10月15日(火)十三夜 天気:晴れ・薄雲 室温:29.8℃
きょうは、公民館の歴史教室に出席しました。 今月は、元城郭研究室長の中川秀昭氏の 「日本100名城の
事例に学ぶ 城鑑賞の基礎知識」 です。 今回は、前回9月の残りの説明があり、これに 約30分かかり、今回
も 資料の半分近くが残り、来月、残りの説明が行われます。
。。。。 日本100名城の事例に学ぶ 城鑑賞の基礎知識 。。。。
◆築城の4要素:選地(せんち)、縄張(なわばり)、普請(ふしん)、作事(さくじ)
Ⅰ 選地:城をどこに築くか
1. 選地の移り変わり
・中世(鎌倉・室町時代) ・近世(安土桃山・江戸時代)
中小の領主(国人・土豪層が大半) ⇒ 大名(大兵力(平農分離))
防御主体(主に山城) 領国経営主体(平城・平山城)
中世城館(居館+山城) 近世城郭(天守+御殿+城下町)
2.選地の事例
・山城:小谷城、七尾城、春日山城、千早城、高根城、要害山城など・・・中世山城
備中松山城、高取城、岩村城、竹田城、津和野城、岡城など・・・近世城郭
・平山城:姫路城、伊予松山城、津山城、熊本城、高知城、丸亀城、彦根城、金沢城、江戸城、大坂城など
・平城:松本城、広島城、二条城、名古屋城、駿府城、備中高松城など
※海城(水城):高松城、今治城、宇和島城、萩城、赤穂城、膳所城など
Ⅱ 縄張:築城の総合的な計画・設計(曲輪や建物の配置、城下町の地割など)
1.曲輪(くるわ):城郭を構成する区画のこと
・中世の城郭:山の尾根伝いに 曲輪を造成。 曲輪の数は多い
・近世の城郭:人工的な形状。 曲輪の数は少ない(本丸、二の丸、三の丸 その他)
2.縄張の基本型
・輪郭式(山形城、駿府城)、 梯郭式(岡山城、萩城)、 連郭式(水戸城、彦根城)
3.縄張の工夫(防御の工夫)
(1)虎口の防御(※虎口は 曲輪の出入り口)
・喰違虎口、一文字虎口(芎(かざし)・城外、蔀(しとみ)‣城内)
・枡形虎口:城門枡形(内枡形虎口、外枡形虎口、枡形門)、横矢枡形
・馬出虎口:角馬出、丸馬出 枡形虎口+馬出小口(事例:名古屋城、篠山城)
(2)横矢(横矢掛け):二方向以上から攻撃すること
Ⅲ 普請:土木工事または土木工事を伴う建築工事
1.堀
(1)堀の形状
(2)中世・近世の堀の特徴
・中世の城郭:堀切、竪堀・畝状竪堀、横堀(空堀(薬研堀))
・近世城郭:空堀、水堀(箱堀が中心・堀幅が広い) ※火縄銃の有効射程、30間(約60m)
2.土塁
・中世城館:山城・土塁、切岸(きりぎし) ※切岸:山城などで自然の斜面を削って造った人口の絶壁)
・近世城郭:平地に堀をうがち、その土砂をかさあげて 土塁を盛る
3.石垣
(1)石垣の構造:根石、積石(築石)、間詰石(間石)、角石、門脇石、裏込石(栗石)、飼石
(2)石積の種類
・野面積み(のづらづみ):自然石(割石)を ほとんど加工しないで 積んでいくもの
・打込接み(うちこみはぎ):積石の接合部を 加工して、積み石同士の隙間を減らしたもの
・切込接ぎ(きりこみはぎ):積み石を 大きく加工して、隙間をなくしたもの
※「亀甲積み」:六角形に加工した石を隙間なく積む、「谷積み」:石の対角線を縦に向けて 斜めに積む
