もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 092&6 093 二ノ宮知子「のだめカンタービレ アンコール オペラ編」(講談社コミックスKiss:2010)感想5

2017年08月21日 00時53分21秒 | 一日一冊読書開始
8月20日(日):    

173ページ&175ページ   所要時間4:00    蔵書

著者41歳(1969生まれ)。

久しぶりに風呂につかって至福の時を過ごした。俺は「のだめカンタービレ」が深夜放送の枠のアニメだった時にすべて録画しDVDにしてある。2007年1月11日 - 6月28日(第1期)23話/2008年10月9日 - 12月18日(第2期)11話/2010年1月14日 - 3月25日(第3期)11話。また、コミック全25巻を大人買いして所蔵している。もちろん、すべて観てるし、読んでいるので、アニメ版とコミック版の内容の違いなどもよく理解しているつもりだ。原作コミックはもちろん上出来だが、アニメ版には原作では不可能な圧倒的利点がある。それは、音楽そのものである。原作では曲名と雰囲気を絵とセリフのみで表現するのだが、アニメ版には音がついてくるのだ。これは絶対的な違いであり、セリフも大事だが、その曲そのものを耳にすれば、一目瞭然なのだ。そして、原作も音が付いたアニメにされることによって、その選曲の良さ、センスの良さが確認されて、改めて再評価される、「のだめカンタービレ」はそういう幸せな作品である。

この作品の最大の値打ちは、大切な分野だとわかっていても、どうしても知識と熟練を必要として、部外者の素人にはなかなか近付けない、伺い知れない世界について、物語りという形をを通して万人にその世界の中を疑似体験させてくれるところである。こういう作品は、取り上げている世界が奥深ければ奥深いほど真価を発揮する。しかも、この作品はストーリー的にもよく練られていて、若者を中心に様々な人々の群像、生きざまを描き出していて興味が尽きない。分野は全く異なるが、囲碁の世界を描き出した「ヒカルの碁」も同じようなカテゴリーになると思う。わかる人だけわかってもらえればいいが、進藤ヒカルをのだめに、塔矢アキラを千秋真一に、藤原佐伊をシュトレーゼマンと考えることができる。また、ストーリーの後半で関係性が逆転して、のだめのために千秋真一がいた、進藤ヒカルのために塔矢アキラがいたのだと観るようになるのもそっくりである。これは、真似ではなく、物語り作りの一種の”王道”というこである。

というわけで、「のだめカンタービレ」は、これまで数年ごとに俺だけのマイブームが訪れるようになっていた。そして、このお盆の一週間ほど何度目かはわからないが、大きな波が来て、気が付いたら、DVDで全45(23+11+11)話を見通してしまっていた。千秋とのだめの桃ケ丘音大での出会いから、パリでの活動、のだめがコンセルバトワールの学生からいきなりシュトレーゼマン指揮によるロンドン・オーケストラデビューと別離の危機を乗り越えて結び直される話まで一気呵成だった。

でも少し物足りない、「もう一口欲しい」という食い意地から「待てよ!?オーボエの黒木君とターニャのエピソードがコミックにはあったよな!?」と思い出して、蔵書を調べると、24巻と25巻がちょうどアニメでは放送しなかった「アンコール オペラ編」であることを知り、お風呂でまったりと4時間幸せな時間を過ごしたということである。

「アンコール オペラ編」では、声楽科で多賀谷彩子のライバルだった菅沼沙也が体型ゆえに主役になれない運命を自ら切り拓くために、自分が必ずマドンナを務める白薔薇歌劇団(市民歌劇団)を立ち上げ、峰竜太郎のいるライジングスター・オーケストラに共演を持ち掛ける。ちょうどその頃、オペラの勉強を始めていたパリの千秋真一のところに、日本の峰からモーツァルトのオペラ「魔的」の指揮依頼が舞い込んでくる。

