気がつけばふるさと離れて34年

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警察広報官

2016-07-24 17:32:10 | 日記
痛ましいミュンヘンの銃乱射事件ではミュンヘン警察の捜査体制、特に警察広報官の沈着冷静なメディア対応が高く評価されています。

犯人は単独ではなく三人で逃亡中。そのうち一人はサンタクロースの仮装をしている、など様々な情報が迷走する中、住民の動揺は高まっていました。

そんな時、ミュンヘン警察広報官の
Marcus da Gloria Martins (マルコス・ダ・グロリア・マルティンズ)さんが
「地域の優秀な警察を信頼して下さい」とマイクの前で話しました。
ミュンヘンと我が家は600キロ離れていますが、遠く離れた所でテレビ視聴していた私でさえ動揺が治ったような気がしました。


犯人が自殺したことで警報は解除され、(公式)記者会見がテレビで生中継されています。
ミュンヘン警察署長、バイエルン州刑事局、検察官などの隣にはいつもマルコスさんが控えています。
他の3人はなんとなくいわゆる想定問答集を準備しているような感じを受けますが、マルコスさんの応答は実際に事態収拾に奔走した者だけが答えられる確固としたものが感じられます。

3年前の渋谷の「DJポリス」のようにマルコスさんの人気は上昇中だそうです。

これほど警察広報官の任務に注目したのは横山秀夫著「64」を読んだためかもしれません。



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ジュリー・オオツカ著 「屋根裏の仏さま」

2016-07-20 18:08:46 | 読書
日本に一時帰国中に読んだ新聞で印象に残った記事は切り抜いて、ドイツに戻ってからゆっくり整理することにしています。


この本は2年前、ドイツで独語訳を読みました。


邦訳のタイトルはオリジナル通り「屋根裏の仏さま」になっていますが、
独訳本のタイトルは「私たちが夢に描いたこと」になっています。

それに日本人女性移民の物語ということから桜の枝のイラストが表紙になっています。
もしかすると「写真花嫁」として米国に渡り、その後祖国の土を踏むことのなかった日本人女性は故郷の桜並木を懐かしく思い出すこともあったのではないかということで、このようなカバーになったのかもしれません。

ここで描かれているのはいわゆる「写真花嫁」として20世紀初頭、日本から船に乗り、アメリカへ渡るという選択をしたり、させられた日本人女性移民のことです。

主人公はひとりだけではなく、数人の女性の生活や体験が描かれています。
タイトルの「屋根裏の仏さま」はそのうちのひとり、ハルコさんが屋根裏に笑い顔の仏さまを祀っているというエピソードに由来しています。

新天地での生活は多分、苦労の連続だったことでしょう。
辛い時にはハルコさんの屋根裏の仏さまのような、自分を慰める手段がそれぞれにはあったことでしょう。

ドイツ語で読んだだけで、日本語訳には目を通していないので、日本語では少し印象がかわるのかも知れません。失望、苦労、辛さなど、ネガティヴな事柄が多く描写されているのですが、感情を抑えた淡々とした記録文書のような語り口で、読後、暗い感じは全く受けませんでした。日本女性のしなやかさが伝わる好感の持てる小説でした。
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難しい決断

