アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

たった一言のつぶやきで世界が変わる事もある

2019年07月05日 20時50分53秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 
昨日、出勤途上に旧あいりんセンター前で全港湾労組の人がビラをまいていた。ビラは両面刷りで、表面は参院選への投票を呼び掛ける在り来たりの内容だった。裏面も投票呼びかけの内容そのものは同じだったが、「今この瞬間も世界は日々激動している」として、先の米朝首脳会談をその例に上げていた。
 
米朝首脳会談の取り上げ方も、表面の在り来たりの内容とは全然違っていた。表面が活字で投票を呼びかけるだけの一般的な内容だったのに対し、裏面は手書きだった。多分、即興で書いたのだろう。はっきり言って文章もつたない。しかし、その事でかえってビラを書いた人の生の息づかいが感じられた。ここに全文を紹介するので、まずは読んでみて欲しい。
 
サミットも終り、米中貿易戦争が少し水を入れて休戦になり、最悪をさけられたと一息ついていた所へ、「瓢箪「ひょうたん)から駒(こま)が出る」のように、朝米トップ交渉が実現してしまった。
トランプがツイッターで書きこんで、板門店で会えればいいなといったら、現実に一日後には第3回首脳会談になった。休戦状態にある朝鮮戦争が、実質的に終り、平和宣言をしたような内容と、現実が実現してしまった。
来年11/3(火)に迫った大統領選挙にむけたトランプ大統領の宣伝やパフォーマンスだとか、分析や批評はうるさいが、大陸と朝鮮半島に政治的地殻変動がおこっているのは事実である。
日本では、7/4・今日から参議院選挙が始り7/21(日)投開票である。たいへんな課題いっぱいの日本の社会、そして改革しなければならない日本政治です。チェンジと変革が必要な現実があります。期日前投票も利用して、かならず投票にはお互い行きましょう。
 
私は、あいりん地区でまかれるビラと言えば、とかく「ヤクザ手配師による暴力、賃金ピンハネと闘え!」といった内容ばかりだと思っていた。その先入観がこのビラで見事に打ち砕かれた。あいりん地区外の人でも、米朝首脳会談のニュースに関心を寄せる人は必ずしも多くない。政府が鳴り物入りでG20大阪サミットの成果を強調し、マスコミもそれに迎合するだけだった。その中で、あいりん地区の労働者向けのビラで、自らも労働者と同じ目線でビラを書いているであろう執筆者が、賃上げとは無関係の朝鮮半島のニュースを、我が事のように喜び、それを自分の言葉で表現したのだ。
 
G20直後にトランプのツイート(ツイッターのつぶやき)を機に実現した板門店(パンムンジョム)での3回目の米朝首脳会談。これをパフォーマンスと切り捨てるのは簡単だ。確かにトランプはその場の思いつきで動く人物ではある。移民排斥など人権に反する事も平気で行う。金正恩(キムジョンウン)も反人権の独裁者という点ではトランプ以上だ。そんな2人の首脳会談なのだから、とても額面通りには受け取れない…そう思う人も少なくないだろう。
 
しかし、いかに反人権的な指導者によるパフォーマンスであっても、それで米朝間の膠着状態を打開できたのも事実だ。翻って安倍はどうか?拉致問題で名前を売って総理にまで登りつめたにも関わらず、拉致問題は一向に進展せず。北朝鮮だけでなく韓国、中国からも相手にされず、米国からも顎でこき使われるばかり。ロシアとの北方領土返還交渉に至っては、従来の4島返還要求を引っ込め、「歯舞・色丹の2島だけで良い」と言いだす始末で、それすらプーチンに軽くあしらわれる有様だった。
 
今回の大阪サミットでも、議長国としての成果は何もなかった。社交辞令だけ、形だけの首脳宣言をまとめただけだった。首脳が一堂に会しての記念撮影の場でも、安倍に話しかけて来たのはオランダの首相ただ一人だった。習近平やプーチンはおろかトランプにまで無視されたのだ。
 
それに対し、文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領は、記念撮影の場でトランプから「私のツイート観ましたか?板門店で金正恩委員長に会いたいとつぶやきました。是非、文在寅大統領にも仲介の労を取っていただきたい」と誘われ、今回の米朝首脳会談が「瓢箪から駒」みたいに実現したのだ。日本では文在寅は無能呼ばわりされているが、無能なのはむしろ安倍の方ではないか。
 
トランプは一言のツイートだけで金正恩を振り向かせる事に成功した。金正恩もトランプのツイートを真正面から受け止める度量があった。その陰には文在寅のお膳立てがあった。米韓両国も過去には朝鮮戦争で北朝鮮と戦火を交えた。戦死者の数も日本人拉致被害者の比ではない。その過去をも一言のツイートだけで乗り越えたのだ。それだけでも大したものだ。
 
「たった一言のツイートで歴史が変わる事もある」という事が、今回の件ではからずも証明された。その事実が人々に感動を与え、前述のあいりん地区のビラにも表れたのだ。トランプや金正恩と言えども、もう後戻りは出来ない。全世界がその一挙手一投足に注目しているのだから。首脳会談の成果は、もはや当事者だけのものではない。たとえ、今回の首脳会談がパフォーマンスに終わったとしても、南北朝鮮や世界の人々、あいりん地区の労働者の中に宿った「希望の火」は、そう簡単に消せはしない。
 
日本も早く、そのような「世界に感動を与える事の出来る指導者」を持てるようになりたいと思う。もはや安倍では全くお話にならない。そういう指導者を生み出すことのできる力量を、主権者として身に付けなければならない事を、今回の件で痛感した。今度の参議院選挙こそが、正にその正念場だ。
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参考資料:板門店宣言(韓国政府による全訳文)

2018年05月03日 06時06分14秒 | 北朝鮮・中国人権問題

韓半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言

大韓民国の文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、平和と繁栄、統一を念願とする全同胞の一致した志向を込めて、韓半島の歴史的な転換が起こっている重要な時期に、2018年4月27日に板門店の「平和の家」で、南北首脳会談を行った。

両首脳は、韓半島ではもはや戦争は起きず、新たな平和の時代が開かれたことを8千万の我が同胞と全世界に厳粛に闡明した。

両首脳は、冷戦の産物である長い分断と対決を一日も早く終息させ、民族の和解と平和繁栄の新たな時代を果敢に作り出しながら、南北関係をより積極的に改善し発展させていかなければならないという確固たる意志を込めて、歴史の地である板門店で次のように宣言した。

1.南と北は、南北関係の全面的で、画期的な改善と発展を成し遂げることにより、分断された民族の血脈を繋ぎ、共同繁栄と自主統一の未来を早めていく。 南北関係を改善し発展させることは、我が民族の一様な望みであり、これ以上、先送りできない時代の差し迫った要求である。

① 南と北は、我が民族の運命は我々自身が決定するという民族自主の原則を確認し、過去の南北宣言とすべての合意を徹底的に履行することにより、関係改善と発展の転換的局面を開いていくことにした。

② 南と北は、高官級会談を始めとする各分野の対話と交渉を早期に開催し、首脳会談で合意された問題を実践するための積極的な対策を立てていくことにした。

③ 南と北は、当局間の協議を緊密に行い、民間交流と協力を円滑に確保するために、双方の当局者が常駐する南北共同連絡事務所を開城地域に設置することにした。

④ 南と北は、民族の和解と団結の雰囲気を盛り上げていくために、各界各層の多様な協力と交流往来と接触を活性化することにした。

内においては6・15を始め、南と北の双方において意義のある日を機に、当局と国会、政党、地方自治団体、民間団体など各界各層が参加する民族共同行事を積極的に推進して和解と協力の雰囲気を盛り上げながら、外においては2018年のアジア競技大会を始めとする国際競技に共同進出し、民族の知恵と才能、団結した姿を全世界に誇示することにした。

⑤ 南と北は、民族分断により発生した人道的問題を早急に解決するために努力し、南北赤十字会談を開催し、離散家族・親戚の再会を始めとする諸問題を協議解決していくことにした。

当面の間、来たる8・15を機に離散家族・親戚の再会を進めることにした。

⑥ 南と北は、民族経済の均衡ある発展と共同繁栄を達成するために、10・4宣言で合意された事業を積極的に推進して行き、一次的に東海線および京義線鉄道と道路を接続して近代化し、活用するための実践的な対策を取っていくことにした。

2.南北は、韓半島で尖鋭な軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していくものである。

韓半島の軍事的緊張状況を緩和し、戦争の危機を解消することは民族の運命に関わるとても重要な問題で、我が民族の平和で安定した生活を保証するために要となる問題である。

① 南と北は、地上と海上、空中を始めとするすべての領域で軍事的緊張と対立の基となる相手に対する一切の敵対行為を全面停止することにした。

当面、5月1日から軍事境界線一帯で拡声器放送とビラ散布を始めとするすべての敵対行為を停止し、その手段を撤廃し、今後の非武装地帯を実質的な平和地帯にしていくことにした。

② 南と北は西海の北方限界線一帯を平和水域とし、偶発的な軍事的衝突を防止し、安全な漁労活動を確保するための実際的な対策を立てていくことにした。

③ 南と北は、相互協力と交流、往来と接触が活性化されることによる様々な軍事的保障対策を取ることにした。

南と北は、双方の間に提起された軍事的問題を遅滞なく協議解決するために、国防長官会談を始めとする軍事当局者会談を頻繁に開催し、5月中にまず、将官級軍事会談を開くことにした。

3.南と北は、韓半島の恒久的で強固な平和体制の構築のために積極的に協力していく。 韓半島で非正常な停戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立することは、これ以上先送りできない歴史的課題である。

