約10年前と6年前の2回、ヨルダン川西岸地区に行ったことがあります。その時私が見聞きした事実です。 まず、私はヘブロンという街に行きました。世界遺産の宗教的聖地。普通なら観光客で賑わう明るい街です。でも、そこは街全体がシャッター街になってしまった寂しい街でした。
理由は、イスラエルの入植です。軍事力で圧倒的に勝るイスラエルが街を空爆を含む手段で制圧し、パレスチナ人を追い出しました。それでも抵抗して街を離れなかったパレスチナ人は、入植者からひどい嫌がらせを受けているそうです。
写真は屋台通りであっただろう寂れた路地から空を見上げて撮った写真です。入植者たちが、買い物客を狙ってゴミや瓶などを投げつけたそうです。その対策として金網が張られていますが、それでもゴミが投げ込まれていました。
パレスチナは日本のように水に恵まれた地域ではありません。また、貧しい地域なので水道管などのインフラも整っていません。 では、日常生活で使う水はどうしてるか。それは、各家庭の屋上に水タンクで貯水し、そこから都度都度水を使っているそうです。
イスラエル軍はその水タンクに銃で穴を開けて回ったそうです。当然、水がなくなれば生活もできません。タンクを修理しようにも、武力制圧された街です。至る所に監視櫓があり、そこでは自動小銃を持ったイスラエル兵が目を光らせていました。
当然修理なんて不可能。どんどん住人が減っていったそうです。 最初にヘブロンを訪れた際は、まだ耐えている住人は残っていました。でも2回目は街全体が廃墟となっていました。 このヘブロンより、ガザは酷いと聞きます。退避することすらままならないでしょうから。だから『天井のない牢獄』なんです
私を案内してくれたタクシードライバーはこう言ってました。「俺も家族を殺された。でも抵抗する手段すらないんだ。イスラエル兵の自動小銃は何発でも打てる。でもパレスチナの自動小銃はコピー品。1,2,3発。それで壊れる。俺達にはなにもできない」
パレスチナにはインティファーダという抵抗運動があります。体の小さな少年が、イスラエルの巨大な戦車に石を投げつけてる写真が有名ですね。何も知らない方は「何故そんな無茶を?」と思うかもしれません。でも、彼らにはハマスのような武装組織に参加する以外、それしか選択肢がないんです。
家族を殺されて、住居を奪われ故郷を追われ、イスラエルに殺されるという可能性を身近に感じながらも、それ以外に選択肢がないんです。 だから、自殺まがいのテロが頻発する。全てを奪われてもなお、自分の命だけは最後に使えるから。
他のパレスチナ人はこう言いました。「壁の向こう側には俺達にとって大切な場所があるんだ。一度だけでも、どうしても行ってみたくてね、超えれないか試してみたことがある。捕まって拷問されたよ。電流を流された」
パレスチナは巨大な壁に囲まれています。その壁は、イスラエルが軍事力によって押し付けたもの。パレスチナ人のことは考慮されていません。国連の資料には、壁の向こう側にある学校へ、地下トンネルを通って登校しようとした子供が落盤により命を落とす事例もあるとありました。
ただでさえ絶望的な貧困の中、通学すらできない子供の将来はどうなるか。残念ながら、そんな将来すら閉ざされた。 なお、当然地下トンネルはイスラエルに見つり次第潰されてるとのことです。 ガザの地下トンネルも、ハマスのものだけではないでしょう。分離壁がなければそもそもなかったものですが
別のパレスチナ人はこう言いました「イスラエル人にもいい人がいるのは知っている。可能であれば仲良くしたいんだ。でも、俺達の声は壁の向こうに届かないんだ」
私が会ったパレスチナ人は親切な人ばかりでした。私が道に迷っていたら、通りすがりの人が声をかけてくれました。貧しいにも関わらず、私に晩御飯をご馳走してくれました。同じことで笑い、同じことで悲しめる人達でした。イスラエル人にも同じように優しい人がいました。
そんな人たちが、今、殺し合っています。イスラエルを恨む人も殺されています。そして、恨みを飲み込んででも平和を選ぶ人もまた、殺されています。命令を受けてガザに踏み込んだイスラエル人もまた、一定数殺されるでしょう。戦力が違うので、パレスチナ人の犠牲が圧倒的に多いでしょうが。
今回のハマスの攻撃及び誘拐に賛同するつもりはありません。言うまでもなく人道からは逸れていますし、汚職も指摘されていた組織です。イスラエル人の民間人だって人生があった。それを奪っていいとは決して思いません。
それでも、パレスチナに実際行ってみた率直な感想は「これでテロが起きないはずがない」でした。だってイスラエルが武力で制圧して抑圧して殺してるんです。恨まれないはずがない。 今回の事件は、本当にハマスを悪と断罪すれば終わるものでしょうか?ガザの人達は殺されても仕方ないでしょうか?
