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2024.5東京上野 旧奏楽堂で芸大生による弦楽を聴く

2024年06月23日 | 旅行

日本を歩く>   2024.5東京上野 旧東京音楽学校奏楽堂で弦楽を聴く

 上野恩賜公園の北西、都道452号の南、上野動物園の北隣に東京芸術大学芸術学部、都道の北、東京国立博物館の西隣に東京芸術大学音楽学部がある。学生だった60年ほど前、楽器ケースを抱えた学生に交じり、緊張しながら音楽学部の門を入り、奏楽堂の外観を見た。設計は山口半六(1858-1899、パリ留学)、久留正道(1855-1914、工部大学校3期)で、1890年に竣工した木造2階建ての本格的な音楽ホールだったが、老朽化が話題になっていて、建て替えられるかも知れないからと先輩に見学を勧められて見に行った。奏楽堂では学生が練習中?で、楽器を抱えた学生が出入りしていて、中の見学はためらわれ、外観を見て早々に引き上げた。
 ほどなくホールを含む芸術センターが新築された。旧奏楽堂は保存されることになり、1987年、現在地に復元され、台東区芸術文化財団が管理し、建物公開日が設けられ、定期、不定期にコンサートやイベントが開催されている。
 2020年2月、上野に出かけたとき公開日だったので見学した(写真、2020.2撮影)。遮音効果を高めるため壁や床下に藁や大鋸屑を詰める、などの工夫が紹介されていた。
 ホールは2階に設けられ、客席数は310と小規模だが、ここで瀧廉太郎がピアノを弾き(写真は前庭横のブロンズ像、2020.2撮影)、山田耕筰が歌曲を歌い、三浦環が日本人による初のオペラ公演でデビューを飾ったそうだ。教科書で習う日本の音楽の先駆者がこの奏楽堂から巣立っていったのである。60年ぶりに見学して、奏楽堂の歴史的意義を改めて感じた。

 つい最近、旧東京音楽学校奏楽堂で「芸大生による木曜コンサート」が開かれるのを知った。毎月、邦楽、オペラ、指揮、ピアノ、木管・金管、古楽、作曲、打楽器、声楽、室内楽などが演奏されるようで、「第409回 弦楽」を事前にwebで予約し、聴きに行った。
 舞台にはコントラバスが20ほど並んでいて(写真)、大合奏でもするのかと思ってしまったが、最後の演奏では舞台には並べきれないコントラバスを客席に運び、全員が熱演してくれ、大いに盛り上がった。
 演奏は東京芸術大学音楽学部器楽科コントラバス専攻の1年~4年(もしかしたら5年とか院生もいたかも知れない)で、曲ごとに少人数の編成で演奏が進んだ。
 14:00に開演し、前半に、D.ランズウィック「犬小屋のシュトラウス」、G.ビゼー「カルメンファンタジー」、T.オズボーン「ピンクエレファント」、A.ピアソラ「タンゴJ'attendsさよならも言わないで、タンゴSaint Louis en L'Ile島の聖ルイ」、M.ラヴェル「亡き女王のためのパヴァーヌ」、F.シューベルト「弦楽四重奏曲第14番死と乙女より第1楽章」、
 休憩を挟んで、F.ビーブル「アヴェ・マリア」、映画メドレー「G.ミラーMoon Light Serenade、F.レイA Man and a Woman、D.エリントンMood Indigo、M.ウエインRamona 、F.シナトラThe Isle of Capri、E.モリコーネNuovo Cinema Paradiso」、E.グリーグ「ホルベルク組曲より第1楽章」、E.エルガー「エニグマ変奏曲よりニムロッド」、The Final Countdown by Europe、リムスキー=コルサコフ「交響組曲シエェラザードより第3楽章」、G.ヴェルディ「歌劇アイーダより4つのコントラバス四重奏のための凱旋行進曲」が演奏された。
 終わったのは16:00を過ぎた。現役の1年生なら18歳、入学して1ヶ月である。先輩後輩がいっしょに切磋琢磨しての演奏会だから、少々のミスは大目に見て全員にエールを贈りたい。
 次世代の滝廉太郎、山田耕筰、三浦環を待ち遠しく思いながら帰宅し、若々しい演奏を思い出しながらワインを傾けた。  (2024.6)

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