東京都心の神宮外苑再開発で千本ほどの樹木が伐採や移植されることで反対運動が起こっているようです。
それで先頃再放送されたドキュメンタリー冷戦時代の「ベルリン大空輸作戦」の事を思いました。
第二次世界大戦後ベルリンは戦勝国ソ連の管轄地区にありました。
けれども東西に分断されたベルリンの西ベルリン側はソ連以外の戦勝国(アメリカ、イギリス、フランス)の管轄地区であり、
東ドイツ側の西ベルリンはまさに陸の孤島でした。
西ベルリンへの物資の供給は特定の陸路を通じて行われていましたが、
ソ連が陸路を封鎖してしまったため全てを空輸しなくてはならなくなりました。
これが「ベルリン大空輸」と呼ばれるもので1948年7月から1949年9月までほぼ15ヶ月間に渡って続けられました。
ソ連がベルリン封鎖を開始した当時(1948年6月)人口200万人の西ベルリン市民の各物資の備蓄状況は
食料が36日分、石炭は45日分しかありませんでした。
封鎖がどれくらい長く続くかわかりませんでしたが、
当時の1日ひとりあたりの最低配給量を1990キロカロリーとして、200万人分供給するためには1日どれ位の量を空輸しなくてはならないか計算され主にアメリカが主導して速やかに実行されました。
食料や水、石炭軽油ガソリンなどあらゆる日用品が必要だったので大変な量になりました。
西ベルリンの空港には30秒毎に貨物輸送機が離着陸していたというから驚きです。
それ以上に驚いたのは樹木の苗木25万本も空輸され植樹されたという事です。
ドイツの人にとって樹木は食料品と同じように生活する上での必需品なのですね。
植樹された木々が生い茂るベルリンのティアガルテンは今では市民憩いの場になっています。
空輸はされませんでしたが、ベルリン封鎖が解除後は西ドイツの市町村から寄贈された約100万本の苗木が陸路で運ばれ植樹されたため、ベルリンはヨーロッパの首都の中でも緑あふれる都市になっています。
暑さがぶり返し今日も30度位まで気温が上がりました。
森に行って森林浴を楽しんできました。
我が家から徒歩数分の森はそれ程大きくないのですが、車で20分ほどのところには
Königsforst(王様の森)という広大な森があります。
戦後厳しい冬が訪れた時、この地域を管轄していた戦勝国がこの王様の森の木を伐採して薪ストーブ用に市民に提供するよう勧めたそうですが、ケルン出身のアデナウアー首相は「今年の冬のためだけに伐採したら、植樹しても成長までにはあと数十年待たなくてはならない」と伐採することはしなかったそうです。
神宮外苑と比較はできないのかもしれないですが、病気の木は別にしても、健康な木の伐採だけは何としても避けるべきでしょう。