イニシアティブをとれるのは、軍事力でパレスチナを圧倒しているイスラエルです。そのイスラエルが変わらなければ、復讐に駆られた生き残りのパレスチナ人がハマスに参加し、またテロを起こす。それの繰り返しでしょう。
でもイスラエルの世論は容易には変わりません。パレスチナと融和政策をとった政治家を暗殺する極右もいますし、既に大勢殺してるのも自覚してる以上、今更後戻りもできない。本当に活路が見えないのがパレスチナ問題です。
それでも、国際世論が少しでも多くパレスチナに目を向ければなにか変わるかもしれない。そう思い、当ツイートを作成しました。 両国の間に、ほんのわずかでも平和の可能性が育ちますように。少しでも両国の犠牲が減りますように。僅かでも理不尽が減りますように。心からそう願います。
ヘブロンの穴を開けられた水タンクの写真と、分離壁、現地で出会った子供の写真を載せておきます。 水タンクは、私が見た限り全ての家屋に穴が開いていました。
1点訂正です。 6個目のツイートで「ヘブロンの街全体が廃墟になっていました」と書きましたが、正確にはヘブロンの街のH2と呼ばれる、世界遺産になったアブラハムの墓や旧市街を含む地域でした。
※太郎太郎(ねんねん)さんのツイートはここまで。ツイートの原文と写真はX(旧ツイッター)の投稿を参照。
※上記の「H2」について補足すると、そもそも、1993年のオスロ合意で創設されたパレスチナ自治区で実施されているのは、あくまで「暫定自治」に過ぎない。当初は5年後に恒久自治に移行するはずだったが、当時のイスラエル首相ラビンの暗殺、その後に首相に就任した極右政治家シャロンの挑発行為(イスラム教の聖地「岩のドーム」を訪問して「ここはイスラエルのものだ」と挑発)によって完全に暗礁に乗り上げ、現在では全く形骸化。あくまで不完全な暫定自治なので、自治政府の行使できる権限は限られている。
自治区内はエリアA(自治政府が行政権も警察権も行使)、エリアB(自治政府が行使出来るのは行政権のみ)、エリアC(自治政府の権限は全く及ばない)に分けられる。2000年においてもエリアAは自治区全体の17.2%に過ぎず、6割以上がエリアC(つまりイスラエルの軍政下)に留められている。(ウィキペディア参照)
その中で、ヘブロン市では1997年の合意により、市内の8割を自治政府が治め(H1)、2割がイスラエルの軍政下に置かれる事になった。(ウィキペディア参照)。後者の軍政下に置かれた地域がH2である。
※それ以前に、「そもそもパレスチナ問題とは何ぞや?」という事も知っておかなければならないので、下記の解説も載せておきます。パレスチナ駐日代表部のホームページをそのままスクリーンショットで撮りました。この解説を読み、上記のツイートを読んで、私の補足説明も参考にしていただければ、「ガザやパレスチナで今何が起こっているのか?」大体の所は分かっていただけるのではないかと思います。
プーチン大統領、ただちに戦争をやめてください。
今回の国連憲章と国際法に違反したロシアの侵攻は、平和な世界を希求している私たちにとって許せるものではありません。
私たちが求めているのは、戦争も核兵器もない世界です。私たちは、世界で唯一の戦争被爆国であり平和憲法を持つ国の未来を担う主権者として、平和を求める世界中の人々と連帯し、「戦争反対」を強く訴えます。
〈呼びかけ人〉
沖縄高校生平和ゼミナール 東京高校生平和ゼミナール 広島高校生平和ゼミナール
〔署名集約日〕 2022年3月20日
*私たちは各地で平和について学び交流している高校生の平和学習サークルです。
*この署名はロシア大使館に提出します。個人情報はこの要請目的以外には使用しません。
*これはネット署名です。賛同していただける方は、下の欄に入力して「送信」してください。重複をさけるため紙の署名用紙に署名した方は、このネット署名には署名しないでください。
ウクライナ一帯では8~13世紀にキエフ大公国(キエフ・ルーシ)が栄えた。「ルーシ」とは東スラブ人の総称でもあり、今のロシアの国名も、このルーシが訛ったものである。
ウクライナの首都キエフにある聖ソフィア大聖堂。世界遺産に認定されている。(図・写真はいずれも「世界の歴史まっぷ」から引用)
新年早々1月3日に、米国のトランプ政権が、イラクのバクダッド空港で、イラン革命防衛隊の精鋭部隊コッズ部隊を指揮するソレイマニ司令官らをロケット砲で爆撃、殺傷した。これに対し、イラン政府は米国に報復を宣言、米国トランプ政権も「報復されたら更に文化施設を含むイラン国内の標的52ヶ所を攻撃する」と宣言した。文化施設まで攻撃するとは、もはや中東のテロリストと何ら変わらない。事件現場となったバグダッド空港を抱えるイラク政府も、これにはさすがに黙っていられなかったようだ。今まで散々アルカイダ、IS(イスラム国)掃討作戦で米国のお世話になったにも関わらず、今回の米国の攻撃をイラクの主権侵害と捉え、非難声明を出すに至った。
