今日のNHK朝の連ドラ「虎に翼」では主人公の寅子が新しく交付された日本国憲法第14条に「国民は法の前で平等であり、---性別において差別されない」と記載されているので、自分を女性裁判官として雇ってくれるようかけあうシーンで終了していました。
ドイツの憲法では、単に「性別においての差別」だけではなく「男女同権」が明確に記載されています。
平等権について記されている憲法第3条の第2項に男女同権が言及されています。
日本国憲法の「性別において差別されない」より一歩踏み込んだ記載です。
戦後のドイツ憲法にこの一項を入れることに尽力したのは65名の憲法制定委員会の中の4人の女性委員です。
今年は1949年5月23日にドイツ憲法が制定されて75周年ということで新聞に掲載された特集記事でこれら4人の女性委員について知りました。
やはり男性が多くを占める委員会では始め「特に男女同権を記載する必要はない」との意見が多かったそうですが、
4人は不屈の精神で男女同権の項を入れるということを説得したのだそうです。
この4人は「憲法の母」と呼ばれています。
ところでドイツ憲法は憲法にあたるドイツ語Verfassungという言葉ではなくGrundgesetzが使われているので
訳語は「ドイツ基本法」と呼ばれています。
これは戦後西ドイツを占領していた戦勝国(英米仏三ヶ国とベネルックス三国)の要請により新憲法を制定するにあたり、
西側の連邦州が東西ドイツが分断されている期間に憲法という言葉を使うと分断を認めてしまうことになるとして、
憲法ではなく行政の基本原則を定めた基本法と名付けることにしたためです。
東西ドイツ統合後も「基本法」という名前は残されました。
それからドイツ憲法でもう一点。
日本国憲法の第一章第一条では「天皇の象徴的地位と国民主権」について記されていますが、
ドイツ憲法の第一章第一条第一項は基本権が記された第1章の中でも一番重要な基本権としての「人間の尊厳」についての項です。
これはナチス時代の苦い経験から人間の尊厳を権利としてではなく、これを侵害されない権利が最も根本的な基本権として捉えられていることからきています。
コロナ時代、介護施設が隔離され高齢者が家族に看取られることなく亡くなってしまった時、
「人間の尊厳」は死亡する時にも侵害されてはいけないことだから、コロナ感染予防措置といえどもこれは憲法違反ではないかという意見がありました。