アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

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まっとうな政治を実現するために必要な二つの事

2017年10月30日 00時15分17秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

 遅くなってしまいましたが、今回の衆院選結果に対する感想を書きます。今回の結果について、ほどんどのマスコミは、自公与党の圧勝と評価しています。しかし、本当にそうでしょうか?

 まずは、上記の表を見て下さい。衆院選は、総定数465のうちの176を比例区、289を選挙区で選ぶ、小選挙区比例代表並立制を採用しています。そのうちの比例区だけで見ると、与党は自民党66議席に公明党21議席と、両方合わせても87議席しか取れていません。176議席のうちの87議席ですから、過半数にも届いていません。政党の得票比率で議席配分する比例区だけで選挙を行えば、今回も与党は過半数割れになっていたのです。

 では、なぜ与党が圧勝できたのかというと、自民党が、選挙区で48%の得票しか得ていないのに、75%もの議席を得る事ができたからです。選挙区は定数1の小選挙区制を採用しています。この制度の下では、最多得票者1名しか当選できません。もし4名候補者がいても、全体の25%以上得票できれば、それで通ってしまいます。残りの3名に投じられた票は、その合計が75%近くあっても、すべて死票となってしまいます。全体の2割、3割の票さえ得票できれば、それで大半の議席が確保できるのですから、カネも組織も知名度もある与党候補が、圧倒的に有利に戦いを進める事ができます。そういう選挙が何度も続けばどうなるか?西欧と比べると、民主主義がまだまだ根付いていない日本のような国では、与党はますますおごり高ぶり、野党はますます負け癖が付いてしまう中で、国民も次第に長いものに巻かれろという気持ちになってしまいます。西欧のような政権交代は起こらず、事実上の一党独裁になってしまうのです。

 この制度の下では、野党が分立し、互いにいがみ合っていればいるほど、与党有利に傾いてしまいます。上記の表でも、野党は立憲・希望・共産・維新・社民・こころ(日本のこころを大切にする会)と、6党も分立してしまっています。野党も、その愚は十分承知していたので、野党の中の似た者同士で、共闘の話し合いが進められていました。立憲と希望の大半は、元々は民進党という一つの政党でした。その民進・共産・社民などの間で、野党共闘の話が進んでいました。ところが、共産党なんかと共闘していては政権が取れないと思った民進党の前原代表が、民進党の希望の党への合流を、いきなり決めてしまったのです。しかし、希望の党の小池党首は、もともと自民党・安倍政権の防衛大臣だった人物です。自分が安倍首相に取って代わる野望は持っていたとしても、自民党政治の枠組みまで壊すつもりなぞ、更々ありません。安倍政権が進める憲法改正や安保法制に賛成できない議員の合流は認めないと、排除する事を明言してしまいました。

 そこで、行き場を失った民進党の議員が、枝野氏を中心に、立憲(立憲民主党)を立ち上げました。民進党の希望への合流でつぶれるかに見えた野党共闘は、立憲を中心に維持される事になりました。他方で、希望と維新も、憲法改正などの自民党政治の大方針は認めた上で、今の安倍首相に対抗するという立場だったので、似た者同士として、選挙区での候補者調整を進めました。こうして、野党6党は、立憲・共産・社民グループと、希望・維新グループの、大別して2つのグループに再編されて、選挙戦を戦う事になりました。しかし、せっかくのこの野党再編も、有権者からすれば、余りよく理解されませんでした。結局は、ただの野合ではないかと見なされて、与党の圧勝を許してしまったのです。

 もう一度、上記の表をよく見て下さい。野党の中では、立憲・希望と、どちらも新党のほうが、より多くの議席を獲得しています。それとは対照的に、新党よりは基盤がしっかりしているはずの、共産・維新などの既成政党が、新党に票を奪われて議席を減らしています。たとえ、選挙区での野党共闘や候補者調整を進めたとしても、比例区での票の奪い合いを食い止める事ができずに、与党に「漁夫の利」を許してしまったのです。今後、安倍政権は、野党の分裂状況を見ながら、自分たちと基本方針はそう違わない希望・維新グループを、公明党と天秤にかける形で、憲法改正や原発再稼動、残業代ゼロ法案などの悪政を、今以上に強力に推し進めて来るでしょう。もともとの選挙争点だった森友・加計疑惑の追及も、ますますウヤムヤにされてしまうでしょう。

 それを防ぐにはどうすれば良いか?その一つが野党共闘です。小選挙区制の下では、野党がバラバラに戦っている限り、政権交代なんて絶対に無理です。選挙区での候補者調整だけでなく、比例区でも、候補者名簿の一本化などを推し進めなければなりません。合流や丸投げではなく、野党同士が互いに独立した党のままで、「立憲・共産リスト」のような単一名簿の形で、比例区選挙を戦うのです。そうすれば、今回の比例区東海ブロックで起こった、立憲民主党が候補者名簿の数以上の票を取ってしまった為に、次点の自民党候補にみすみす議席をくれてやるような愚は、避ける事が出来るでしょう。これも、単なる野党の離合集散、数合わせだけなら、有権者はシラけるだけです。しかし、9条改憲阻止、安保法制廃棄、脱原発、残業代ゼロ法案反対などの、大義名分に基づく共闘なら、絶対に支持されるはずです。

 でも、それだけなら、まだ野党の善戦止まりです。今や自民党は、憲法改正(憲法9条改悪)にまで手をつけようとしているのです。改悪されるのは憲法9条だけではありません。安保法制で海外の戦争にも自衛隊が参戦できるようにし、秘密保護法や共謀罪でマスコミや国民の口を封じ、高度プロフェッショナル(残業代ゼロ)制度で過労死させ放題、家族の扶養義務化や社会保障切り捨てで、生きていくのも自己責任、社会の秩序維持の為なら個人の人権なぞ簡単に踏みにじられてしまうような、全体主義の国に、日本を変えようとしているのです。もはや、野党は善戦・健闘に甘んじていられるような段階ではありません。一刻も早く、自民党からの政権交代を成し遂げなければならないのです。

 その処方箋も、既に国民は一度は手に入れています。ここで上記の図を見て下さい。戦後における衆院選挙の投票率の推移を表したグラフです。

 このグラフから二つの事が読み取れます。一つは投票率の低下です。中選挙区制の時代には、投票率がずっと65%以上もあったのに、1996年の政治改革で、今の小選挙区制比例代表並立制に変わってからは、年々投票率が低下し、今や5割前半にまで落ち込んでしまいました。小選挙区制比例代表並立制と言っても、並立制とは名ばかりで、実際は小選挙区中心の選挙制度です。中選挙区制では3~5名の候補者が当選できるので、派閥争いや同じ党同士の同士討ちもある代わりに、有権者の民意もそれなりに議席に反映する事ができました。ところが、1名しか当選できない小選挙区制になると、どうしてもカネも組織も知名度もある与党候補が有利になります。最初から結果が見えているので、誰も投票に行かなくなるのです。自民党の比例区得票率33%も、投票率53%の中の数字ですから、棄権も含めた有権者全体の中では、わずか17%の支持しかありません。それでいて75%もの議席をかすめ取れてしまうのです。

 しかし、その中で唯一の例外があります。それが2009年の総選挙です。この時、自民党から民主党に政権が交代しました。この時には投票率も69%まで跳ね上がっています。この時の選挙では、単なる新党ブームだけにとどまらず、それまでの自民党政治のあり方そのものが問われました。リーマンショックで派遣切りにあい、ホームレスになってしまった労働者に対して、時の麻生首相は、自らの失政を棚上げして怠け者呼ばわりしました。そんな格差社会を容認してしまって良いのかという事が問われたのです。この麻生の傲慢(ごうまん)な態度には、さすがに今まで選挙に行かなかった無党派層も怒りました。そういう無党派層が大挙して投票所に押し寄せたからこそ、未曾有(みぞう)の政権交代が成し遂げられたのです。残念ながら、せっかくの政権交代も、その後の民主党政権の腰が定まらなかった為に、結局は、今までの自民党政治と一体どこが違うのか、有権者にアピールする事ができなくなり、元の自民党政治の木阿弥(もくあみ)に戻ってしまったのです。

 今は2009年の政権交代時よりもさらに時代は進んでいます。決して同じ歴史の繰り返しではありません。長年続いた小選挙区制の下で、野党第一党も、それまでの自民党とさして変わらない政党が、国会の議席を占めてきました。ところが、ここに来て、それまでの腰の定まらなかった民進党や、自民党と似たり寄ったりの希望や維新ではなく、立憲民主党が野党第一党に躍進したのです。まだ結党して2週間にしかならない新党が、既成の野党を追い抜いて野党第一党に躍進できたのは、なぜか?アピールの仕方にあったからではないでしょうか?立憲の枝野代表が選挙演説で多用した言葉の一つに「まっとうな政治」「下からの政治」というのがあります。憲法も国会のルールも踏みにじり、「悪法も法なり」と言わんばかりに脱法的な手法で、加計理事長や安倍昭恵の証人喚問から逃げ回り、次々と強行採決していく与党に対し、「まっとうな政治」を訴え、「もはや左や右のイデオロギーではなく、草の根の下からの声が政治を動かすのだ」と訴えたのが、有権者にアピールしたのです。

