もし、彼女が『乙姫』だとしたら…
1992年、『裏氏・又郎』は、10,410円の運賃を支払って山形新幹線で東京方面にあるという『竜宮城』に向かった…。
亀を助けたことくらいで、ましてや自分が釣り上げた亀を気まぐれで逃がしてやったくらいで『竜宮城』に招かれるならば、この世の中の数多の男性は『竜宮城』に招かれているはずであります。ましてや、絶世の美女『乙ちゃん』からの酒食の接待と歌舞音曲の宴が用意されているなどということが俄かに信用できるはずがない…推定年齢25~6歳のモテ期にある『又郎君』であれば、こうした『美味しい話』に疑問を感じるところでありましょうが、余程モテない男だったのか、それともキャッチセールスマンである『亀』の話術が巧みだったのか、往復運賃20,820円と宿泊料?のことなど考えもせず、ノコノコと『亀』の誘いに乗って山形新幹線に乗り込むのでありました。
さて、海神の末娘であるという『乙姫』は、絶世の美女であるという前提で伝説は続いていくのでありますが、そもそも美女の定義というものが、甚だ怪しいものでありまして、世界三大美女と言われる所以は、クレオパトラに楊貴妃、ギリシャ神話のヘレネたちは、歴史の流れさえも彼女たちの男性を魅了する力(???)で変えてしまったことから由来すると言われております。したがって、彼女たちは、そこそこの美を備え、男性を魅了する力に長けていれば良かった訳で、「美」とは歴史的、民族的な価値観で変わってしまうことが儘あるわけであります。もし、キャッチセールスマンの『亀』が、物思いに耽るアマガエルの『お銀ちゃん』に恋をしていたとすれば、『お銀ちゃん』ですら絶世の美女に見えたことでありましょう^^;
「旦那、旦那!美穂ちゃん似のかわいい娘が揃ってまっせぇ~!!」…1992年、日本では「森高千里さん」の「私がオバさんになっても」とか、「中山美穂ちゃん」の「世界中の誰よりきっと」がヒットしていた頃だから、キャッチセールスマン『亀』が駆使した会話術の中には、「千里ちゃん似の娘」とか「美穂ちゃん似の娘」という言葉が必ず含まれていたと確信する『夢屋国王』なのであります^^;
日々の漁(お仕事)で小金を貯め込んでいたモテない『又郎君』は、「1時間5,000円ポッキリ」というキャッチと「美穂ちゃん似の乙姫」という幻想を抱き、山形新幹線に乗って東京方面にあるという助平男の楽園『竜宮城』へと向かう…『竜宮城』に誂えてあるソファーは、それはそれは座り心地のよろしい椅子で、時が経つのも忘れてしまいそうなソファーでありましたとさ…1992年『又郎伝説』の核心が近づいてきたのであります^^;
さて、その心地良いソファーが、クモの糸で出来ているなどとは夢にも思わなかった『又郎君』の末路は…当然、『玉手箱』を渡される訳でありますが、本日はここまで…1992年2月経済企画庁は、いわゆる「バブル景気」の終結を発表し、1992年10月、実はこの月から13年2ヶ月に渡り、有効求人倍率が1.0を下回る、いわゆる「就職氷河期」が始まるのであります。それから20年…歴史は反省をもって検証すべし、しかし、バブルという甘い夢から覚めるまで如何に長い時間を要したことでありましょうか?