トランプは今回の攻撃を「予想されるテロ攻撃への予防措置」「戦争の為ではなく戦争防止の為に行った」と強弁しているが、そんな詭弁は成り立たない。何故なら、先に戦争を仕掛けたのは、常にイランではなくアメリカだったからだ。
ちなみに、この時イランのモサデク首相を助けたのが当時の出光興産社長・出光佐三だ。禁輸網をかいくぐってイラン原油を日本に輸出し、百田尚樹の小説「海賊と呼ばれた男」のモデルにもなった。しかし百田は出光を日本人美談に利用するだけで、自衛隊派兵にも大賛成。安倍信者のネトウヨ作家にとってはイランも商売のネタでしかない。
やがて、国民の不満が高まり、1979年のイラン革命で国王は亡命を余儀なくされる。この革命で、イランは王国からイスラム共和国に移行するが、政治の実権を握ったのは国民ではなく宗教指導者のホメイニやハメネイだった。野党や労働組合が抑えつけられる中で、政府にまともに対抗できるのは宗教勢力しかなかった。それが革命後の国づくりにも影響を及ぼす事になる。
他方で、米国は革命以後も、国王の亡命を受け入れ石油国有化を拒否する事で、イラン国民に敵対を続ける。反米学生が首都テヘランの米国大使館を占拠したのに対し、イランに対し初の経済制裁を発動。その裏では、二股をかけ制裁対象であるはずのイランに武器を売りつけ、その金で中米ニカラグアの反共ゲリラを支援する芸当までやってのけた(イラン・コントラゲート事件)。
1980年代のイラン・イラク戦争でも米国はイラクに一方的に肩入れ。1988年にはイランの旅客機を米軍が撃墜している。2002年には当時の米国ブッシュ大統領が、イランをイラク・北朝鮮と並んで「悪の枢軸」と名指し批判。その米国の姿勢がイランを軍拡と核開発に追いやった。今や、イランはトルコ、サウジアラビアと並ぶ中東有数の軍事大国にのし上がるまでになった。
しかし、やがて転機が訪れる。米国オバマ政権主導下に、2015年にイランが「経済制裁解除と引き換えに国際原子力機関(IAEA)による核査察を受け入れる」と表明。この核合意で中東にも一時は平和が訪れるかに思えた。ところが、2019年に米国トランプ政権が核合意からの離脱を一方的に表明し、2020年に入った途端にイランの国民的英雄であるソレイマニ司令官を殺害。
今や中東が第三次世界大戦の発源地になろうとしている。米国大統領トランプは、朝鮮半島では米朝首脳会談を実現させ、あたかも平和の使者のように振る舞っているが、これとても米国前大統領オバマの朝鮮半島政策に対する意趣返しに過ぎない。
要するに、このトランプという男は、その時々の都合で、ある時は「平和の使者」、別の時には「強面の強硬派」としての顔を、それぞれ演じ分けているに過ぎない。彼の本質は、あくまでも米国第一主義のワガママなナショナリストだ。
それに対し、日本の安倍政権は、いたずらにトランプに尻尾を振るのみで、全然トランプの無法を諌めようとはしない。その上、歴史的に親日であったイランやイラクにも良い顔をしようと、八方美人を演じる事で、かえって両国からも不信を買う体たらくだ。安倍は、昨年6月にわざわざイランまで行きながら、トランプのメッセンジャーに終始した為に、イランのロウハニ大統領から「気遣い無用」とあしらわれ、スゴスゴと帰る他なかった。
そのくせ、安倍は12月27日に自衛隊の中東派遣を、防衛省設置法に定める「調査・研究」名目で、「アデン湾からオマーン湾に至る日本船舶の航行の安全を確保する為」と称して、法律や国会決議も経ずに一片の閣議決定だけで、年末のドサクサに紛れて強行した。本来なら省庁の役割分担を定めたに過ぎない法律を、無理やり海外派兵正当化に利用したのだ。一応「米国の主導する有志連合には加わらない」とされるものの、戦場となるホルムズ海峡とは目と鼻の先に派兵し、「米軍とも情報共有する」と言う。イランからすれば完全な利敵行為だ。
イランと米国の間で軍事緊張が高まるにつれ、年末までの株価高値が嘘のように、年明け早速、株価が急降下した。年末の株価バブルそのものも、アベノミクスによる官製相場に過ぎず、ボロ儲けしているのは一部の輸出大企業だけだった。庶民は消費税増税のダブルパンチに苦しんでいる。その上、更に、安倍やトランプ、一部の軍需産業の利益の為に、何故我々の自由が制限され、暮らしを破壊されなければならないのか?
