米国の雇用統計の発表が、景気指標としてはもっとも関心度の高い指数になってきた。
昨夜、ウォール街では12月の失業者数が8万5000人と事前の予想の3万5000人を上回った。発表時には株価は下落したが、引け1時間前から相場は反騰し、結局、NYダウ平均は小幅高に終わった。
落着いてみると11月の雇用統計の改定で雇用者数が4000人増と速報値-1万1000人から好転した。
いま市場の関心事は連銀がいつ金融政策を転換し、利上げするかにある。失業者数が8万5000人とマイナスの数字がこの程度の小幅なら、むしろマイナスのほうが相場の先行きを読むのにはプラスと判断した。
VIX(不安)指数はこの日の雇用統計には反応せず、18.13と前日の18.95よりも低下した。機関投資家やヘッジファンドの相場の下落に掛ける保険料が低下したことを意味する。
東京市場の最大の関心事は、いまやNY株の動きよりもドル相場のほうにウェイトが移ってきた。
NY市場ではドル指数(DXY)が下落した。この日のドル相場は円だけではなく、ユーロに対しても下落した。雇用統計がマイナスになったので、バーナンキ議長が金融政策の転換を先に延ばすという解釈である。
今回の円相場の動きは円安というより、ドル高である。米国の景気対策、金融政策が効果を上げ未曾有の金融不安を切り抜け、景気が回復したことをドル相場が織り込み始めた。
来週、月曜日からウォール街では第4四半期の決算の発表が始まる。恒例にしたがってアルコアがトップバッターだ。投資家の関心は第4四半期の数字より、先行きの見通しを経営者がどうみているかにある。
東京市場は米国の決算と為替に関心が集中する。
昨夜、スイスの投資銀行と電話で話したが菅財務大臣への関心の高さには驚いた。