

新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。
市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。
1 憲法に基づく政治の回復
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。
2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。
・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。
・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。
3 格差と貧困を是正する
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。
・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。
・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。
4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。
・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。
・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。
・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。
5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。
・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。
・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。
6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。
・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。
・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。
2021年9月8日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
立民新代表に泉氏 党役員半数、女性を登用ー共産との合意「存在せず」(時事通信)
立憲民主党代表選は30日、東京都内で開かれた臨時党大会で投開票され、決選投票の結果、泉健太政調会長(47)が逢坂誠二元首相補佐官(62)を破り、新代表に選出された。泉氏は直ちに党役員人事に着手。週内に骨格を固める。代表選で戦った3候補を起用するとともに、半数は女性とする方針だ。任期は2024年9月末まで。
泉氏は、衆院京都3区選出で当選8回。旧国民民主党出身で国対委員長や政調会長を歴任。昨年9月の代表選で枝野幸男前代表と戦った。泉氏は先の衆院選敗北を受けた党勢の立て直し、来年夏の参院選への対応など、野党第1党の党首として重責を担う。
泉氏は記者会見で、先の衆院選で共産党と合意した「限定的な閣外協力」に関し、「単に継続ではなく、党として総括しなければならない」と指摘。「衆院選に向けて交わしたもので現時点で何かが存在しているということでない」と述べた。参院選での野党共闘については「塊をつくるところを目指していく」と述べるにとどめた。
これに先立つ代表選の演説で、参院選対策本部を設置する考えを表明。先の衆院選で惜敗した候補を年内に1次公認する方針を示した。
泉氏はこの後のBS―TBS番組で、代表選の3候補を幹事長に起用するかを問われ、「可能性はある」と言及。世代交代に向け、若手を党役員に積極登用する考えも示した。
代表選は、泉、逢坂両氏、小川淳也元総務政務官(50)、西村智奈美元厚生労働副大臣(54)の4氏によるポイント制で争われた。泉氏は1回目の投票でトップとなったが過半数に届かず、2位の逢坂氏との決選投票となった。(2021/11/30-21:36)
衆院大阪3区(大阪市住之江区・住吉区・西成区・大正区)の公明党候補者ポスターが公示日を境に一斉に張り替えられました。それまでの岸田首相とのツーショットから党の実績強調型に。政党の中で公明だけ何故張り替えなのか?先の大阪住民投票で、公明党が都構想に反対から賛成に変節した事で、自民支持層の離反に直面し狼狽したからか?あるいは岸田首相の思いの他の不人気ぶりをいち早く察知し、「岸田隠し」に出たからか?(左上:公示前、右上:公示後の公明党ポスター)


自民党の新総裁に岸田文雄氏が選出されましたが、私はこの人には何も期待しません。