戦争に踊らされているという意味では、イランやイラクの民衆も同じだ。せっかく革命で独裁者を追放しながら、その成果を宗教指導者に横取りされ、外国資本や帝国主義者の代わりに、宗教指導者による独裁に苦しめられる事になった。イランやイラクでも、昨年の夏から秋にかけて、失業反対・汚職追放のデモやストが広がった。しかし、その好機も、トランプが戦争の火種を付けた事で、かえってアルカイダやIS等のテロリストが息を吹き返す結果になってしまった。
世界の近現代史をひもとけば、アメリカこそが戦争の火付け役であり、テロの発震源だった。そんなアメリカにテロの被害者ヅラする資格なぞあろうはずがない。その中で、本来なら憲法9条で平和国家を宣言し、イラクやイランとも友好関係を保持して来た日本こそが、非軍事の外交交渉で和平の仲介を果たす事が出来るのに、いたずらにトランプに尻尾を振り続けた結果、両国からも憎まれる事になってしまった。
もはや残された道は唯一つ。一刻も早く安倍政権を退陣させ、自衛隊を中東から撤退させ、非軍事の外交交渉で平和国家本来の役割を果たせるようにするしかない。もはや紅白歌合戦やゴーン脱獄劇に目を奪われている場合ではない。ゴーンの事を取り上げるなら、脱出経路の詮索だけでなく非民主的な「人質司法の闇」も取り上げろ。これ以上、戦争や独裁、格差の犠牲になるのはゴメンだ。アフガニスタンの砂漠を沃野に変えたのも、戦争ではなく灌漑用水路だった。その中村哲医師の偉業に泥を塗るな真似をするな、させるな。自衛隊の中東からの撤退を呼びかける署名に是非ご協力を!戦争反対!
フランスと韓国の大統領選の話題については、ブログに記事を書く時間が無かったので、ツイッターの私のつぶやきをそのまま、この下に貼り付けておきます。私がここで言いたかった事も表題の一文に尽きます。
「私を支持しなかった方々にも仕える大統領になる」と文在寅(ムンジェイン)韓国新大統領。仮にも公僕を標榜する以上はこうでなくちゃ。あくまで主権者は国民なんだから。常に「私が総理大臣なんだから」と俺様節全開で、はぐらかし答弁ばかりの安倍晋三とは偉い違いだ。この一言でもう「勝負あった」
プレカリアート (@afghan_iraq_nk1) 2017年5月9日
仏大統領選でも日本との差が歴然。マスコミは極右ルペンの伸長ばかり言うが実際は左派のメランション含め4陣営拮抗。決戦投票でも極右のポピュリズムを拒否。革命やレジスタンスの経験故か、単に保守回帰とはならず。民主がダメでやはり自民と、先祖返りで元の木阿弥に泣く日本とは大違い。
プレカリアート (@afghan_iraq_nk1) 2017年5月10日
今日貰った赤旗見本紙の韓国新大統領就任記事からも日本との違いが歴然。パク前政権の政治私物化を韓国民は拒否。日本では森友疑惑の安倍が未だに一強独裁。韓国民が新大統領に期待する政策1位が貧困解消、2位も青年の雇用推進。格差拡大拒否した韓国、格差容認で慰安婦叩きに走るしか能のない日本
プレカリアート (@afghan_iraq_nk1) 2017年5月10日
米大統領選の選挙人獲得状況。左が2008年、右が2016年。08年には青色(民主党オバマ支持)だった五大湖沿岸の工業地帯が悉(ことごと)く赤色(共和党トランプ支持)に塗り替わった事が分かる。もし民主党大統領候補がクリントンではなくサンダースだったら、この様な事にはならなかったのではないか?
