ウォーレン・バフェットと45年間にわたってバークシア・ハザウェイの副会長として共同経営し、企業を今日の姿にするのに大きく貢献したチャリー・マンガーは農場に住むある少年が学校で先生から問題を出された話を次のように書いている。
“牧場に羊が9匹いた。そのうちの1匹が逃げた。残った羊は何匹?”
この少年を除いてクラス全員が“8匹”と答えた。農場の少年は“間違いだ。ゼロ”と答えた。
先生は少年に向かって“君は算数がまったくできない”と言った。
それに対して少年は“先生は羊のことは分かっていない”と反論した。
この話は最近、機関投資家やヘッジファンドの間でよく引用される。ここでマンガーは羊を金融機関にたとえた。昨年、9月はじめに政府の公的機関である住宅抵当証券のファニメイとフレディ・マックを国有化し資金援助をした。この政策決定がリーマン・ブラザーズの破たんにつながり、AIGの株価が住宅公社の国有化の8日後に$24から$1.85に暴落した。
市場は政府の金融機関対策は国有化か破たんかの2つの道につきると読んだ。
ファニメイとフレディ・マックは国有化で存続したが、投資家はすべての金融株に不信感を抱いた。
チャリー・マンガーがいいたいのは市場の反乱を買うと金融問題の解決には時間と膨大な代償がともなうということだ。
ポールソン前財務長官は大きな汚点を後世に残した。
チャリー・マンガーを共同経営者として尊敬するウォーレン・バフェットはオバマ政権の非公式だが有力なアドバイザーである。オバマ政権が民間資金を導入する不良資産の買い上げ案を検討しているのはマンガーの考え方を採用したからである。
金融市場の安定策の検討は正しい方向に向かっている。