 今の世の中は、決してトランプや安倍みたいな奴だけが政治を動かしている訳ではありません。米国大統領選挙では、共和党のトランプだけでなく、民主党のサンダースも予備選挙に躍り出ました。トランプもサンダースも、格差是正を訴えましたが、その手法はまるで正反対でした。トランプが移民を敵視し、「強いアメリカを取り戻す」と訴えたのに対し、サンダースは大企業優遇を是正し、「みんなが平等に個性が尊重される、本当の意味での自由で民主的な社会主義」を主張したのです。資本主義大国の米国で、社会主義者を名乗る候補が、二大政党の有力対抗馬に台頭するなぞ、今までの米国では考えられませんでした。残念ながら、サンダースは民主党予備選挙に残る事ができずに、旧態依然たるクリントンが民主党の大統領候補に選ばれてしまった為に、民主党は決選投票で共和党のトランプに敗北してしまいました。それでも、同じ資本主義で小選挙区制の米国でも、これだけの変化が起こったのです。

 しかし、「では格差是正さえ唱えれば、自動的に無党派層を結集する事ができるのか?」と言えば、決して、そのような甘い事はありません。今まで政治に無関心だった層にも響くような、分かりやすい言葉で、有権者に訴えなければなりません。例えば、同じ格差是正を唱えるにしても、ただ単に相対的貧困率のグラフを挙げて、「国民の16%が貧困だ」と国会で追及しているだけでは不十分です。ダブルワークで仕事を掛け持ちしている人は、そもそも新聞を読んだりテレビでニュースを見る暇なぞありません。そんな人に、いくら「相対的貧困率」がどうこう説明したところで、「政治とはそんなもの」で終わってしまいます。ところが、「もう財布を気にして食べるものも我慢しなくても良いようにする!それこそが政治の役割じゃないか!」と訴えたらどうでしょうか。ダブルワークに追い込まれているような人は、毎日の食事も満足に取れないような人がほとんどです。栄養バランスなぞ二の次で、腹持ちの良い炭水化物や脂肪ばかりに食事が偏りがちです。そして、同じような物ばかり食べているので、食事の楽しみも味わえません。そういう人が前述の演説を耳にしたら、「これはまさしく自分自身の問題だ」となりませんか?そういう声を集める事ができてこそ、初めて野党共闘に命が吹き込まれるのです。単なる野党の離合集散、数合わせではなく、「自分たちの生き死にの問題」として捉えられるようになるのです。

 私にもそれに類する経験があります。今から十年ほど前の話です。当時、私は午後1時からの勤務シフトで働いていましたので、始業前に会社の休憩室で昼食を取っていました。昼食は、途中のスーパーでパンや弁当を買って、それを食べていました。ある時、弁当を買うよりも、お握りとカップ麺、惣菜の揚げ物を組み合わせて食べた方が、毎日の昼食代を浮かせられる事に気付きました。どれだけ浮かす事が出来たのか?詳しい値段は忘れましたが、多分、300円ぐらいに抑える事ができたのではないでしょうか。お握りも鮭、昆布、たらこ、高菜と種類が豊富で、惣菜もコロッケ、ミンチカツ、アジフライと、結構バラエティに富んでいました。それを醤油・味噌・塩味のカップ麺と組み合わせれば、飽きが来ないのではないかと考えたのです。でも、一週間も持ちませんでした。いくら何種類も組み合わせが可能でも、同じようなものばかり、同じ売り場で選んでいるうちに、「スーパー内で俺の立ち入れる場所は、もうここしかないのか」という、みじめな気持ちに、次第になっていったのです。この時に初めて、トイレもバスも黒人用と白人用に区別され差別されていた、かつての南アフリカや米国の黒人の気持ちが、理屈ではなく皮膚感覚として理解できました。

 こんな感覚は、中流以上の人にとっては、まず理解できないでしょう。これらの人たちは、日本はいまだに総中流社会で、努力すれば誰でも報われる、格差なんて一握りの最下層の人間の問題だと、いまだに思っているのでしょう。ところが実際は、外国人労働者だけでなく日本人バイトの中にも、九九が言えない、算数の計算ができない、伝票の漢字が読めない人も、決して珍しくはないのです。そういう人にとっては、新聞やテレビのニュースを見る事自体が苦痛なのです。インフレとかデフレとか言われても、一体何の事か分からないのですから。教育格差一つとっても、日本は今やそんな現状にあります。しかし、そういう人でも、文字は何とか読めて、自分の名前ぐらいは漢字で書けるので、識字率などの上辺の統計だけでは、本当の貧困はつかめないのです。日経新聞だけ読んで、会社四季報や株価チャートとにらめっこしているだけでは、こんな現実は一切見えて来ません。

 そういう、毎日食うや食わずで、新聞もろくに読めない人に、相対的貧困率がどうの新自由主義がこうのと、いくら丁寧に説明しても無駄です。インフレやデフレの意味も分からず、算数の割合や百分率の意味さえ理解できないのですから。ブラック企業の餌食にもっともなりやすいのも、これらの人たちです。この荷物を何時にどこそこに届けろと指示しても、距離÷時速=所要時間の計算もできないので、荷物は誤配・遅配・欠配のオンパレード。経営者は、彼の足元を見て、「お詫びにタダ働きしろ」と、彼に迫ります。彼は、労働基準法の中身なんて当然知らないので、もう経営者の言いなりです。未払い賃金も二年以上請求しなければ時効で請求できなくなってしまう事も、彼は知りませんでした。それは誰の責任か。もちろん、努力しなかった彼にも責任はあります。でも、それ以上に、彼を放置して、まともに教育して来なかった学校や、食い物にするだけで何ら育てようとしなかった経営者の責任の方が、より大きいのではないでしょうか?

 彼は首相の名前も知りませんでした。でも、そんな彼でも、一度だけ選挙に行った事があります。それが2005年の総選挙でした。当時は小泉政権の下で、郵政民営化の是非が選挙の一大争点になりました。彼の故郷の鹿児島県徳之島でも、地元の郵便局が、民営化されれば採算が取れなくなるから、廃止されるかも知れないと話題になりました。彼は、郵便局が廃止されてはたまらないと、民主党候補に投票したそうです。これは、あくまでも一つの例に過ぎません。今まで選挙に行ったことも無かった無党派層に、投票してもらおうと思うなら、このように、今までとは宣伝の仕方もガラッと変えなければならないという事です。

 ここまで書いたら、もうお分かりでしょう。小選挙区制の下で、安倍政治を阻止するには、(1) 野党共闘だけでなく、(2) 投票率の底上げ、民衆の政治参加が不可欠である事が。だから、安倍や自民党、産経・読売などの御用メディアは、野党とりわけ立憲民主や共産の悪口をこれでもかと書きたて、「与党も野党も、どっちもどっち」という気持ちに、読者を誘導しようとするのです。たとえ御用メディアと言えども、売れなければ商売になりませんから、安倍人気が下落している時は、安倍批判もある程度はします。でも、結局は「どっちもどっち」に誘導する事で、政治変革を諦めさせよう、今の状況を受け入れさせよう、今のままで我慢させようとするのです。もちろん、野党も完全無欠ではありません。野党も人間の集まりですから、色んな人がいます。しかし、それを口実に「どっちもどっち」で留まっている限り、永遠に世の中は変わりません。「どっちもどっち」の政治家なら、そんな政治家なぞ退場願って、より民意を代表してくれる政治家に変えて行けば良いだけの話です。有権者も、単なる傍観者に留まっている事は、もはや許されません。「自分たちの生き死にの問題」に直接かかわる問題なのですから。

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ショック・ドクトリンの煽りに乗せられるな!

2017年10月25日 21時36分04秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

 当初は総選挙関連の記事を書くつもりでしたが、それは後回しにします。今回は台風被害の事で少し書きます。
 台風21号が通り過ぎてもう2日になるのに、依然として南海本線・高野線の一部区間運休が続いています。運休区間は本線の樽井・尾崎間と高野線の高野下・極楽橋間です。いずれも和歌山との府県境付近の区間で、私の通勤には別に支障ありません。しかし、その後も運休が続くので、気になって南海電鉄のHPにアクセスしてみました。ところが、いつまで経っても運休原因については「線路故障」としか告知されません。そこで昨日、その理由を駅員に聞いてみて、ようやく、その理由が分かりました。高野線の運休原因は土砂崩れによるもので、本線は増水による橋脚損傷との事でした。
 しかし、それならそれで、その運休原因を何故はっきりと告知しないのか?小規模な「土砂崩れ」なら早ければ数週間で復旧も可能ですが、橋脚損傷ともなると復旧には数ヶ月から数年以上もかかります。その状況が分かれば、通勤客の方も、「並行して走るJR阪和線の方に乗り換えようか?それとも、復旧まで代行バスを利用しようか?」というように、後の段取りが立てやすいのに。別に隠し立てする必要もないのに、何故いつまでも「線路故障」でお茶を濁すのか?色々ネットで調べて、初めて下記のような状況になっている事を知りました。(尚、本日になって、ようやく事故現場の様子がHPで公表されました)

大阪の南海で線路曲がる 乗客3人が軽傷
 22日午後4時40分ごろ、大阪府泉南、阪南市の境にある南海本線の線路が曲がっているのが見つかった。線路は川にかかった橋の上を通っており、南海電鉄によると、川の増水により、橋の土台付近が損傷した可能性がある。
 難波発みさき公園行き下り普通電車がこの線路を通過。大きく揺れ、乗客約100人のうち50代の女性など3人が軽傷を負った。運転士は「橋を渡るときに衝撃があった」と話しているという。同社が線路が曲がった原因を調べている。
 同線は羽倉崎(同府泉佐野市)-和歌山市間で上下線で運転を見合わせた。(以上、産経WESTより)