そもそも自民党総裁選そのものが茶番劇ではないですか。新総裁は党員・党友票382票と国会議員票380票の合計で過半数を取った候補2名の決選投票で決まったそうですが、110万の党員・党友と382人の自民党国会議員が、何故同じ380票台なのか?国会議員は1人1票の値打ちがあるが、1党員は国会議員の約2800分の1の値打ちしかない(110万÷382)って、もう差別そのものじゃないですか。それで、党員・党友票では河野氏が第1位で岸田氏は第2位だったのに、国会議員の票で首位が逆転してしまったのでは、党員の意向が全然反映されていないじゃないですか。
もともと自民党自体が、与党とはいえ一政党にしか過ぎないのに、その一政党の代表選挙を、まるで国家の一大事であるかのように報じるマスコミ自体に私はうんざりしていましたが、それを脇においても、これでは余りにも党員が可哀そうです。党の主人公はあくまで一人一人の党員であるはずです。それが本来の民主主義です。ところが、この総裁選では国会議員が、党員の2800倍もの投票権を行使しています。国会議員なんて党の要職でも何でもなく、ただの有権者の代表に過ぎないのに。こんな不公平な規定に、マスコミや国民だけでなく当の党員も、よく黙っているなと思います。
おまけに選出過程も無茶苦茶です。自民党総裁選挙には次の4人の方が立候補しました。河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子。4人とも自民党員なので、政策も大筋では違いはありません。憲法改正も消費税も言っている事は4人とも同じです。森友問題の再調査を表明しているのも野田氏1人だけです。他方で、経済政策では、岸田氏は「これまでの新自由主義的なやり方を見直す」と言い、他の3人とは明らかに違っていました。
新自由主義とは、一言で言えば規制緩和です。「政府は企業のやる事に口出しするな。何でも企業に任せていたら上手くいく。法人税引き上げで福祉国家を目指すなぞ邪道だ。政府はもっと企業活動を後押しすべきだ」という考え方です。今までは、この考え方に基づき、法人税を引き下げ消費税をその穴埋めに使って来ました。規制緩和で、非正規雇用もどんどん増やして来ました。それに異を唱えたのは、4人の中では岸田氏だけでした。
自民党総裁選第1回投票で、岸田氏が256票で首位、河野氏は1票差で2位、高市氏が上位2人には引き離されながらも200票近く得票し3位、野田氏は3人から大きく引き離され4位に終わりました。しかし、4人とも総得票782票の過半数381票を下回ってしまったので、上位2人による決選投票にもつれ込みました。普通なら、3位の高市氏は同じ新自由主義派の河野氏を応援するのが筋でしょう。森友再調査以外の他の政策では、どの候補も主張は似たり寄ったりなんだから。
河野氏の経済政策は「菅路線の継承。デジタル・脱炭素分野への投資促進」、高市氏の経済政策も「アベノミクスの継承。危機管理と成長分野で投資促進」。どちらも規制緩和推進の新自由主義派です。岸田氏の「新自由主義見直し」とは相いれないはずです。ところが実際は、「河野は中国べったりだ」という理由で、高市氏の票は河野氏にではなく岸田氏に流れました。
そこで「河野は中国べったり」の根拠についても調べてみましたが、よく分かりませんでした。「河野氏の父、河野洋平氏が慰安婦問題について中国寄りの河野談話を公表した」「河野氏の経営する日本端子という会社が中国と取引している」と言うのが、「中国べったり」の根拠らしいですが、父と子は別人格です。そんな事言い出せば、親父の封建的な価値観に反発して実家を飛び出した私も「家父長制論者」にされてしまいます。私の勤めている中小企業も、中国に現地法人があるので「中国べったりの反日企業」になってしまいます。
だから、こんな「根拠」には何の意味もありません。ただただ「河野憎し」「敵の敵は味方」の論理で高市氏が河野氏支持に回っただけです。自民党は、二言目には「野党共闘は野合だ」と言いますが、自分達の方がよっぽど「野合」じゃないですか。立憲民主党・共産党・社民党・れいわ新選組の野党4党が市民団体と交わした政権合意には、「安保法制廃止、森友問題などの疑惑再調査、消費税廃止」などの明確な公約があります。その公約を差し置いて、共産党以下の政党が、首位の立憲民主党憎しで、安倍・菅政権べったりで新自由主義派の「維新の会」に票を流すような事があり得るでしょうか?そんなあり得ない事が、自民党総裁選では起こりました。
もっと言えば、岸田氏の「新自由主義見直し」も、甚だ怪しいものです。岸田氏自身が、「新自由主義・アベノミクス」路線の安倍政権の下で、ずっと外務大臣を務めて来たのですから。岸田氏が本当にそう思うなら、何故その時に見直しを表明しなかったのか?幾らでも進言する機会はあったはずなのに、安倍政権の下では何も言わず、総裁選に立候補するようになってから、急に「分断から協調へ」と言われても、「今頃何言ってんだ?」という事にしかなりません。
岸田氏は、総裁選挙の決意表明で「日本の民主主義が危機にある」とも言っていましたが、これも眉唾物です。安倍政権の最大の疑惑である森友問題の再調査も拒否して、2018年7月5日の西日本豪雨のさなかに、「赤坂自民亭」と称して、党本部で安倍氏と一緒に酒盛りに興じておきながら、「危機も糞もあるか」と思います。自分達の方がよっぽど「野合」であり「危機」そのものじゃないですか。岸田新総裁就任後の党内人事も、麻生副総裁に甘利幹事長、高市政調会長と、安倍派に牛耳られています。これでどうやって「危機克服」や「新自由主義見直し」が出来るのでしょうか?
