2月23日(火):
2日ほど前に録画した映像を観るともなしに見始めていた。この作品は10年に一度くらいのペースで繰り返し観てきたと思う。intermissionをはさんで3時間47分の大作である。半ば過ぎても全編を見切るとは思ってもいなかった。俺も公私ともにそれなりに忙しい日々を送っている。しかし、中断できなかった。まず、リマスター版の画像があまりにも鮮明で美しかった。知ってる方はよくお分かりだろうが、本作品ほど砂漠の映像で美しい作品はない。それを再現するのに、今回録画した映像は、おそらくかって俺が目にしたどの映像よりも美しかった。生々しい肌触りを覚えさせるほどに鮮明な色彩が出ていた。
次いで、ストーリーにはまった。時は第一次世界大戦、カイロ駐在の一情報将校(中尉)に過ぎなかったロレンスが、メディナ周辺に潜むファイサル王子の動向を調べるために単身で辺境のアラブに派遣される。ロレンスの活動は、正規の任務から逸脱し、アラブの立場に立った行動が目立ち始め、あげくにアラブの2部族の対立をまとめ上げて、死のナフド(ママ)砂漠を越えてトルコの軍港アカバを奇襲・陥落させてしまう。一度は、カイロに戻るが、狡猾な英軍アレンビー将軍により少佐に昇進され、アラブ軍を率いたトルコの後方撹乱を命じられる。アラブの部族社会の対立はひどいもので、「アラブなんて知らない。あるのは部族間の恩讐だけ」という状態だったが、アラブの文化を深く理解し、数々の奇跡(的勝利)を演じ、大英帝国を背後に持つロレンスの存在はすでに”預言者”に準ずるもので、対立するアラブの部族もロレンスの指示には従い、アラビアでのトルコの活動はかなりダメージを受ける。しかし、一方でロレンスは、戦後のアラブの支配をもくろむ英仏の意志(サイクス・ピコ協定)と、独立を目指すアラブの旗頭になっている自己との矛盾に引き裂かれ、さらに自らの手で繰り返す殺人によって心を壊していく。
アラブを離れて平穏な生活を求める心と、アラブの民族運動の先頭に立ち、戦場を求める心の間でふらふら動揺しながら、ロレンスが最後に求めたのは、英国軍よりも1日も早くダマスカスに入場することだった。それを果たしたロレンスは、自ら中心になってアラブ民族会議を起こしてダマスカスを占拠するが、いまだ中世の部族社会に生きるアラブ人たちに、大都市のインフラを維持できるわけもなく、次々に部族がダマスカスを後にし、ロレンスが一人取り残される。見せかけではあってもアラブの大義を実現させようとしたイギリス人ロレンスは、残された2000人のトルコ傷病兵たちのアウトレイジャスな惨状に打ちのめされる。
ダマスカスで大佐に昇進したロレンスは、英国政治家ドライデン、将軍アレンビーとファイサル王子がアラブの今後について話し合う席に呼ばれるが、すでに廃人のようであった。その後、イギリスに帰り、約17年後の1935年オートバイ事故で47歳で亡くなる。なまじ有能で型破りであったがために利用され、大国の意志の前にもみくちゃにされ、擦り切れていった哀れな人間の一生のように感じた。事実上の自殺のようにも思えた。
今回は、映像がすごく美しかったが、もう一つ今までで一番ストーリーがよく理解できた。長く生きているので世界史の知識もずいぶんついていたようだ。
・英語の映画なので「アッラー」というところが「ゴッド」になっていた。
・ピーターオトゥール、オマーシャリフ、アンソニークィン、他、存在感抜群の役者ぞろいだったのと、CGでないスケールの大きな本物の映像に満足度120%だった。特に砂漠が美しい。美し過ぎる!