 台風が来た10月22日当日は、私は公休日でしたが、総選挙の投票の為に、わざわざ電車に乗って実家近くの投票所まで行かなければなりませんでした。諸事情で住民票を実家に置いたままにして来ましたので。雨でビショビショになりながら、昼過ぎにようやく現住所まで戻って来て、その事をブログに書きました。夜のダブルワークもキャンセルし、ようやく夜10時ごろブログを書き終えました。そこから選挙の開票速報を少し見て、床に就いたらもう11時を回っていました。台風関係のニュースも、開票速報の合間にどんどん流れて来ましたが、私の見た限りでは、橋脚損傷のニュースはありませんでした。
 そこで、今日25日の公休日に、橋脚損傷の現場を見て来ました。既に、SNS等で現場の写真や動画が次々とネットに公開されていたので、私も大体の様子は知っていましたが、それでも「百聞は一見にしかず」という事もあります。途中の昼食時間も含めれば往復に約3時間半かかりましたが、何とか見て参りました。

 

 損傷した橋脚は、南海本線の樽井・尾崎駅間にある男里(おのさと)川にかかる鉄橋の下り線です。台風で増水した川に土台がさらわれたのでしょう。傍目でも分かるほど橋脚が土台から陥没してしまい、線路が大きくたわんでいます。ここを知らずに通過した普通電車は、よく脱線しなかったものです。SNSの写真や動画の中には、緊急停車した電車から乗客が係員に誘導されて最寄り駅まで避難している様子や、バウンドの衝撃で車両前面のスカートが壊れ、連結部分の幌がはずれてしまった様子などが映し出されていました。
 特急も含め全ての電車が、和歌山市行きの下り電車は樽井で、なんば行きの上り電車も尾崎で、それぞれ折り返し運転となっています。樽井駅に到着した電車から降りた乗客は、バス停留場スペースの関係で、3駅先の箱作駅まで代行バスで輸送され、そこで和歌山市行きの電車に乗る事になります。それと同時に、並行して和歌山まで走るJR阪和線への振り替え輸送も、実施されていました。橋脚が陥没したとなると、復旧に最低でも数ヶ月はかかるでしょう。無事に復旧する事を祈るばかりです。
 実は、この男里川橋梁では、1968年にも電車の脱線事故が起こっています。この事故では、6両編成の電車が前から3両目まで、鉄橋から下の川に転落し、大勢の死傷者が出ています。南海電鉄では、この事故以降も、箱作駅で貨物列車脱線事故、天下茶屋駅で電車同士の正面衝突事故と、立て続けに大きな事故が起こりました。当時、私は小学生でしたが、新聞の見出しに「何してんのや、南海!」と、デカデカと載っていたのを見た覚えがあります。当時はちょうど高度経済成長期で、急増する通勤客輸送に、安全対策やダイヤ増発が追いついていなかったのではないでしょうか?南海電鉄にとっては、この場所は、いわば、そういう、いわく付きの場所なのです。

これで大丈夫なの? 南海電車。

 上記の動画は、今回陥没したのと同じ橋脚を、5年前の渇水期に撮影したものだそうです。これを観ると、既に当時から、橋脚の土台がボロボロになっていた事が分かります。この「これで大丈夫なの?南海電車。」と題した動画は、全部で4部まであります。ここでは、その第1部しか貼り付けていませんが、他の3部の動画も、同じYou Tubeのページに公開されています。興味のある方は、是非ご覧になって下さい。
 もし、この動画で映し出された事が真実であるなら、南海は1968年の事故から何も学んでいない事になります。私は、南海電鉄のダイヤ編成に対して、「ドル箱の関西空港線ばかり優遇し、本線の泉佐野以南や他の支線については、冷遇しているのではないか?」という疑念が、どうしてもぬぐえませんでした。何故なら、
・いくら赤字でも、支線の中では利用がまだ一番多く、わずか1.5キロの短距離区間で廃止のメリットもほとんどない高師浜線を、いきなり廃止しようとしたり(他の支線廃止の突破口にする魂胆か?)、
・サザン以外の特急・急行を全て関空行きに変更し、和歌山市への乗客に岸和田や泉佐野での乗り換えの不便を強いたり、
といった事を、今までも平気で行って来ましたから。その一方で、地元産の鯛をモチーフにした加太線「めでたい電車」キャンペーンなども展開していますが、それも、あくまでもポーズにしか過ぎないのではないでしょうか。今回明らかになった橋脚補修の手抜きは、その重要な証拠になると思います。

 「ショック・ドクトリン」という言葉があります。大きな災害(ショック)が起こるたびに、政府が「防災の心構え」などを必要以上に強調し、それを治安強化に利用しようとする作戦(ドクトリン)を皮肉った言葉です。確かに、国民が防災に心掛ける事は大事です。しかし、そればかりが強調されると、「自分の身は自分で守らなければならない」「防災の為には政府を支持しなければならない」という気持ちにさせられ、政府の防災対策の無策が覆い隠されてしまいます。その一番分かりやすい例が福島の原発事故です。東日本大震災で原発の安全神話が崩壊したにも関わらず、その一番肝心な事がなおざりにされ、震災救援活動の美談ばかりが強調されると、どうなるか?戦時中の「焼夷弾はつまんで外へ放り出せ」や、今の「北朝鮮の核ミサイルも突っ伏してやり過ごせ」(実際にそんな訓練をやっている!)に行き着いてしまいます。今回の台風でも、住民の自己責任ばかりが強調され、行政や電鉄会社が、実際はどんな防災対策を施してきたのか?という点が、巧妙に隠されてしまいます。今回の解散・総選挙でも、森友・加計問題が北朝鮮ミサイル騒動の陰に隠されてしまいました。また今週末に台風が来るようですが、政府が、それを「政治利用」しないかどうか、国民は常に監視していなければなりません。

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これでは替え玉投票もやり放題ではないか

2017年10月22日 22時14分46秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

上記の記事は、「戦後最低の投票率52.66%を今回は更に下回るか?」と、他人事のような言い方で、まるで投票に行かない有権者だけが悪いように書いています。しかし、中選挙区制だった今から21年以上前は、上記の図にもあるように、投票率が7割前後ありました。1選挙区に2~5名当選できるので、同士討ちや派閥政治の弊害もある代わりに、色んな人が当選出来て、選挙も、それなりに盛り上がっていたのです。それが、1選挙区に1人しか当選できない小選挙区制に変わった事で、「寄らば大樹の陰」とばかりに、金や知名度のある与党や大政党にばかり票が集まるようになってしまいました。そして、金欲しさの離合集散が繰り返された結果、みんな白けて選挙に行かなくなってしまい、ますます安倍や麻生みたいなのが頭に乗るようになってしまったのです。

 安倍の森友・加計隠し解散で始まった衆院選も、遂に投票日を迎えました。今夜にも大型の台風21号が本土に上陸すると言われる中で、本降りの雨の中を投票場に出かけなければなりません。しかも、私の場合は、親父と喧嘩して住民票を移さないまま実家を出て来たので、投票するには、わざわざ実家近くの投票場まで、電車に乗って出かけなければなりません。台風接近に備えて、事前に期日前投票を済ませておこうとも思いましたが、ちょうどこの日は、転居後も隔週ごとに通っている実家近くの鍼灸院で診てもらう予定もあったので、治療の帰りに、近くの投票場に立ち寄る事にしました。
 実家近くの投票場は、私がかつて通っていた小学校です。私が通っていた頃は木造だった校舎も、今や立派な鉄筋コンクリートの校舎に代わっています。校舎や校庭、体育館の配置も、私の小学生時代とはガラッと変わってしまいました。そこには、昔通っていた母校の面影は、もはやありません。

 事前に実家のある市役所に電話で確認していたので、別に投票場の入場券がなくとも投票できる事は知っていました。でも、宣誓書に署名しなければならないと聞いていたので、投票所の窓口で、どこで宣誓すれば良いか聞いたら、「別にそんなもの必要ない」との返事でした。それどころか、身分証明書の提示も求められなかったのには、少々驚かされました。係員から住所と氏名を聞かれ、答えたらそれをすぐに有権者名簿と照らし合わせ、白紙の投票入場券に鉛筆で記入してくれました。さすがにそれだけではまずいだろうと思い、わざわざ自分の方から運転免許証を見せたぐらいです。
 そして、係員に書いてもらった自分の名前の入場券を名簿対照係の人に渡し、代わりに小選挙区、比例区、最高裁判所長官国民審査の投票用紙をそれぞれ受け取り、記載台で意中の候補者名や政党名を書き、投票箱に入れて投票場を後にしました。校庭も帰り道も既に雨で水浸しで、私の靴もみるみるジュクジュクになってしまいました。ニュースでは、既に大阪府内でも泉州地域を中心に、避難指示が続々と出始めていました。台風で電車が止まる恐れもあるので、夜のWワークも今日は休む事にして、早々に故郷を後にしました。

 それにしても、投票場の入場券を持っていない人には、身分証の提示ぐらいは求めなければいけないのではないでしょうか?そうしないと、替え玉投票も幾らでも出来てしまうではないですか。最近の若い子はほとんど選挙なんていきません。そこに目をつけた会社が、人事・総務部門を動員して、従業員になりすまして企業ぐるみで替え玉投票する事も、やろうと思えば可能です。また、投票用紙への記入がボールペンではなく鉛筆なのも、考えてみればズサンな話です。鉛筆では、幾ら改ざんされても分かりません。せめてボールペンにして、筆跡が残るようにしておかなければならないのではないでしょうか。逆に、最高裁長官の国民審査のように、先に投票用紙に候補者名や政党名をあらかじめ印刷しておいて、投票では意中の候補者や政党名に〇を入れるようにしても良いかも知れません。それなら、今のように、「民主党」と書かれた投票用紙が一杯出て来ても、「自由民主党」「社会民主党」「立憲民主党」のどれに入れるつもりだったのか、判断に迷う事もないでしょう。
 そのくせ、いくら投票用紙が個人別になっていても、配布されるのは、あくまでも世帯ごとなので、完全に個人には行き渡りません。しかし、私のような人間や、もっと悲惨なDV避難者の方なぞは、元の配偶者に現住所を知られるのが嫌で、転居しても住民票を移せない人も少なくありません。でも、そういう人にも選挙権はあるはずです。投票するのは、あくまでも個人なのだから、投票場入場券は世帯別ではなく個人別にちゃんと配布した上で、替え玉投票防止の為に、入場券不所持の人には、最低限でも身分証の提示を求めるべきではないでしょうか?

