もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

170128 佐藤優;琉球新報&朝日新聞【社説】悪質なデマ拡散する東京MXテレビ

2017年01月29日 02時03分07秒 | 時々刻々 考える資料
1月28日(土):


琉球新報【社説】沖縄ヘイト告発 辛淑玉さんを支持する  2017年1月28日 06:01
  デマを拡散し、基地のない平和な島を望む市民に対する憎悪を扇動するような番組を、看過するわけにはいかない。
  東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)の番組「ニュース女子」が米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対する市民を中傷した問題で、名指しされた市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さんが、放送倫理・番組向上機構(BPO)に対し、訂正放送や謝罪など人権救済を申し立てた。辛さんの申し立てを全面的に支持する
  「ニュース女子」は1月2日の放送で沖縄の基地問題を特集し、ヘリパッド建設に反対する市民を「過激派デモの武闘派集団『シルバー部隊』」とレッテルを貼り、「テロリスト」呼ばわりした。「反対派が救急車を止めた」と虚偽の放送をし、危険でもないのに現場を取材せず「反対派の暴力で近寄れない」と印象操作する。辛さんについては「反対運動を扇動している黒幕」「反対運動参加者に『日当』を出して『雇い入れ』ている」などとやゆした。
  「ニュース女子」は16日の放送の最後にテロップで「様々なメディアの沖縄基地問題をめぐる議論の一環として放送致しました」と開き直った。制作したDHCシアターは、番組への批判について「誹謗(ひぼう)中傷」と反論し、「基地反対派の言い分を聞く必要はない」と居直っている。
  対立した見解がある場合、双方の言い分を取材するのは報道のイロハである。東京MXテレビはそれを怠り、取材を受けていない辛さんを公共の電波を使って誹謗中傷した。同時に新基地建設に反対する人々を事実に基づかず中傷し、おとしめた。まさに「沖縄ヘイト」である。
  辛さんが指摘するように番組が「『まつろわぬ者ども』を社会から抹殺するために、悪意を持って作られ、確信犯的に放送された」のであれば、報道機関として一線を越えている。権力の監視こそ報道の使命であるはずなのに、70年以上も基地を押しつけられ構造的差別にさいなまれてきた沖縄と向き合う姿勢が全くみられない。
  BPO放送人権委員会の厳正な審議・審理を望む。東京MXテレビに対して、あらためて番組の訂正および辛さんと誹謗中傷された人々への謝罪、損なわれた人権の回復を求める。

朝日新聞【社説】「偏見」番組 放送の責任わきまえよ  2017年1月28日(土)付
  事実に基づかず、特定の人々への差別と偏見を生むような番組をテレビでたれ流す。あってはならないことが起きた。
  地上波ローカル局、東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が、今月2日放送の「ニュース女子」という番組で、沖縄・高江に建設された米軍ヘリパッド問題を特集した。
  驚くのはその内容だ。
  軍事ジャーナリストを名乗る人物の現地報告は、建設に反対する人たちを遠くから撮影し、「テロリスト」「無法地帯」などと呼んだ。「過激な反対運動の現場を取材」とうたいながら実際には足を運ばず、約40キロ離れたところからリポートした。
  不可解きわまりない「取材」であり、論評である。
  反対運動を支援してきた市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)さんは、番組で「運動を職業的に行っている」などと中傷されたとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に人権侵害を申し立てた。
  当事者の動きとは別に、放送番組の質の向上をめざしてBPO内に設けられている放送倫理検証委員会も、MXテレビに報告を求めている。
  権力の介入を防ぎ、放送・表現の自由を守るためにNHKと民放連が設立した第三者機関のBPOにとっても、存在意義が問われる案件だ。視聴者・国民が納得できる対応を求めたい。
  問題の番組は化粧品会社DHC系列の制作会社がつくった。動画サイトでも公開されてはいるが、周波数が限られ、公共性が高いテレビ電波が使われた点に見過ごせない問題がある。
  放送法は、報道は事実をまげないですることや、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを定めている。MXテレビは、番組の意図や放送までの経緯、社内のチェック体制などを早急に検証し、社会に広く説明すべきだ。
  抗議に対し制作会社はウェブサイト上で、反対派を「犯罪や不法行為を行っている集団を容認している」などとして、「言い分を聞く必要はない」と述べた。開き直りというほかない。
  気になるのは、反基地運動に取り組む沖縄への、根拠のない誹謗(ひぼう)中傷が、この数年、高まっていることだ。舞台はネットから街頭に広がり、今回はテレビで公然と語られた。
  放送は健全な民主主義を発展させるためにあり、番組は明らかにその逆をゆく。対立をあおり、人々の間に分断をもたらすことに放送を使う行いは、厳しく批判されなければならない。
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