5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

20世紀で最も退屈だった日

2010-11-27 23:40:21 | PC・インターネット
1954年4月11日、20世紀で最も退屈だった日。

というのは、《True Knowledge》というコンピュータ・ナレッジ・ベースが行った面白い実験の結果について、今日のBBCポッドキャストが伝えているタイトルである。

英国ケンブリッジのコンピュータ会社が運営するこの「学習する」エンジンは、通常のサーチエンジンのように検索語に関係するWEB頁を抜き出して示すのではなく、入力された質問事項をコンピュータが理解して回答を返してくる仕組みになっている(らしい)。理屈ははるで分からない。

さてどんな物なのかと《True Knowledge》のWEBから、ひとつ質問を入力してみた。Nさんの申請資料に必要な「ブリュッセルから東京までの距離は?」という質問にした。さほど面倒なデータ組み合わせにはならないのだろう。すぐに回答が返されてきて「9,447.88 キロメーター (5,870.65 マイル)」と表示される。この数字が正確なものなのかどうかは分からないが、いとも簡単に納得させられてしまった。

《True Knowledge》の知識データのひとつひとつは《factoid》と呼ぶらしいが、《oid》とは「~のようなもの」という意味だから、《factoid》なら「事実のようなもの、事実に近いもの」といったことなのだろうか。

《True Knowledge》のWEB頁には「3億2570万のファクトイドによる970万の説明」とあるが、今もメンバーによるファクトイド入力が続いていて、知識のカケラを表す数字は常時どんどん増加中である。

ウイリアム・タンストル-ペドーという《True Knowledge》の社長が思いついたのは、「学習する」コンピュータに、「20世紀で最も退屈だった日はいつ?」というジョークな質問をしてみようということ。3億以上のファクトイドがどういった答えを返してくるかである。「退屈な」というのは人それぞれに感じ方が違うのだからと、コンピュータアルゴリズムは「イベントの無い」という風にプログラムを変更した。

《True Knowledge》のアクセスは月に500万回ほど。その利用者の多くがコンピュータから情報を貰って終わるだけでなく、自分が良く見知った分野の情報ファクトイドをフィードバックもして呉れるというわけだ。

こうして提供されるデータには「日付」が含まれるものも多い。出来事の始まりと終わり、ひとの生と死、戦争、ビジネス創業、出版などなど。この日付をインデックスにすれば多種多様な関連データが引き出せるというわけだ。

「日付の相互関連性を使い、一日一日の重要度を出来事の多寡によって区分してみよう」というのが、《True Knowledge》のジョーカー達が考えたもの。

その結果、コンピュータが返した答えが、「1954年4月11日」が出来事の最も少ない退屈な日。上田敏のブラウニング名訳、「神、そらに知ろしめす すべて世は事も無し」の日だったということ。

ニュースな出来事は何処にも起きず、この日に死んだ著名人はおらず、生まれたのは知っている人しか知らないようなトルコの学者ひとりだけという。たしかに、何も無かった「日曜日」である。

しかし、BBCは「20世紀で最も退屈」なことそれ自体が、人々の記憶に残る皮肉な結果になりそうだと結んでいる。

1954年は昭和29年。4月11日の日本でもイベントフルな事は起きなかったようだが、WEBで探すと、この日が誕生日の有名日本人をひとり見つけた。慶應大の清家篤学長がそのひと。これからは「20世紀で最も退屈な日に生まれた私」というジョークが使えるラッキーなひとりである。

そんなラッキーマンは世界中にどれほどいるのかと思い、「1954年4月11日生まれは何人?」と《True Knowledge》に入力してみたが、即座に「答え無し」と返された。






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