① 南と北は、いかなる形態の武力も互いに使用しないことについての不可侵合意を再確認し、遵守していくことにした。

② 南と北は、軍事的緊張が解消され、互いの軍事的信頼が実質的に構築されるのに従って、段階的に軍縮を実現していくことにした。

③ 南と北は、停戦協定締結65年になる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進していく。

④ 南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共通の目標を確認した。

南と北は、北側が取っている主動的な措置が韓半島の非核化のために非常に意義があり、大きい措置だという認識を共にして、今後それぞれ、自己の責任と役割を果たすことにした。

南と北は、韓半島の非核化のための国際社会の支持と協力を得るために積極的に努力することにした。

両首脳は、定期的な協議と直通電話を通じて、民族の重大事を頻繁かつ真剣に議論して信頼を強固にし、南北関係の持続的な発展と韓半島の平和と繁栄、統一に向けた良い流れをさらに拡大していくため共に努力することにした。

当面して文在寅大統領は、今年の秋に平壌を訪問することにした。

2018年4月27日

板門店

大韓民国 大統領 文在寅

朝鮮民主人民共和国 国務委員長 金正恩

http://japanese.korea.net/Government/Current-Affairs/National-Affairs/view?subId=641&affairId=657&pageIndex=1&articleId=3355

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本と北朝鮮の立場が完全に逆転してしまった

2018年05月03日 05時32分31秒 | 北朝鮮・中国人権問題

 

 4月27日に、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、朝鮮半島を南北に分かつ軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)で歴史的な会見を行い、これまで対立し、にらみ合っていた両国間の関係を、平和共存の関係に変えて行き、互いに核兵器も撤去する事を宣言しました(参考資料)。この後には、金正恩と米国トランプ大統領による史上初の米朝首脳会談も予定されています。

 米国のトランプ大統領は、昨年まで北朝鮮の金正恩を「チビのロケットマン」と罵倒し、「テーブルの上には(北朝鮮への核攻撃も含めた)あらゆる選択肢がある」と言っていました。それに対し、北朝鮮の金正恩委員長も、トランプの事を「老いぼれ」と罵倒し、「米国全土を射程におさめた核のボタンが私の机の上にある」と言い返していました。それからまだ半年も経っていないのに、ここまで変わるとは思ってもみませんでした。

 先日、近くの整骨院に行った時に、施術中にブログの話題が出て、私が自分のブログの事を言った時に、在日コリアンの整体師の方が、高校の修学旅行で北朝鮮に2週間ほど滞在した事を話してくれました。その話の中で、「北朝鮮も普通の国」だと、しきりに仰っていたのが印象に残っています。私は脱北者の話も聞いていたので、その発言を額面通りに受け止める事はできませんでしたが、その一方で、私の北朝鮮に対する見方も、今日の事態を想像できなかったという意味では、余りにもステレオタイプで凝り固まったものだったと言わざるを得ません。

 そんな中で、世界地図で北朝鮮を見て、「北朝鮮って、本当に大阪のあいりん地区とよく似ているな」と思うようになりました。

 まず、北朝鮮も「あいりん地区」も、その周りの国や住民から「やっかい者」扱いされてきた点が似ています。北朝鮮は、日本人やその他の国の人々を拉致し、飢えた国民を放置して核開発にまい進する独裁国家として。あいりん地区も、食い詰めたホームレスが路上をうろつき、犯罪や暴動がしょっちゅう起こる土地柄として。

 しかし、北朝鮮が、そのような貧しい独裁国家になってしまったのは、韓国や米国と軍事的に対立する中で、ソ連や中国に心ならずも頼りながら、国民を締め付けるしか国家を存続する事が出来なかったからです。「あいりん地区」がスラム街になってしまったのも、明治時代に、大阪市が、内国勧業博覧会(今の万博に相当)開催の地ならしの為に、貧民を市内から追い出し、当時市外だった釜ヶ崎(今のあいりん地区)に押し込んだからです。

 

 ところが、実際の「あいりん地区」(右上の地図の赤線で囲った地域)は、「やっかい者」どころか「宝の山」でした。難波にも天王寺にも天下茶屋にも近い「都心の一等地」で、その気になればいくらでも再開発が可能なのに、なまじっか「スラム街」のイメージがあるばかりに、今まで誰も買い手が付かなかったのです。ところが、やがて外国人観光客ブームが押し寄せる中で、そんな「偏見」なぞ持たない外国人が、その価値を見出すようになり、今や「あいりん地区」は観光客向けのホテル建設ラッシュに湧いています。それまで汚いドヤ(簡易宿泊所)だった所も、安価でこぎれいなホテルやアパートに続々と改装されています。私や同僚バイトの小杉君(仮名)が月ぎめ契約で住んでいるのも、そんなホテルです。

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国、左上の地図参照)も、朝鮮半島の付け根にあり、日本や韓国から中国やロシアに抜ける物流・貿易ルートの分岐点に当たります。上の左右の地図をよく見ると、「あいりん地区」を北朝鮮としたら、隣の「動物園前」=韓国、「天王寺」=日本、「天下茶屋」=台湾、「難波」=中国、「日本橋」=ロシア極東になぞらえる事ができるのではないでしょうか?(だいぶ位置関係がデフォルメされていますがw)

 今まで「やっかい者」だった北朝鮮が、実際は「宝の山」で、「香港」や「シンガポール」のように発展する可能性もあるかも知れないのです。韓国の文在寅政権や、米国のトランプ政権も、それを知っているからこそ、表向きの強硬姿勢とは裏腹に、「落とし所」もちゃんと用意して、北朝鮮をその「落とし所」に誘導しようとしているのではないでしょうか。

 「韓国・文在寅政権の平和戦略」(時事オピニオン)という記事で、その事が詳しく取り上げられています。それによると、

 北朝鮮に融和的とされる今の韓国・文在寅政権ですが、そこには韓国なりの深謀遠慮がありました。核開発にまい進する北朝鮮に対して、国連安保理が課した厳しい経済制裁を率先して履行すると同時に、ただ北朝鮮を闇雲に叩くだけでなく、「核問題を平和的に解決する」「何があっても戦争だけは絶対に阻止する」というメッセージを、ことあるごとに北朝鮮や国際社会に対して発信し続けてきたのです。金正恩が国民に対して行った新年のあいさつの中で、「韓国の平昌(ピョンチャン)オリンピックに北朝鮮も参加する」と異例の提案を行い、後の緊張緩和の流れを決定づけたのも、この文在寅の姿勢があったからでしょう。

 勿論、光もあれば陰もあります。今の「あいりん地区」には、外国人観光客や私たちの様な普通の宿泊客だけでなく、ホームレスや生活保護受給者も依然として大勢います。今も西成区の人口の約4分の1が生活保護受給者だと言われています。彼らの一部が酒やギャンブルに溺れているのも残念ながら事実です。私は、そうなるのも仕方ないと思います。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」と言うのは建前だけで、実際は「健康」でも「文化的」でもない、ただの「飼い殺し」状態に置かれ、世間から好奇と差別の目にさらされる中で、どうやって人間としての尊厳が保てると言うのでしょうか?どうやって生きがいが持てると言うのでしょうか?酒やギャンブルで憂さを晴らすしかないじゃないですか!

 「あいりん地区」のホームレスや生活保護受給者が、酒やギャンブルに溺れた生活から抜け出すには、酒やギャンブルを規制するだけではダメです。彼らが生きがいを持てるような人権施策を講じないとダメです。まともに食べていける賃金、生きがいを持てるような仕事、奨学金制度や公営住宅の拡充、病気や怪我をしても安い治療費ですぐにかかれる病院、趣味やスポーツを通した繋がり・・・。そういう物を全然用意せずに、どこかの某大阪市長みたいに「現金を現物支給に変えろ」「ギャンブルするなら生活保護を取り上げろ」と言うだけでは、彼らを更に追い詰めるだけです。

 また、単に経済的に発展すれば、それで良いという訳ではありません。いくら経済的に発展しても、言論・表現の自由が保障されず、新たな経済格差が生まれるだけでは何にもなりません。そういう意味では、先に北朝鮮が目標にすべき好例として挙げた「香港」や「シンガポール」も、決して手放しで評価はできません。香港の議会のうちで、住民が直接選べるのは半分の議員だけです。残りの半分は職場代表や中国政府が任命した議員です。シンガポールの議会も、比較第一党が選挙区定数全ての議席を獲得できるようになっています。最初から与党が勝つ仕組みになっているのです。しかも、香港もシンガポールも、狭い地域に大勢の住民が住む「都市国家」です。政府は公営住宅の斡旋などを通して、国民を締め付けています。だから、これらの国々は別名「明るい北朝鮮」と呼ばれています。

 それでも「暗い北朝鮮」よりは「明るい北朝鮮」の方がはるかにマシです。民主化も労働運動も「腹が減っては戦にならない」のですから。韓国の国民が軍事政権を倒して民主化を勝ち取る事が出来たのも、香港の住民が「雨傘革命」で民主化運動に決起するようになったのも、それまでの経済成長である程度豊かになり、反政府運動に立ち上がるだけの「経済力」や「情報」を手にする事ができるようになったからです。

 ひるがえって今の日本はどうか?

