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ナシーム・ニコラス・タレブ著 『ブラック・スワン』

2020-03-09 23:38:54 | 読書
読書のカテゴリーに記しますが、この本を読んだわけではありません。
ひと月前の地元紙の社説のタイトルが「中国のブラック・スワン」でした。


これを見て思ったのは、かなり以前に読んだ中国人女性作家ユン・チアンの著作『ワイルド・スワン』のことでした。
文化大革命の混乱期に青春を過ごした著者自身と彼女の一族の様子が描かれています。

今回社説でとりあげられた『ブラック・スワン』は「不確実性とリスクの本質」という副題で10年前に邦訳が出版されたようです。

何故、ブラックスワン(黒鳥)と不確実性が結びつくかというと、17世紀にオーストラリアで黒いスワンが発見されるまで、
ヨーロッパの人々はスワンは白い鳥しかいないと思っていました。
黒いスワンの発見は当時のヨーロッパの人々にとり予想もしなかったことで
大きな衝撃でした。

このように予測できない事が発生し、そのため社会に非常に大きな影響を与えることを「ブラック・スワン理論」と呼ばれるのだそうです。
過去においては例えば、「アメリカ大陸の発見」とか「ペニシリンの発見」、
近年では「9・11同時多発テロ」とか「福島の原発事故」、「金融危機」、「甚大な自然災害」が挙げられます。

「ブラック・スワン」に共通しているのは、
1)統計上の例外であり、過去を分析しても発生を予測することは難しい。
2)社会に大きな衝撃を与える。
3)その出来事が過ぎてしまうと、予測可能なことではないかと思ってしまう。

2月3日の社説では「中国のブラック・スワン」と中国に限定されていますが、
それからひと月が経ち、現在新型コロナウィルスの感染拡大は世界中に大きな影響をもたらしています。

2月28日の日経の電子版でもこれに関する記事が掲載されていました。

地元紙の社説の中では特に「このような不測の事態が発生した時にこそ、その国の政治の真価が問われる」の文章にアンダーラインをひきました。

明後日は東日本大震災から9年目にあたります。
あの時「想定外」と言って責任逃れしようとしていた人々がいましたが、今回そのようなことは許されません。

コメント
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