気がつけばふるさと離れて34年

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

舟越桂著「おもちゃのいいわけ」& 父の背中

2017-03-26 17:46:50 | 読書

友人にお貸ししていた「おもちゃのいいわけ」がかえってきたので再読しました。



舟越桂氏は岩手県盛岡市のお生まれで私より2歳年上です。

お父さまはやはり彫刻家の舟越保武氏です。

桂さんの木彫作品は敬愛する作家、須賀敦子さんの本の表紙に写真が掲載されていたことから興味を抱きました。

須賀さんの「遠い朝の日」の表紙にも以下の作品が掲載されています。



舟越桂さんがお二人のお子さんのために木のおもちゃを作るようになったのは、

木彫をしていて出てきた、捨てるにはもったいない大きさの木っ端を利用したからということを前書きで述べています。

この優しい木のおもちゃは、もらった子供たちも喜んだことでしょうが、まず一番に子供たちの喜ぶ姿を想像しながら作製した

おとうさんにとって嬉しい時間だったような気がします。

この本におさめられているのはほとんどが木製なのですが、唯一布製の作品もあります。

これはおもちゃではなく息子さんに作ってあげたパイロットの帽子です。



型紙をとってボアの帽子の縫い目のところにバイアスをつけたりとなかなか苦労されたようですが、

結局、息子さんは一度もかぶってくれなかったのだそうです。

あまり快適ではなかったのでしょうか?

この間、歌舞伎で初舞台を踏んだ中村屋兄弟の弟さん、哲之君が桃太郎のかつらをかぶるとカユイといって大人を困らせていたのを思い出しました。

それはともかくこの本の表紙を飾っているハンガーも一度も利用されなかったのだそうです。

ハンガーの飾りは息子さんの肖像画になっているのですが、おとうさんの桂さんは「息子は自分のかおがさびしそうに描かれているのが嫌だったのかもしれない」と想像しています。

すべての「おもちゃのいいわけ」にはおとうさんの子供たちへの愛情に満ち溢れています。

私は父からおもちゃを作ってもらったことなどないけれど、今、父のことで懐かしく思うのは背中です。

それほど父の背中におぶさったことはなかったのですが、アメリカに留学していた頃、ホストファミリーのお父さんの背中をみて、しがみつきたくなったことなどを思い出しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本の装幀

2017-03-18 17:11:03 | 日記

ライプツィッヒのドイツ・エディトリアル財団が催す「世界で最も美しい本コンクール2017」の栄誉賞に大修館の「21世紀スポーツ大事典」が選ばれました。



このコンクールには今回、世界32ヶ国から600点の応募がありました。
全て各国の国内コンクールで入賞した本ばかりです。

日本からは第50回「造本装幀コンクール」の入賞作21点が出品されました。

今回、ゴールデン・レターと呼ばれる第1位に輝いたのはオランダ出版社の
「Ornithology (鳥類学)」というタイトルの本でした。
この本を含め14点が今年の受賞本です。



授賞式はライプツィッヒの書籍見本市(3月23日-26日)で行われます。

まずは日本の本の受賞、おめでとう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

介護ロボット

2017-03-11 17:13:00 | 日記
仕事で種々の「介護ロボット」に触れる機会がありました。

一番可愛かったのはやはりアザラシの赤ちゃんをモデルにしたParoちゃんでした。


2002年に世界で一番癒されるロボットとギネスブックに登録されたこともあって、現在世界中で3000匹も利用されているそうです。

ドイツの介護ホームにも100匹位いて、入居者に愛されているのですって。
頭を撫でたり、「可愛い」と言うとお目々を開けて声を出して喜んでくれます。
ヒゲを触られるのは嫌で目を閉じてしまいます。
毛はもちろん人工毛で、抗菌処理はしてありますが、定期的に洗浄してやらないといけないそうです。
デンマークには「Paro病院」もあるぐらい多数のパロちゃんがいるそうです。
あまりにも可愛いので私も一匹欲しいと思いましたがとても高くて残念ながら諦めました。

値段はかなりお手頃なのですが、在庫がないのが恐竜のPleo君です。
表面のプラスチックが剥がれてきたので洋服を着せられていました。


本当はこんな姿です。


目がとっても可愛いのです。

ヒューマノイドロボットのNao君はちょっと休憩中でした。


この研究所にはそのうちJustoCat君も仲間入りするかもしれません。


このようなロボットは認知症や鬱病に効果が認められ、治療としても用いられるので「セラピーロボット」とも呼ばれています。

1週間前にはペッパー君も届いたのだそうですが、うまくネットに繋がらなくてコミュニケーションができなかったので、実家のフランスにお里帰り中でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「バルトの楽園」