 「差別デマを拡散する内閣府のプロパガンダ装置」(ロジ・レポート)という記事の以下の内容を読むと、今さらながら暗澹(あんたん)とした気分になります。

 「人種差別撤廃条約」に加盟し、「ヘイトスピーチ規制法」で人種・民族差別を規制すべき立場の政府(内閣府)が、よりによって「韓国は反日」「韓国人は嘘つき」「安保法制反対デモは民主党などの売国勢力が主導」「在日朝鮮・中国人による日本破壊工作」などと煽る偏った意見を、「国民の声」として内閣府のHPで積極的に取り上げてきた事が発覚しました。安倍政権が、森友学園に国有地を格安で叩き売り、軍歌を幼稚園児に歌わせるような右翼教育を小学校にも広げようとしていたのと同じ構図です。そうして、政府の施策を裏からゆがめながら、問題が発覚しても民間のモニター(意見投稿者)に責任を押し付ける事で、言い逃れを図ろうとしていたのです。(現在、このHPは閉鎖され、どんな意見が投稿されていたのか確認できないようになっています)

 今の安倍政権が、「韓国人は嘘つき」だの「安保法制反対デモは売国奴」だの「在日朝鮮人は破壊工作を行うスパイ」だのと言ったヘイトスピーチ(特定の人種や集団を攻撃する差別・憎悪発言)を、「これも国民の声だ」として、内閣府のHPで堂々と取り上げているのですよ。単に右翼がかった個人が居酒屋や床屋で管を巻いているのとは次元が違います。ヘイトスピーチを規制すべき政府が、逆にヘイトスピーチを煽ってどうするんですか?先日も、公益社団法人の日本青年会議所(JC)が、上記の右翼キャラクターを使い、ツイッターで似たような事をやらかして問題になりましたが、政府のやっている事もこれと似たり寄ったりです。

 これらの一連の動きを見て、「福田前次官のセクハラ事件は、実は女性記者の色仕掛けにはめられたのではないかという意見もある」と言い放った麻生太郎の発言を思い起こしました。セクハラを防止すべき立場の副総理の麻生が、逆にセクハラの加害者を庇い立て、被害者を更にセカンドレイプで追い詰める。そして、その発言が公になっても、「そういう意見もあると紹介しただけだ」という形で、言い逃れしようとしている。

 挙句に、当の北朝鮮からも、朝鮮中央通信で「森友・加計学園の問題で、今や安倍政権はピンチに陥っている」と報じられる始末です。何も北朝鮮から、そんな事言われる筋合いないと思いますが、実際その通りだから仕方ありません。今まで「チビのロケットマン」呼ばわりされていた金正恩が、今や「世界史を書き換えた英雄」として、トランプ大統領からも称賛されるようになったのとは対照的に、安倍晋三は、「公文書も平気で改ざんする大嘘つき」として、今も世界に恥をさらし続けています。

 今回の南北首脳会談でも、北朝鮮の金正恩が口火を切り、韓国の文在寅がそれに応え、米国も中露も水面下で積極的に動く中で、日本の安倍晋三だけが「蚊帳(かや)の外」に置かれ、元・拉致被害者家族会事務局長の蓮池透さんからも、「安倍さんは何もしなかった、拉致問題を自分の出世に利用しただけだった」と、ボロクソに言われています。今や日本こそが、昔の「あいりん地区」や今の「暗い北朝鮮」「明るい北朝鮮」みたいになりつつあるのではないでしょうか?

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安恩(あうん)の呼吸

2017年09月20日 14時17分07秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 この間の私やその他の方たちのツイッターのつぶやきから。「プレカリアート」のアカウントで書かれているのが私のつぶやきです。その方たちのつぶやきの中で、上から4段目の田母神俊雄のつぶやきに注意!この人は右翼の元自衛隊幕僚長で、以前にも都知事選挙に出馬して、泡沫候補と言われながらも60万票以上得票しました。その後、選挙資金収賄容疑で逮捕されました。そんな人ですが、軍事の専門家でもあるので、北朝鮮ミサイル問題に限ると、案外まともな事を言う事もあります。前回記事の中で紹介したホリエモンのつぶやきも、北朝鮮問題ではそうだったように。

金子勝‏認証済みアカウント @masaru_kaneko · 8月28日
【軍事化する日本】北朝鮮のミサイルが北海道の一部上空を通過して1200kmも離れた太平洋に落下。テレビは「国民保護に関する情報」と称して北海道から関東甲信越まで「頑丈な建物に避難せよ」と、まるで戦時中の「空襲警報」を一斉に流す。北朝鮮も怖いが、「戦時放送」を流す安倍政権も怖い。

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月3日
東日本では北朝鮮ミサイル発射で警報鳴り響くわ電車は止まるわ大騒ぎ。勿論、北のミサイル発射は許せないが、別に日本を標的にした訳でもないのに、宇宙空間を飛行し国際法上迎撃も出来ないミサイルを撃ち落とすと。それで実際は発射後の上空通過僅か4分前にJアラート発報。自己責任で避難しろとw(9月3日)

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月4日
私のブログ・アクセス(ページビュー)数が昨日久々に千を大幅に超過。それも、新着記事やその他の個別記事ではなくトップページにアクセスが集中。何故かと訝(いぶか)しんでいたが、直ぐに納得。ブログ・タイトルに北朝鮮の文字があるので、今のミサイル騒動絡みでアクセスが集中したのだw(9月4日)

田母神俊雄‏認証済みアカウント @toshio_tamogami · 9月5日
今朝のニュースによるとトランプ大統領は、北朝鮮の行動を抑えるため、日本と韓国に大型のミサイル防衛兵器の輸出を認めるつもりだと言ったという。本当はアメリカはこれらの武器を売って日本や韓国を支配したいのだ。売ることを許可するというのではなく売りたいのだ。金儲けをしたいのだ。

異邦人‏ @Medicis1917 · 9月6日
自民党界隈が水を得た魚のように「核武装」や「弾道ミサイル配備」などと、声高に軍備増強を唱えているのを見ると、連中にとっては一般感覚とは逆に北朝鮮情勢が悪化すればするほど好都合なのだろうな。現に社会保障費が容赦なく抑制されている反面、SACOを含む防衛費は過去最高で続伸しているし。

KAZUKO‏ @PeriKazuko · 9月7日
知っていいますか、北朝鮮は戦前の日本にそっくりだということ。ミサイルとか核実験は無かったけれど、軍国主義であり、最高指導者に国民が絶対的な忠誠心をもっていること、国民が知ることのできる情報は「大本営発表」だけ。

外教‏ @yuantianlaoshi · 9月8日
「森友加計問題なんかやってる場合か、北朝鮮のミサイル問題がー」とか言ってた人たち、実は「北朝鮮のミサイル」なんぞより「野党議員の不倫疑惑」の方がはるかに大事だったってのがいかにも日本的。

Shoji Kaoru‏ @Shoji_Kaoru · 9月14日
政府発表では北海道上空を通過し、襟裳岬東2000キロに落下と言うけど、
実態は「宇宙空間を通過しカムチャッカ半島の南東、日付変更線付近に落下」が正しい

umekichi‏ @umekichkun · 9月14日
「自国の総理を馬鹿呼ばわりするのは失礼」だとか、絡んでくる奴がいる。権力を持つ公人に対しては失礼でも何でもない。しかも、呆れる程のクズ。そのクズは街宣車の上から庶民を指差し「こんな人達」ってほざいた。この行為を「失礼」って言うんだよ。

井黒 豊‏ @y_iguro48 · 9月14日
Jアラートのせいで常磐線が止まった。だけど成田からは飛行機がバンバン飛んでいる。バカじゃないか😡😡😡
飛行機も全部止めたら良いんじゃないか???
政府の挑発に乗ることなかれ💪💪💪

鳴海圭矢‏ @narumikeiya · 9月14日
原発に対しては「マスコミは不安を煽るな」「大したことじゃないのに大騒ぎするな」と言っていた人が、今回のミサイルに関しては「マスコミはもっと報道しろ」「危機感が足りなすぎる」と言っているのを聞いちゃったんですよ

だれなんだよしたけ‏ @kupitishawakat · 9月14日
私「もし日本にボール当てたいなら、どう投げる?」
娘「低く投げる」
私「だよね?北朝鮮のミサイルはたかーく投げてるの。当たるかな?」
娘「当たらない。そっかじゃあ日本に当てたいんじゃないんだね。」
小学生にも解かる論理が、なぜ大の大人が判断できない…  #ミサイル #Jアラート

kinchan‏ @dattarakinchan · 9月14日
朝のラジオがミサイル発射の報道に切り替わる。
突っ込みどころが多くて困る。
・着弾襟裳沖2000km。東北沖て何?
・関西のラジオで避難呼びかける意味は?
・米国相手の行動に、わざわざ日本が割り込んで巻き添えを食おうとしているのに誰も突っ込まないのは?
これは報道ではなく扇動。

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月16日
北朝鮮からミサイルが飛来したら直ぐにアラート鳴らすくせに、福島原発から放射性物質が飛来してもデータはひた隠し。そのアラートも、ミサイル飛来4分前に、ただ逃げろ、地面に伏せろ、遮蔽物の陰に隠れろというだけで、具体的指示は何も無し。Jアラートの本質は国民保護を装った戦争動員。

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月16日
安倍は本当に狡い、あざとい。北朝鮮からミサイルが飛んで来る、台風も本土にやって来ると言うのに、安倍の頭には解散総選挙で政権維持しか頭にないのか。森友・加計疑惑追及で臨時国会開催要求は拒否しながら、支持率回復した途端に掌返す様に解散言及。Jアラートで一般庶民を散々振り回しといて!

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月16日
折角、今日は昼の仕事は公休なのに、夜からWワークで台風来襲の中を出勤しなければならない。現住所近くの屋内での短時間業務なのが唯一の救い。それにしても、Jアラートで避難しろ身を伏せろと、あれだけ騒ぎながら、休めとは絶対言わない。仕事より命の方が大事だろう。状況によっては欠勤もアリだ

枝野幸男‏認証済みアカウント @edanoyukio0531 · 9月16日
衆議院解散のようです。しっかりと受けて立ちたいと思います。森友・加計問題から逃げ回り、国会が開かれると逃げられないから解散。あからさまな疑惑隠し解散です。北朝鮮問題を抱える中、党利党略で選挙による政治空白が生じることにもなります。この選挙はこの時期の解散の適否がひとつの争点です。

buu‏ @buu34 · 9月16日
「これまでにない脅威だっ」→「解散だっ」
って、意味ワカリマス?

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月17日
台風18号が近畿地方に接近するにつれ大阪でも風が強まって来た。昼の仕事は休みだが夜から仕事で今日はその初出勤日だった。しかし集合時刻になっても誰も来ないので、連絡文書を再確認したら明日から出勤だった。契約が日・月・火出勤なので日曜の今日からだと勘違いしたのだ。とりあえず良かった!

