マレーシアで起きた暗殺事件で毒ガスVXへの関心が高まっています。
VXはオウム真理教で有名になったサリンなどと同様の猛毒の神経剤の一種で人類が作った化学物質の中で最も毒性の強い物質だそうです。
化学者の夫がウィキペディアに記載されていたVXの化学式を見ていたら、
「これは元々、僕が働いていた会社の化学者が開発したものではないかなぁ」と物騒なことを言い出しました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/baikin_1.gif)
VXガス自体は1952年にラナジット・ゴーシュという英国人の科学者によってイギリスの政府研究施設で発明とウィキペディアに記されています。
けれども元はゲルハルト・シュラーダーというドイツの化学者が1930年代に殺虫剤として開発した成分でした。
シュラーダー自身は殺虫剤によって害虫が根絶され、食糧生産が増えることで世界から飢えがなくなることを望んでいたようですが、
ナチ体制下では化学兵器の研究を行い1938年のサリンなど化学兵器を発明したために、
今日では神経ガスの発明者としての面が有名です。
彼としてはやはり食糧危機から人類を守る農薬の開発者として名を残したかったことでしょう。
ちなみにシュラーダーが開発した農薬(殺虫剤)の商品名は「E605」と呼ばれていましたが、
1950年代にこの殺虫剤を用いた殺人事件が実際に起こり、その後、この商品を用いた殺人や自殺が多数発生したということです。
人間には猛毒ですが、この商品はイネにつく最大の害虫であるニカイメイチュウに非常に高い効果を示したことから当時、日本へも「ホリドール」という名で大量に輸出されたはずです。
またイネのイモチ病に効果が高いセレサン石灰もシュラーダーが勤務していた会社の商品でこれも日本の農家で大量に使用されたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/63/84a4993ddccbad163b51bd3671ab629e.jpg)
(右側の商品です)
毒薬というといつも思い起こされるのはルネサンス期の医師・錬金術師パラケルスス(1493-1541)の名言です。
「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ」
これに付け加えるとすれば、使用する人に悪意があるかどうかにより、薬にもなるし毒薬にもなるーということでしょうか。