 それでなくても、日本の選挙は、何百万もの供託金を積まなければ選挙にも出られない等の、不当な制約が余りにも多すぎます。「高い供託金を設けているのは、泡沫候補の乱立を防止する為だ」と言いますが、それの一体何が問題なのでしょうか?たとえ泡沫候補であったとしても、誰も出ないよりは立候補者が一杯いた方が、選挙も盛り上がります。それが本来の民主主義ではないでしょうか?
 じゃあ、高額な供託金さえ積めば、もうそれで泡沫候補ではなくなるのでしょうか?むしろ逆に、自分の信念も何もなく、ただ出世欲、権力欲だけで政治家になった人間でも、金さえあればどうにでもなるので、二世議員やタレント議員、「政界渡り鳥」みたいな議員ばっかりになってしまったのじゃないですか。その挙句に、もうバカらしくなって誰も選挙に行かなくなり、投票率低下に歯止めがかからなくなってしまったのじゃないですか。タレント候補みたいなのが出て、仮に一時的に投票率が上がったとしても、政策そっちのけで、ただの人気投票みたいな選挙に成り下がってしまったのじゃないですか。
 たとえ今は泡沫であったとしても、本当に大衆から支持されれば、ゆくゆくは有力候補に代わる事もあり得ます。現に、今の立憲民主党の候補がそうじゃないですか。逆に、有力候補と見られていても、単なる人気取りである事がばれて泡沫候補に成り下がる事だってあります。現に、今の「希望の党」の候補なんか、既にそうなりかけているじゃないですか。そもそも、その候補が泡沫であるかどうかを判断するのは、選挙区の有権者であって、国や選管ではないはずです。

 また、政党助成金というのも、考えてみればおかしな制度です。「政治には金がいる、個人献金だけではまかないきれない」からと、企業・団体献金を廃止する代わりに、国が政党の議員数や得票数に応じて、各政党に国から助成金を配分するようになりました。これが、政党助成金制度が導入された表向きの理由です。これを政府は、「民主主義のコスト」だと言って、国民に一方的に押し付けて来たのです。
 でも、本当に金を払ってまで民主政治、議会政治の発展を望むのであれば、むしろ大政党よりも小政党や無所属候補にこそ、手厚く配分するのが筋です。現に、自民党と共産党を比べたら、議員一人当たりの質問回数も、受け付ける請願件数も、後者の方がはるかに多いのが実情です。政党活動も、後者の方がはるかに活発です。自民党の活動なんて、その大半が料亭政治か、森友・加計みたいな代物ばっかりじゃないですか。でも、共産党は政党助成金を「国のひも付き」だと言って拒否しているのに、自民党は逆に「もっと寄こせ」と、増税の口実にする始末です。

 なぜ、競馬のハンデ(負担重量)が、新人騎手や弱い馬に軽く、ベテラン騎手や強い馬に重いのか?単なる弱肉強食だけでは、前者はなかなか後者の壁を乗り越える事が出来ない。それでは新人騎手や次世代の馬が育たないし、競馬界も発展しない。そこで、定量戦や別定戦だけでなく、ハンデ戦も設ける事で、新人や次世代の馬を発掘しようと努めているのじゃないですか。一見、弱肉強食の実力主義に見える競馬ですら、不利なニューフェイスへのフォローもそれなりにちゃんとやっているのです。政党助成金も、それを本当に「民主主義のコスト」と考えるのであれば、これと同様に、むしろ小政党や無所属候補に厚く配分すべきじゃないでしょうか?
 ましてや、自分の党が助成金頼みなのを棚に上げ、共産党の「しんぶん赤旗」拡張を「押し売り」だとやり玉に挙げるのは、お門違いも甚だしいと言わざるを得ません。「国のひも付き」に頼らずに、自分の力で政党を運営してこそ、初めて本当の政党と言えるのです。政党助成金も、元は私たちの税金です。なぜ、支持してもない政党に助成金なぞくれてやらないといけないのでしょうか?これ以上、私たちの税金にたかるのは止めて下さい。他党の活動にケチをつける前に、自党の助成金漬け、ヒモ付き援助漬けの体質をまず見直すのが筋でしょう。

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未完の野党共闘

2017年10月15日 12時36分03秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

市民と野党の共闘候補240超 小池書記局長会見 共産党に一本化は160超(しんぶん赤旗)

 日本共産党の小池晃書記局長は6日、国会内で記者会見し、衆院選の小選挙区(289)で、安保法制=戦争法廃止、憲法9条改定反対など「市民と野党の共闘」の立場に立つ候補が240を超える選挙区で一本化され、そのうち共産党候補に一本化された選挙区が160を超える見込みであることを発表しました。また、比例代表の第5次候補10人を発表。これで比例代表候補は計65人となりました。
 一本化した小選挙区の「共闘」候補の所属の内訳は、ほかに、立憲民主党が約40人、社民党が13人、無所属が約20人、新社会党が1人となる見通しです。
 小池氏は「希望の党の誕生という逆流が持ち込まれる中でも、希望の党に合流しないみなさんが共闘の旗を守り続ける立場で努力した結果、全体として力を合わせてたたかっていく体制ができた」と強調。「共闘の旗をしっかり掲げて、安倍自公政権とその補完勢力である希望・維新に痛打をあびせるために頑張っていきたい」と決意を表明しました。
 小池氏は日本共産党が64の小選挙区で候補者を取り下げたことにもふれ、「大義のために決断していただいた候補者、合意をつくるために奮闘されたみなさんに、心からの感謝と敬意を申し上げたい」と表明。小選挙区への立候補を取り下げた候補者の方には、比例単独候補として奮闘することもお願いしたと述べました。(以下略)

 このように、赤旗は野党共闘の成果を手放しに礼賛していますが、私はむしろ、野党共闘はまだまだ不十分な域にとどまっていると感じています。なぜなら、まだ都市部を中心に、野党共闘が未成立の選挙区が29もあるからです。(上記資料参照)
 なるほど、29という数は、289ある衆院小選挙区全体の数からすれば、約1割にとどまっています。残りの9割については、野党共闘で闘われる布陣が構築できたという事で、これはこれで、貴重な成果だと思います。しかし、残り1割の共闘不成立の選挙区が、東京・大阪を中心に、まだ29も存在しているのです。
 都市部と言うのは、いわば「日本の顔」です。それは、日本の全人口の約1割が集中する東京の知事選挙や都議会選挙が、なぜ日本の縮図と言われるのかを考えれば、すぐに分ると思います。しかも、これらの選挙区には、自民党の大物閣僚が数多く存在します。これらの大物閣僚を落選に追い込む事が出来れば、そのインパクトは、到底1割の枠に収まるものではありません。安倍政権・自民党にとって大打撃となるはずです。その、せっかくのチャンスを、なぜ活かす事が出来なかったのか?返す返すも残念で、仕方ありません。

 それでは、上記の資料に沿って、個別の選挙区ごとに、もう少し詳しく観ていきましょう。

 まず、福島4区・5区で、共産党と社民党が競合してしまっています。先日も、福島原発事故の生業(なりわい)訴訟で、地域住民の生業を奪った東電を断罪する判決が出ました。しかし、生活や仕事を奪われた住民が、せっかく選挙で自民党に怒りをぶつけようと思っても、野党が競合していたのでは、また自民党に漁夫の利を与える事になってしまいます。
 東京では共闘未成立の選挙区が10もあります。
 まず、東京4区。ここでは、無国籍児童の問題を長年に渡って取り上げて来たNPO法人代表の井戸正枝氏が、立憲民主党から出ています。もし、ここで候補一本化に成功していたら、自民党にとって一大脅威になっていたはずです。同じ事は、東京21区についても言えます。ここでは、自衛隊のイラク派兵に抗議して外交官を辞任した天木直人氏が、諸派で出ています。ここも、一本化に成功していたら、希望に合流した民進右派で安保法制賛成派の長島昭久を、追い落とす事が出来たかも知れません。東京8区も、民進左派の円より子氏が、無所属で出ています。これに共産・立憲の二党が加われば、自民党の石原伸晃を追い落とす事も、夢ではなかったはずです。
 他にも、東京10区の若狭勝(希望)、東京11区の下村博文(自民)、東京24区の萩生田光一(自民)と、重鎮ぞろいじゃないですか。これらの「錚々(そうそう)たるメンバー」を落選に追い込む事が出来れば、どれだけスカッとするか。

 東京以外の関東や東海に目を転じれば、ここにも落選運動の対象になりそうな大物閣僚が、ワンサカいます。
 群馬5区には、政治資金規正法違反で大臣を辞任した小渕優子(自民)。神奈川2区には、安倍の下駄の糞で、官房長官の菅義偉(すが・よしひで、自民)。静岡1区にも、元法相の上川陽子(自民)。もし菅が落ちるような事にでもなれば、安倍政権はもう半身不随です。
 西日本に行くと、滋賀1区では元県知事の嘉田(かだ)由紀子氏が無所属で出ています。知名度抜群で、政治的にも、希望よりも、むしろ立憲民主党に近いと思われる同氏が、野党統一候補で出ていたら、自民党はひとたまりもなかったはずです。三重3区にも、元民主党幹事長の岡田克也氏が、無所属で出馬しています。現時点で無所属で出るという事は、必ずしも希望の党には合流しない事を意味します。同じ無所属で出る佐賀1区の原口一博氏(元民主党政権の総務相)を共産党は自主支援する事を決定したそうですが、それなら、なぜ岡田氏にも同じように対応しなかったのでしょうか?
 大阪も、4選挙区で、立憲民主党と共産党が競合しています。自民から共産まで束になってかかった大阪市長選や府知事選挙でも、維新の候補に勝てなかったのに、こんな状態で、果たして勝てると思うのでしょうか?