だから、自民党にも新総裁にも、私は何も期待しません。このコロナ禍の中で、入院も出来ずに自宅療養で亡くなる人が後を絶たず、失業や休業で路頭に迷う人も大勢いるのに、病院や保健所の拡充も言わずに、消費税減税も言わず、女系天皇にも選択的夫婦別姓にも反対し、賛成論者を「中国べったりの反日」と叩くだけ。そんな自民党総裁選のどこに期待できるでしょうか?
それでも敢えて「期待」するなら、せめて役所提出書類に西暦も使えるようにして欲しいです。元号よりも西暦の方が便利なので、私は日常生活ではもっぱら西暦を使用して来ました。ところが役所ではいまだに元号しか使用できません。だから住民票の申請でも使えるのは元号のみです。免許証の更新も、今の免許証は平成34年に失効するそうですが、平成34年が西暦何年に当たるのか全然分からず、ペーパードライバーなのでいちいち調べるのも面倒くさいと、警察から更新呼び掛けの通知が来るまで、もうそのままにしています。ダブルワークの面接で履歴書を書く際も、西暦なら簡単に書けるのに、いちいち元号で書かなければならないので、昭和と平成の使い分けに苦労しました。そこに令和も加わるとなるともう、はっきり言ってウザいです。
女系天皇や選択的夫婦別姓の是非について延々と議論する位なら、公文書での西暦の選択使用についても是非議論していただきたい。勿論すぐにでも認める方向で。そっちの方が、ハンコ廃止よりもよっぽど現実的な公約だと思います。女系天皇や選択的夫婦別姓よりも、よっぽど簡単に実現できる公約だと思います。集中豪雨の際にも宴会でうつつを抜かし、このコロナ禍の中でも天皇がどうたらとか、そんな浮世離れした議論しかできないなら、それ位すぐにでも実現してほしいです。








森友学園への国有地払下げで、文書改ざんを命じられた末に自殺に追いやられた財務省職員、赤木俊夫さんの手記が「週刊文春」に掲載されました。その手記には当時、理財局長だった佐川宣寿が改ざんの首謀者だった事が克明に記されています。新たな証拠が出てきた今、赤木さんの無念を晴らす為にも、国会で「文書は破棄した」と嘘の答弁を繰り返した佐川宣寿の国会再喚問を改めて要求します。
下記がその再喚問を要求するネット署名です。安倍首相や麻生財務相は、赤木さんの遺族に対して「お悔やみ申し上げます」とは言うものの、「再調査の必要はない」と繰り返すばかり。これには遺族も「本当に悔やむ気持ちがあるなら再調査に応じるはず。そもそも、この2人は改ざんのきっかけになる発言をしたり、私が断ったと嘘をついて墓参りにも来なかった。2人自身も再調査される立場なのに、そんな事言う資格があるのか?」と大変憤っています。是非、署名にご協力をお願いします。
発信者:「森友学園問題」を考える会 宛先:衆院議長、参院議長
森友問題は終わってなどいません。なぜ国有地がタダ同然で叩き売られたのか? 「石橋を叩いても渡らない」ほどに慎重でお堅い財務官僚が、本当に「忖度」だけで公文書改ざんというとんでもない不祥事をやらかしたのか? 政治家の指示はなかったのか?・・・等々、肝心の部分は依然として闇の中です。
今年8月9日、大阪地検特捜部は、刑事告発を受けていた財務官僚全員を不起訴としました。特捜部は昨年3月にいったん不起訴としたのですが、財務省理財局長(当時)でその後、国税庁長官となった佐川宣寿氏らについて、検察審査会が「不起訴不当」と議決したため、再捜査していたものです。改めて不起訴としたことで、不起訴が確定しました。