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月17日
防災関係の規定にはJアラート以外にも変な物が多い。例えば、私の勤務先では隣の学校が災害時の避難先になっているのだが、そこは三階までの高さしかない。震災でそんな所に逃げても津波に飲み込まれるだけだ。その少し先に高層団地があるのだから、そちらに逃げた方がはるかに助かる確率は高いのに

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月17日
阿吽(あうん)とは仏教用語で、対になった物を指す。転じて、似た者同士が共謀して物事を進める事を「阿吽の呼吸」と呼び、安倍とトランプや金正恩(キムジョンウン)が示し合わした様に軍拡を煽る事も「安恩(あうん)の呼吸」と皮肉る様になった

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 9月21日追記
安倍が危機に陥る度にミサイル発射で助け舟を出す北朝鮮との関係は、「阿吽の呼吸」よりも寧ろ「共依存」と言うべきでは。精神依存関係にある夫婦の下でアルコール依存やDVがますます酷くなる様に、軍国主義の二人のバカのせいで国が壊れていく

偶然なのか 内閣支持率と北ミサイル発射に“あうんの呼吸”
 実は裏でつながっているのではないか――。
 4日午前10時ごろ、北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、日本海の排他的経済水域に落下した。それから約5時間後、北朝鮮は「特別重大報道」としてICBMの発射実験に成功した、と発表した。
 が、これは偶然なのか。過去、北朝鮮がミサイルをブッ放すタイミングを時系列で追ってみると不思議なことが見えてくる。安倍政権に不都合が生じると、それを揉み消すように北朝鮮がミサイルを撃ってくれるのだ。
 2017年1月から今日に至るまで北朝鮮は計10回13発の弾道ミサイルを発射しているわけだが、どれも安倍内閣の支持率が低下した月にブッ放している。唯一6月は例外だが、ICBM開発が最終段階を迎えていたからか。
 もはや安倍首相と金正恩の間に“ホットライン”があるのでは? と勘繰りたくなる。悪い冗談であって欲しいが……果たして。(以上、7月6日付日刊ゲンダイ記事より)

枝野幸男‏認証済みアカウント @edanoyukio0531 · 9月17日
選挙がないと議席が増えないから、野党にとって解散は歓迎です。厳しい状況ですが、予想を覆し大善戦した英国労働党の例もあります。問われているのは、臨時国会召集という憲法上の義務に違反し、ようやく召集したら質疑もせず解散する判断です。疑惑追及がイヤで逃げた、隠したと言われて当然です。

福島みずほ‏認証済みアカウント @mizuhofukushima · 9月17日
臨時国会冒頭解散か。加計・森友疑惑隠し解散、加計・森友もう国会で質問するな解散、改憲一直線解散、「仕事人内閣」は何も仕事をしないうちに解散、総理の政治私物化解散、手前勝手解散、ファッショ完成を目論む解散。こんな政治はさよならだ。安倍内閣さよなら解散、総選挙にしよう。

白石草‏ @hamemen · 9月17日
内閣改造したのが8月3日。
目玉の「人づくり革命」有識者会議の初会合が9月11日。
日経新聞インタビューで「解散は全く考えていない」と答えたのは12日。
解散を与党に伝えたのは16日。
普通の組織なら許されんな〜。

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 7時間前(9月20日)
安倍がなぜ急に解散を言い出したか?北朝鮮?改憲?人作り?消費増税?そんな物、別に解散しなくても出来るだろう。今でも与党が国会で3分の2以上の議席を持っているのだから。解散の真の狙いは森友・加計の疑惑隠し、追及封じであり、そんな安倍の「政治私物化」解散を許すのか否かが真の選挙争点だ

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 4時間前(9月20日)
肝心な事忘れてた!私、親父と喧嘩して急に実家を出て来てしまったので、住民票を実家の住所に残したままだった。既にe転居の手続きは済ましているので、投票用紙も手元には届くだろうが、わざわざ旧住所の投票所まで出かけなければならないんだろうか?出来れば現住所のまま投票も済ましたいのだが…

プレカリアート‏ @afghan_iraq_nk1 · 2時間前(9月20日)
早速、旧住所の役場に問い合わせた。すると、投票(入場)券は世帯別に送付されるので、旧住所の投票所には行かなければならない。しかし、別に入場券がなくても、事情説明して、生年月日等の質問事項に正しく答えられ、宣誓書に署名すれば投票可能。実家近くまで行くのが嫌なら期日前投票で役場でも投票可能と
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Jアラートのまやかし

2017年09月17日 14時57分11秒 | 北朝鮮・中国人権問題

本当に北朝鮮からミサイルが飛んで来るなら尚更、選挙なんてやっている場合じゃないだろう(写真は今朝のNHKニュース)。

 2007年から、Jアラートという緊急警報システムで、個人の携帯に直接、防災無線が流れるようになりました。これは、本当に有効に使用されれば避難指示などに威力を発揮するシステムですが、実際は、「国民の生命・財産を守る事よりも、政府の支持率アップや戦争協力への世論形成のために、Jアラートが体よく利用されているのではないか?」と思わざるを得ません。

 先の北朝鮮ミサイル飛来騒動の時も、このJアラートが東日本一帯で流され、公共交通機関が一時ストップしましたが、そんな事をして一体何の意味があるのでしょうか?「避難しろ、身を伏せろ、机の下や建物の陰に隠れろ」と言いますが、ミサイル飛来わずか4分前にそんな警報流された所で、一体どこに避難すれば良いのでしょうか?近くに手頃な遮蔽物がない時は、一体どうすれば良いのですか?「地下室があればそこに逃げろ」と言いますが、比重の重いサリンなどの化学兵器を積んだミサイルが落下した場合は、地下室などに逃げたら、かえって危険ではないでしょうか?ましてや、それが核兵器だったら、身を伏せた所で何の役にも立ちません。もし、それで生存率が0%から1%に上がるとしても、そんなものはただの気休めにしかなりません。それよりも、戦争を防止して生存率を100%にする事のほうが、よっぽど重要ではありませんか。

Jアラート批判で炎上も…堀江氏の“本音”は間違っているか
 「マジでこんなんで起こすなクソ」――29日の早朝、北朝鮮の弾道ミサイル発射で配信されたJアラート(全国瞬時警報システム)について、ホリエモンこと堀江貴文氏がツイッターでこんなつぶやきをして、炎上しているという。
 ホテル住まいをしている堀江氏は29日朝、Jアラートの館内警報でたたき起こされ、「マジでこんなんで起こすなクソ。こんなんで一々出すシステムを入れるクソ政府」などと怒りをツイッターにぶつけた。
 リプライ欄では「本当にミサイルが落ちてきたらそんなふうに言えませんよ」「命を守るためのシステムでしょ」などと非難する声が多く寄せられているという。
 しかし、この日午前、Jアラートが配信された12道県では「ミサイルが通過した後では意味がない」「どこに逃げればいいのか分からない」などと、Jアラートに対する不満の声が上がった。
 海外のメディアも「過剰反応ではないか」「隠れる? どこに?」などといった住民の声を紹介し、Jアラートのマヌケぶりを暗におちょくっていた。ホリエモンのつぶやきはもっともだ。(以上、日刊ゲンダイ記事より)

 また、「ミサイルを撃ち落とす」と言う口実で、PAC3などの迎撃ミサイルが自衛隊基地に配備されましたが、飛んでいるミサイルを撃ち落とすのは、そう簡単ではありません。たとえ机上の計算でミサイルの軌道が割り出せたとしても、実際は当日の気象条件や積載兵器の重量によっても軌道が変わります。迎撃ミサイルは必ず撃ち落とせなければ意味がありません。そんな、当たるか当たらないか分からないような代物に、私たちの税金を湯水のように使われたのでは堪りません。

 そもそも、はるか数百メートル上空の領空外を飛ぶミサイルを、撃ち落とす権利はどこに国にもありません。国際法で定められている領空の範囲は、せいぜい上空百メートルまでです。しかも、日本を狙ったミサイルではないので、今までは個別的自衛権の範囲外で撃ち落とす事は出来ませんでした。それが、昨年の安保法制施行、集団的自衛権行使で、たとえ日本を狙った物でなくても、日本政府が脅威と見なせば撃ち落とせるようになりました。しかし、それは裏を返せば「他国の戦争に自分からわざわざ首を突っ込む」という事に他なりません。なぜ、そんな「他人の喧嘩をわざわざ買って逆恨みされるような真似」をしなければならないのでしょうか?

