もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

7 058 池上彰「考える力がつく本―本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門」(プレジデント社:2016)感想4

2018年05月13日 03時08分05秒 | 一日一冊読書開始
5月12日(土):  

262ページ     所要時間4:10     ブックオフ200円

著者66歳(1950生まれ)。

池上彰さんの本としては、緩い印象の本だったが、後半にあたる「第7章 リーダーたちは何を読んできたのか」の対談者の選定と内容が意外と良かったので感想4とした。

池上さんが青春期に感銘を受けた作家が、外国人だとドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、日本人だと高橋和巳「邪宗門」「我が心は石にあらず」と知り、俺との共通性を強く覚えて嬉しかった。俺が「カラマーゾフの兄弟」を読んだのは、40代だし、「邪宗門」は50歳である。しかし、ドストエフスキーと高橋和巳は学生時代の俺にとって絶対に避けては通れない特別な関門だった。

学生時代、ドストエフスキー「貧しき人々」や、高橋和巳「我が心は石にあらず」を辛うじて読み、高橋の随想集「孤立無援の思想」「現代の青春」「人間にとって」「わが解体」などを日常的に持ち歩いていた。どこまで理解できていたのかは、今だって自信はないが、若い時から今に至るまで二人の作品は俺にとって神聖な何かであり続けている。

テレビで社交的に見える池上さんが、実は自らによって造り上げられた池上さんであり、出発地点が俺と同じであるのを知り、この人に対する信頼感が一層高まった。この人は、極めて真っ当な知識人である。

本サイトの「112冊目 高橋和巳「邪宗門(上)」(朝日文芸文庫;1966)  評価 5」と「114冊目  高橋和巳「邪宗門(下)」(朝日文芸文庫;1966) 評価 特5」を是非お読み頂ければ幸甚ですm(_ _)m。

【目次】第1章 考える力を身につけるためには :「考える力」とは何か/考える力を効率的に身につける方法/田舎のおばあちゃんにニコニコ動画を説明できるか/まずは「自分は何がわからないか」を知る/言葉の「由来」を探る/似た言葉の定義をハッキリさせる/「そもそもなぜなのか」と考える/全体像を把握するためのコツ/それで得をするのは誰なのかを考えよう/情報を流す側の動機を考える/専門用語の「仕組み」を理解する/「わかる」とはどういう状態なのか
第2章 「図解」で理解を深める :何でも図にして考える癖をつけよう/ニュースを図にして理解する/組織図は「樹形型」か「階級型」になる/「ベン図」でわかるアメリカ共和党の二大勢力/「ベン図」でイスラム教徒への偏見もなくなる/「相関図」で複雑なシリア情勢を整理/「座標軸」で日本がどんな国かわかる/考える力をつける、情報源の使い分け方
第3章 新聞の読み方 :私が新聞好きになったきっかけ/新聞の情報量は新書2冊分/新聞の魅力は、興味関心が広がること/公開! 池上流「新聞スクラップ」術/新聞の長所とネットの長所のいいとこ取り/専門用語は読み飛ばしてもいい/ニュースを読み解けば未来を見通せる!/知っておきたい日経新聞の注意点/隙間時間に気軽に読むべし
第4章 雑誌・ネット・テレビの見方 :私はこんな雑誌を読んでいる/雑誌だってスクラップしよう/英字誌のわからない単語は読み飛ばす/池上流・ネット検索テクニック/優れたブロガーを見つけよう/映画でニュースを学ぶ
第5章 人から話を聞くためには :相手に仮説をぶつける/聞き出す秘訣は功を焦らないこと/よい聞き手になるためには/「いい質問」をして情報を引き出そう
第6章 本の読み方・選び方 :もっとも情報収集に役立つのは本/社会人に読書が必要なわけ/速読は必要ない/大切にする本、酷使する本/「知的虚栄心」が人を成長させる/ビジネス小説で楽しみながら勉強/ビジネスパーソンに必須の教養とは/ニュースを読み解く、宗教のおすすめ本/歴史を学ぶには『世界史A』/人類の旅路がわかるおすすめ本/経済を知るならアダム・スミスは必読/漫画で勉強するのも大いにアリ
第7章 リーダーたちは何を読んできたのか :柳井 正 ファーストリテイリング会長兼社長/安田隆夫 ドンキホーテホールディングス創業会長兼最高顧問/古森重隆 富士フイルムホールディングス会長兼CEO/川村 隆 日立製作所 元相談役/星野佳路 星野リゾート代表/千本倖生 レノバ会長/松本 大 マネックス証券社長/出口治明 ライフネット生命保険創業者 

【書籍の内容】本、新聞、ネットの読み方など情報収集術、読書術から、情報整理の超入門まで、すぐに使える池上流「深く考えるコツ」を教えます。 なぜ、池上彰さんは、突発的なニュースにも素早く事件の本質を見抜き、常に良質な解説を続けられるのでしょうか。「似た言葉の定義をハッキリさせる」「全体像を把握するには、マクロからミクロへ」「相関図、座標軸、ベン図など図解ですっきりさせる」「情報を聞き出すために、相手に仮説をぶつける」考える力を身につけるために有効な、図解で理解を深める方法、新聞の読み方、雑誌・ネット・テレビの見方、人から話を聞き出す方法、本の読み方、選び方など、すぐに使える「深く考えるコツ」を教えます。また、最終章は「リーダーたちは何を読んできたか」と題し、柳井正氏(ファーストリテイリング会長兼社長)、星野佳路氏(星野リゾート代表)、松本大氏(マネックス証券社長)など、各界で活躍しているリーダーの愛読書にまつわる対談から、読書によって何が得られるのかを浮き彫りにしていきます。
〈 編集者からのおすすめ情報 〉
池上彰さんは、本書の冒頭でこのように述べています。「本書では、考える力を身につけるためにはどうすればいいのか、私の経験をもとに実践的な方法を紹介していきます。本、新聞、ニュース番組、雑誌、ネット。これら特性の違う媒体をうまく使い分けることができれば、あなたのビジネスも生活も今よりスムーズに運ぶはずです。何より、ものの見方、考え方が変わってくるので、あなた自身が『視野が広がった』と自分の変化に驚くことでしょう。/スマホが普及し、SNSが盛り上がり、ビデオ・オン・デマンドサービスも増え……今の世の中には、簡単に楽しめるものが増えたといいましたが、頭に楽ばかりさせていては、考える力そのものが衰えてしまいます。脳は筋肉と同じように、トレーニング次第という側面があるからです」
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