昨年3月、佐川氏は国会へ呼び出され証人喚問を受けましたが、公文書変造や公用文書毀棄で刑事告発を受けていたため、「刑事訴追の恐れがある」としてほとんど何も答えませんでした。
不起訴が確定し、佐川氏が刑事訴追される恐れはなくなりました。国会は、改めて佐川氏を証人喚問すべきです。
ウソの答弁をし、改ざんされた文書が提出された、つまりは、国会が軽視され、愚弄されたのです。与党・野党を問わず、政党・会派の違いを超えて、全ての国会議員は、公文書改ざん・公文書破棄・虚偽答弁について、真相を徹底究明すべきです。
真相究明に必要不可欠である佐川氏の国会証人喚問を、速やかに行ってください。
(参考記事)
近財職員の妻、佐川氏と国を提訴 森友事件巡る自殺
2020年3月19日 大阪日日新聞
学校法人「森友学園」に国有地が不当に値引きされた「森友事件」で、公文書の改ざんを迫られ命を絶った財務省近畿財務局の男性職員の妻が、改ざんを指示したと名指しされた佐川宣寿元財務省理財局長と国を相手に18日、総額約1億1千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。(3月19日1、2、22、23面に関連記事)
提訴したのは、近畿財務局管財部の上席国有財産管理官だった赤木俊夫氏=当時(54)=の妻。訴状などによると、赤木氏は2017年2~3月、森友事件が発覚し国会で厳しく追及されていたさなか、国有地の取引について記した公文書を改ざんするよう繰り返し職場で迫られ、抵抗しても財務省幹部らに押し切られて何回も改ざんをさせられた。
これが精神的な負担となり、同年7月にうつ病と診断され休職した後も、現場の自分に責任が押しつけられるのではないかと恐れて病状が悪化し、18年3月に命を絶った。
これについて訴えでは、国だけでなく佐川氏も違法な改ざんを指示した責任がある上、死後に妻が弔問を求めても誠実に回答しなかったとしている。
提訴後に記者会見した弁護士は、冒頭で妻のコメントを読み上げた。
「夫が死を選ぶ原因となった改ざんは誰が何のためにやったのか、改ざんをする原因となった土地の売り払いはどうやって行われたか、真実を知りたいです」「そのためには、まずは佐川さんが話さなければならないと思います」
また、弁護士は「国と佐川氏は誠実に対応し、真相を明らかにする責務がある」と指摘した上で、赤木氏が残した「手記」と題された遺書で名前が上がっている佐川氏をはじめ、佐川氏の後任の理財局長だった太田充主計局長、近畿財務局長だった美並義人東京国税局長など、名指しされたすべての財務官僚らを証人として申請する考えを明らかにした。


「パブロフの犬」とは、「パブロフの実験」に出てくる犬の事だ。では「パブロフの実験」とは何か?旧ソ連のイワン・パブロフ博士が行った条件反射の実験の事だ。犬に餌を与える際に鈴を鳴らすようにしたら、最後には餌を与えなくても鈴を鳴らしただけで犬はヨダレを垂らすようになった。このように、何かする時に、ある仕草を習慣付けたら、別に何もしなくても、その仕草をしただけで、同じような反応を示すようになる。これが「条件反射」だ。それを証明したのが「パブロフの実験」だ。
これは何も動物に限った話ではない。人間にも大いに当てはまる事だ。現に私も、仕事中に、それとよく似た場面に何度も出くわして来た。例えば、普通、カゴ車に商品を積む際には、積荷のバランスや安定性を考え、重い物や数の多い物を棚の下に積み、軽い物や数の少ない物を棚の上に積むものだ。しかし、横着な奴は、バランスや安定性を考える事を邪魔くさがり、何でも棚の上に積もうとする。



