米国でのブシュ減税の延長が上院で可決された。
初めは反対していたガイトナー財務長官も「中所所得者の家庭などにも効果的である」(日経新聞)と強調した。
世紀の運用者ビル・ミラー(投資銀行レッグメイソンの投資顧問を率いる)は、ことし7月のレポートで「年$210,000以上の所得者の比率は人口の5%だが、米国の消費の33%を占めている」と、早くからブシュ減税の延長を主唱してきた。この層が消費に動くかどうかで米国の消費景気を左右する。その原動力は株高である。株高→消費回復→景気上昇という米国経済の循環を指摘してきた。この主張に政府が同調したが、財政赤字比率が日本を上回るのもいとわず政治が動いた。
現下の日本の政治家の発想には残念ながらこの種の発想はない。証券税制の延長がやっととうのが現状である。“貧すれば鈍する”の循環に落ちいっている。
昨日のウォール街では相場は横ばいであったが、市場のセンチメントは好転してきた。VIX(恐怖)指数が16.11と4月26日の水準に並んだ。4月といえば昨年3月を底とする反騰相場の佳境のときである。米国株は2011年の上昇相場の底固めをしている。
昨日は石原産業(4028)が戻り高値を更新した。原料のルチル鉱の値上がりをみても酸化チタンが構造的な需給窮迫の段階にはいったことが理解できる。酸化チタンは白色顔料の原料である。中国、インドでビルや住宅の内装用の白色ペンキの需要が急増している。化粧品の原料と幅が広い。
酸化チタンはアナリストも見切りをつけて分析対象から外してきた。株価は乾燥した地面のように水分を吸収するだろう。