一文字 寅 の 「風菜園(かぜさいえん)」 

「天に星。地に花。人に愛。」 風に乗って、日々の所感を「風菜園」から発信してまいります。

ときめきが聴こえてきそうなほど・・・ 素敵な日本酒空間 『益や酒店』  【京都・四条】12/5

2015年12月10日 01時30分30秒 | みんな~愛『酒』てるかい

(『益や酒店』店内ディスプレイ    京都・四条)

 

■2015/12/5(土) 快晴

京都・四条で「義侠」が呑める。そう聞いて、京都で呑む「義侠」(愛知)も悪くないなと奈良から快晴の空を引っ提げて京都に久々出て来た。

私のこのブログを以前から読んでいる人にとっては、「義侠」は、割と耳慣れた日本酒銘柄で私の周りでは知名度抜群の酒なのだ。それと言うのも「もし 無人島に一本だけ日本酒を持っていけるとしたら私は間違いなく『義侠』を選ぶ」

そうブログに書いたフレーズが、読んだ人の印象に今も残っているようで、久しぶりに会う人からも「寅さんが好きなのは、無人島に持って行く酒 『義侠』でしたよね」と未だに言われる。 

「日本一の山田錦(東条産特A米)で、山田錦の旨みを存分に引き出した酒を造る。」 「万人受けするような酒を造ろうとは思わない。わかる人にわかってもらえたらいい。」 そんなぶれない姿勢が、この酒の真骨頂で、私も全国に多くいると言われる熱烈な「義侠」ファンの一人なのだ。

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さて、京都六条通り「つるやこなな」で食事とお酒して「名酒館タキモト」で日本酒を見て、京都四条通りに着いたのは、午後4時を廻った頃だった。向かった先は、この春開店して、その店舗と店主(女性)が注目を浴びている、関西だけでなく全国区の雑誌にまで掲載され現在も赤丸急上昇中の店( 今年デビューした日本酒を飲ませる店では、新人賞が獲れそうな感じの店)  御幸通り沿いにできた『益や酒店』  

(雑誌「Pen」の日本酒特集の表紙を飾った益田さん)

 

ガラス張りのスクウェアの店内にはとてもセンスの良さを感じる空間と、壁面の黒板書きと日本酒ディスプレイからいかにも日本酒に対する店主の熱い思いが伝わってくる。(最初の写真がそれ) そんな思いを私のブログ更新を楽しみにしている日本酒ファンに伝えたくて、店に入るなり、丁度前に居た男性スタッフに 「店内の写真を撮って大丈夫ですか?」と尋ねると「どうぞ 沢山撮ってもらって構いませんよ」との返事に喜んだ。

私は黒板ディスプレイに正対し、好きなスタンディングを選んで、早速店の女の子に「「義侠」をちょうだい」と注文した。 するとまもなく「すみませ~ん。義侠は無くなってしまって、切らしてます」との返事に あっさりと本日の目的がかなわないこととなった。 しょうがないなと気を取り直し、目の前のディスプレイに目を向け「じゃあ 最初は 富久長のシーフード(海風土)で、あじのなめろうと山葵風味の枝豆も頂戴」と注文した。

対角線方向で飲んでいらしたご年配の男性から「ご主人、最初に飲む酒としては、『海風土』はなかなかいいですよ  酸味が強い酒でしてね あじのなめろうとの相性はばっちりじゃないですか」とおほめの言葉を頂いた。 「それはどうも 恐縮です。」

 

(モノクロで店内を撮ってみた。 後姿の女性が店主・益田さん)

 

で、女の子が持ってきた広島の酒「海風土」(シーフード)はラッキーなことに未開封、私のテーブルで開けようとしてなかなか空けきれないみたいなので、「空けるの手伝おうか?」と言えば、「いえ大丈夫です。」とバックヤードで開けてもらって戻ってきて私のグラスに注ぎ始めた。 「これ、広島で有名な今田美穂さんという女性杜氏が造った酒なんだよ」と言えば「へえ~ そうなんですね 女性が造られた 日本酒なんですね 勉強になります」とこの店の女性スタッフは皆感じがいい。 

 

二杯目は、何にするかな・・・  手元の折られた日本酒のメニューを広げてみれば、右(最初)から 「風の森」「澤やまつもと」そして 三番目に何と「若波」が書かれているではないか!    北九州・小倉の「和酒ばる田村本店」に行くと必ず呑む酒が「若波」 関西では、なかなかお目にかかれないだけに、二杯目はこの「若波」純米吟醸に即決。 素敵な店で必ず姿を現すのが、「若波」とも言える。

 

「若波」の杜氏 今村友香さんとは、昔 福岡の「カキタRO」さんに挨拶に来られた時にお会いし、それ以来、応援している。九州初の女性杜氏で、京都で学生時代を過ごしたことを知っている私は、帰ったらすぐに連絡しようとお酒を注がれてからもしばらく、写真を何枚も撮っていた。  さすがに不審に思ったのだろう 向こうにいた女性店主の益田さんが私の横にやってきて

( 「今日(京)の主役はこの酒だ」 若波純米吟醸 )

この一枚を押さえようと角度を変え、何回もシャッターを切っていたというわけ

 

「あの~ 先ほどからかなり写真を撮られているようですが、お仕事か何かですか?」 「(首を横に振って)んーん 全然仕事とかじゃなくて 同業者とかでもなく 美味しい日本酒が好きな普通の人  日本酒ファンを増やしたいとちょこっとだけブログ書いていて今日は奈良から来ました。 そうそう丁度あの「風の森」の蔵から遠くないところに住んでるんだけどね 」 「そーですか 奈良にはあまり行ったことがないですね」

「ところで、関西では珍しい『若波』が置いてあって驚いたんだけどこの店で定番で呑めるの?」と聞けば 「福岡で仕入れた二本のうちの一本です」 「じゃあディスプレイされているTAMA(玉出泉)なんかも?」  「あれも福岡で買い求めたものなんですよ」

「今日は、偶然にも女性杜氏の酒が続いちゃった・・・」

(日本酒を注ぐ眼差しがなかなか素敵な店主)

 

先日、日本酒特集された「雑誌Pen」の表紙を飾ったチャーミングな女性店主 益田さんとそんな会話をしながら 「この黒板ディスプレイ 素晴らしいですね 相当日本酒が好きで呑みこなしてないとここまでのディスプレイはできませんよ」と言えば 「これからも精進してまいります」 と見かけとは違うストイックなせりふが返って来て驚いた。 もし自分が彼女だったら きっとこんなぶりっ子のセリフを言ってただろう 「ずーっと日本酒とときめいていけるような店にしたいと思ってます。」 

 

三杯目は、 尾瀬の雪どけでも知られる『龍神』純米大吟醸 これも大好きな酒、3年ぶりくらいに頂いた。やはりいいな。口に含んだ時の広がりとキレの潔(いさぎよ)さ

 

そして 最後四杯目は、愛知の「長珍」   たまたま「長珍」の蔵人と以前「酒屋へちかん」で一緒になったことがあり、「同じ愛知でうちの酒も義侠さんに負けてないですから 見かけたら呑んでやってください。」 その言葉を思い出して義侠が呑めなかった代わりに本日の〆の酒とさせていただいた。

いにしえの都・京都で日本各地の酒をおいしく頂ける幸せ  当初予定していた「義侠」は呑めなかったが、京都にゆかりのある女性杜氏の酒「若波」を京都で味わえたことが何とも今日(京)のよろこびだった。 店主に見送られ外に出るとすっかり日も暮れ、外から改めて見る店舗はまるでオアシス。 この空間は、日本酒のときめきで溢れていた。

 

 

週末の人通り賑やかな京都・四条の人混みを縫うように地下に降り、四条河原町駅からマルーンカラーの阪急の特急電車で豊中(庄内)のイタリアン食堂「G Mercato」へと向かった。

 

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(寅)