 もちろん、北朝鮮のミサイル発射や核実験は、朝鮮半島の平和と安定にとって有害です。「軍拡に回すような金があるなら、もっと自国の経済建設や民生安定に尽力しろ」という事は、今後もずっと北朝鮮には言っていかなければなりません。でも、そうする為には、米国や日本も、いたずらに対立をあおるだけでなく、対話も同時に進めていかなければなりません。少なくとも北朝鮮は、IS(イスラム国)とは違い、当事者同士の対話は拒否していないのですから、それは十分可能ではないでしょうか。北朝鮮すら対話のテーブルに引き出せないで、どうしてISを掃討できると言うのでしょうか?北朝鮮の暴挙を本当に非難できるのは、反核団体など、それまでも核廃絶を主張してきた人たちだけです。似た者同士が互いに罵倒し合った所で、傍からは「どちらもどっち」にしか見えません。

北朝鮮の核実験に抗議する(日本被団協の声明)
 被爆者は、満身の怒りをこめて北朝鮮の核実験に抗議する。7月7日採択され た核兵器禁止条約は核兵器の実験、使用はおろか威嚇も禁止している。核兵器の禁止は今や世界の潮流である。今回の核実験はこの潮流に背を向け、後戻りさせる暴挙であり、断じて容認できない。
 核兵器の使用を言い合うトランプ大統領と金正恩委員長は、核兵器がどんなものか知っているのだろうか。広島・長崎に投下された原爆は、一瞬にして街を壊滅し、多くの命を奪った。それは、この世の出来事とは信じられない生き地獄であった。かろうじて生き延びた被爆者も熱線、爆風、放射線を受け、いのち、 からだ、くらし、こころに受けた傷は深く、その苦しみは 72 年経った今も続いている。
 被爆者は、アメリカの原爆投下を許さない。しかし、報復を求めたことはない。 地球上の誰にも同じ苦しみを味わわせてはならない。核戦争を起こすな、核兵器をなくせ、ふたたび被爆者をつくるなは被爆者の願いである。いかなる国の核実験、使用、威嚇も認めない。
 被爆者は、日本政府に要求する。 核兵器禁止条約に署名し、批准すること。 唯一の被爆国として、また国際紛争の解決を武力によらないことを定めた憲法を持つ国として、同盟国アメリカを説得、隣国北朝鮮を促して対話による解決に尽力すること。
 2017年9月6日 日本原水爆被害者団体協議会(以上、PDFファイル)

 それに対して、「日本と北朝鮮との間には拉致問題があるから、対話なんて論外だ」という意見もあります。私も、かつてはそのような意見を持っていました。しかし、圧力一辺倒の日本政府の方針では、いつまでたっても拉致問題すら解決しませんでした。だから、最近では拉致被害者家族会も、「圧力一辺倒ではなく対話・交渉との両面作戦で」と言い始めています。確かに、無関係の外国人を手当たり次第に拉致した北朝鮮の犯罪行為は、決して許されるものではありません。しかし、拉致自体は別に北朝鮮だけの専売特許ではありません。また、北朝鮮が拉致したのも日本人だけではありません。かつては韓国の軍事政権も、日本国内で野党指導者の金大中を拉致しようとしたし、米国も、かつて裏庭だった中南米では、配下の軍事政権や民兵組織を使って、意に沿わない野党や労働組合の活動家を大勢、拉致・暗殺してきました。それらの事件は、すべて東西冷戦の対立の中で起こった出来事でした。その後、欧州ではソ連崩壊を機に冷戦は雪解けに向かいますが、朝鮮半島周辺では、いまだにその冷戦対立が続いています。拉致問題や北朝鮮の人権問題を本当に解決しようとするのであれば、その冷戦構造そのものの解消が図らなければ、真の解決には向かわないと思います。

 ところが、今、安倍政権がやっている事はどうでしょうか?北朝鮮独裁者のワンマンぶりを非難しながら、米国トランプ大統領のワンマンぶりは見て見ぬふり。対米追従でTPPを推進しながら、米国の心変わりでTPP推進から保護貿易に方針が180度変わっても抗議一つせず。北朝鮮の核実験やミサイル発射は言葉をきわめて非難するくせに、米国が同じ事をしてもゴマすりばかり。Jアラートで国民を脅しながら、ミサイルの標的になる原発は再稼働推進。まるでミサイルの脅威など存在しないかのように、カジノやリニア建設、オリンピック開催に血道を上げています。普段は首相のくせに公邸暮らしを忌み嫌いながら、ミサイル発射の前夜だけ公邸に待機し、散髪して会見に臨むパフォーマンスまでやってのけました。
 森友・加計疑惑の追及に対しても、証人喚問も臨時国会開催も拒否し、説明責任を一切果たそうとしなかったくせに、北朝鮮危機で内閣支持率が回復した途端に、火事場泥棒のように国会解散・総選挙をほのめかす有様です。安倍の頭の中には、自己保身のために「危機」を利用する事しかありません。本当は北朝鮮ミサイルの事なぞどうでも良くて、不利が伝えられる衆院補選も疑惑解明も全て解散でウヤムヤにするつもりでしょう。

 国民も舐められたものです。政府は戦時中も、「敵の爆弾から身を守る」と言いながら、「焼夷弾なぞ恐れるに足らず。もし落ちてきても、つまんで外に放り出せ」「もし敵の空襲に遭っても、逃げずにバケツリレーで初期消火に務めろ」と、嘘の情報で国民を洗脳して行きました。国民は、そのうさん臭さに薄々気づきながらも、もう戦争が始まったら、批判する事すら出来ませんでした。戦時中の空襲で何十万人もの死傷者が出たのは、この国家による洗脳のせいもあったのです。今も、Jアラートで「地面に伏せろ」とさんざん国民を脅しつけながら、「仕事を休め」とは絶対に言わないでしょう。本当に北朝鮮からミサイルが飛んで来るなら、仕事どころではないはずです。少なくとも、今の私にとっては、北朝鮮ミサイル騒動よりも、今日明日を生き抜く事のほうが、よっぽど重大です。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ラビア・カーディル」をひっぱたきたい

2012年05月25日 06時25分25秒 | 北朝鮮・中国人権問題
これはひどい!! 再稼働容認 おおい町議会、驚愕の議長


 まずは本題に入る前に上の動画を見て下さい。大飯原発再稼働を決めた福井県おおい町の、マスコミ取材に応じる町議会議長の姿です。再稼働容認に至る経緯を説明する重要な記者会見の場に遅刻しておきながら、理由を聞かれても逃げ回った末に、「腹痛でトイレに行っていた」と居直る。一言インタビューを求められても本当に「あ」の一言で誤魔化す。まるで、ふざけているとしか思えない態度の町会議長の胸に、北朝鮮・拉致被害者支援のブルーリボン。
 この動画は、友好ブログの原発関連記事にアップされていたものですが、私はこれを見て無性に腹が立ちました。北朝鮮拉致が明るみに出てからこの方、今まで散々「左翼や人権派は北朝鮮拉致に目をつむってきた」と叩かれ、私自身もそれを不甲斐なく思ってきました。しかし、その左翼や人権派を批判する側のモラルはどうなのか。この国では、こんなふざけた人物でも、ブルーリボンを胸に付け愛国者を装えば町議会議長になれるのか。これでは、ブルーリボンや北朝鮮拉致問題が、今や悪徳政治家や悪政推進の「目くらまし」「免罪符」に成り下がっていると言われても、仕方ないのではないでしょうか。
 勿論、ブルーリボンを付けている政治家が全員こんな人物ばかりではないでしょう。しかし、その手の人物も決して少なくないというのが、私の正直な実感です。寧ろ「上から目線」で「人権」「生活弱者」への「こだわり」「縛り」がない分、左翼以上にモラルに問題のある政治家が多い。尖閣買取りや反中国発言で人気を集める一方で、女性を「ババア」呼ばわりし「精神障碍者には人格がない」と嘯く石原慎太郎や、朝鮮学校における指導者崇拝教育を批判しながら、己は北朝鮮まがいの職員思想調査や「君が代」斉唱口元チェックを煽る橋下徹、北朝鮮民衆の飢餓や中国国内の経済格差を批判しながら、当の日本では財界と一緒になって福祉削減や競争至上主義を煽る「勝ち組」保守系政治家などがその典型です。「小泉チルドレン」「安倍チルドレン」「橋下ベイビーズ」なぞ正にそうじゃないですか。

中国を追われたウイグル人―亡命者が語る政治弾圧 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


 では本題に入ります。亡命ウイグル人組織の世界ウイグル会議が、この5月に東京で総会を開き、中国政府の少数民族抑圧政策を非難する一方で、組織代表のラビア・カーディル女史が右翼と一緒になって靖国神社に参拝した事が話題になりました。この間、母の葬儀で身辺がバタバタしていたので記事にするのが遅くなりましたが、今回はこの問題を取り上げたいと思います。
 中国政府のウイグル・チベット侵略に抗議しながら、パトロンの右翼政治家に阿り、日本のアジア侵略の象徴たる靖国神社に参拝する。私から見たら卑屈としか思えない行為ですが、ウイグル人の立場からすれば「敵の敵は味方」という事であり、また「背に腹は代えられない」という事なのでしょう。それならそれで、まだ肯定は出来ないものの理解は出来る。しかし、では次の事例は一体どうなのか。

 実は大阪の私の住んでいる市にも、尖閣諸島の防衛や中国に対する警戒を熱心に説く市議がいます。その手のデモにも何回か参加した事を、自身のブログでも自慢している人物です。しかし、その人物は一方で、市内や府下で手広く化粧品店チェーンを経営し、中国にも出店しています。反中国を煽りながら、自分は中国に出店し彼の国からもちゃっかり利益を得る。私からすれば「二股かけている」としか思えない行為ですが、それも「敵を手玉に取る」という事なのでしょうか。
 その人物も、御多分にもれず先述の「勝ち組」政治家の典型で、橋下大阪市長の「君が代」強制や公務員リストラを支持し、私の市のゼネコン優遇予算に反対した市議をまるで非国民であるかのように批判しています。公立保育所の民営化を煽る一方で、国からの出向者を副市長に迎え高給優遇する現市政を擁護しています。「国とのパイプ役として必要」なのだと。保育所の職員は必要ないのか。

 その「勝ち組」市議のビラ曰く、今は「大きな政府ではなく小さな政府」「民間に任せられる仕事は全て民間に」「競争によるコスト削減でサービス向上」が求められる時代で、市民も「市が何をしてくれるかではなく、自分自身が市や国の為に何が出来るか」を考えなければならないのだと。
 もうアホかと思いますね。競争や民営化でいくらコストが削減されても、その利益は民間企業に吸い取られるだけで、市民サービスや福祉向上には全然還元されなかったじゃないか。もたらされたのは経済格差拡大やリストラ・過労死・ブラック企業の横行だけであり、安全手抜きのJR福知山線事故や、八ツ場ダムやWTCビルのような更なる箱モノ行政だけじゃなかったか。偉そうに上から目線で「何してくれるかではなく、何が出来るか考えろ」とのご宣託だが、そもそもそれ以前に一体「何をしてくれた」というのか。実際は「何もしてくれなかった」くせに、その上更に「何が出来るか考えろ」とは、盗人猛々しいにも程がある。