 そして、極めつけは山口4区。ここでは、加計学園獣医学部の問題を追及してきた今治の市民団体代表、黒川敦彦氏が、安倍首相に闘いを挑んでいます。しかも、希望も候補を擁立しています。ここで、共産党が黒川氏の支援に回れば、盤石の安倍王国でも、けっこう好勝負になったかも知れません。そうすれば、たとえ今回は勝つ事が出来なくても、「安倍必ずしも恐れるに足らず」と、政治変革の希望を有権者に与える事が出来、次の闘いにつなげる事が出来るかも知れません。
 不意打ちの解散劇に対して、準備が間に合わなかったという事情は分かりますが、それでも、もう少し何とかならなかったのでしょうか?今はもう、憲法改悪を阻止できるかどうかの瀬戸際にあるのですから。

  

 その中で、少し嬉しいニュースも。私が現在住んでいるのは大阪3区ですが、そこでは共産党の渡部(わたなべ)ゆい候補が、他の野党からも支援を得て、公明党の現職と対決しています。この10月11日も、地元の駅前で、たまたま同候補の選挙演説に遭遇しました。自由党の山本太郎さんや、元維新支持者で現在は反維新で活動している「民意の声」の浅野代表も、応援に駆け付け、熱弁をふるっておられました。「森友・加計問題もうウンザリと言う人も、今の自民党による国政私物化、安倍のお友達優遇に、私たちの税金が湯水のように使われる事は、決して許せないはずだ」という応援演説に、「8時間働けば普通に暮らせる社会へ」と大書された宣伝カーの文字が、ダブルワークを強いられる私の目や耳にも、すんなり入って来ました。
 相手は自公協力で臨んでいますが、下町の保守層の中には、必ずしも公明党を快く思わない人々もいます。今回は、そういう層から第三の候補が出るに至りました。もちろん、この候補も、安倍政権・自民党べったりであり、私にとっては「敵」でしかありません。しかし、この候補の「頑張り」如何によっては、意外な結果になるやも知れません。現に、前回の総選挙では、公明党の8万4千票に対し、渡部氏も6万3千票以上取っています。

 70年代のロッキード事件の時には7割以上あった投票率も、前回の衆院選では5割そこそこにまで落ち込んでしまいました。大政党に有利な小選挙区制によって、有権者が棄権や人気投票に流れた結果が、投票率の低下となって現れ、豊田真由子みたいな議員をのさばらせる結果になってしまっているのです。
 しかし、今さら、それを嘆いても始まりません。それならそれで、そんな選挙制度の下でも、勝てる選挙を展開しなければなりません。「希望の党」は、今やすっかり化けの皮がはがれてしまいましたが、せっかく、「希望の党」を見限った有権者を、再び自民党に先祖返りさせてしまうだけに終わったのでは、また森友・加計問題のような事が繰り返されてしまいます。その票の一部は立憲民主党にも流れているようですが、そのあおりで、今度は共産党の苦戦が伝えられています。これでは、限られたリベラル票を、ただ奪い合っているだけです。
 立憲民主党だけでなく共産党や社民党も票を伸ばし、野党共闘全体の裾野を広げない事には、今の日本を変える事はできません。その為には、選挙区だけでなく比例区も、ただ単に勝ち馬に乗るだけの「大義なき数合わせ」でなく、大義に基づく統一政策の追求や、統一候補名簿として戦う体制を作らなければならない段階に、もう来ているのではないでしょうか。

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花粉症ゼロをダシに改憲あおる奇亡の党

2017年10月11日 23時43分26秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

 立憲民主党に続いて、小池百合子率いる「希望の党」も選挙公約を発表しました。そこで、同党のHPに飛んで、早速その公約を見てみました。以下がその公約です。

 1 消費税凍結 景気回復を確実にするため、2年後の消費税増税を凍結します。
 2 議員定数・議員報酬の削減 国会議員みずから身を切る改革を断行し、「しがらみ政治」から脱却します。
 3 ポスト・アベノミクスの経済政策 徹底した規制改革と特区を最大活用し、民間の活力を生かした経済活性化を断行します。
 4 原発ゼロへ 「2030年までに原発ゼロ」を目指します。徹底した省エネで、エコ社会に変えていきます。
 5 雇用・教育・福祉の充実 正社員で働ける、結婚できる、子どもを育てられる社会。そこに少子化問題解決のカギがあります。
 6 ダイバーシティ社会の実現 すべての人が輝ける社会をめざします。特に女性、シニアの力をさらに生かします。
 7 地域の活力と競争力の強化 現場に任せれば元気になる。道州制を導入し、地域が自分で決めればムダもなくなる。
 8 憲法改正 憲法9条をふくめ憲法改正論議を進めます。国民の知る権利、地方自治の分権を明記します。
 9 危機管理の徹底 外交安全保障はもとより自然災害対策も強化し、国民の生命と主権を守る万全の備えを整えます。

 一見すると、「原発ゼロ」等の野党色の濃い公約も掲げているので、「希望の党」が、まるで自民党政治に対抗する受け皿であるかのように、錯覚する向きもあろうかと思います。しかし、実際はただの誇大広告に過ぎません。なぜなら、同党の公約からは、気迫が全然感じられないからです。まずは、「希望の党」の結党宣言と、それに相当すると思われる立憲民主党・枝野代表のメッセージを、両方掲げて互いに見比べてみましょう。

「希望の党」結党宣言(同党のHPより)

 私たちが希求するものは、党の利益ではなく、 議員の利益でもなく、国民のため、つまり国民が納める税の恩恵を全ての国民に届ける仕組みを強化することにある。
 国政を透明化し、常に情報を公開し、国民と共にすすめる政治を実現する。
 既得権益、しがらみ、不透明な利権を排除し、国民ファーストな政治を実現する。
 国民ひとりひとりに、日本に、未来に、希望を生むために。 (以上引用)

「枝野代表メッセージ」(立憲民主党HPより)

 日本社会は危機の中にあります。
 分断と排除の政治が行われ、立憲主義が壊されています。
 社会の多様性が脅かされ、国民の大切な情報が隠蔽(いんぺい)されています。
 一握りの人たちがトップダウンで物事を決めてしまう、傲慢(ごうまん)な政治が横行しています。
 政治は、政治家のためでも政党のためでもなく、国民のためにあるものです。
 今の政治に怒りや危機感を持つ、多くの国民の声に応え、政治の流れを転換させたい。
 この国に暮らす多様な一人ひとりとの対話を通じて誰もが自分らしく生きられる社会をつくりたい。
 その決意をもって、私たちは、立憲民主党を立ち上げました。
 国民のみなさんの日常の暮らし、現場のリアルな声に根ざした、ボトムアップの政治を実現する。
 それが私たちの描く、日本の未来です。
 右でも左でもなく、前へ。(以上引用)

 そもそも、まだ議員の任期が1年以上も残っているのに、わざわざ衆議院を解散して、選挙をしなければならない理由は何ですか? なるほど、安倍首相は、「北朝鮮のミサイル」がどうの、そのために「憲法改正」が必要だの、ついでに「消費増税の延期」や「教育無償化」「働き方改革」の判断も仰がなくてはならないとか、色々言っています。でも、そんなものは、今でも自民・公明の与党だけで3分の2以上の国会議席を持っているのですから、別にわざわざ今、解散しなくても、その気になればいつでも出来ます。現に、秘密保護法も戦争法(安保法制)も共謀罪法案も、全部、別にそのために解散・総選挙なぞせずに、強行採決でやってのけたじゃありませんか。

 それが、なぜ今回だけ、わざわざ急に解散・総選挙に踏み切ったのか?森友・加計の疑惑隠ししか考えられないじゃないですか。この疑惑が明るみに出て以降、安倍内閣の支持率はどんどん下がり続けていました。ところが、ここに来て北朝鮮ミサイル騒動を機に、再び内閣支持率が回復する兆しを見せて来ました。それとは対照的に、野党は民進党が山尾問題でまた混乱に陥っています。そこで、一旦ここで解散してしまえば、また後4年は安泰だと、一か八かの賭けに出たのでしょう。

 だから、今回の選挙の最大の焦点は、そんな「安倍による国家の私物化を許すのかどうか?」、これしかありません。もちろん、「北朝鮮」や「憲法改正」も重要な問題です。しかし、それなら尚更の事、強行採決や解散なんかでウヤムヤにせずに、国会で「国民に丁寧に説明」する必要があったのではないでしょうか?