・ロレンスの立場(ウィキペディアより):オスマン帝国軍から解放されたアラビアは、もはやロレンスを必要とはしていなかった。フサイン=マクマホン協定を信じてイラク・シリア・アラビア半島を含む大アラブ王国(汎アラブ主義) を構想する老練な族長ファイサルにとって、白人のロレンスがアラブ反乱を指揮した事実は邪魔となっていた。また、サイクス・ピコ協定によりアラブをフランスとともに分割する方針を決めていたイギリス陸軍の将軍にとっても、大アラブ王国を支持し奔走するロレンスは政治的に邪魔な存在となっていたからである。
2日ほど前に録画した映像を観るともなしに見始めていた。この作品は10年に一度くらいのペースで繰り返し観てきたと思う。intermissionをはさんで3時間47分の大作である。半ば過ぎても全編を見切るとは思ってもいなかった。俺も公私ともにそれなりに忙しい日々を送っている。しかし、中断できなかった。まず、リマスター版の画像があまりにも鮮明で美しかった。知ってる方はよくお分かりだろうが、本作品ほど砂漠の映像で美しい作品はない。それを再現するのに、今回録画した映像は、おそらくかって俺が目にしたどの映像よりも美しかった。生々しい肌触りを覚えさせるほどに鮮明な色彩が出ていた。
次いで、ストーリーにはまった。時は第一次世界大戦、カイロ駐在の一情報将校(中尉)に過ぎなかったロレンスが、メディナ周辺に潜むファイサル王子の動向を調べるために単身で辺境のアラブに派遣される。ロレンスの活動は、正規の任務から逸脱し、アラブの立場に立った行動が目立ち始め、あげくにアラブの2部族の対立をまとめ上げて、死のナフド(ママ)砂漠を越えてトルコの軍港アカバを奇襲・陥落させてしまう。一度は、カイロに戻るが、狡猾な英軍アレンビー将軍により少佐に昇進され、アラブ軍を率いたトルコの後方撹乱を命じられる。アラブの部族社会の対立はひどいもので、「アラブなんて知らない。あるのは部族間の恩讐だけ」という状態だったが、アラブの文化を深く理解し、数々の奇跡(的勝利)を演じ、大英帝国を背後に持つロレンスの存在はすでに”預言者”に準ずるもので、対立するアラブの部族もロレンスの指示には従い、アラビアでのトルコの活動はかなりダメージを受ける。しかし、一方でロレンスは、戦後のアラブの支配をもくろむ英仏の意志(サイクス・ピコ協定)と、独立を目指すアラブの旗頭になっている自己との矛盾に引き裂かれ、さらに自らの手で繰り返す殺人によって心を壊していく。
アラブを離れて平穏な生活を求める心と、アラブの民族運動の先頭に立ち、戦場を求める心の間でふらふら動揺しながら、ロレンスが最後に求めたのは、英国軍よりも1日も早くダマスカスに入場することだった。それを果たしたロレンスは、自ら中心になってアラブ民族会議を起こしてダマスカスを占拠するが、いまだ中世の部族社会に生きるアラブ人たちに、大都市のインフラを維持できるわけもなく、次々に部族がダマスカスを後にし、ロレンスが一人取り残される。見せかけではあってもアラブの大義を実現させようとしたイギリス人ロレンスは、残された2000人のトルコ傷病兵たちのアウトレイジャスな惨状に打ちのめされる。
ダマスカスで大佐に昇進したロレンスは、英国政治家ドライデン、将軍アレンビーとファイサル王子がアラブの今後について話し合う席に呼ばれるが、すでに廃人のようであった。その後、イギリスに帰り、約17年後の1935年オートバイ事故で47歳で亡くなる。なまじ有能で型破りであったがために利用され、大国の意志の前にもみくちゃにされ、擦り切れていった哀れな人間の一生のように感じた。事実上の自殺のようにも思えた。
今回は、映像がすごく美しかったが、もう一つ今までで一番ストーリーがよく理解できた。長く生きているので世界史の知識もずいぶんついていたようだ。
・英語の映画なので「アッラー」というところが「ゴッド」になっていた。
・ピーターオトゥール、オマーシャリフ、アンソニークィン、他、存在感抜群の役者ぞろいだったのと、CGでないスケールの大きな本物の映像に満足度120%だった。特に砂漠が美しい。美し過ぎる!
・ロレンスの立場(ウィキペディアより):オスマン帝国軍から解放されたアラビアは、もはやロレンスを必要とはしていなかった。フサイン=マクマホン協定を信じてイラク・シリア・アラビア半島を含む大アラブ王国(汎アラブ主義) を構想する老練な族長ファイサルにとって、白人のロレンスがアラブ反乱を指揮した事実は邪魔となっていた。また、サイクス・ピコ協定によりアラブをフランスとともに分割する方針を決めていたイギリス陸軍の将軍にとっても、大アラブ王国を支持し奔走するロレンスは政治的に邪魔な存在となっていたからである。