(注)左からクリントン、トランプ、予備選挙で民主党候補の座を最後までクリントンと争ったサンダース。サンダースは、資本主義の牙城アメリカで社会主義者である事を敢えて名乗り、格差是正や給付型奨学金制度の拡充を訴えて若者の心をとらえた。
トランプが弱者の味方だと?NY一の不動産王、新興成金そのもので、経済政策もアベノミクスの引き直し。タックスヘイブンへの税逃れも華麗な節税と居直る。これの一体どこが弱者の味方か?トランプは立派な資本家階級の一員。彼に投票した白人貧困層は騙されて肉屋に投票してしまった豚みたいな物だ。
米大統領選と日本の都知事選。国こそ違えど選挙戦の構図は瓜二つ。米国は、サンダースでは勝てないとクリントンに一本化したのに貧困層の票はトランプに流出。日本も、宇都宮では勝てないと鳥越に一本化したのに小池に流出。格差批判票が左派ではなく極右に流れ、更に弱肉強食が強まる。何という皮肉か
残念ながら左派の中にもトランプ待望論があるのは事実。「トランプも反TPPで米軍撤退を望んでいる」と。でも、彼の根底にあるのはあくまで米国中心主義。だから実際の言動は「移民排斥、女性差別、核武装肯定」と、排外主義のオンパレード。こんな「米国の橋下徹」みたいな奴に何を期待するのか?
靖国参拝反対も米国頼み。憲法擁護も天皇発言頼み。こんな他力本願ではいけない。トランプなんかに期待している暇があるなら、左派リベラルとして「今、一体何が出来るのか?」を、もっと真剣に模索すべきでは?南米やギリシャ、スペインでの左派躍進も、そうやって初めて実現できたのではないか?
以上。ツイッターでの私のつぶやきを、そのままブログに載せたのでは印刷レイアウトが崩れてしまうので、画像の地図とツイートの文章をそれぞれ個別にコピーペーストした。
ついでに、これもコピーペースト。ハフィントンポストからの引用で、「華氏911」で痛烈にブッシュを批判した米国の映画監督マイケル・ムーアが言った「選挙に負けた今やるべき5つの事」。ムーアの「民主党、共和党、オバマ、トランプ、選挙人団」等々の文言を、日本の「民進党、自民党、鳩山、安倍、小選挙区制」等々に置き換えても、そのまま通用する内容だ。彼は米大統領選向けに「マイケル・ムーアのトランプランド」という反トランプの映画まで作ったそうだ。早く日本でも劇場公開してほしい。
(注)選挙人団:米国の大統領選挙は間接選挙制で、有権者は選挙人しか選べない。その選挙人が大統領候補に投票する仕組みになっている。投票場まで何日もかかって歩かなければたどり着けなかった18世紀の名残をまだ引きずっているのだ。おまけに、ほとんどの州で、一人でも多くの選挙人を獲得した候補が、州全体の選挙人を獲得できる「勝者総取り方式」を採用してしまっている為に、実際には得票では負けていながら、選挙人の数では勝っている為に当選してしまう逆転現象が、今までも繰り返されてきた。マスコミが何かともてはやす米国だが、民主主義と言う点では決して先進国ではないという事は、読者も肝に銘じておくべきだろう。
実際に米国市民は、選挙後も意気消沈する事無く、このマイケル・ムーアの言葉通りに、反トランプの抗議デモに続々と立ち上がっている。「アメリカ様のご命令だからTPP批准を」と迫る安倍に対して、「トランプ様も反対だからTPP批准撤回を」としか言えない山本太郎(自由党)や志位和夫(共産党)の他力本願と、何という違いか!勿論、「バスに乗り遅れるな」とばかりに安倍自民になびく奴隷・社畜どもや、棄権という形で安倍のペテンを黙って見過ごす怠け者どもは、もはや論外だが。
「一夜明けた朝のToDoリスト」
1. 民主党を乗っ取ろう。そして人々の手に戻すんだ。民主党の奴らは、我々の期待に情けないほど応えられていない。
2. 評論家や予想屋、世論調査員、その他メディアの中で、自分の考えを変えず、実際に起こっていることに目を向けようとしない奴らを首にしよう。偉そうに話をしていた奴らが今、「分裂した国を癒そう」とか「一つになろう」と俺たちに言うんだ。そんなクソ発言を、奴らはこれからもずっと言い続けるだろう。黙らせよう。
3. この8年間、オバマ大統領と闘い、抵抗し、闘ってきた共和党議員のように、これから闘う気概を持って今朝目覚めなかった民主党の国会議員は出ていけ。そのかわりに、これから始まる野蛮や狂気を止められる術を知っている奴らを、俺たちのリーダーにするんだ。
4. 「驚愕の結果だ」とか「ショックだ」と嘆くのをやめよう。そんな風に言ったって、自分の世界に閉じこもって、他のアメリカ人や彼らの絶望に目を向けていないだけだ。民主党・共和党の両方に無視された人たちの、既存のシステムに対する復讐心や怒りが大きくなっている。そこに現れたのが、両方の党をぶちこわして「お前はクビだ」というテレビスターだ。トランプが勝ったのは驚きじゃない。奴はただのジョークじゃなかったんだ。そして、支持を得て強くなっている。メディアに住む生き物で、メディアが作り上げた生き物だ。メディアは決してそれを認めないだろうが。
