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2018.4 建仁寺方丈の庭は枯山水の大雄苑→襖絵雲龍図→○△□乃庭

2018年08月17日 | 旅行

2018.4 京都を歩く 2日目 ③建仁寺 大雄苑・雲龍図・○△□乃庭

方丈で枯山水の大雄苑を眺め、海北友松画「雲龍図」を見る
 「風神雷神図屏風」の部屋を出て、方丈の広縁に進む。
 方丈は1599年に安芸の安国寺から移築された建物で、国の重要文化財の指定を受けている。入母屋造りでもともとは柿葺きだったが、銅板葺きに改修されていたらしい。1934年の室戸台風で建仁寺も被害を受け、復旧された。その際、柿葺きが復元されたそうだ。外観は法堂から見ることができる。
 方丈南庭は大雄苑と名付けられた枯山水に仕立てられている(写真、左手は法堂)。
 建仁寺の伽藍は南から勅使門~三門~法堂~方丈が南北一直線上に配置されていて、以前は法堂~方丈を結ぶ石敷通路が南庭を通っていた。室戸台風後の改修で、庭師・加藤熊吉によりいまの枯山水に仕立てられた・・加藤熊吉は始めて聞く・・。

 中国江西省に百丈山=別名大雄山という山があり・・大雄苑は大雄山に由来・・、ここに禅宗の百丈寺があった・・いまもあるかは不明・・。
 宋から帰国した栄西は、百丈寺を模して建仁寺を開山したそうで、加藤熊吉は、荒波を乗り越え、島を過ぎ、大陸にたどり着いて修行した栄西の世界を枯山水の庭に凝縮したようだ。
 白砂利が波を打っている。波に巨石が浮かぶ。対岸に緑豊かな大地がある。広縁に座って瞑想し、波を乗り切り緑豊かな楽園にたどり着ければ、悟りの境地に近づき、心が平らかになる、ということであろうか。庭園は感じるままに感じればいいので、人それぞれ答えは異なる。枯山水も解釈も自由であろう。


  方丈南側最初の部屋・礼の間は、安土桃山~江戸期の絵師・海北友松の重要文化財「雲龍図」デジタル複製が8面の襖に描かれている(写真)。襖2面に渡る龍の顔は猛り狂っているようで、墨は黒々とし、全体に荒々しい迫力に覆われている。

 南側中央の室中の間の襖絵は、同じく海北友松による重要文化財「竹林七賢図」デジタル複製である。16面の襖に墨で描かれた七賢人の顔は和やかで体つきは丸みを帯び、部屋全体は穏やかな印象になる。
 次の檀那の間には海北友松画「山水図」8面、北側最初の依鉢の間に海北友松画「琴棋書画図」10面、裏の間を通り過ぎ、最後の書院の間に海北友松画「花鳥図」8面の襖絵が描かれている。

 海北友松に疎かったが、最初の「雲龍図」の迫力には圧倒された。禅寺のためか、海北友松の襖絵は、墨を基調としている。襖に向き合っていると、その黒に同化してしまいそうである。海北友松の力量であろう。

茶席「東陽坊」「○△□乃庭」「潮音庭」
 方丈の北西、衣鉢の間の縁先に履き物が用意されている。庭に降りると、北庭を散策しながら茶席「東陽坊」を見学できる。
 説明坂には、利休高弟の一人、真如堂長盛が、豊臣秀吉が催した北野大茶会(1587年)の際に建てた二畳台目の小さな庵と書かれている。
 戸は閉まっていたが、小動物・鳥などの侵入を防ぐ金網の張ってある小窓からのぞくと、奥に横向きの台目畳、手前に縦向きの2畳が並び、左の畳に炉が切ってあった。
 台目畳と2畳の中央に形のいい曲げ柱が立ち、上が小壁になっている。座してみないと実感がわかないが、非日常的な空間で茶を点てる様子を想像するだけでも風流な気分になる。

 方丈に戻る。方丈の東、本坊と小書院に囲まれた中庭は「○△□乃庭」と書かれた札が立っている。
 禅問答のような中庭と思ったが、まさに禅の思想で、○△□の形は宇宙の根源的形態を表し、水を○、火を△、地を□として象徴した中庭だそうだ(写真)。中央のツバキの足下の苔むした緑が○、向こうの井戸が□、手前の一段高い白砂利が△になっている。この中庭を囲む回廊には参拝客、観光客の人通りが多く、○△□を瞑想できなかった。

 小書院とさらに北の書院に挟まれた中庭は「潮音庭」と呼ばれる。紅葉が見事そうな木々、苔むした緑の中ほどに三尊石と呼ばれる石が据えられていて、そばの石は座禅石と名付けられている。法堂の三尊仏の前で座禅する修行僧をイメージした庭であろうか。
 書院にも「風神雷神図屏風」デジタル複製が飾られていた。
 小書院に戻り、襖絵を見る。染色画家の鳥羽美花氏が奉納した襖絵で、鮮やかな青で仕上げられている。禅の新たな境地かも知れない。

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