指揮者依頼を快諾し、厳しいスケジュールを縫ってオーディションから関わりを持つ千秋だが、市民歌劇団と市民楽団の共演というのは、まさに”試み”であり、なかなかうまくいかない。いつでもどこでもだれとでもトラブルが続き、ついにはオケピで千秋もその大波に呑み込まれる。

ちなみに、作品中で多くの女性たちが、「魔笛」に込められた女性蔑視に対する反発を吐露しているシーンが出てくる。恐らく、今の価値観からは受け入れがたい女性差別的シーンがあるのだろう。

「自由奔放さを失わない才能たち」というのが、「のだめカンタービレ」の主題であり、その最たる者として野田恵がいるのだが、この「アンコール オペラ編」では、菅沼沙也がもう一人ののだめとして主役を務める。作中の登場人物たちがぶつかる困難が、恐らく現実の音楽の世界でも重要な意味を持って存在する問題・テーマなのだということは容易に想像がつく。楽しみながら、普段見られない世界を垣間見させてくれる作品に仕上がっていた。24巻と25巻は2冊で上巻・下巻をなしている。一冊ずつだと感想4だが、2冊まとまると感想5となる。

【モーツァルト歌劇「魔笛」あらすじ】(ウィキペディアより)
時と場所:時代不詳のエジプト(正確には、漠然と「ラムセスの時代」と書かれている)

第1幕[編集]
  日本の狩衣を着た王子タミーノが大蛇(初演前の原案ではライオン)に襲われ、「神々よ助けて!」と叫ぶ。そこに3人の侍女があらわれ彼を救出する。3人はタミーノのことを夜の女王に報告に行くが、そこへ鳥を女王に献上して暮らす鳥刺しのパパゲーノがやってくる。大蛇(ライオン)のことを聞かれ、成り行きから自分でやっつけたとパパゲーノは嘘をつくが、戻ってきた3人の侍女に見つかり口に鍵をかけられてしまう。侍女たちがタミーノに女王の娘パミーナの絵姿を見せると彼は彼女に一目惚れする。そこに夜の女王が登場し、悪魔ザラストロにさらわれて娘を失った悲しみを語り、彼に救出を依頼し、タミーノは意気込んで引き受け、ようやくしゃべることを許されたパパゲーノとともに姫の救出に向かう。2人にはお供の3人の童子が付き添い、タミーノには魔法の笛(魔笛)、パパゲーノには魔法の鈴が渡される。
  ザラストロの神殿内。逃げ出そうとしたパミーナを捕らえようとする奴隷頭モノスタトスと部下の奴隷の前に、偵察に来たパパゲーノが突然現れる。彼らは互いに初めて見る姿に驚き、双方ともパミーナを置き去りにして逃げ出す。しかしパパゲーノはすぐに引き返し、パミーナに救出にきたことを告げる。
  ザラストロの神殿前にタミーノが案内役の童子につれられてやってくる。3つの扉を順に試すと、最後の扉が開いて弁者(神官の一人)が登場する。2人の長い問答が始まり、ザラストロは悪人ではなく夜の女王のほうが悪人であると告げる。一人になったタミーノが笛を吹くと、神殿から逃げようとしていたパパゲーノとパミーナが聞きつけやってくる。そこにモノスタトスが登場し、2人を捕らえるが、パパゲーノの鳴らす魔法の鈴の音に動物たちも、奴隷たちも皆浮かれて踊ってどこかに去ってしまう。そこへザラストロと神官たちが登場する。彼は逃げようとしたパミーナにやさしく語り掛けるが、そこにモノスタトスがタミーノを捕らえてやってくる。初対面にも関わらず、パミーナとタミーノは互いに惹かれて走り寄り、抱き合う。怒ったモノスタトスが2人を引き離すが、ザラストロに足を77回叩きの仕置きを受ける。一同ザラストロの裁きを受け容れて讃える合唱で幕となる。

