ちょうど1年前、米国で住宅公社の2社の経営危機が表面化、政府が株主になり事実上の公的機関になった。これが、その後の金融危機のクライマックスの先導役になるとは誰も想像ができなかった。それから1週間後、リーマンブラザーズが破綻し世界の金融市場の緊張感は一気に高まった。
われわれが付き合っているスイスの投資銀行は、顧客勘定の現預金を全部、米国かドイツの国債に換えた。「米独の政府以外、だれも信用できない」というのには驚いた。
それから1年、欧米の中央銀行の果敢な行動が金融市場の崩壊をストップした。この間の日米の株価をみるとTOPIXは-20.1%、米国のS&P500は-18.7%であった。金融危機の本家本元の米国の株価に追随して東京市場も大幅な下落になり、その後遺症はいまだ癒えない。
米国のサブプライム問題で住宅や不動産の市場は崩れたた。この巻き添えを食らったのは日本で、米国のような投機現象が発生したわけではないのに、東京市場では不動産、住宅市場も大きな打撃を受けた。1990年代の土地バブル崩壊の記憶が鮮明に残っているので、市場では無差別に不動産、住宅関連株を売り込んだ。なかにはヘッジファンドなどのショート(空売り)も相当に積みあがった。いまだ残っている銘柄もある。
限界的な不動産会社は大きく売られた。しかし今年にはいってからの反発力には目を見張るものがある。
株価が100分の1にもなって生き残るところが出てきたのは過去には例をみないことである。
ここへいきて生き残り組の不動産株には10倍以上の上昇率をする銘柄も散見される。生き残り組の株価は短期的にもさらに2、3倍になる株も出てくるだろう。
昨日、住友金属鉱山(5713)が2009年9月中間期と2010年3月期の業績の修正を行った。第1四半期は大幅な好転であったが、通期の業績は修正しなかった。ただ「いずれは見直す」としていた。非鉄金属と金の価格の予想以上の好調さで経常利益を110億円→540億円に増額した。日経新聞に先に報道されたので目新しさはないが、一部の製品に内需の好転がみられるというのは注目点。