2016-07-18 15:25:49 | 日記


私がブログを始めたのは親しくしていた友人が亡くなったということだと、以前記しました。

そしてまたもうひとりの友人との語らいも失われてしまいそうです。

彼女は16年前にオードリー・ヘップバーンと同じ病気になりました(世紀の美女と同じ病気ということで”変な自慢”をしていましたが)。

完治したかに思えた病気の再発がわかったのは昨年末です。

それから辛い抗がん剤治療に耐えて、5月頃には腫瘍が消滅したのとの報告を受け、二人で喜びました。

16年前の「快気祝い」に贈ったバスローブを「縁起物」ということで今回も病院に持参していました。

今月に入って、急に調子が悪くなり検査をしたところ転移が見つかりました。

今度はお医者さまから「強い抗がん剤で少しは効果があるかもしれないが、治療をしないという選択肢もあります」と告げられ、

色々考えた結果、治療はせず、痛みを和らげる緩和療法を選んだということです。

とても難しい決断だったと思います。

先週のお電話では「私に残された時間はわずか」と精神的に混乱しているようなお話しでしたが、

今日の友人との電話ではとても落ち着いていてお嬢様ととても濃密な時間を過ごされ色々なお話しをされているということでした。

私は母の晩年にゆっくり話すことができなかったことを今でも悔やんでいますので、

友人にとっては悲しい状況になってはしまいましたが、お嬢様とゆっくりお話しできるということは羨ましいと思いました。

これから静かな日々を過ごされることを願っています。
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翻訳できない世界のことば

2016-07-14 17:52:01 | 読書
今回の一時帰国で購入してこなかったのを悔やむ本は何冊かありますが、

この本もその一冊です。



これは電子書籍ではダウンロードできませんからねぇ。
それにイラストが綺麗なので実際に手元において時折、眺めたい本です。

ここには他の言語にひと言では訳せない50程の世界の言葉が集められています。

日本語からは「木漏れ日」「侘び寂び」「ボケっと」「積ん読」が掲載されています。

以下の写真は発行元の創元社の「試し読み」から拝借しました。
それぞれのお国柄が出ているようで微笑ましい言葉ばかりです。




目次を 見るとドイツ語からは次の5つの言葉が選択されています。
私の個人的な訳も付けますが、適訳かどうかはあまり追求しないで下さいね^_^;。

Wärmeduscher (いつも温水でしかシャワーを浴びない)ナマヌルイ男

Kabelsalat (ケーブルがグチャグチ並ぶ)カオス状態

Kummerspeck (心配事があって常時何か口にしているため)太ってしまうこと

以上、3つの言葉は辞書に載っていなかったためドイツ人の夫に聞いたりして訳しましたが、次の言葉は辞書にも載っていました。

Drachenfutter (夜遅く帰る夫が妻や義母をなだめるための)おみやげ

最後は私も好きな言葉です。

Waldeinsamkeit (直訳すると「森の孤独」)森の中にひとり佇む時の寂寥感という感じでしょうか。
ドイツロマン主義でも重要な要素になっています。
日本の「侘び寂び」とも通づるものがあります。
大学の授業でちょっと原書に目を通したヘンリー・D・ソローの「森の生活」を思い出しました。


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宮下奈都著 「羊と鋼の森」 & 調律師

2016-07-10 18:08:13 | 読書
一時帰国する度に本を購入します。

帰国中に話題になっている本の購入が多いため、「本屋大賞」受賞作は今年も購入しました。

「本屋大賞」というと2004年の「博士の愛した数式」や「舟を編む」、「天地明察」、「海賊と呼ばれた男」など1位の作品だけでも7-8冊購入しています。

今回の「羊と鋼の森」はこれまで読んだ中では最も「ウーン」と首を傾げる作品でした。


確かに調律師の仕事、彼を取り巻く人びとの描写はいわゆる「癒し系」でサラッと読めてしまうのですが、何か後に残らないのです。

ピアノ関連の本ではやはり「パリ左岸のピアノ工房」と「シューマンの指」が良かったです。
2冊共、随分前に読んで地下の書棚に入れてしまっているのでネットの写真です。



「羊と鋼の森」は全体として明るい雰囲気なのですが、私としては職人工房の「ちょっと暗澹とした雰囲気」が楽器や調律師関連の物語にはしっくりくるような気がします。

ただ今回、調律師の仕事について少し学んだため地元紙に掲載された若い調律師の記事が目にとまりました。

二クラス・エンツェナウアーという22歳の青年はこの間、ハンブルクのシュタイエンウェイ社で開催されたシュタイエンウェイとベヒシュタインのグランドピアノの調律で見事、賞を受賞したということです。


記事を読むととても謙虚で調律にかける意気込みが伝わってきました。
もしドイツで映画化されるなら主人公の外村君は二クラス君に演じてもらいたいと思いました。

ちなみに「調律師」という職業に求められるのはまず聴力なので、調律師は目の不自由な方もなれる職業なのだそうです。
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