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気がつけばふるさと離れて34年

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ガルシア=マルケス著 『コレラの時代の愛』

2020-03-06 22:00:16 | 読書
このところ世の中は新型コロナウィルスで不穏な状況、そして弥生というのに鉛色の空が続く毎日でお部屋に春色が欲しくて先日お花屋さんに行ってきました。



桜の枝を購入しましたが、まだ蕾なので開花したらそのうちアップします。

新型コロナウィルス感染拡大中のドイツでこのところの関連報道に「コロナの時代のイベント」とか「コロナの時代の経済」というタイトルをよく見かけます。
これは1982年のノーベル賞を受賞したコロンビアの作家ガルシア=マルケス著『コレラの時代の愛』にかけた言葉です。
新型コロナウィルス感染拡大の記事にこのようなタイトルが使われるのは、ドイツの人々にこの本が浸透していることを物語っています。

この小説は初恋の女性をほぼ52年間も思い続けた男の物語で、初恋の女性の夫が亡くなった後、その女性は今度はコレラの撲滅に尽力する欧州帰りの医師と再婚してしまい、初恋の女性との思いを遂げたいという男の願望はまたしてもはかなく消えてしまいます。
そこから『コレラの時代の愛』というタイトルが付けられています。

そういえば『枕草紙』をドイツ語に訳した翻訳者が翻訳本のあとがきで記していた文章が印象に残っています。


当時東京在住だった翻訳者は、ある春の日山手線に乗っていてコンビニの以下のキャッチコピーが目にとまりました。
「春はあげもの!」
これは日本の方だったら『枕草紙』のあの有名な第一条「春は曙」とコンビニがこれから売り出そうとしている「揚げ物」をかけていることがすぐおわかりでしょう。
でも翻訳者はこれを見て初めて、いかに日本人に『枕草紙』(少なくとも第一条のフレーズ)が浸透しているか感心したのだそうです。

先日独訳版『枕草紙』の朗読会が開かれ(私は残念ながらいけませんでしたが)、いくつかの章が読み上げられ、参加したドイツ人は清少納言の観察眼に驚いていたということです。
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時事ひとりごと - 40(新型コロナウィルス② イベントの中止)

2020-03-03 22:49:05 | 時事ひとりごと
桜の花はまだまだですが、ご近所の木瓜が見ごろになってきました。


穏やかな春の日々とは裏腹に世間では新型コロナウィルスが猛威をふるっています。
ドイツでの感染者は昨日から30人以上増えて188人になりました。
今週発売の週刊報道誌シュピーゲルの表紙は「世界のウィルス危機」です。


感染が拡大し各地でイベントの中止が発表されています。
地理的に欧州の中央に位置するドイツは昔から見本市産業が盛んでした。
ドイツの見本市を訪れ展示商品を見て、その場で商談を行ってしまえるからです。。
そのためドイツで催される歴史ある見本市は「世界最大」規模が多くなっています。
明日からベルリンで開催予定だった「国際旅行見本市」もこの分野では世界最大で、世界180カ国から1万もの観光局、旅行会社などの出展が予定されていました。
この旅行見本市や、ミュンヘンの手工業見本市、今月中旬からのライプツィッヒの書籍見本市は中止されることになりました。
4月中旬のハノーファーの産業見本市の開催についてはまだ検討中だということです。

イベントを中止するかどうかの判断基準となるのが、ロベルト・コッホ研究所が策定した「リスク査定表」です。
ここは単に感染の研究にあたるだけではなく、ドイツ連邦保健省の下部機関として政策に大きく関与しています。
例えば、毎年のインフルエンザのワクチンの種類を決定するのもこの部署です。
ちなみにドイツではワクチン接種は無料です。
有料にして接種者が減り、それでインフルエンザの罹患者が増えたら、そちらの方の医療費が増大してしまうという考えで、合理的だと思います。

このリスク査定では大きく以下の3点について考慮されます。
1.イベントの参加者について
  何人位の参加者が見込まれるのか。感染周辺地域から参加者が訪れる可能性があるのか。
  参加者の中に高齢者、基礎疾患あるいは呼吸器疾患のある人がいるか。
2.イベントの内容について
  規模が大きく、大勢と接触することがあるか。例えば他人とダンスをするような濃厚接触の可能性があるか。
  イベントの開催期間と時間
  イベントの参加者登録の有無
3.イベント開催の場所
  その周辺地域での感染者の有無。 
  会場の大きさ、屋内か野外か、屋内の場合の換気の可能性。
  参加者への殺菌消毒剤提供の有無
  
それから感染予防対策に関する主催者の取り組み、行政との協力なども考慮されます。

このようなリスク査定表はもちろんあるほうが良いのですが、大きな課題は中止後のキャンセル料に関することでしょう。
イベント主催者は天変地異に関しては保険に入っているとは思いますが、ウィルス保険というのはないでしょうからね。
それで中止ではなく、延期にする見本市もあります。

今回のウィルス騒動では世界規模で多くの人々の健康が脅かされるのはもちろんのこと、それに波及する経済への悪影響にも取り組まなくてはならないでしょう。
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3月の天体

2020-03-02 18:16:00 | 日記
新型コロナウィルス感染拡大中の地上の喧騒をよそに、天空では変わらず星々が輝いています。
3月の天体の主役はしし座です。