 これは勿論その「勝ち組」市議の問題であり、世界ウイグル会議やラビア・カーディル女史には直接関係ない事です。しかし、昨今この手の「中国や北朝鮮の人権侵害を非難しながら、当の日本国内では思いっきり弱者の人権を侵害している」輩が跋扈しているのも事実です。そんな人物に担がれている限り、その運動に未来はないと言えるでしょう。これでは、かつて左翼が犯した「日本や米国の人権侵害を非難しながら、中国や北朝鮮の人権侵害には頬かむり」の姿勢と、まるで「コインの裏表」ではないですか。対象が日米、中国・北朝鮮と異なるだけで、やっている事の本質はまるで同じという意味では。
 以前、赤木智弘というフリーターが、「反戦平和・格差解消を唱える左翼こそが、既得権益の上に胡坐をかいている」「もはや戦争でもなければ、フリーターは一生浮かび上がれない」と主張し、戦後知識人の「丸山眞男」を左翼の代名詞と見立てて、「『丸山眞男』をひっぱたきたい」と書いた事がありました(関連記事参照)。その伝で行くと、上記の主張は差し詰め「『ラビア・カーディル』をひっぱたきたい」となるのでしょうか。

   
 上記が当該「勝ち組」市議が駅前で撒いていたビラ。その中の赤枠で囲った部分が、先述の「市が何をしてくれるかではなく、自分自身が市や国の為に何が出来るか」の記述。 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪シンポジウム「東アジアのよりよい未来の道を 茉莉・傅・呉先生を囲む会」の告知

2012年04月01日 15時21分54秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」サイトから転載します。それによると、4月14日に私の地元・大阪で、下記のシンポジウム・懇親会があるそうです。
 この間、当ブログでは橋下・原発批判で手一杯だった事もあり、中国国内の人権侵害については何も声を上げる事が出来ませんでしたが、チベットでは抗議の焼身自殺が頻発するなど、非常に憂慮すべき事態が続いています。その中で、中国の良心的知識人の方々とともに、「労働者・知識人による民主化運動と、チベット・ウイグルなど少数民族の解放運動との連携の可能性について、自主的立場で考える」という趣旨のようです。
 表向きの「社会主義」宣伝とは裏腹に、資本主義化の道をまい進する現代中国にも、格差是正を求める労働者階級の闘いや、自由を求める知識人や少数民族の闘いが存在しますが、いずれも自分たちの事だけで精一杯で、互いに孤立した闘いを強いられ、時には反目を煽られたりもしてきました。その中で、「共産党」独裁やそれを経済的に支えるグローバル資本主義と対決し、中華思想や民族排外主義をも乗り越え、真に自由・平等で民主的な中国実現の可能性について探る事は、同じグローバル資本主義の搾取に苦しめられ、ともすれば「中国・朝鮮人は日本から出て行け!」といった排外主義に煽られがちな日本の労働者にとっても、決して他人事ではないと思います。
 http://monsoon.doorblog.jp/archives/53294816.html
 http://monsoon.doorblog.jp/archives/53322130.html
 今回の取り組みが、上記の私の問題意識に沿ったものであるか否かは、下記の案内だけではまだ何とも判断出来ませんが、それを考える上で一つの契機にはなるのではないかと思い、今回ご紹介させていただく事にしました。生憎私は当日仕事で参加出来ませんが、興味ある方は一度参加を検討してみて下さい。

東アジアのよりよい未来の道を 茉莉・傅・呉先生を囲む会

1. プログラム
日時: 4月14日、土曜日、13:00-17:00 シンポジウム
場所:福島区民センター 301会議室
     大阪市福島区吉野3-17-23 06-6468-1771
       地下鉄・千日前線「野田阪神」駅、7番出口上がり、西へ徒歩5分。
       阪神電車「野田」駅、改札左手を出て、西へ徒歩6分。
       JR環状線「野田」駅、徒歩8分
       JR東西線「海老江」駅、徒歩7分
        *区民センターは消防署の隣です

シンポジウム
 茉莉氏、傅正明氏、呉洪森氏の発言(通訳:和泉女史)
  テーマ:茉莉氏「1989年天安門事件の亡命からダラムシャラへ」
     傅正明氏「チベット亡命詩からディアスポラを考える」
     呉洪森氏「自由を求める立脚点・未来の革命のための準備」
 チベットの歌と楽器
   司会・進行:劉燕子
  参加費:1500円(学生500円)飲み物付き

懇親会 17:30-20:30
諸先生を迎えて「囲む会」
  場所:fermata(レストラン、会場近く、貸し切り、素敵な雰囲気とシェフ)
    地下鉄・野田阪神駅、7番出口から徒歩3分
       三菱東京UFJ銀行の通りを入り、あさひ薬局の向かい。
    電話 06-6441-6673
 参加費:4000円(食事、飲み放題・自家製サングリア、ワイン、カクテルなどなど)

コーディネーター:劉燕子 Yanzi@mta.biglobe.ne.jp
090-9286-0563
           小島崇文 fumi-kojima@tea.odn.ne.jp
                 090-7358-7133

********************
  <案内>4月21日、土曜日、11:30-13:30
  麻生晴一郎氏(ジャーナリスト)を囲む会
   場所:fermata(レストラン、会場近く、貸し切り、素敵な雰囲気とシェフ)
   内容:大規模抗議と初の民主選挙実現の烏カン村など現場の生の声から中国の実情を語ります。
   参加費:1500円(ランチ付き)
********************

シンポジストのプロフィール
1.呉洪森氏
 1953年に上海に生まれる。文芸評論家。上海華東師範大学大学院修士課程を修了(文芸修士)。香港の新聞で編集に携わりながら、中国国内のニュー・オピニオン・リーダーとしてネットを中心に活躍し、様々な文芸賞を受賞しています。座右の銘は「命を懸けて反人道的な独裁体制と闘い抜く」です。
 ネットでは「 真名論壇」、「真名網」、「真名」、「寛容」、「平等」、「理性」、「捍衛言論自由」、「追求品味与质量」などのサイトを主宰。
『崩溃的脸皮:吴洪森随笔散文集』(崩壊する顔:呉洪森評論集)

2.茉莉・傅正明ご夫妻
 茉莉さんは、本名は莫莉花で、茉莉花(ジャスミン)と同じ発音です。北京師範大学中文系を卒業し、元湖南邵陽師範専門学校教師となりました。一九八九年六月、天安門民主化運動に参加する学生を守るために上京し、天安門事件の後、中国政府の鎮圧を批判し、「反革命宣伝扇動罪」により三年の刑を受けました。一九九二年からに香港を経由してスウェーデンに亡命しました。現在は、スウェーデンで教鞭をとりながらコラムニストとして活躍しています。
著書に『人権之旅』、『山麓那辺是西藏(山のかなたはチベット)』、『瑞典森林散步(スウェーデンの森林を散歩する)』など多数。
 2001年、ニューヨークで「万人傑文化新聞奨(傑出したジャーナリスト賞)」を受賞。2005年、香港記者協会、外国記者会、アムネスティ香港支部による「人権新聞奨(人権ジャーナリスト賞)」受賞。
 傅正明氏は、湖南邵陽の人です。1988年に北京大学大学院中文系を修了した文学修士で、湖南邵陽師範専門学校教師でした。1989年6月4日の天安門事件に際し、離党を宣言したため、解職されました。1993年に香港を経由してスウェーデンに亡命し、現在は教鞭をとりながら執筆に励んでいます。著書に『在波蘭的廃墟上—辛波絲卡的詩歌芸術与文化伝統(ポーランドの廃墟にて・シンボルスカ詩論と文化伝統)』、『暗詩人—黄翔和他的多彩世界(暗黒の詩人・黄翔とその多彩な世界)』、『百年桂冠--諾貝爾文学奨世紀評說(百年桂冠・ノーベル文学賞の世紀)』、『詩從雪域來(雪国からのチベット亡命詩)』など多数。翻訳書も多数あります。
 お二人とも1996年から漢蔵協会の発起人となり、チベット人を理解する数少ない漢人として言論活動をしています。また鋭い批判精神、義侠心を持つ言論人として、スーザン・ソンタグになぞらえられています。
 お二人とも独立した精神に立ち、尊厳ある生き方を貫き、中国当局から帰国を誘いかけられても、天安門事件の解決がなされないかぎり帰国しないという立場を堅持しています。
 お二人とも湖南省の出身で、清末の自立軍の唐才常の詩に「枉(ま)げて説う、長沙は是れ薩摩。島津、毛利、竟に蹉跎たり。天を呼び、負却し、心志を平らぐ。業力、沈冥するを奈何にすべき」とあります。長沙は湖南省の省都で、唐才常は自分の故郷を、明治維新の原動力となった薩摩になぞらえたのです。

 http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00795
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮・金正日死去に関するアムネスティの発表より