(3)積み方による分類:布積み、乱積み、布積み崩し、谷積み
(4)算木積み(さんぎづみ)と 反り(そり)
・算木積み:隅部の石垣に、直方体の石の長辺と短辺を 交互に積む
・反り:石垣の下部は 湯結勾配だが、上部にいくにつれ 急勾配、最後は 垂直
◆雁木(がんぎ)・合坂(あいさか)
◆西洋式刎出(はねだし)石垣
◆鏡石
Ⅳ 作事:天守や櫓、門、御殿などの建築工事、あるいは、その工事に付帯的な作業
・天守:「櫓」に 「望楼」を乗せた形式から発達、城主の権威の象徴、軍事要塞
外観は 優美・華麗・豪華、内部は 武骨・頑丈、籠城・防戦の装置
(1)天守の構成
・独立式:丸岡城、宇和島城 ・複合式:犬山城、彦根城、松江城
・連結式:松本城(一部)(正式には 連結複合式) ・連立式:姫路城、伊予松山城
(2)天守の構造(望楼型 ⇒ 後期望楼型 ⇒ 層塔型)
・初期望楼型:入母屋造(基部)+望楼・・安土城、豊臣大坂城、岡山城
・後期望楼型:基部・望楼部の形を統一・・熊本城、姫路城、彦根城
・ 層塔型:四方へ葺きおろす屋根を積み重ね 五重塔のよう・・福山城、島原城、寛永度江戸城
安土城復元想定図 岡山城 熊本城 彦根城 福山城
(3)天守の意匠
①破風(はふ)・懸魚(げぎょ)・蟇股(かえるまた)
・破風:天守の飾り・・・入母屋破風、千鳥破風、切妻破風、唐破風(軒・向)
・懸魚:破風の飾り・・・三花蕪懸魚、蕪懸魚、梅鉢懸魚、兎毛通
・蟇股:唐破風の飾り・・本蟇股、板蟇股
②下見板張(したみいたばり)と 塗籠(ぬりごめ)
・下見板張:土壁に板を張り防腐剤(墨(煤+柿渋)or 黒漆)を塗ったもの
・塗籠:土壁に漆喰を上塗りしたもの(総塗籠:建物全体を塗籠めること)
③廻縁と高欄:天守最上階の外側に縁側を巡らせ高欄(欄干)を付けたもの
④窓:格子窓(突上戸・土戸)、出窓(出格子窓)、鉄格子窓、華頭窓、与力窓
2.櫓
・語源:矢倉(蔵) or 矢坐と書いた。 矢を収めた倉庫 or 矢を射る座が語源
・種類 ・三重櫓(最高格式、天守に代用した場合も)、二重櫓、平櫓
・多門櫓(多聞櫓)、渡櫓、付櫓(続櫓)
・名称:貯蔵する物品名から(鉄砲櫓、弓櫓、塩櫓)、特殊用途(太鼓櫓、潮見櫓)、風流を楽しむ
(月見櫓、富士見櫓)、設置場所(巽櫓、艮櫓、乾櫓など)
3.門:虎口を守る防御の要(防御と装飾)
4.土塀・狭間・石落し
①塀:土塀、築地塀、練塀
②狭間:矢狭間(長方形)、鉄砲狭間(方形、円形、三角形) ※石狭間(大坂城)、隠狭間(彦根城)
③石落し:袴腰型、戸袋型、出窓型、他に櫓門直下か
5.御殿:城主の居住の場、家臣との対面儀式の場、藩政のための庁舎
・御殿の構成:表(表向き)・・・表御殿(玄関・大広間・書院)、台所
奥(奥向き)・・・億御殿(居間・寝間)、長局
・御殿の建方:書院造、本瓦葺(柿葺、檜皮葺)、雁行形
6.屋根瓦と鯱
・屋根瓦:本瓦葺き(土製素焼瓦)、銅瓦(弘前城)、鉛瓦(金沢城)、石瓦(丸岡城)、金箔瓦(安土城、
・鯱:頭部は虎、体部は魚、火除けの霊験、通例は 「阿吽の一対」(天守大棟等設置)
7.番所・蔵・土蔵
。。。。 。。。。 。。。。 。。。。 。。。。 。。。。 。。。。