 その真の争点に、立憲民主党の方は、「これ以上、安倍首相による国家の私物化を許してはいけない」と、ちゃんと応えています。少なくとも、森友・加計疑惑の究明を求める国民の声に、ちゃんと向き合おうとしています。ところが、「希望の党」の方はと言うと、「既得権益、しがらみ」がどうたら、「国民ファースト」がこうたら、抽象的な言葉を並べ立てるだけで、肝心の「森友・加計疑惑の究明」については、何も触れないじゃないですか。それは、立憲民主党の公約と見比べてみると、さらにはっきりします。

「国民との約束」(立憲民主党の選挙公約、同党HPより)

 1 生活の現場から暮らしを立て直します
 ① 長時間労働の規制、最低賃金の引き上げ、同一価値労働同一賃金の実現
 ② 保育士・幼稚園教諭、介護職員等の待遇改善・給与引き上げ、診療報酬・介護報酬の引き上げ、医療・介護の自己負担の軽減
 ③ 正社員の雇用を増やす企業への支援、赤字中小企業・小規模零細事業者に対する社会保険料負担の減免
 ④ 児童手当・高校等授業料無償化ともに所得制限の廃止、大学授業料の減免、奨学金の拡充
 ⑤ 所得税・相続税、金融課税をはじめ、再分配機能の強化

 2 1日も早く原発ゼロへ
 ① 原発ゼロを1日も早く実現するための「原発ゼロ基本法」制定
 ② 成長戦略としての再生可能エネルギー・省エネ技術への投資拡大と分散型エネルギー社会の実現
 ③ パリ協定にもとづく地球温暖化対策の推進

 3 個人の権利を尊重し、ともに支え合う社会を実現します
 ① あらゆる差別の禁止―LGBT差別解消、性暴力被害者を守る支援センターの設立、選択的夫婦別姓の実現、国政選挙へのクォータ制の導入
 ② 障がい者差別解消法の運用強化、手話言語法の制定推進
 ③ 自殺に追い込まれることのない社会の実現
 ④ 子どもに引き継がれてしまう貧困の連鎖を断つための教育生活支援、虐待をなくすために児童相談所や児童養護施設、民間団体との協働を強化
 ⑤ ギャンブル依存症に対する莫大な社会コストを生じさせ、マネーロンダリングの温床となり治安を悪化させるカジノ解禁に反対

 4 徹底して行政の情報を公開します
 ① 政府の情報隠ぺい阻止、特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正による行政の透明化
 ② 議員定数の削減、企業団体献金の禁止と個人献金の促進
 ③ 中間支援組織やNPO団体を支援する「新しい公共」の推進
 ④ 公務員の労働基本権の回復、天下り規制法案の成立
 ⑤ 取り調べの可視化をはじめ、国民から信頼される司法制度の確立

 5 立憲主義を回復させます
 ① 専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪に反対
 ② 領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法強化により、主権を守り、専守防衛を軸とする現実的な集団安全保障政策を推進
 ③ SACO合意から20年たっても実現できていない現実や米軍再編による状況変化を踏まえ、辺野古移設について再検証をし、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す
 ④ 北朝鮮の核実験・弾道ミサイル発射は極めて深刻な脅威であり、断じて容認できない。北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力を強める。平和的解決に向け、外交力によって北朝鮮の核・ミサイル放棄を訴え、最後の一人まで拉致問題の解決に取り組む
 ⑤ 共謀罪(テロ等準備罪)の廃止、水際対策など真に実効性あるテロ対策の実施(以上引用)

 「希望の党」の公約とは全然違いますね。「希望の党」の公約の中で、貧困・格差の是正について触れているのは、5番目の「雇用・教育・福祉の充実」だけです。
 しかし、本当に「雇用・教育・福祉の充実」や「ダイバーシティ(多様性)社会の実現」を目指すなら、貧困・格差の問題は避けて通れないはずです。派遣切りや先進国最低クラスの最低賃金、今やデリヘルが福祉施設と化してしまっているシングルマザーの貧困、大学を卒業しても奨学金が払えずサラ金並みの返済に追われる学生の貧困、母子や一人暮らしの高齢者の孤独死もありふれた光景になってしまった、この日本で、まず解決すべきなのは、これらの国民の生き死にに関わる問題でしょうが。抽象的な「しがらみ政治からの脱却」なんかではなく。

 個人の権利が尊重される社会を実現するには、安倍政権による国家の私物化、憲法無視の政治をまず変えなければならない。国家機密の名で何でも隠ぺいするのではなく、情報公開を推進しなければならない。お友達優遇ではなく公平で民主的な、憲法に基づく政治をしなければならない。「右でも左でもない、ボトムアップの政治」に立脚してこそ、初めて「しがらみ政治からの脱却」も実現できる。だから、私たちは「希望の党」などという抽象的な名前ではなく、「立憲=憲法を守る」「民主」という党名にしたのだ…公約の内容が具体的で、それぞれの内容に一貫性があります。

 もちろん、立憲民主党の公約にも、異論がある点はいくつかあります。例えば、「議員定数の削減」だけでは「国民主権の否定」にしかなりません。「給料泥棒の議員を減らせ」だけでは、最後には「国会全廃」に行き着いてしまいます。問題は議員の数ではなく質の低さにあるのですから、そんな世襲議員やタレント議員を生み出さないような選挙制度に変える事でしか、この問題は解決しません。
 そういう不十分な点はありますが、それでも全体的に観たら、今までの日本の新党の中では、一番まともな公約だと思います。

 それに対し、「希望の党」の公約や、小池代表の実際の言動はどうか?
 なるほど、「希望の党」公約の各項目も、それぞれ細かな小項目に分かれ、立憲民主党の公約以上に細かな内容がズラズラと書かれています。ここでは、いちいちそこまで紹介しませんでしたが。でも、いくら読んでも、書かれている事がバラバラで、他の項目の公約とどう繋がっているのか、全然分からないのです。

 例えば、「地方分権の推進」を言いながら、別の所では「安保法制も日米同盟も強化する」と言っています。では、沖縄の人々が普天間米軍基地の辺野古移設に反対したら、「地方分権」で認めてくれるのか?絶対に認めないでしょう。いくら「地方分権」と言っても、あくまで国家統制の範囲内に限られるのです。
 そもそも、本当に「地方分権」が大事だと思うなら、なぜ連邦制にしないのか?広大な多民族国家でなければ、連邦国家にしてはいけない理由なんて、一つもありません。日本よりも狭く、移民以外は少数民族なんてほとんどいないドイツも、実は「ドイツ連邦共和国」という連邦国家です。それは何故か?ナチスによる全体主義に対する反省からです。なのに、小池百合子も橋下徹も、せいぜい「都民ファースト」や「大阪都構想」「道州制」どまりで、連邦制を主張しないのは何故なのか?はっきり言ってやりましょう。自分が「地方のナチス」として君臨したいからです。ただそれだけです。
 そんな「地方分権」なら、安倍政権にとっては、むしろ好都合です。「地方の事はお前らの責任でやれ。ワシは知らん」と逃げれますから。その上で、「米軍基地や原発の誘致を決めるのは、あくまでもワシや。お前らはそれに必要な道路や水道を、どのように負担するか決めるだけの権限しかないのだ。どの教育予算を削って回せば良いか、決めてくれれば良い。いくら地方分権と言っても、所詮その程度のものだ」という事です。

 他の公約も、言っている事が矛盾だらけじゃないですか。「原発ゼロ」を言いながら、今の原発の再稼働は容認しているのですから。今でも、稼働している原発はたった5基なのに。ドイツでは、今や、エネルギー源の2割から3割以上が自然・再生エネルギーです。別に2030年まで待たなくても、その気になれば直ぐにでも実現できるのです。要はやる気の問題です。
 他にも、「ダイバーシティ社会実現で多様性が大事」と言いながら、民進党との合流に際しても、リベラル議員は最初から門前払い。門前払いしたのはリベラル派だけで、極右で原発推進の「日本のこころ」出身の中山恭子はフリーパス。「しがらみ政治からの脱却」と言いながら、まるで結婚サギで結納金だけ召し上げるみたいな真似をして、民進党の前原代表から政党助成金だけだまし取って。情報公開を看板に掲げながら、議員のインタビューも飲み会も禁止して離党者続出。雇用や福祉の問題も、小池たちにとっては、人権保障とは無関係の、「少子化対策」という国策遂行のネタでしかない。言ってる事とやってる事が全然違う。

 

 そして、公約の道しるべとも言うべき「12のゼロ」(上記参照)に至っては、もう有権者をバカにしているとしか思えません。①原発ゼロ ②隠ぺいゼロ ③企業団体献金ゼロ ④待機児童ゼロ…までは、まだ良いでしょう。しかし、その次の、⑤受動喫煙ゼロ ⑥満員電車ゼロ ⑦ペット殺処分ゼロ ⑧フードロスゼロ ⑩花粉症ゼロ ⑪移動困難者ゼロ ⑫電柱ゼロ…に至っては、「そんな事の為に、わざわざ何百億円もかけて解散するのか?」と言う他ありません。
 しかも、⑨ブラック企業ゼロが、⑤受動喫煙や、⑥満員電車や、⑦ペット殺処分のゼロより、後回しなのですよ。⑪災害による移動困難者の問題も、最大の被災民である原発事故からの避難者の問題を、避けて通る事はできないはずです。それらの人たちの人権が、なぜペット以下なのか?小池、お前は犬公方か! 

