7月中旬、原油相場は瞬間的に$147を記録して史上最高値をつけた。
当時の市場の雰囲気は「次の目標は$170、して年末には$200台乗せ」という見方がウォール街の大手投資銀行から出て、市場に参加するヘッジファンド、トレーダー、そして年金基金までが、この種の見方に乗った。
それが一転して下落に転じ、$100に迫るような感じである。
直接のきっかけは、ハリケーンが石油基地を直撃するとみられていたが、進行方向は予想通りであったが、勢力が弱まり被害は軽微に終わった。
それよりも今回の17年ぶりの下落率といわれる背景には世界的な景気の減速がある。すでに最大の資源国のひとつであったオーストラリア中央銀行は国内景気の方向に危惧を強め利下げし、政策の転換をはかった。
今週、早々にはウォール街では大手ヘッジファンドであるオスプレイ・マネジメントが8月の成果が‐26.7%で、年初来では‐38.6%に悪化して資金を投資家に返還する通告をした。
1999年設立のエネルギー、鉱山、その他の資源関連の株式に特化したファンドである。
9月2日付のビジネスウィーク誌は「原油は$80?」という表題で、下値支持線は$100ではなく、$80まで下落するとみている。
これまでの新興国の需要は、世界的な景気の減速の影響で「押せ押せムード」が払拭されたし、トレーダー、ヘッジファンドも見方を変えてきたことに注目している。
投資戦略のパラダイムに変化が出そうである。