しし座の主星レグルスの命名者は天文学者のコペルニクスでラテン語で「小さな王」という意味だそうです。
地球から77光年も離れたところにあるこの星は太陽より130倍も明るいのだそうです。

3月18日の朝5時(ドイツ時間)ごろ、月をはさんで左には木星、右には火星が観測できるということですが、
その頃までには少しでも感染拡大がおさまることを願っています。
(ドイツではもう157人が感染しました)。

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N響ヨーロッパ公演

2020-03-01 11:58:00 | 日記
なるべく外出は控えた方が良いのかなと思いながらも、
先日は現在ヨーロッパ公演中のNHK交響楽団の演奏を聴きにケルンに行きました。
以下の曲が演奏されました。





私は日本のオーケストラでないとなかなか聴く機会がない武満徹の作品に興味がありました。
≪ハウ・スロー・ザ・ウィンド≫は初めて聴きましたが、グランドピアノとチェリスタをひとりの演奏者が交互に弾くために動くので落ち着かなかったです。

聴衆の多くはシューマンのチェロ協奏曲作品129を弾いたソル・ガベッタがお目当てだったようです。
アルゼンチン出身の彼女は世界中で注目されているチェリストなのだそうです。




シューマンも良かったのですが、アンコールで演奏されたペテリス・ヴァスケスの曲が特に素晴らしかったです。
彼女の演奏後、帰られた方もいらっしゃったようで、その後のブルックナーの交響曲の演奏時には空席が目立っていました。
まあ先週はペトレンコ指揮ベルリンフィル、今日はネルソンス指揮ウィーンフィルとこのところ有名楽団の演奏会が続いているので仕方ないのかもしれませんが。
4月末にはズービン・メータ指揮ウィーンフィルの演奏会がまたあるので、興味がありますが、多分チケット取るのは難しいでしょうね。
休憩時、ブルックナーの交響曲演奏前に撮しました。
何人かブルックナーの曲のおさらいをしていました。










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時事ひとりごと - 39 (新型コロナウィルス対策 ドイツと台湾)

2020-03-01 01:04:01 | 時事ひとりごと
ドイツでも新型コロナウィルスの感染が拡大しています。
感染経路が確定でき、まだ市中感染がないこともあるのかもしれませんが、感染対策に関して、今の所行政への批判の声は聞かれません。

ここ2週間ほど感染者数は16人で抑えられていましたが、カーニバル直後から衝撃的な新型コロナウィルスの話題がメディアに登場するようになりました。

私が住むNRW州にあるハインツベルグ郡の男性が新型コロナウィルスに感染し重症であること、奥様も感染したこと。
お二人は2月15日にカーニバルの集会(参加者300人)に参加したこと、そして奥様は幼稚園の先生であることなどです。
それでこの地区では濃厚接触者1000人に対して2週間の自宅待機が要請されました。
2週間分の食料に対しては市の危機対策本部の職員が責任を持って宅配業者や当事者の親類知人と調整することなどが発表されました。

ここケルンでもハインツベルク郡のカーニバルの集会に参加したケルン在住の人物が感染者となりました。
新聞は「ケルンにも遂にコロナウィルス到達」とセンセーショナルなタイトルで一面トップで記事を掲載しました。


その日のお昼にシュパーン保健大臣がゼーホーファー内務大臣と共に記者会見を行いました。
テレビ中継を視聴したのですが、39歳という若い保健相の理路整然とした説明と答弁(原稿なしのフリースピーチ)は大臣の頭脳明晰さを示していました。

余談ですが、先日ベルリンで仕事をご一緒した在独日本大使館の方がシュパーン大臣は保健省の中でも人気があるということを述べておられました。政策ビジョンがはっきりしているので職員は仕事がしやすいのだそうです。
この記者会見でシュパーン保健相が「パンデミック・プラン」の発動準備について語っていたので、ドイツでは各自治体レベルまでそのような「行動計画」が策定されており、それが緊急時にはすぐに実行に移せることを知りました。
この記者会見は国民がパニックになるのを防ぐのに効果的だったと思います。

また先日シュパーン大臣は「マスクが品薄になるのではないか」という質問に対して、「マスクの輸出を禁止し、緊急時には接収することも考えられる」と答えています。

今日のネットで閲覧した「AERAdot.」の新型コロナウィルス対策で成果をあげている台湾政府の政策に類似していると思いました。
台湾では中国へのマスク輸出禁止や厳しい渡航制限などがかなり早い時期に施行されたということです。

ドイツでは中国などへの渡航制限は各会社毎に決められているようです。
ただ中国、韓国、日本、イタリア、イランなど感染者数の多い国からドイツへの入国者に対しては「所在追跡・健康質問票」への記載が義務付けられ、後日感染経路が追跡できるようになりました。

多くの感染者の引き金となったハインツベルグ郡在住の夫妻に対しては「この時期カーニバルの集会に参加した」ことへの非難の声も聞かれますが、それに対して現在「危機管理本部」の広報担当をしているプッシュさん(この郡の郡長)のお答えが良かったです。
「夫妻がカーニバルの集会に参加したのは2月15日です。その頃ドイツでは新型コロナウィルスは他の国の出来事としてほとんど話題にならなかったではありませんか。そんな時ちょっと鼻かぜ気味だったらアナタだって集会には参加するんじゃありませんか?夫妻も誰かから感染された被害者なのです。非難よりも重症者にはお見舞いの言葉を述べるべきではないですか」




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