5. 今日会う人全員に、こう言わなきゃいけない。「得票数は、ヒラリー・クリントンの方が多かったんだ!」過半数のアメリカ人は、ドナルド・トランプじゃなくてヒラリー・クリントンを選んだ。以上。それが事実だ。今朝目覚めて「自分は最低の国に住んでいる」と思ったのであれば、それは間違いだ。過半数のアメリカ人は、ヒラリーの方が良かったんだ。トランプじゃない。彼が大統領になった、ただ一つの理由は、18世紀に作られた、難解でおかしな「選挙人団」と呼ばれるシステムだ。これを変えない限り、自分が選んでない、望んでもいない奴が大統領になる。この国に住んでいる人の多数が、気候変動を信じ、女性は男性と同じ賃金を払われるべきだと考え、借金をせずに大学に行くこと、他の国に武力侵攻しないこと、最低賃金を上げること、国民皆保険に賛成している。それは何一つ変わっていない。我々は、多数が“リベラル”な考えを支持する国に住んでいる。ただ、それを実現させるリベラルなリーダーがいないのだ(#1に戻って欲しい)。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/09/michael-moores-5-point-morning-after-to-do-list_n_12891776.html
【HBO】バーニー・サンダースがアイオワで語った言葉【演説完訳】 https://t.co/8cp4aQmNsj @hboljpさんから 今まで米国大統領選なんて茶番劇とバカにしていたが、共産党よりサンダースの方がよっぽど革新的。共産党も今のままでは絶対に安倍や橋下には勝てない。
― プレカリアート (@afghan_iraq_nk1) 2016, 2月 19
前回記事の最後でつぶやいた上記ツイートの内容について改めて説明します。
まず「今まで米国大統領選なんて茶番劇とバカにしていた」理由について。
知っている人もおられるでしょうが、米国大統領選挙の仕組みは大変複雑です。単純に国民の直接投票によって大統領が選ばれる訳ではありません。
出典:オール・アバウト
米国は二大政党制の国です。4年に一度、同時に行われる大統領選挙と上下両院選挙に出馬できるのは、事実上、民主党か共和党の人物に限られます。その他にも政党は一杯あるにはありますが、どの党も泡沫政党ばかりです。
その二大政党の中で、各州の党員集会や予備選挙で最も多くの代議員を獲得した候補者が、その党の全国大会で大統領候補に選ばれます。そこまでが前半戦です。そして後半戦では、いよいよ二大政党の候補者二人による選挙が行われますが、そこでも有権者が選べるのは、あくまでも「大統領選挙人」という代議員だけです。誰を大統領に投票するかあらかじめ分かっている「大統領選挙人」が各州で選出され、その「大統領選挙人」同士の投票で、ようやく次期大統領が誕生します。
出典:同上
なぜ、米国の大統領選挙がこんな複雑な仕組みになっているのか。それは、米国は国土が広く、連邦国家で各州の独立性も強いので、直接選挙ではなく州ごとに間接選挙を行うようになったのだと、よく言われています。しかし、馬車しか移動手段のなかった米国建国当初ならいざ知らず、航空機もあるこの21世紀に、なぜいまだにこんな昔の制度に固執しているのか。本当は、財界や軍需産業をバックに持つ政治家が、今まで通り政治を独占したいからです。
この米国大統領選挙の問題点については、(1)二大政党以外からの立候補には様々な制限が加えられ、事実上、二大政党による政治のたらい回しになっている。(2)「大統領選挙人」の選出についても、最多得票の陣営がその州の全ての選挙人を獲得してしまう「勝者総取り方式」を採用している為に、場合によっては、総得票では上回っているにも関わらず、選挙人の数で負けて敗北してしまうという点で、極めて不公平な制度である。(3)その為に、「勝てば官軍」とばかりに金権選挙やネガティブキャンペーンが横行。(4)米国では住民基本台帳に相当するものがないので、有権者は選挙のたびに選挙登録をしなければならない・・・など、さまざまな弊害が指摘されてきました。
そんな理由から、近年では米国大統領選挙の投票率も4割から5割に低迷し、選挙どころではない貧困層はほとんど投票にも行かなくなってしまっています。それが「茶番劇とバカにした」理由です。
出典:ウィキペディア
そんな米国大統領選挙が今年も始まりました。今はまだいくつかの州で予備選挙が始まったばかりで、今度どうなるかまだ分かりませんが、今までと少し様相が違うようです。