 これらの公約の立て方を見て、戦前の教育勅語と非常によく似ているなと思いました。教育勅語も、「親を大切にしろ」「よく勉強しろ」等の、一見当たり障りのない徳目が、前の方にずらっと並んでいるでしょう。しかし、それらの徳目は、最後の「戦争になったら我が身を捨てて天皇陛下を守れ」という徳目を、補強するものでしかなかった。「親を大切にする」のも「よく勉強する」のも、ひたすら「お国」や「天皇陛下」や「自分の出世」のためでしかない。

 ここで、もう一度、最初の「希望の党」の公約をよく見て下さい。小池が本当に実現しようとしている公約は、7番目の「地域の活力と競争力の強化」(弱肉強食の競争・格差社会へ)、8番目の「憲法改正」、9番目の「危機管理の徹底」(国家統制の強化)だけなのです。これらが、「教育勅語」でいう所の「お国の為に死ね」に当たる幹の部分です。それ以外の「消費増税凍結」や「原発ゼロ」、「花粉症ゼロ」等などの公約は、それを覆い隠すための「親を大切に」等の当たり障りのない、小池にとっては単なるリップサービスに過ぎないのです。もう「毒まんじゅう」公約そのものじゃないですか。

 そもそも、何で立憲民主党のように、具体的な理想を党名に掲げる事が出来ないのか?「希望の党」という、いちいちカッコで括らないと表記できないような、抽象的な党名しか掲げる事が出来ないのか?およそ政党である以上は、どんな党でも、その党の理想を党名に掲げるものです。その理想=「希望」の中身こそが大事なのに。なぜ掲げる事が出来ないのか?これも、はっきり言ってやりましょうか。「自分が日本のヒットラーになる事しか考えていないから」です。これでは「国民ファースト」ならぬ「小池ファースト」、「希望の党」ならぬ「奇亡の党」でしかない。

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拡散:立憲民主党の総選挙公約

2017年10月08日 06時25分56秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

※携帯でも公約を読める様に、画像の下に当該ページの公約全文を追記(転記)しました。

まっとうな政治。「国民との約束」―立憲民主党政策パンフレット

日本社会は危機の中にあります。
分断と排除の政治が行われ、立憲主義が壊されています。
社会の多様性が脅かされ、
国民の大切な情報が隠蔽(いんぺい)されています。
一握りの人たちがトップダウンで物事を決めてしまう、
傲慢(ごうまん)な政治が横行しています。
政治は、政治家のためでも政党のためでもなく、
国民のためにあるものです。
今の政治に怒りや危機感を持つ、多くの国民の声に応え、
政治の流れを転換させたい。
この国に暮らす多様な一人ひとりとの対話を通じて
誰もが自分らしく生きられる社会をつくりたい。
その決意をもって、私たちは、立憲民主党を立ち上げました。
国民のみなさんの日常の暮らし、現場のリアルな声に根ざした、
ボトムアップの政治を実現する。
それが私たちの描く、日本の未来です。
右でも左でもなく、前へ。

 立憲民主党 代表  枝野幸男

 

1 生活の現場から暮らしを立て直します

 アベノミクスの成果は上がらず、国民の所得を削り、中間層を激減させたままでは、本当の意味で活力ある経済は再生しません。誰もが安心して暮らせる社会のビジョンを示さなければいけません。保育・教育、医療・介護の各分野の賃金を底上げします。女性に対する雇用・賃金差別をなくします。社会全体ですべての子どもの育ちを支援します。将来的な国民負担を議論することは必要ですが、直ちに、消費税率10%へ引き上げることはできません。実質賃金の上昇によって中間層を再生します。
 また、地方の基幹産業である第一次産業を支え、食と地域の安全を守ります。

① 長時間労働の規制、最低賃金の引き上げ、同一価値労働同一賃金の実現
② 保育士・幼稚園教諭、介護職員等の待遇改善・給与引き上げ、診療報酬・介護報酬の引き上げ、医療・介護の自己負担の軽減
③ 正社員の雇用を増やす企業への支援、赤字中小企業・小規模零細事業者に対する社会保険料負担の減免
④ 児童手当・高校等授業料無償化ともに所得制限の廃止、大学授業料の減免、奨学金の拡充
⑤ 所得税・相続税、金融課税をはじめ、再分配機能の強化

2 1日も早く原発ゼロへ

 原発ゼロを単なるスローガンとして語る次元はとうに過ぎています。原発ゼロは、未来に対する私たちの世代の責任です。再稼働は現状では認められません。原発の稼働がなくとも日本経済は成り立ちます。再生可能エネルギーや省エネ等の技術開発によって、もはや原発ゼロはリアリズムです。
 東京電力福島第一原発事故の被害者に責任ある対応を取り、原発立地自治体への対策、使用済み核燃料の処理などに関する具体的なロードマップを示す原発ゼロ基本法を策定し、1日も早く原発ゼロを実現します。

① 原発ゼロを1日も早く実現するための「原発ゼロ基本法」制定
② 成長戦略としての再生可能エネルギー・省エネ技術への投資拡大と分散型エネルギー社会の実現
③ パリ協定にもとづく地球温暖化対策の推進

3 個人の権利を尊重し、ともに支え合う社会を実現します

 日本はすでに高度成長を経験した成熟社会です。画一的で、大量生産型の社会モデルから、個性や独創性を活かした社会モデルへと移行しなければなりません。人種や性などによる違いを尊重し、社会を彩る多様性こそが、その社会を豊かで、活力あるものにするのです。LGBT差別解消、選択的夫婦別姓やクォータ制の実現などによって、互いに支え合う、社会的な包摂を実現します。

① あらゆる差別の禁止―LGBT差別解消、性暴力被害者を守る支援センターの設立、選択的夫婦別姓の実現、国政選挙へのクォータ制の導入
② 障がい者差別解消法の運用強化、手話言語法の制定推進
③ 自殺に追い込まれることのない社会の実現
④ 子どもに引き継がれてしまう貧困の連鎖を断つための教育生活支援、虐待をなくすために児童相談所や児童養護施設、民間団体との協働を強化
⑤ ギャンブル依存症に対する莫大な社会コストを生じさせ、マネーロンダリングの温床となり治安を悪化させるカジノ解禁に反対

4 徹底して行政の情報を公開します

 知ること、議論すること、そして声を上げること。それは民主主義の根本です。しかし、2012年に安倍政権が誕生してから、政治は一部の権力者に私物化され、大切な情報が隠蔽されてきました。私たちは、現在の政治に違和感や怒り、不満を持つ人たちの声を、しっかりと受け止めます。適切なルールにもとづいて情報を公開し、オープンでクリーンな政治を実現します。

① 政府の情報隠ぺい阻止、特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正による行政の透明化
② 議員定数の削減、企業団体献金の禁止と個人献金の促進
③ 中間支援組織やNPO団体を支援する「新しい公共」の推進
④ 公務員の労働基本権の回復、天下り規制法案の成立
⑤ 取り調べの可視化をはじめ、国民から信頼される司法制度の確立

5 立憲主義を回復させます

 アジア、そして世界の中で、国際協調にもとづく、日本の安全保障に関する基本姿勢を守ります。2015年に強行採決された違憲の安保法制の問題をうやむやにしたままに、理念なき憲法改正が叫ばれています。専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪とは、徹底的に闘います。現下の安全保障環境を鑑み、領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法の強化をめざします。基本的人権の尊重、立憲主義、民主主義といった原則は、決して揺るがしません。解散権の制約や知る権利など、この原則を強化するための憲法論議を進めます。

① 専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪に反対
② 領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法強化により、主権を守り、専守防衛を軸とする現実的な集団安全保障政策を推進
③ SACO合意から20年たっても実現できていない現実や米軍再編による状況変化を踏まえ、辺野古移設について再検証をし、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す
④ 北朝鮮の核実験・弾道ミサイル発射は極めて深刻な脅威であり、断じて容認できない。北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力を強める。平和的解決に向け、外交力によって北朝鮮の核・ミサイル放棄を訴え、最後の一人まで拉致問題の解決に取り組む
⑤ 共謀罪(テロ等準備罪)の廃止、水際対策など真に実効性あるテロ対策の実施

地域を立て直す

 地域の基幹産業である農林漁業を守り、地域の多様な暮らしを支えます。

・農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化、資源管理による漁業の活性化、森林の適切な管理と保全、森林・林業再生プランに基づく林業の発展
・地域の自治体と住民の自主的な取り組みを支援する一括交付金の復活
・地域の公共交通を活性化し、社会参加の機会が保障される地域の実現

災害からの復興

 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、私たちにとっての原点です。復興を支え、被災したコミュニティの未来への歩みを応援します。過去の災害から学び、減災の取り組みを進めます。

・東日本大震災からの復興、被災地再生に向けた取り組みの一層の強化、地域の声に応える支援の実施
・東京電力福島第一原発事故により分断されたコミュニティの再生支援
・自主避難者を含む避難者の生活支援
・全国的な災害対策の拡充

立憲主義とは

 立憲主義とは、政治権力が独裁化され、一部の人たちが恣意的に支配することを、憲法や法律によって抑制しようという立場です。
 立憲民主党とは、日本に立憲主義を回復させ、互いの違いを認め合い、ともに支え合う社会を実現する政党です。

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21世紀の自由民権運動

2017年10月08日 00時44分59秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

【転載】立憲民主党枝野幸男有楽町演説 【立憲民主党公式Twitterより】

 民進党が、前原代表の鶴の一声で「希望の党」への合流を決め、野党共闘から撤退してしまった時は、もう安倍政権の暴走を止めるのは無理だという気持ちになってしまっていました。

 何故なら、「希望の党」も安保法制や憲法改正に賛成で、基本路線は自民党とほとんど変わらないからです。確かに、「希望の党」の選挙公約には、自民党にはない「脱原発」や「消費増税凍結」などの主張もあります。しかし、その中身はと言うと、「既存原発の再稼働を認めた上での将来の脱原発」「消費増税の必要性を認めた上での若干の先送り」でしかありません。この程度の事なら、安倍政権ですら、今まで口先では言ってきました。

 もし、今度の選挙で自民党の議席が減り、代わりに「希望の党」の議席が増えても、自民党にとっては痛くもかゆくもありません。それどころか、自民・公明両党に加え、自民党と基本路線を同じくする「希望の党」や「日本維新の会」も連立に加わるとなると、もう戦前の大政翼賛会みたいな事になってしまいます。