2011年12月21日 23時39分26秒 | 北朝鮮・中国人権問題
図説 北朝鮮強制収容所
クリエーター情報なし
双葉社


 先の記事で、「これから仕事で忙しくなるのでブログ更新が余り出来ないかも知れない」と書きましたが、そうも言ってられません。北朝鮮の独裁者・キムジョンイル(金正日)が死去し、三男のキムジョンウン(金正恩)に権力を世襲する事が確実になりました。私としては、これを機に、かつてのソ連におけるスターリン批判や、ポーランドにおける自主独立労組・連帯のストライキ、東ドイツにおける市民層の決起による旧指導部の退陣という形で、北朝鮮の国民自身による民主化を期待したい所ですが、おそらく直ぐには無理でしょう。旧ソ連のスターリン批判にしても、スターリンの死後数年も経ってから、フルシチョフの秘密報告という形で、ようやく現れてきたのですから。
 この金正日死去のニュースは、私の職場でも休憩時間に食堂で少し話題になりましたが、結局は「北朝鮮は、指導者も国民も、国丸ごと変な国」「難民が日本に押し寄せてきたらどうしよう」という、他人事の受け止め方が大半でした。まるでサリン事件の時のオウムに対する接し方と同じです。拉致被害者や北朝鮮人民に対する「憐み・蔑み」や「好奇の目」はあっても、ともに同じ人間として、人権問題として捉えている人は殆どいません。況してや、下記リンク先のアムネスティ報告にある「指導者批判をした公務員が処罰・収容・処刑され」のくだりで、収容・処刑はともかく処罰については、「公務員を権力の下僕とみなす橋下の職員・教育基本条例も、本質的には北朝鮮と同じ発想であり、そんな政治家が人気を博す日本の民主主義も、北朝鮮ほどではないが危機に瀕している」と、そこまで掘り下げて捉えられている人なぞ殆どいません。そう考えると、もう暗澹たる気分になります。
 そんな中で、とりあえず今直ぐ来る事は、下記に紹介する人権団体アムネスティによる呼びかけに賛同する位です。みなさんも是非ご署名をお願いします。天安門事件で沈黙させられた中国の民主化運動が、労働争議や農民暴動の拡大を機に息を吹き返しつつあるのを見ても、たとえ時間はかかっても、いつか必ず人民が目覚め決起するのは確実なのですから。以下、「四トロ同窓会二次会掲示板」で「まこと」さんが引用したアムネスティ声明を、そのままこちらにも孫引き転載します。

(転載開始)
アムネスティ発表国際ニュース
2011年12月19日

朝鮮民主主義人民共和国 : 金正日総書記の死亡は、人権状況の改善に向けた機会となりうる

朝鮮民主主義人民共和国の指導者であるキム・ジョンイル(金正日)総書記の死亡と、息子であるキム・ジョンウン(金正恩)の政権掌握は、同国における悲惨な人権状況を改善する重要な機会をもたらす。アムネスティ・インターナショナルは12月19日、このように述べた。

「キム・ジョンイルは、同氏の父親がそうであったように、同国を貧困に陥れ、国民に十分な食糧や医療を与えず、数十万という人びとを収容所に拘禁してきました」と、アムネスティのアジア太平洋部長であるサム・ザリフィは述べた。

「この政権移行によって、新政権が、過去の恐ろしい、破綻した政策を放棄することを、アムネスティは望んでいます」

しかし、アムネスティが最近受けた報告によると、キム・ジョンウンの継承に脅威と見なされた数百人の政府関係者が、粛清されたという。彼らは処刑されたり、政治囚収容所に収監されたようだ。

「過去1年にわたってアムネスティが収集した情報によれば、キム・ジョンウンとその支持者は、抑圧を強化し、体制批判の可能性を徹底的に押しつぶすことによって、新たな支配体制を強固なものにしていこうとしているようです」

1949年にキム・イルソン(金日成)が死亡し、息子であるキム・ジョンイルが同国の指導者として後を継いだ。その直後の数ヵ月の間に、政敵と見なされたり、あるいはその可能性があると見なされた数万人、そして彼らの家族らが、政治囚収容所に送られた。また反体制派の人びとは、不公正な裁判によって、あるいはまったく裁判が行われないまま、秘密裏に、もしくは公の場で処刑された。

アムネスティは長年にわたり、同国の悲惨な人権状況を記録してきた。

同国においては、表現と結社の自由はほとんどない。国家体制に反対すると見なされた数十万人が、ヨドク政治囚収容所などの悪名高い収容所に囚われている。そうした収容所には、家族の三世代までが一緒に収容されている。囚人たちは、1日12時間にのぼる重労働を強いられている。

一方、同国では人口の3分の1が食糧不足に苦しんでおり、医療体制は危機的に後退している。人びとは木の皮や草を食べて飢えをしのいでおり、また未消毒の注射針の使用や、麻酔なしの外科手術が行われているという報告を、アムネスティは複数受けている。

「政府は、同国が強固で繁栄した国になりつつあると語っています。そうであるならば、新たな指導者は、人権状況の改善を重要な政策課題として取り上げ、キム・ジョンイル時代を特徴づけている抑圧に終止符を打たなくてはなりません」と、サム・ザリフィは述べた。

アムネスティは、同国政府とその支援国および機関に対し、同国において最も援助を必要としている人びとに十分な食糧を配給するよう、繰り返し訴えている。

「同国の人びとが、政治的不安定を理由に、これまで以上の貧困に苦しめられることがあってはなりません」

同国では、1990年代の半ばから、極度の食糧不足によって50万人近い人びとが死亡した。さらに数百万人、とくに子どもと高齢者が、慢性的な栄養失調に陥っている。このおもな原因は、キム・イルソンとキム・ジョンイル政権下で実施された、非生産的な政策にある。

朝鮮民主主義人民共和国の当局および新たな指導者は、人権状況の改善に向けて、以下の事柄に直ちに取り組むべきである。

・ すべての政治囚収容所に収容されている、すべての良心の囚人とその家族を、即時かつ無条件に釈放すること。政治囚収容所に囚われているすべてのその他の囚人については、国際的に明確な犯罪容疑で起訴しない限り、釈放するべきである。もしくは、独立した裁判所に差し戻し、彼らが公正な裁判を受けられるようにすべきである。

・政治囚収容所に囚われている人びとを含め、囚人に対する強制労働、拷問その他の虐待を直ちに中止すること。

・最も食糧を必要としている人びとに、食糧が届けられるよう、国連世界食糧計画など、国際的な人道支援機関に対する自由なアクセスを直ちに認めること。

・最も医療を必要としている人びとに、医療が施されるよう、国際人道支援を受け入れ、十分に協力して自由なアクセスを認め、医療制度の深刻な崩壊に対応すること。

・公開処刑および秘密裏の処刑を直ちに中止すること。

・過去および現在の拉致および強制失踪の疑いについて、十分かつ公正な、独立した調査を実施すること。

・憲法や関連する国際人権条約で謳われている、表現と信教の自由の権利を保障すること。

・国際人権専門家や国連人権委員会の定期審査による勧告を実施するために、直ちに行動を起こすこと。

・食糧に対する権利、表現のおよび宗教の自由の権利、そしてとりわけ同国の人権状況に関する国連の特別報告者など、独立した人権監視者を受け入れること。


▼関連アクション
政治囚収容所「ヨドク収容所」の閉鎖を!
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=4158

▼関連資料
報告書『朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮):政治囚収容所の実態』
http://www.amnesty.or.jp/uploads/mydownloads/DPROK_Media_b
(転載終了)
コメント (7)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

番組紹介:「脱北者たち 大阪・八尾に生きて」(関西テレビ)

2011年06月28日 00時15分14秒 | 北朝鮮・中国人権問題
※超久しぶりに北朝鮮関連の話題をアップします。内容は標記テレビ番組の紹介・告知です。かつて私も何度かお会いした事のある山田文明さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会・前代表)による、大阪を舞台にした脱北者支援活動がテレビで取り上げられます。放送時間帯が時間帯なので、私自身も見れるかどうか定かではありませんが、もう明日深夜(明後日未明)に放送されるとの事なので、とりあえず告知だけ先にしておきます。

-------------------------------------------------
第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『脱北者たち 大阪・八尾に生きて…』
(制作:関西テレビ)
大阪府八尾市には約30人の脱北者が、支援者を頼り、ひっそりと暮らしている。彼らは「地上の楽園」と宣伝された「帰国事業」で、北朝鮮に渡ったものの、食糧不足や政治弾圧に絶望した在日朝鮮人や日本人だ。最近、脱北した夫妻は、八尾での生活をスタートしたが、日本語も話せず、仕事もない日本社会の厚い壁に直面している。彼らを取り巻く日常を通じて、日本で暮らす脱北者の日常を描く。

<2011年6月28日(火)26時45分~27時40分>

 大阪府八尾市。今この街で、約30人の脱北者たちが身を隠すかのように、ひっそりと暮らしているという事実は、あまり知られていない。彼らは1959年、朝鮮総連などが「北朝鮮は地上の楽園」と宣伝した「帰国事業」に乗じて北朝鮮に渡ったものの、北での食糧不足や政治的弾圧に絶望し、命がけで脱北した在日朝鮮人や日本人妻たちだ。第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『脱北者たち 大阪・八尾に生きて…』(制作:関西テレビ)では彼らを取り巻く日常を通じて、日本で暮らす脱北者の現実を描く。

 日本政府は人道的立場から、脱北した帰国者たちの日本への入国と定住を受け入れてはいるが、日本語の習得や、日本社会への適応、そして就職など、多くの壁に直面する彼らに対する公的支援は、事実上、生活保護以外には行われていない。脱北者たちが八尾で暮らす理由、それは彼らを献身的に支援してくれる山田文明氏(大阪経済大学准教授)がこの街に住み、心の支えになってくれるからだ。山田氏は、脱北者支援のための非政府組織「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の副代表として、これまで十数年にわたり、中朝国境での脱北者の保護や、八尾で暮らす脱北者たちの生活自立のため、尽力してきた。大学准教授としての収入は、ほぼ全て脱北者支援のために使い果たし、自らの生活は、妻の収入に頼っているのが実状だという。山田氏の過去を探ると、2003年には中国・上海で脱北者とともに公安当局に拘束され、国外退去処分を受けたほか、2006年には北朝鮮の人民保安省から「北朝鮮人拉致・誘拐の罪」で逮捕状が出されるなど、学者に似つかわしくない、勇ましい経歴がある。山田氏は、「1990年代、北朝鮮の実態を知り、自然と脱北者支援を始めるようになった」と話す。帰国者の家族から、北の惨状や帰国者に対する差別・抑圧の実態を直接聞いたことが、活動の原点だという。

