親から疎んじられ、派遣切りに遭った犯人が、腹いせに東京・秋葉原の歩行者天国で無差別殺人に及んだ事件だ。当時は今とは違って、犯人が犯行直前まで綴ったネットの書き込み(右上はその一部)を見て、「よくやった」「俺も同じ想いだ」という書き込みがネットに溢れたものだ。
その後、一時的な政権交代を挟んで、派遣切りから今のアベノミクスに時代は変わった。しかし、根本的には何も変わっていない。見かけの有効求人倍率こそ上昇したが、相変わらず食って行けない様なブラック求人ばかり。上がったとされる最低賃金も、当時から僅か100円程度引き上げられただけだ。
フルタイムで働いても月収20万行かない時給千円への最賃引き上げにも、日商会頭が反対を表明した。そして、政府の審議会では、今の65歳からの年金支給を70歳や80歳に引き上げる事すら議論され、「公的年金で賄えない分は投資や個人年金で賄え」とまで言われる有様だ。
それに対し、「何でも自己責任で済ますなら、今まで払った年金保険料全て返せ」と反論しても、「公的年金で賄えないのは贅沢品購入やレジャー費用だけだ。一部の発言だけ切り取り騒ぎ立てるな」と言われる。
人生100年時代に自助努力を、と国が示して怒っている人は、「一部」と「全部」の大違いが分かっていない(山崎俊輔)https://news.yahoo.co.jp/byline/syunsukeyamasaki/20190527-00127495/
最低賃金を時給千円に引き上げ、1日8時間フルに働いても、月収僅か17万円から18万円にしかならない。税金や社会保険料を払えば月15万円にも満たない。そこから家賃や光熱費を払えば、もう食べるだけで精一杯。投資どころか貯蓄もままならない。
私も時給千円の非正規雇用だが、本業だけでは食べて行けないのでダブルワークでしのいできた。ところが、ダブルワーク先で契約を切られ、代わりのダブルワークもことごとく不採用。多分、ダブルワークで入れる時間が少なかったからだと思うが、なら「過労死するほど働け」と言うのか?やむなく本業バイト先に事情を話して、月40時間ほど残業する事を認めてもらって、何とか家賃支払いに見合う増収を確保できる目処が立った。
残業規制が強められる中で、よりによって「残業を認めてもらう」とは。呆れられた方もおられると思う。私も好き好んで残業なぞしたくはない。でも、慣れないダブルワークの、不安定な掛け持ちバイトでアゴでこき使われる位なら、まだ同じ職場の慣れた仕事で残業した方が良い。ご多聞にもれずウチも人手不足。それを逆手に取ったまでだ。
1日8時間働いたら誰でも普通に食べて行けるなら、それに越した事はない。何も贅沢している訳ではない。たまには安売り弁当だけでなく美味しい物も食べたい。たまには有休取って旅行にも行きたい。こんな当たり前の願いすら、贅沢に分類され、「楽しむ分は自己責任で賄え」と言われる。
今も日本は秋葉原の事件の頃と何も変わっていない。それどころか、マスコミは更に政権の顔色をうかがうようになった。川崎の事件も直ぐには速報で流れず、令和改元やオリンピックのお祭り騒ぎばかりが垂れ流される。朝乃山優勝の際も、以前は女性看護士が急病人搬送の為に土俵内に立ち入る事も拒否しながら、相撲観戦に訪れた米国のトランプ大統領には、升席を取り払って椅子まで用意し、スリッパ履きで土俵入りする事も認める不公平さ。この国の主人公は一体誰なのか?
「最低賃金が上がった」と言われるが、実質賃金は逆に低下。他の先進国がデフレ脱却に成功し、実質賃金も上昇する中で、日本だけがずっと低下し続けている。有効求人倍率が上がったのも、少子高齢化で労働人口が減っているからだ。アベノミクスとは無関係。むしろ、安倍政権が後押しする企業リストラのせいで、少子化による人手不足が起こっているのだから、求人増も「不幸中の幸い」と言うべき代物でしかない。


反安倍陣営が読み違える、若年層の「功利主義的メンタリティー」 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/179601 … このクソ記事に適宜反論していこうと思う。休憩時間や帰宅後にしか書けないので、反論記事の完成がいつになるかは明言できないが。
若い世代の自民党支持率が上昇しているのは右傾化や保守回帰ではなく、アベノミクスで賃金上昇した事等も踏まえ若者が功利的(打算的)に判断したからなんだと。アホらし。功利的に判断しても、第2次安倍政権になってから実質賃金は下がり、税金や社会保険料は逆に値上げ。もう踏んだり蹴ったりなのに。
確かに有効求人倍率や最低賃金は上がったが、それはアベノミクスのお陰ではない。少子高齢化による人手不足のせいだ。その少子高齢化をもたらした結婚も出来ない低賃金、待機児童激増で「日本死ね!」とまで言われた保育所不足をもたらした自民党を、被害者の若者が支持するとは、もはや喜劇だ。
格差社会の犠牲者である若者が格差をもたらした自民党を支持する喜劇。その原因は若者を取り巻く環境にある。今の若者は物心ついた時から就職氷河期で、自力で賃上げ勝ち取った経験もない。周囲から「空気を読め」と言われ続ける中で、奴隷根性が染み付いてしまったのだ。
もはや「人間らしい暮らしを」とか「健康で文化的な最低限度の生活を」とか言われても何が人間らしくて健康で文化的な生活なのか分からない中で、「とりあえず少しでも時給を上げてくれるなら良い」という気分なのだろう。時給がたかだか数十円上がった所で早晩生活が破綻するのは目に見えているのに。
時給900円が千円に上がった所でフルタイム勤務でも月17万円余、年収200万円余。税金・保険料・家賃・光熱費を払うと残るお金はほとんどない。「でも上がらないよりはマシだ」と安倍自民を支持する。賃上げはアベノミクスのお陰か否かなんてこの際関係ない…恐らくそんな所だろう。
目先の利益だけで物事を決める。それが功利主義。自民党政治もブラック企業も無くならないなら、同じブラックでも少しでも時給が高い方が良い。ブラック企業に何人殺されようが知ったこっちゃないと。しかし、そんな考えでいると、自分が殺されそうになっても誰も助けてくれない。助ける人もいなくなる。
勿論、少しでも時給は高いに越した事はない。しかし、それは普通の企業であって初めて言える事。過労死で人を殺めても平気なブラック企業はどんなに時給が高くても存在自体が許されない。「殺人と強盗のどちらが得か?」という問いには「損得以前にどちらもダメだ」と答えるしかないだろう。