共和党陣営では、「メキシコ国境に万里の長城を築いて不法移民を入国させないようにする」「イスラム教徒は入国させない」などの発言で、保守強硬派から熱狂的に支持された不動産王のドナルド・トランプ(上の左端写真)が、保守乱立のあおりを受け、まさかの首位脱落。
その一方、民主党陣営では、今まで最有力と目されてきたオバマ路線継承の元国務長官ヒラリー・クリントン(同、真ん中の写真)が、社会主義者を自称する高齢のバーニー・サンダース(同、右端写真)の猛追で、予想外の苦戦。民主党陣営内では、この二人がデッドヒートを繰り広げています。
その中で私が注目するのは、何と言ってもバーニー・サンダースです。資本主義の総本山とも言える米国で、社会主義者を自称する大統領候補が、二大政党の一角から出て来て、首班指名を争う事なぞ、今までなら考えられませんでした。前述したように、米国にも共産党や社会党はありますが、いずれも泡沫政党で、市町村議会の選挙ですら当選する事ができない状態にあります。
米国とはそんな国なので、先進国なら大抵の国にある公的な健康保険制度ですら、「社会主義」「アカ」の象徴のように思われ、導入に反対する人が大勢います。その為に、民間保険に加入できない貧困層は、盲腸の手術一つ受けるにも百万円以上も払わなければならず、その費用が払えない為に命を落とす人が後を絶たないのです。
マイケル・ムーア監督の映画「SiCKO(シッコ)」には、そんな話が一杯出てきます。仕事中に指を2本切断した大工が、薬指だけなら1万2千ドルで縫合手術が受けられるが、中指も含めると7万2千ドルかかると言われ、中指の縫合を諦めざるを得なかった話とか。
映画「SiCKO(シッコ)」の宣伝パンフレットより
ところで、日本の現状はどうでしょうか。一応、公的な健康保険制度はありますが、以前は1割負担だった保険料が今では3割に引き上げられました。国民健康保険に至っては、年収200万円以下のワーキングプアや無職の人間でも、月に4~5万円もの保険料を払わなければならない仕組みになっています。でも、現実にはそんな高額な保険料なぞ払える訳がありません。この日本にも、そうやって病気になっても医者に通えない人が大勢います。現に、私の会社のバイトの中にも、ひざが痛いのに医者にも通えず、我慢して仕事を続けている人がいます。
前回記事で取り上げたサンダースの演説の中にも、せっかく大学を卒業できたのに、低賃金で不安定な仕事にしか就けずに、奨学金の返済に苦しむ若者の話が出てきます。これなぞも、今の日本の現状と何も変わらないじゃないですか。とても他国の事とは思えませんでした。
幸い日本では、米国とは違い、かつては社会党が野党第一党として大きな力を持っていました。そして、社会党が衰退した今も、共産党が一定の力を持っていて、戦争反対や格差是正の要求を掲げて、安保法制や弱肉強食の経済政策を進める自民党や財界と対峙しています。
でも、今の共産党の演説を聞いていると、教育費の問題一つとっても、せいぜい「学費値下げ」どまりの要求に留まり、サンダースのような「公立大学の無料化」までは主張していないのではないでしょうか。
―多くの人々が立ち上がって”バーニーさん!大学行ったんだ、大学卒業したんだ、で、今、6万ドル、8万ドル、9万ドルの借金を抱えている”とおっしゃるのを聞きました。
狂ってる。これは狂ってる。彼らはまともな教育を受けようとしただけです。罰せられるべきではない。これこそが 2016年に、公立大学は学費無料になるべきだと信じる理由です。この主張に対しては私の批判者たちはこういうでしょう「バーニーさんよ、そりゃいい考えだ。タダだってね。でもどうやって財源を確保するの?」と。財源の確保をどうするか言いましょう。ウオールストリートの投機筋に課税すりゃいいんですよ。貪欲で無軌道で不法なウオールストリートの振る舞いは、この国の経済を無茶苦茶にしました。国民はそのウォールストリートを助けたんです。今度は、ウォールストリートが中流層を助ける番です。(以上、アイオワ州予備選でのバーニー・サンダースの演説より)
このサンダースが言うように、若者が知識を身に付け、立派な社会人として貢献できるようにする為には、少なくとも国公立大学については、どんな貧困層の学生でも通えるように、学費は無料にすべきだと思います。それは「バラマキ福祉」なんかではなく、むしろ将来への教育投資として積極的に推奨されるべきものです。そして、大学だけでなく公立高校の学費や給食費も無料にすべきだと思います。その為の財源は、小泉構造改革やアベノミクスによって今まで散々美味しい思いをして来た奴らが負担すれば良いのです。内部留保をため込んだ大企業とか、ワイロをもらった大臣とか、己は株買い占めに奔走しながら国民には偉そうに「戦場に行け」とほざくネトウヨ議員や、不倫で育児休暇を申請するような議員、黒人差別するしか能のないタレント議員などからドンドン取り立てたら良いのです。