 つい最近、山田氏を頼って、また新たな脱北者夫婦が八尾にやってきた。呉さん(仮名)夫婦(夫:60歳代、妻:50歳代)は、中朝国境を越えて脱北した後、アジアの第三国を経由して日本にたどり着いた。呉さん(妻)は幼少期まで、西日本のある街で過ごしていた在日朝鮮人だ。1960年代に、家族とともに北に渡り、その後、北朝鮮で現地の夫と結婚。子どもも生まれたが、夫が北で不法逮捕されそうになったことをきっかけに脱北を決意。しかし、何度か脱北に失敗し、夫婦ともに逮捕され、政治犯収容所では拷問も受けた。当初、支援者の家に身を寄せていた呉さん夫婦は、日本での自立をめざし、つい最近、アパートを借りて、八尾での生活をスタートさせた。しかし、日本に来てまもない二人は、日本語を十分に話すことができず、就職もできないまま、日本社会の「さまざまな厚い壁」に直面しながら、日々を過ごしている。呉さん夫婦を支援するため、日本語の習得には、先輩格の脱北女性が協力しているほか、山田氏も、呉さん夫婦の日本での就職のために、日々奔走している。

 この番組では、八尾で新しく生活を始めた呉さんや、彼らを助ける、別の脱北者たちの「生きざま」を描く。なお、ナレーションは、同じ脱北者の一人で、関西在住の女子大学生、リ・ハナが担当する。

■リ・ハナ氏 プロフィール
大阪在住。1980年代半ば、北朝鮮で生まれる。両親は帰国者で、2005年日本にやってくる。
アルバイトをしながら夜間中学校に通い、日本語を勉強して2009年、大学に合格。現在通学中。

■井筒慎治ディレクターコメント
 「脱北者」とは、「自分とは関係のない遠い世界にいる人たち」と、考えていましたが、自分たちの取材エリアである大阪府八尾市を拠点に、山田文明氏らが、 15年以上も前から、脱北者の日本への入国、そして定住のための支援活動を行っていると知ったとき、己の無知を恥じました。理不尽な「金王朝の独裁」を乗り越え、命がけで脱北した彼らは、日本に入国後も、日本語の習得や就職など、「日本社会の厚い壁」に直面して、苦しみ悩み続けることになります。番組に登場する呉さん夫婦が取材中に漏らした「北朝鮮でも中国でも死にたいとは思わなかった。日本に来て初めて死にたいと思った」という言葉は、実に重いと感じました。事実上の「難民」である彼らに対し、今後どのような支援策を構築すべきか? 番組を通して、考えていただければと願っています。

■番組概要
◆番組タイトル
第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『脱北者たち 大阪・八尾に生きて…』(制作:関西テレビ)

◆放送日時
2011年6月28日(火)26時45分~27時40分

◆スタッフ
 プロデューサー 土井聡夫
 ディレクター  井筒慎治
 撮影      孝岡則夫(エキスプレス)
 編集      中島福夫(TEFU2)
 監修      徳永俊彦(関西テレビ社友・芦屋大学講師)
 MA       中嶋泰成(テレコープ)
 効果      西原長治(テレコープ)

 http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/20th/11-137.html
-------------------------------------------------

(過去の参考記事より)
・どちらも国家犯罪の犠牲者だ(2009年12月01日)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/da29ccc84888d8ef20ca94a49b6a8bd4
・クロッシングの絶望と希望(2010年05月10日)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/3592751ce14fdec3381ba1ffdcdb305d
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

劉暁波さんから我々へのメッセージ

2010年10月19日 21時42分08秒 | 北朝鮮・中国人権問題
天安門事件から「08憲章」へ-中国民主化のための闘いと希望
劉 暁波
藤原書店

このアイテムの詳細を見る


 中国人権活動家の劉暁波(りゅう・ぎょうは、中国名リュウ・シャオボー)さんがノーベル平和賞を受賞されたニュースは、職場のみなさんもご存知でしょう。天安門事件での中国政府の弾圧を告発し、「08憲章」を起草して民主化を訴えてきた、彼の今までの功績が評価されたのです。彼は今も「良心の囚人」(政治犯)として中国の刑務所に収監されています。その解放を求める国際署名が既に取り組まれています。「ヤメ蚊」さんのブログでも紹介されていますので、パソコン・携帯でインターネットにアクセス出来る方は、是非ご協力をお願いいたします。

 劉さんの訴えは決して他人事ではありません。彼は訴えます、「言論・集会・結社の自由は中華人民共和国の憲法でも保障されている」「然るに中国政府は、その憲法で保障された人権を自ら踏みにじっている」「中国では憲法も人権も絵に描いた餅にしか過ぎない」と。
 果たしてこれは中国だけに止まる話でしょうか。我々には無関係なのでしょうか。違うでしょう。我々も、日本国憲法で保障された言論の自由や生存権が守られず、会社に対して言いたい事も言えず、人間でありながらまるでモノの様に扱われているという意味では、中国の民衆と何ら変わらないじゃないですか。
 なるほど、日本は中国とは違い、複数政党制も三権分立も、労組活動の自由も、「一応は」広く認められています。経済格差も中国ほど激しくはない。「あくまで建前上は」。しかし、それらが職場ではいずれも「絵に描いた餅」「学校の教科書の中だけの話」にしか過ぎず、実際は「何も言えない」という意味では、本質的には何ら変わらないじゃないですか。  
 劉さんの問題は、決して中国やその他の遅れた後進国・途上国だけに限った問題ではありません。世界的には先進国に分類される、この日本の我々の問題でもあるのです。劉さんの求める自由は我々の求める自由でもあり、劉さんの解放は我々自身の解放にも繋がるのです。またその逆も然りです。そういう観点でこの問題を見るべきだと、私は思います。

TankMan - Tiananmen Square Protests (with John Lennon)


 また、近年、歴史問題や領土問題などで、日本とその周辺のアジア諸国との対立が激化しています。中国との間でも、尖閣諸島の領有権を巡って、対立が続いています。
 マスコミ報道では中国国内デモの「反日ぶり」だけが殊更クローズアップされていますが、日本国内の反中国デモの中にも、中国の反日デモと瓜二つの、狭量で排外主義的な主張が見受けられます。例えば次のようなものがそうです。

・支那人排撃運動第一弾決行!(新攘夷運動 排害社ブログ 「排害主義者宣言」)
>在日特権を許さない市民の会の八木副会長も駆けつけて下さり、支那人の排撃を訴える。最後に弊社代表もマイクを握り、支那人の追放を叫ぶ。「いい支那人もいる、という意見があります。しかし、そんなものどこにいるんでしょうか!?UFO、ツチノコ、ビックフット、そして、いい支那人!もしいい支那人が見つかるようならば、それより先に上野の山にUFOが着陸し、渋谷駅の植え込みでツチノコが見つかり、山手線の車内でビックフットが発見され、新橋の噴水から石油が出る!」
 http://haigai.exblog.jp/12025320/

 上記デモには、「劉暁波さん釈放」の要求やチベット亡命政府の旗を掲げた者もいました。しかし、幾らそんな主張を掲げた所で、言っている事がこれでは、それら「劉暁波さん釈放」や「チベット解放」の要求も、所詮は中国人を悪し様に罵るための、只の「口実」でしかないと思われても仕方がないですね。
 「いい支那人なんていない」「全て悪い支那人ばかりだ」と言うのでは、劉暁波さんも「悪い支那人」でしかない。また、反日デモが激しかった四川省にはチベット系の住民も少なくない、その中には経済格差に対する怒りから反日デモに加わった人たちもいるかも知れない。しかし、それを全て「反日」と一括りで捉えている限り、そのチベット人の悲しみは見えてこない。

 この場合、「敵」はあくまでも中国政府であって、中国人民ではない筈です。「敵」はあくまで支配者であって人民ではない。それがここでは、ものの見事に民族・国家対立の構図に摩り替えられてしまっている。これでは、中国の反日デモの事をとやかく言う事は出来ません。
 それだけではありません。その中国政府を支えているのが、彼の国の政府と結託して、低賃金労働で甘い汁を吸っている日米欧「自由民主主義国」の多国籍資本じゃないですか。しかし、民族・国家対立の単純な図式に囚われている限り、その搾取の構造は見えてこない。
 それもこれも、中国の問題を、我が事として捉えられる事が出来ずに、所詮は他人事として捉えているからではないか。勿論、同じ事は中国側にも言える訳だが。

 この問題については、歴史問題も当然絡んで来ます。歴史問題について言えば、日本が過去の侵略と植民地支配に対して、未だきちんと国民レベルで総括を行い得ていない所に、真の原因があります。村山談話や河野談話は、それを取り繕うための「言葉だけの謝罪」でしかない。他方で中国も、この日本の後ろめたさに乗じて、最近はこの歴史問題を、自国の人権侵害を居直る為の「口実」に利用している。

 日本は「歴史問題」で脛に傷を持ち、中国は「人権問題」で脛に傷を持っている。だから、それを誤魔化すために、両者とも、ことさら民族・国家対立に逃げ込もうとするのです。
 その絡み合った糸を解さなければならない。これは他方がもう一方に阿る事では決してない。また何も難しい事でもない。「歴史問題」は「歴史問題」、「人権問題」は「人権問題」ときちんと切り分け、両者を絡ませなければ良いだけの話です。
 中国は歴史問題を、自国の人権侵害を居直る口実にしてはならない。他方で日本も、中国の人権問題を、過去の侵略や植民地支配を正当化する口実にしてはならない。それだけの事です。

 そして、他国の人権問題を自国の人権問題に敷衍する事が出来てこそ、初めて真の連帯が生まれるのです。同じ事は経済問題についても言えます。中国の低賃金が日本の低賃金や労働条件悪化の一因になっているなら、尚更のこと、人民同士がいがみ合うのではなく、両国人民を搾取している国際資本やそれと結託している日中両政府と、ともに闘うべく連帯すべきではないでしょうか。「世界全体が幸福にならないかぎりは、個人の幸福はありえない」(宮沢賢治)のだから。


※写真は送迎バス車内での日中両国語併用表記。
コメント (8)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする