一文字 寅 の 「風菜園(かぜさいえん)」 

「天に星。地に花。人に愛。」 風に乗って、日々の所感を「風菜園」から発信してまいります。

『 2012年度 私が選んだ今年の酒十傑 』 2012/12/31

2012年12月31日 23時10分10秒 | みんな~愛『酒』てるかい

■2012/12/31 (月)

2012年も残すところ1時間を切りました。 今年を象徴する漢字は、「金」(キン)でしたが、その文字が持つ輝きに対し現実との温度差を感じるにつけ、決して浮かれてばかりはいられないというのが、現在(イマ)の正直な気持ちです。

 

さて大晦日 私から皆さんへのメッセージは 「今年になって初めて出会った人の顔と名前と時季を今一度思い浮かべてみませんか?」 というものです。

思い返してみると結構いらっしゃるのではないでしょうか。 私は、今現在接している人との 初対面の日のシーンをほとんど憶えています。 心のシャッターというやつでしょうか。  確かこの人と初めて会ったのは・・・外が日差し穏やかな日に どこどこで出会ったんだな~ なんて思い出したりします。  実は、日本酒もそう。  この酒を初めて口にしたのは、どこどこの居酒屋、左から2番目のカウンター席に座って 窓には雪がちらついていた寒い夜だったなとか・・・

今年も日本酒を通じて新たな出会いが沢山ありました。 日本酒そのものしかり、またそれを提供する人や関係者しかり、そしてそれを美味しく味わう人しかり。 去年の今頃は、決して想像もついてなかった人や酒との出会い、幾多の故人が「人生は旅のごとし。 人は皆、旅人」と残した意味が、この年の瀬を迎えるにあたり年々わかってくるようになってきました。

来年も今想像だにつかない新しい酒や人との出会いが必ずあることでしょう。 読み返したときこの人との出会いは、自分にとって実に幸運な出来事だったなとブログに書きとどめことがるできれば、これほど嬉しい年の瀬はありません。

私と出会った人にとっての私は、いつのまにか消えている 夜空の彗星(ほうきぼし)みたいなものに過ぎないでしょうが、私はそれでかまわないと思っています。

来年も私は、引き続き 美味究心「純米主義」。 誰の心の奥底にもあるピュアーな気持ちとの出会いを求め、旅するがごとく、このブログの世界に登場していることだと思います。

今年私のブログにお付き合い頂いた方々に御礼を申し上げますと共に 来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。     (一文字)

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 さて、昨年大晦日に発表しました 『年度の日本酒十傑』を今年も発表したいと思います。

昨年 2011年度 日本酒十傑 http://blog.goo.ne.jp/yumeichimonji/e/3b51dff1dd94eaecd8a6bca7655e05e6

今年も100種近いお酒を味わうことができた年でした。 その中から10酒を選ぶことが

結構難しいものです。 まさに100人のお客さんが来るのに10席では席が足りな~いといった感じです。

11位~30位間には、 きら星のごとく 知られた銘柄面々も・・・

この順位、もちろん私にとって美味しかった酒に違いありませんが、決して美味しかった順というわけでなく

その印象の良さから、また飲みたくなる順と言った方が気持ちとして近いかもしれません。 

美人の順が決して、会って話したくなる好感度の順とは一致しないのと同じようなものです。

なお 十傑からは純米大吟醸酒・大吟醸酒は外しています。 (理由は、昨年書いたとおりです。)

 

『2012年度 私の酒十傑 』 書き留めておきたいと思う。   一蔵一銘柄 

▼ 『 2012年度 私が選んだ今年の日本酒十傑 』 

一. (愛知) 「義侠」 山田錦・特別栽培米60% 滓がらみ

二. (長野) 「瀧澤」 純米吟醸 ひやおろし

三.(福岡)  若竹屋「渓」(黒) 純米吟醸

四.(秋田) 「ゆきの美人」雄町

五.(岐阜) 「鯨波」ひだほまれ 純米吟醸 生

六.(奈良) 「五神」 純米吟醸

七.(奈良) 「篠峯」 雄山錦・櫻ラベル

八.(福井) 「梵」 ときしらず

九.(秋田) 「雪の茅舎」 純米

十.(広島) 「亀齢」萬事酒盃乃中

次点.(奈良) 「春鹿」青乃鬼斬

▼上記順位の日本酒について、要望もあり、今年は 「一文字ショートコメント」を追加することにしました。

①「義侠」  「義侠」の前に「義侠」以外なし 今年も私の1位はこの酒だった。 「無人島に持って行く1本は?」 と聞かれたら迷わずこの1本だ。 1週間前、たまたま本屋で立ち読みしていると なんと日本酒の漫画に この義侠が登場していた。(詳しくは、来年このブログにアップしたい) そこに書かれていたセリフがいい。「気に沿わなかったら いくら金を積んでも出さない酒」 まさにその通りだ。「酒量販や卸には一切出さない。面接して私が納得した酒店にしか出荷しない」蔵見学した際、山田社長はそうおっしゃっていたが、そんな筋金入りの蔵の酒は、迷いなくまっすぐだ。  いとやさんを連れてこの酒を飲みに行ったが、佐賀の「東一」を飲んだいとやさんにすすめたのが、この酒だった。 「東一」も相当美味しいと満足していたが、あとからすすめた「義侠」は遥かその上だったとのこと。 ここの蔵見学できたこと自体が、今にして思えばレアなこと。 作業途中の麹室にも入れてもらい感激した記憶が今も蘇る。 駅伝で例えるなら2位のランナーに200mほど差をつけている感じだ。

②「瀧澤」ひやおろし  この酒は大阪・西田辺「さむらい」で開封してもらったが、この店に行くと必ず飲むのが、この瀧澤だ。真田幸村の里・信州上田に蔵があって(私はまだ行けてないが) なんとも繊細で伸びやかな味わいの酒。  その数日後、東京の門前横丁でアナウンサーの森本さやかが、これと全く同じ酒を飲んでいた映像が全国に流れたのには驚いたし嬉しかった。

③若竹屋「渓」  「コクがあってキレがある酒」と表現したらいいのかな。 その実力からして不思議なほど関西では知られていない。地元福岡の評価からすればおかしな感じがする。田主丸の酒蔵は、とても楽しいものだそうだ。 私が知る限り、関西では唯一、奈良市の「今西屋」さんで奇跡的に手に入るくらい。その酒屋で、リピート購入率が奈良の酒を抑えて一番高いのがこの酒だと聞いたが、私は驚かなかった。 当然だとさえ思った。 大阪でもこの酒を取り扱う酒店が近いうちに現れそうな予感だけはしている。

④「ゆきの美人」雄町  ゆきの美人が雄町を作っているとは知らなかった。長居の「ちょび」で飲ませていただいたが、正直私は雄町の酒が他の人ほど好みではないが、この酒は、「ゆきの美人」らしい飲みやすさを兼ね備えた雄町だった。 その酒を醸しているのが、秋田のマンションの一室だと聞いて驚いたが、私にとっては逆に更に興味をそそられる美人酒だ。 

⑤「鯨波」(くじらなみ) 純米吟醸生  初登場で印象度5番に入った。その飲みやすさといったら 自分が鯨にでもなったかのような錯覚を起こしそう。 大阪での取り扱いは、たった一軒の酒屋さんだけ。 このレア酒を取り扱う人物は、どんな人物だろうと思ったら 若いけど なかなか骨のあるしっかりもんだった。 私が初めて味わった「ひだほまれ」 好印象をこの酒がもたらしてくれた。

⑥「五神」純米吟醸  奈良市の地酒アンテナショップ「なら泉勇斎」で必ず飲む酒。 来られたお客さんが「おすすめの酒」と聞いていたら私が横からすすめる酒が、コレ。 今年一緒に行ったS君が、その日七酒ほど味わったけど 一番印象に残ったのが、私が最初にすすめたこの酒とのこと。 このショップに置いてある奈良県の酒の中で「本当に純米吟醸を飲んだんだなーという気にさせてくれるのがコレ」といつも私が絶賛している酒。

⑦「篠峯」雄山錦 櫻ラベル   いちブロガーにすぎない私の意見(味とラベルのイメージが違いすぎる 味は女性にも受け入れられる造りなのに スタイリッシュなラベルのカラーはいかがなものか?)をエポックの藤井部長が取りあげてラベルの色を前年の「黒地に銀」から今年は「櫻色」に変更。 エポックで1155本の事前予約という空前のヒットとなった私にとっても忘れられない一酒。  「篠峯」では八反と並んでこの「雄山錦」が大好き。

⑧「梵」ときしらず  長居の「月うさぎ」さんで飲んだこの酒は、口をつけただけで美味いと感じるほどだった。最初 「ときしらず」という酒を知らなかったが、隣に小さく「梵」と書いてあって なんだあの銘酒「梵」だったのか。 あたりまえだよなと納得したことを思い出した。

⑨「雪の茅舎」  伸びやかな酸が、綺麗な味わいを伴って切れていく。 冬の季節に車窓から見える一面の雪景色をその名にしたとも聞いた。 秋田の酒って好きだな~  純粋にそう思わしてくれる酒。

⑩「亀齢」萬事酒盃乃中  私の好きな「亀齢」の酒が、こんなギリギリの順位まで押されてきてしまった感じだが、100近い中から私の印象度先頭10分の1にとどまっているからやはり相当いい酒ということだ。 辛いと思ったら甘い余韻を残して切れていく。 軟水の水の辛口酒がそうさせているのだろうか。 確かに人生 甘いも辛いもあるなとこの酒は、旨さと共に教えてくれる。 

 次点 「春鹿」青乃鬼斬  春鹿は、辛いか吟醸香が強すぎるかだから 敬遠していた私だが、この酒はそんな概念を覆した。来年2013年の夏には、しっかり飲みたい酒。 かなりいい感じと思っていたら あっという間に売り切れた。鬼斬(おにぎり)というのが何ともその切れ味を物語るが旨みもしっかりだ。

 

【上記十傑に入ってないが、印象度で傑出していた酒(部門別)】 コメント付き

▼ 今年特に印象に残った純米大吟醸酒 

 ・(奈良)「稲戸屋」 金文字ラベル ・・1/28 「酒蔵ささや」マスターおすすめの酒

                               素晴らしい! とその旨さに唸った。 若草山山焼きの日

 ・(島根)「李白」純米大吟醸 ・・・ 綺麗な酒質がここの酒の特徴。この酒はとても飲みやすく私流表現 

                            「食事だけでなく酒をアテに酒がすすむという印象の酒」だった。 

▼ 今年好印象だった純米吟醸酒

・(栃木) 「仙禽」愛山  ・・・ 今年もこの酒だ。 羽を広げて夜空を翔ぶ感。大人の甘酸っぱさを感じる酒。

▼今年好印象だった純米酒

・(三重) 「酒屋八兵衛」山廃純米 ・・・ 今年は、桐子女将にお目にかかれなかった年となったが、

                                 お酒は、野田の「千輝千喜」で美味しく頂いた。

▼今年好印象だった本醸造酒/普通酒

・(静岡) 「磯自慢」 本醸造 /・(新潟) 「清泉」 普通酒 雪 ・・・燗はまさに 雪解けの味わいだ!

▼今年一番美味しいと思った清酒リキュール

・(奈良) 「梅乃宿」あらごしみかん ・・・ 清酒リキュールで全国区、みかんの味わいを存分に引き出した

                                他の蔵の清酒リキュールの追随を許さない美味さだね

 

今年も、美味しいお酒、人との出会いに恵まれました。

更に来年も! と期待してやみません。 皆様も、どうか良い年をお迎えください。 

2012年書き納め

(寅)

 

 


私が向かった先こそ山陰の名門酒蔵『李白酒造』(松江市) ⑤(last)

2012年12月31日 19時00分15秒 | みんな~愛『酒』てるかい

( 「李白酒造」宴会)

 ■2012/12/31(月)  曇のち雪

■ いよいよ大晦日   「李白酒造訪問記」も最終⑤話を書いて、キリよく完結したい。

第①話 http://blog.goo.ne.jp/yumeichimonji/e/552b3991ea567b20aa34ec36aafa51d8

第②話 http://blog.goo.ne.jp/yumeichimonji/e/59a68c8469c44137f0f6ac2882cde278 

第③話 http://blog.goo.ne.jp/yumeichimonji/e/c974e2f327545f66ac41fa3cab9cd3fb 

第④話 http://blog.goo.ne.jp/yumeichimonji/e/b1766c67c29d17aa0d3b32f6d741296c

 

時は、2012年11月10日 土曜日   場所は、松江市「李白」蔵

■ 「李白寄席」そして「李白音頭」が終わると もうひとつのお楽しみイベントが、李白を飲みながらの大宴会

「よ~っ 待ってました。」と声にこそ出さないものの皆 気持ちは同じはず。

 

▼「宴会の準備を致しますので、それまで蔵の外でお待ちください」とのことで、外で再入場を待った。

 

▼10分ほど外で待った後、食事が用意できた蔵に再入場  出迎えは、李白特製粕汁 と(右)献立  

▼スタートするや瞬く間に「李白」が空く           ▼ブレザー姿の三遊亭鳳楽師匠は、アナウンス部長のような風格

 

▼蔵の中は、賑わいの大宴会場だった。           ▼これがわずか千本ほどの斗瓶取り 一本一本製造NO入り

   

▼私の一番評価はこの純米大吟醸 ▼李白社長(みっちゃん兄)は30代前半と若き当主 ▼お世話になった総務の高木さん

  

▼奈良から来た私に どんどんお酒をすすめてくれた地元・石橋町の方(今回の参加で10回目とのこと)

  

                   最後は 「どうもありがとうございました」と蔵人に笑顔で見送りを受けた。 ▲

 

そして、最後に田中路子室長に挨拶 「ブログに今日のこと 格好良く書いておくから」と言えば「格好よく頼みますね」と言われ、松江市石橋町「李白酒造」を後にした、丁度50日前のこと。 あの日もヒンヤリしていたが、きっと今日・大晦日の松江には、雪が舞っているかもしれない。  先日、安倍総理が戦後吉田茂に続いて2度目の総理就任が決まったが、戦前、ここ松江出身の最初の総理大臣、若槻総理も二度就任。 「李白」の命名そして揮毫は、その若槻総理によるものだと聞いた。 まだ海外が遠い世界だった頃、ロンドンの軍縮会議にここ「李白」の菰樽を持って行ったことは、酒の雑誌にも出てくることで、かなり早くから海を渡った日本酒と言えるだろう。 そしてNHK朝ドラだけでなく尾瀬あきら氏の漫画にもここの蔵をモデルにした場面が、多数登場するなど、私が名門と冠をつけたのはそんな理由がある。

日本酒発祥の地「出雲」  お酒の神様を祀り新酒の合図・杉玉で知られる 奈良・桜井の「大神神社」は、出雲大社の神様を祭っていると言われる。   やまたのおろちを退治した際にも使われた「出雲」で生まれた日本酒を 奈良「大和」で、僧侶たちが清酒(透明)にした。 火入れの技術を世界で最も早く活用したのは、大和民族だった。 古事記にも出てくる出雲と大和のつながりに歴史のロマンを感じずにはいられない。

そんな先人たちが作ってきたイメージやロマンも資質に取り込んで、美味しい酒造りに邁進していただきたい。 「李白だより」によれば来年 試飲のスタートは、1/2~ 大阪梅田の阪神百貨店とのこと。  別名『食の阪神』と言われるステータスの高い売り場からのスタートは筋がいい。私も期間中に覗いてみたいと思っている。 新年早々、また「李白」の酒を楽しめそうだ。

以上  「2012 李白訪問記」おしまい (松江番外編は、来年)  皆様にとって来年も良い1年となりますように

(寅)