そこまでハッキリ言ってやってこそ、初めて、日本の国民もようやく権利意識にめざめるようになるのではないでしょうか。ところが、「学費値下げ」どまりの要求や公約に留まっていると、安倍首相も表向きは「子育て支援」とか、一見似たような事も言っている中では、逆にアベノミクスに取り込まれてしまうおそれがあります。同じ「子育て支援」なら、「野党の共産党より与党の自民党の方が頼りになる」と考える有権者がいてもおかしくはありません。
もちろん、安倍が本心ではそんな事なぞツユほども考えていない事は明らかです。「大日本帝国の復活」しか安倍の頭の中にはありません。マイナス金利なぞという禁じ手に安易に頼ってしまうのも、アベノミクスが本当に景気浮揚や国民生活の事を考えて採用した経済政策ではなく、単に自民党が選挙に勝って憲法改正しやすくする為に、国家予算をつぎ込んで無理やり一時的にバブルを演出しているだけだからでしょう。
でも、そこまで見抜く事のできる有権者はそう多くありません。そんな中で「学費値下げ」や「格差是正」だけの要求に留まっていると、共産党の意図とは逆に、アベノミクスの土俵に取り込まれてしまうだけではないでしょうか。だから、警鐘を鳴らす意味も込めて、「共産党よりもサンダースの方がよっぽど革新的ではないか。そんな事ではいつまで経っても安倍や橋下には勝てないぞ」と書いたのです。
もちろん、サンダースとて完璧な人物ではありません。それどころか、彼が「社会主義者」と自称している点についても、私はどこまで本当か危ういものだと思っています。格差是正の世直しを主張するだけで社会主義者になれるのでしたら、安倍や公明党やナチスですら社会主義者になってしまいます。自民党の別動隊呼ばわりされた、かつての民社党も、表向きは「民主社会主義」を唱えていましたし、ナチスも「国家社会主義」を唱えていました。かつてナチスが引き起こしたホロコースト(ユダヤ人大虐殺)や第二次世界大戦、かつて日本の政府・軍部による韓国併合や2.26事件や太平洋戦争も、建前上は「失業者や貧しい労働者に職とパンを与える為に、それに見合う資源と領土をよこせ、金持ちの不労所得を没収せよ」と言って始めたものです。
―私は、以前、上院復員軍人委員会の委員長を務めました。そしてその職掌として、復員軍人の権益を守るために粉骨砕身しただけではなく、我々と我々の生活を守るために貢献した沢山の人々とお会いすることができました。そうした軍人たちが守ってくれたアメリカの民主主義は、一人一票であって金持ちが選挙を買収することではないはずです!(同上のサンダースの演説より)
一見何の変哲もない、サンダースのこの演説の中にも、その危うさが見て取れます。サンダースの言う「軍人たちが守ってくれたアメリカの民主主義」によって、北米大陸の先住民や中南米の人々、広島・長崎の被爆者、フィリピンやベトナム、アフガニスタン、イラクの人々、米国の核実験場にされた南太平洋の島々の人々がどんな目に遭わされたのか。それを少しでも知っていたら、本当の社会主義者ならこんな言葉は吐けないはずです。
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しかし、たとえ、そのような限界があったとしても、なお、サンダースの演説には、日本の共産党の演説にはない、ある種の力強さや人を引きつける何かが宿っているように思えます。その何かが、ひょっとしたらヒトラー張りのデマゴギーである可能性もないとは言えませんが。その魅力があるからこそ、今まで誰も格差是正の主張には見向きもしなかった資本主義大国の米国においても、史上初めて「社会主義者」の大統領が誕生する可能性が出てきたと言えるのではないでしょうか。
これは日本にとっても他人事ではありません。かつて「天安門事件」や「ベルリンの壁」崩壊が起こった時に、「資本主義が社会主義に勝った」という宣伝が散々流されました。しかし、その資本主義が今やどうなっているかと言うと、その後何十年も不景気が続き、失業や格差が広がる一方です。そして今や、ピケティという経済学者の書いた「21世紀の資本論」が世界的ベストセラーとなり、中南米やギリシャ、スペイン、ドイツで新たな左翼勢力が躍進を続け、コービンという左翼の闘士がイギリス労働党の新党首に就任するまでになりました。その中で、ひとり日本人だけが、いまだに安倍や橋下の暴走を許し、橋下らの垂れ流す「貧乏なのは個人の自己責任」の洗脳術にまんまと乗せられてしまっています。本当に変わらなければならないのは、サンダースでも共産党でもなく、むしろ私たちの方ではないでしょうか。
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