「日本は単一民族国家」と言うのも大嘘だ。実際は大和朝廷とは別に、沖縄では琉球王国が栄え、東北・北海道でもアイヌ人が大陸と交易活動を行なっていた。ところが、日本では大和朝廷以外の歴史は全て闇の中に葬られて来た。島津藩の琉球侵略、松前藩のアイヌ侵略についても、学校の歴史の授業では一切教えられて来なかった。
だから、私はアイヌの歴史について、図書館で本を借りて読み、ブログでまとめるべく、資料もコピーしていた。
でも、何か気乗りがしないので止めた。気乗りがしない理由の一つは、本を読むのに時間が取られ、書くタイミングを逃してしまったからだ。その後も、河井案理の選挙汚職に新型肺炎流行と、次々と新しいニュースが流れ、麻生発言はいつしか後景に退けられてしまった。
もう一つの理由は、私自身も来月初めに転居を控え、もう麻生発言だけに構っていられなくなったからだ。今の私にとっては、少しでも預金の目減りを防ぐべく、より家賃の安い賃貸物件に移る事の方が最優先課題なのだ。
そこでハタと気が付いた。安倍政権がこれだけ不祥事を重ねても、何故、内閣支持率が高止まりしているのか?その最も大きな理由も、ロスジェネ世代の「諦め」「消極的支持」にあるのではないか。「ロスジェネ」とは「ロスト・ジェネレーション」の略だ。訳せば「失われた世代」となる。日本でバブルがはじけ、構造不況に突入した1990年代以降に社会人デビューした世代の事だ。
1990年代以降に社会人としてデビューし、現在50歳より下の世代は、「就職氷河期世代」として、それまでの50年間ずっと、不況の中で生活して来た。好景気を一度も経験していないのだ。特に1995年以降は終身雇用の見直し、正社員から非正規雇用への置き換えが進み、派遣切りにも遭って来た。
また、この時期は、社会党・総評ブロックの消滅や、ソ連・東欧圏の崩壊で、社会主義運動や労働運動が後退して行った時期に当たる。それ以前には普通に見られた春闘やストライキが、今やほとんど見られなくなった。今や労働組合がある職場は大企業に限られ、頼みの労組も正社員の事しか考えない御用組合が大半を占めるようになってしまった。
そんなロスジェネ世代からすれば、今の安倍政権の時代は、たとえブラックな求人ばかりだったとしても、求人そのものがはるかに少なかった民主党政権時代と比べたら、まだマシにしか見えないのだ。それがどれだけ日銀の株買い支え、株価バブルによるはかないものであったとしても、だ。
何故なら、それ以前のバブル景気や高度経済成長時代の事を知らないのだから。安保闘争や全共闘運動、沖縄返還闘争やベトナム反戦運動の経験もなく、ストライキの経験もないのだから。
権力と戦って何かを勝ち取った事もなく、ずっと続く不況の中で、我慢を強いられた経験ばかり。物心ついた時に経験した数少ない「革命」体験である自民党から民主党への政権交代も、惨めな失敗に終わった。
そんな境遇に何十年も身を置いていたら、たとえ官製相場であっても、実際に最低賃金や有効求人倍率を引き上げて来た第二次安倍政権を、積極的に支持しないまでも、容認する気持ちになるのも不思議ではない。
勿論、今の相対的「好景気」は決してアベノミクスのお陰ではない。長く続いた不況のせいで、生活が悪化し、結婚や子育ても出来なくなる中で、少子高齢化が進み、それが人手不足となり、たまたま最低賃金や有効求人倍率の増加となって現れているに過ぎない。これらは「自然増」に過ぎず、決してアベノミクスの成果なんかではない。