 しかし、この世の中もまだまだ捨てたものではありません。再び「大どんでん返し」が起こります。一旦は民進党の「希望の党」への合流方針を認めた様に思われた党内のリベラル派が、「希望の党」から「安保法制・改憲賛成」の踏み絵を迫られる中で、それに対抗して、立憲民主党という新たな党を立ち上げるに至りました。

 立憲民主党の「立憲」というのは、「憲法に立脚する」「憲法に基づく政治を進める」という意味です。具体的には、憲法違反の安保法制や共謀罪法(改正組織犯罪処罰法)、秘密保護法の廃止を始め、4野党(民進・共産・自由・社民)と市民団体(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)で確認された7項目の合意事項(注)に沿った政治を進めるという事です。尚、ここで言う4野党とは、国会に議席を持つ前記4党の事ですが、これは別に国会だけに限った話ではありません。それ以外の革新系の政党(新社会党・沖縄社会大衆党など)や無所属の人々にも、もちろん野党共闘の門戸は開かれています。

(注)7項目の合意事項

1 憲法違反の安保法制を上書きする形で、安倍政権がさらに進めようとしている憲法改正とりわけ第9条改正への反対。
2 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律の白紙撤回。
3 福島第一原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めず、新しい日本のエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
4 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。
5 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能にするための保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的に拡充すること。
6 雇用の不安定化と過密労働を促す『働き方改革』に反対し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立すること。
7 LGBT(レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)に対する差別解消施策をはじめ、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員男女同数化を実現すること。

 以上、10.3【衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望】(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合HP)より。

 今、一部の御用メディアやネット右翼は、この合意に対して、盛んに「リベラル」「極左」「反日」などのレッテル張りに出て来ています。その物言いたるや、まるで過激派、テロリスト扱いに近いものがあります。しかし、この合意のどこが「極左」「反日」なのでしょうか?むしろ、ほとんどの国民が望んでいる事ではないですか。

 「リベラル」という言葉に対しても、一部の御用メディアやネット右翼からは、「極左」や「反日」と同じ意味合いで捉えられる様になってしまいました。安保法制や改憲に反対し、「希望の党」から合流を拒否された人々に対して、「リベラル派」と一くくりに捉え、まるで一つのイデオロギーに凝り固まった人々であるかの様な印象操作が、執拗(しつよう)に行われています。

リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ(夕刊フジZAKZAK)
三浦瑠麗氏、細るリベラルに「改憲の流れは止まらない」(朝日新聞デジタル)

 しかし、元々「リベラル」と言うのは、「自由主義的」という意味です。「リベラリズム(liberalism)」の訳が「自由主義」ですから。もっと言えば、今の与党の自由民主党(the Liberal Democratic Party=LDP)も、表向きは「自由」で「民主」的な社会を目指す為に結成されたはずです。ところが実際は、「自由」でも「民主」的でもなく、戦前の大日本帝国を懐かしむような、ゴリゴリの保守反動の復古主義者の集まりでした。そんな人たちがずっと日本に居座って来たからこそ、日本国憲法の理想が戦後70年以上も経っても全然実現しないのじゃないですか。ブラック企業や過労死も野放しで、平和国家を自称しながら核兵器禁止条約の批准にも背を向けて来たのではないですか。

ノーベル平和賞にNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(朝日新聞デジタル)
政府、「平和賞」にコメント出さず、外務相幹部「立場違う」(同上)

 上記7項目の合意事項の中の、2項目目に「安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律の白紙撤回」とあります。憲法に定められた取り決めに反して、強行採決で強引に採択された法案を一旦白紙に戻しましょう、という意味です。憲法を政府が守らなくて一体どうするのですか?憲法を守らない政府や政治家が、国民に対して「法律やルールを守れ」と説教する資格があるのでしょうか?こんな当たり前の事を、何故わざわざ今頃書かなければならないのでしょうか?

 枝野幸男さんが、何故、新党の名前を「立憲民主党」とし、「再び立憲主義をスローガンとして掲げなければならない時代になってしまったのは何故なのか?」と、ブログ冒頭に掲げた動画の前段で訴えていた事の重大さを、今一度かみしめたいと思います。その上で、後段で「今はもう上から抑えつけるのではなく、下からの声で政治を動かせる時代になった」と訴えていたのが、非常に印象に残っていました。

 今までの新党は、どの党も、「日本新党」「さきがけ」「未来」「維新」「希望」「何ちゃらファースト」のように、抽象的で当たり障りのない名前や大衆受けのする名前で、適当に公約を掲げて、選挙の後はまた離合集散を繰り返す、そんな事の繰り返しでした。その中で、朴訥(ぼくとつ)で地味ではあっても、「立憲民主」という明確な立場を掲げ、右翼的でマッチョな事さえ言えば、それだけで人気が出る様な薄っぺらな風潮の中でも、あくまでも庶民目線で、誰もが納得できる公約を掲げる。この党こそ、共産党と並ぶ野党共闘のもう一方の雄として、もっと伸びて行って欲しいと思います。

 そもそも「立憲主義」なんて、今から100年以上も前の明治時代に、自由民権運動の指導者が掲げたスローガンじゃないですか。明治維新の後も、薩摩や長州出身の士族による政権たらい回しの政治が行われました。農民は江戸時代と変わらない年貢や重税に苦しめられ、それに反対する一揆も全国に広まりました。当時の一大疑獄事件である北海道開拓使官有物払下げ事件も、今の森友・加計問題と全く同じ様な内容です。その中から、国会開設、立憲政治を求める声が広がりましたが、天皇主権の憲法と制限選挙で抑え込まれてしまいました。しかし今は当時とは違い、国民主権や基本的人権の尊重をうたった日本国憲法があります。

 立て上げてまだ一週間ぐらいしか経っていない立憲民主党のツイッター・フォロワー数が、既に10万以上を突破し、自民党も追い抜き、全政党のトップに躍り出ました。フォロワー数というのは、一言で言えば公式ツイッターの読者数の事です。これこそが草の根の民主主義の運動、21世紀の自由民権運動ではないでしょうか。

 ところが、それに対して、「水増しされた数だ」「金で買われたツイッターだ」の、「アカウント(名前)だけ貸して肝心のツイート(つぶやき)を一言も発しない成りすまし投稿だ」だのと言ったネガティブ・キャンペーンが広まりました。しかし、よくよく調べてみると、それは「成りすまし」でも何でもなく、他の党のフォロワーにも一定存在する「いいね!」(賛同の意思表示)投稿の様なものに過ぎない事が明らかになりました。まだまだツイッターに不慣れな人も多い中で、慣れないツイッターに戸惑いながらも、精一杯賛同の意思表示をした投稿者を「成りすまし」呼ばわりする事の方が、よっぽど傲慢(ごうまん)で反民主的ではないでしょうか。

【検証】急成長の立憲民主党Twitter「フォロワーを購入」は本当か?(BuzzFeed Japan)

 マスコミでは、「自民・公明」「維新・希望」「立憲民主・共産・自由・社民」の3極が、今回の衆院選の対立構図のように言われています。しかし、そのマスコミも、「自民・公明」と「維新・希望」の両極間は連携関係にあり、「選挙後は連立を組むかも知れない」と書かれています。つまり、「似た者同士」です。「維新・希望」は、決して野党なんかではありません。「隠れ与党」「隠れ自民」です。だから、対立構図も3極ではなく2極です。そして、バラバラなのも、共闘関係にある「立憲民主・共産・自由・社民」4党ではなく、むしろ面従腹背の「自民・公明」「維新・希望」4党の方です。分裂しているのは、野党ではなく、むしろ与党と「隠れ与党」の方ではありませんか。

 

上記画像はいずれも10月3日付朝日新聞より。左が記事本文、右がそこに添付された構図対立の説明図。 

 一時は自民党の対抗馬と目された「希望の党」も、安保法制・改憲賛成を踏み絵に、合流を望む民進党議員を選別にかけた事で、しょせんは自民党の応援団に過ぎない事が、すっかりバレてしまいました。代表の小池都知事も、あれだけ見直すと言っていた築地市場の豊洲移転も、結局は従来通り移転推進に終わってしまいました。そして、「都政の一丁目一番地」と言っていた情報公開も、党内の議員同士の飲み会すら分派活動呼ばわりして禁止してしまい、それに反発して離党する議員まで出る始末です。こんな党に合流しても、「安倍政権の暴走に歯止めをかける」(民進党・前原代表)事なぞ出来る訳がないでしょう!

音喜多駿(おときた・しゅん)都議が小池百合子都知事に対する疑念明かす 「メディア出演規制」なども告発(J-CASTニュース)

 下記の記事によると、既に240を超える衆院小選挙区で野党共闘の候補が一本化される見込みだそうです。安倍首相はヤジを恐れて選挙遊説の日程も明らかに出来ない所まで追い詰められています。こんな事はもう前代未聞です。そんなにヤジられるのが嫌なら、ヤジられるような事なぞしなければ良いのです。ヤジられるような事を、今まで散々して来たからこそ、ヤジられるのです。はっきり言って「自業自得」です。そのヤジを恐れて選挙遊説も出来ない首相に、今後も日本を任せられるでしょうか?今度の選挙で、是非とも安倍やその隠れ応援団どもに一泡吹かせたいものです。

市民と野党の共闘候補240超 小池書記局長会見 共産党に一本化は160超(しんぶん赤旗)
安倍晋三首相の遊説にヤジや妨害相次ぐ 非公表のはずが…ツイッターで飛び交う日程(産経新聞)
キレた首相「こんな人たちに負けない!」国民に応酬(日刊スポーツ)

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