第2幕[編集]
  ザラストロは神殿で神官たちにタミーノに試練の儀式を受けさせることを説明し、賛同を得る。一同イシス神とオシリス神を称える。
  神官がタミーノとパパゲーノのもとへやってきて、試練について説明する。試練に挑むというタミーノとは対照的に、パパゲーノはそんな面倒なことは御免こうむるという。神官はパパゲーノに試練に打ち勝ったら似合いの娘を世話するといい、ようやくパパゲーノはその気になる。
  そこに3人の侍女がやってくる。彼女たちはタミーノがザラストロの言うなりになっているのに驚き、翻意させようとするがタミーノは取り合わない。一方パパゲーノは侍女たちの話に釣られそうになるが、そこに雷鳴とともに神官が現れ彼女らは去る。
  場面が変わり、庭でパミーナが眠っている。そこにモノスタトスがやってきてパミーナを我が物にしたいと狂わしい思いを歌うが、そこに夜の女王が登場し、彼は隠れる。女王は復讐の思いを強烈に歌い、パミーナに剣を渡しこれでザラストロを刺すように命じて去る。
  隠れていたモノスタトスが出てきてパミーナに迫るが、ザラストロが登場し、彼を叱責して去らせる。モノスタトスは今後は夜の女王に寝返るか、とつぶやく。
  パミーナが母の命令のことを話すと、ザラストロは「この神聖な殿堂には復讐などない」、と教団の理想を歌い上げる。
  場面転換。2人の神官がタミーノとパパゲーノに沈黙の修行を課して去る。しかしパパゲーノは黙っていることができず、しきりに喋ってはタミーノに制止される。そこへ黒いフードで顔を隠した老女がやってくる。彼女に歳を尋ねると自分は18歳だと言うので、パパゲーノは涙を流して大笑いする。そんなに若いなら彼女には年頃の恋人がいるはずだと思い、パパゲーノが聞いてみると案の定、恋人はいるという。しかもその名はパパゲーノだというので驚いてお前は誰だ?と尋ねる、それと同時に雷鳴が轟き、名前を告げずして彼女はどこかに消えてしまった。
  そこへ3人の童子が登場し、2人を励まし酒や食べ物を差し入れる。パパゲーノが喜んで飲み食いしていると、パミーナが現れる。彼女はタミーノを見つけて喜び話しかけるが彼は修行中なので口を利かない。パパゲーノもまた口いっぱいに頬張っているので喋れない(自省して喋れないとする演出もある)。相手にしてもらえないパミーナは、もう自分が愛想をつかされたと勘違いし、大変悲しんでその場を去る。
  次の場面で、神官たちとともにザラストロが登場し、タミーノに新たな試練を課すと告げる。パミーナも出てきて試練を受けに出発するタミーノと互いに別れを告げる。
  沈黙の業に落第したパパゲーノが神殿に近寄れずうろついていると、神官がやってきて、お前の望みは何かと尋ねる。パパゲーノは恋人か女房がいればいいのに、というと先程の老女がやってきて、私と一緒になると誓わないと地獄に落ちると脅かす。パパゲーノがとりあえず一緒になると約束すると、老女は若い娘に変身する。「パパゲーナ!」と呼びかけ、パパゲーノは彼女に抱擁をしようとするが、神官がパパゲーノにはまだ早いと彼女を連れ去る。
  場面が変る。パミーナはタミーノに捨てられたと思い込み、母のくれた剣で自殺しようとしている。3人の童子が現れてそれを止め、彼女をタミーノのもとに連れて行く。タミーノが試練に立ち向かっているところにパミーナが合流し、魔法の笛を使って火と水の試練を通過する。
  さらに場面が変り、パパゲーナを失ったパパゲーノが絶望して首を吊ろうとしている。そこに再び童子たちが登場して魔法の鈴を使うように勧める。パパゲーノが鈴を振ると不思議なことにパパゲーナがあらわれ、2人は喜んで子どもを大勢作るんだ、とおおはしゃぎする。
  場面が変り、夜の女王と侍女たちを案内してモノスタトスが神殿を襲撃しようとやってくる。しかし光に打ち勝つことはできない。
  ザラストロが太陽を讃え、一同イシスとオシリスを讃える合唱のうちにタミーノとパミーナを祝福して幕となる。
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