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1996 中国の暖房寝台カンはかまどの廃熱を利用したエコな住まい方

2017年08月15日 | 旅行

 中国の暖房寝台カンの住み方調査は1996年~に実施したが、2008年に冊子harmonyから寄稿を依頼された。再掲する。写真はホームページ参照。

「北中国のカン」 2008 harmony43号
 暖房に廃熱を利用したカン、これこそ究極のエコ住宅である!、
 カンに家族が集まり、カンで客をもてなす、カンはまた生活の中心でもある!


 寒さをしのぎたいとき、電気もガスも石油も使えなくなったらどうするか?。北中国に住む人々は、かまどの煮炊きで発生する熱を蓄熱し、暖房に活用する方法を考え出した。
 その始まりには諸説があるが、毎日、地面で煮炊きしていると地面に蓄熱されることは古くから分かっており、それを騎馬民族が北中国に住む人々に伝えたといわれる。
 かまどの廃熱を床に蓄熱する方法が朝鮮半島のオンドル、壁に蓄熱するのがロシアなどにみられるペチカで、寝台に蓄熱するのがカンである。中国大陸では土足の暮らしが一般であり、それが寝台蓄熱を定着させたようだ。
 原初的な住宅のカンを紹介しよう。写真は山東省の住宅で、道路に面して大門が建ち、中庭を挟んで奥の北側に正房が建つ。両サイドは塀が建ち、四合院形式に準じた配置である。母屋は3部屋構成で、中央の入り口となる部屋が明間、向かって右が東間、左が西間と呼ばれる。カンは東間、西間の南側窓際に設けられる。カンは寝やすい高さまで煉瓦を積み上げ、煙道になる空隙を残して煉瓦片、土で仕上げる。煉瓦、土が蓄熱材になり、厳寒でも寒さをしのぐことができる。日本のこたつを連想するとわかりやすいが、カンが一番暖かいので、寝るときも、食事や団らんもカンを用い、客が来ればカンに招くことになる。
 カンの熱源はかまどの煮炊きの廃熱である。そのため、明間の東側、西側の壁にかまどが据えられる。言い換えると、カンは壁を挟んでかまどがないと成り立たない。つまり、1正房に2房間の間取りが定型となる。
 現代の住宅では自由な間取りが志向されることと空調機が発達しているため、カンは急速に失われている。しかし、日本の現代住宅でも畳の和室が配置されるように、カンの部屋を設け、隣をキッチンとし、ガス台とは別に薪のかまどを据える現代住宅も少なくない。遠赤外線効果であろうか、お年寄りによれば、カンはぬくぬくと暖かく、身体にいいそうだ。

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