むしろ、今の日本は、1990年以降ずっと続いた不況のせいで、とっくに先進国の座から滑り落ちてしまっている。この30年もの間、GDP(国内総生産)はほとんど伸びなかった。中国・インド等の新興国だけでなく、欧米諸国も何倍もGDPを伸ばして来たにも関わらず。
日本に外国人観光客が殺到しているのも、別に外国人が日本文化に魅せられたからではない。デフレが長く続いたせいで、今や欧米だけでなく中国や東南アジア諸国よりも物価が安くなってしまったからだ。その安い物価でも日本人は生活に汲々としているのだ。どれだけ生活が悪化したか分かるだろう。
長い目で見れば、むしろデフレの弊害の方が大きい。小泉構造改革やアベノミクスによる規制緩和で、経済格差が広がり、労基法の骨抜きで、長時間労働や過労死が蔓延する事になった。昔は年間数万円だった国立大学の学費も、今や百万円を超えるようになり、学生はバイトや奨学金の返済に追われるようになった。社会保障も切り捨てられ、整骨院にも満足に通えなくなった。安くなったのは百均や牛丼、ドンキ等の「ド貧民が買う商品」だけなのだ。
今のロスジェネ世代は、決してアベノミクスや安倍政権の進める憲法改正、戦前回帰の政策を容認している訳ではない。モリカケや裁量労働制データ改ざん、「桜を見る会」疑惑を容認している訳ではない。それが証拠に、各種世論調査の結果を見ても、これらの項目については、安倍政権に否定的な回答が多数を占める。
ところが、安倍政権全体に対する評価となると、途端に内閣支持率が高止まりしたままとなる。個別の政策については、安倍政権の政策に反対の意見の方が多いのに、何故、全体評価となると、安倍政権支持が多数になるのか?
生活を守るのに精一杯で、投票に行く余裕もない中で、政治を変える事を諦めてしまっているからだ。それを安倍政権も良く知っているからこそ、民主党政権から返り咲いてからは、第一次政権の時みたいな改憲一本槍ではなく、アベノミクスで見せかけの「好景気」を演出しながら、それを改憲策動に利用しているのだ。
これは決して安倍晋三の力では出来ない。安倍晋三は、首相でありながら、一人では答弁原稿も振り仮名付きでないと読めない人物なのだ。誰でも読める「画一的」「背後」「云々」等の漢字ですら、「がいちてき」「せいご」「でんでん」と誤読する程の無能者なのだ。そんな無能者であるにも関わらず、何故、第二次政権では第一次政権とは対照的に、8年も政権を維持して来れたのか?政権中枢の中に、安倍晋三を操る策士がいるからだろう。おそらくCIAとも繋がりのある人物が。
それを唯一分かっているのが山本太郎だ。山本太郎率いる新党「れいわ新選組」が、何故、結党間もない参院選で、いきなり200万票以上も得票し、2名の新人議員を当選させる事が出来たのか?それは、「消費税廃止」「奨学金返済チャラ」等の分かりやすい言葉で、ロスジェネ世代にアピールする公約を前面に押し出したからだ。
「れいわ新選組」の公約も、格差是正に規制緩和反対と、他の野党の公約と余り代わり映えはしない。違いと言えば、財政出動を容認している(その一点でアベノミクスの手法も一定評価している)点ぐらいだ。でも、同じ格差是正を言うにしても、「奨学金返済チャラ」「公営住宅増設」を前面に押し出すのと、そうでないのとでは、有権者の受け取る印象は全く違う。ロスジェネ世代にとっては、「桜を見る会」疑惑追及よりも、「奨学金返済チャラ」の方が、より切羽詰まった問題なのだ。
「消費税廃止」の公約もそうだ。非正規雇用の労働者にとっては、住宅減税やベースアップなんかよりも、こちらの公約実現の方がはるかに重要だ。幾ら住宅減税やベースアップが実現した所で、自分の時給が上がる訳ではない。しかし、消費税が下がれば、惣菜屋で買えるメニューは確実に増える。
「桜を見る会」その他の疑惑追及も勿論大切だ。何故なら、それ自体が安倍政権の身びいき、不公平体質の追及に繋がるからだ。しかし、それだけを前面に出していては、ロスジェネ世代は動かない。彼らにとっては、疑惑追及よりも「消費税廃止」等の方が、自分の生活により直結する公約だからだ。同じ公平を訴えるなら、疑惑追及よりも、消費税や高い住宅家賃の不公正さを、もっと訴えるべきだ。


以上は、あくまで私の想像に過ぎません。でも、今なら何となく理解出来きます。私達ですら、非正規労働者の少ない給与では、食って行くだけで精一杯なのです。非正規労働者にとっては、今やフルーツすら贅沢品となってしまいました。その中で、夏場は物流センターでスイカの仕分けに追われています。自分達はスイカも満足に買えないのに、何故毎日、重たいスイカの仕分けに追われなければならないのか?腹が立って仕方がない。「一層の事、スーパーのスイカ売り場をテロで爆破してやろうか!」。私達ですら、そういう気持ちになる時があるのです。
エジプトやインドネシアのバリ島などの観光地で、たびたびテロが起こるのも、先進国との経済格差や、白人観光客の差別的眼差しに対する現地民の怒りの現れではないかという気がします。勿論、そんな幼稚な論理をそのまま肯定する事は出来ません。それどころか、アフガニスタンの平和復興、貧困撲滅の為に、白衣を脱いで自費で用水路を作り、不毛の砂漠を沃野に変えた中村哲医師すら、異教徒の侵略者と錯覚して殺害してしまうテロリストの狭量さには、憤りしか感じません。
その中で、あいりん地区は独特の立ち位置を占めています。なるほど、あいりん地区にやって来る外国人観光客は、あいりん地区に魅せられてやって来る訳ではありません。単に宿泊費や物価が安いからやって来るのに過ぎません。しかし、その宿泊費や物価の安さも、あいりん地区が日雇い人夫の寄せ場として差別されて来た結果なのです。逆に、ドヤ代や弁当代を吹っかける悪徳業者との闘いの中で、勝ち取って来た成果でもあるとも言えます。一見の観光客も、そのメリットを享受している意味では、あいりん地区の問題と無縁ではあり得ません。そこに、単なる観光客と現地民の垣根を超えた、交流や相互理解が成り立つ可能性を見出す事が出来るのではないでしょうか。
ベトコンがゲリラ戦で立てこもった秘密の地下トンネルや、米兵殺害用の落とし穴すら、今やベトナム観光の定番コースに組み入れられています。チェ・ゲバラが政府軍に処刑された南米ボリビアの山村も、今や革命の聖地として、世界中から観光客が押し寄せる様になりました。あいりん地区も、この様に過去の被差別の歴史を逆手に取って、反貧困運動発祥の地、新たな観光地として再生出来るのではないでしょうか。
あいりん地区では毎年、野宿者支援団体の手で、夏祭りや越冬闘争が取り組まれて来ました。夏祭り会場の三角公園では、ライブコンサートやスポーツ行事だけでなく、一年間で行き倒れになった野宿者の盆の慰霊祭や遺影展も執り行われて来ました。年末年始の越冬闘争でも、炊き出しや餅つき大会だけでなく、野宿者襲撃に備え、「一人の餓死者・凍死者も出すな」と、見回りパトロールや集団野営の活動が繰り広げられて来ました。近くのライブハウスでは、反原発の講演会や西成ジャズのコンサートも行われてきました。