2017-03-03 15:16:07 | 日記

直接、面識はなかったのですが、最近また付近に住んでおられた日本人のご婦人が亡くなられました。

彼女の息子さんとは20年以上前に「国際指揮者コンクール」で一緒にお仕事をしたことがあります。

映画監督志望だった彼は2006年に公開された日本映画『バルトの楽園』でアシスタントを務めています。

「バルト」はドイツ語で「髭」を意味します。

「楽園」は「らくえん」ではなく「がくえん」と読みます。

この映画の舞台は第一次世界大戦中の徳島県鳴門市にあった板東俘虜収容所です。

この収容所は俘虜による楽団が『交響曲第9番 歓喜の歌』を日本で初めて演奏した所として知られています。



「バルト(髭)」がタイトルに用いられているのは収容所の所長、松江豊寿(まつえとよひさ)とドイツ兵俘虜の中心的人物だった
クルト・ハインリッヒ(ドイツ軍青島総督ー少将)の二人が立派な髭の持ち主だったからです。

ちなみにハインリッヒ少将を演じたのはブルーノ・ガンツというスイス人ですがドイツ映画界の名優で、「ヒトラー最後の12日間」では
ヒトラーを演じ、高い評価を受けました。

以前、このブログで紹介した「ドイツと日本を結ぶもの」にもこの板東収容所の記載があります。


この板東収容所ではスポーツや菜園のために収容所外に広い土地が借り上げられ、捕虜の自主的活動が奨励されました。

そのため料理店、菓子店、肉屋、木工、金属加工業などドイツ人が得意とするさまざまな手工業が営まれ、定期的にドイツ語の新聞も発行されていました。

第一次世界大戦中、1914年の11月に日本陸軍がドイツ帝国の租借地だった青島(チンタオ)を占領したのち、ほぼ4500名のドイツ軍捕虜は1919年12月末から翌年の1月にかけての開放までの間、約5年間、日本各地の収容所(最終的には6か所)に滞在することになります。

日本各地の収容所の中でも、特に板東収容所は所長の松江の配慮で俘虜にはかなり自由な活動が許され、遠足は50回以上も行われたとされます。

またよく付近の住民を招いて交流会や俘虜の作品展示会も催されました。



製作品展示会の写真ですが、水車小屋、メリーゴーラウンド、人形劇舞台などのかなり大がかりな模型がみられます。


会場内を見学する日本人の姿もみられます。


捕虜生活ですから確かにかなり制約された生活だったのでしょうが、解放後、何人かは祖国にもどらず神戸でベーカリーや肉屋を開業したということは、板東収容所の暮らしで日本びいきになったドイツ人捕虜がいたということなのでしょう。

主人公のひとりであるハインリッヒ少将は初め、松江所長と対立することもありましたが、
板東を去るにあたり、松江に感謝の言葉とともに愛用のステッキを贈るのです。

もう一度、鑑賞したい映画です。

余談ですが、昨日からドイツでも映画「サイレンスー沈黙」が公開されています。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カーニバルと米国大統領

2017-03-01 16:39:06 | 日記
今日は「灰の水曜日」です。

今日から復活祭前日までの日曜日を除く40日間は四旬節と呼ばれ、祈りと償いによって復活祭を迎える準備をする期間です。

おとなしく、控え目な暮らしをすることが求められ、この期間はダイエットや断酒をする人も多くなっています。

一昨日はカーニバルが最高潮を迎える「バラの月曜日」でした。
ケルン、デュッセルドルフ、ボン、マインツなどカーニバルの盛んなラインラント地方では大きなハリボテの山車が練り歩きます。

ケルンでは山車が70台も行進したそうです。

以前は見物に出かけたこともありますが、最近は「カーニバル新聞」を脇にもっぱらテレビを視聴しています。


ドイツでは政治風刺の山車が多いのですが、今回はやはり「トランプ・オンパレード」でしたね。
以下は翌日の新聞に掲載されたマインツ、デュッセルドルフ、ケルンの「トランプ山車」の写真です。




ドイツの諺にある象が陶器を踏みつぶすように「トランプ象」はこれまでの秩序をぶち壊すとか、
自由の女神がトランプ氏により強姦されてしまうとか、
悪ガキのトランプ少年がヒラリーの髪の毛をつかんでいじめるーとか、結構「勇気ある」山車です。
まぁカーニバルは何をしても「無礼講」みたいな雰囲気はあるけれど、そういえばトランプさんのTwitterには何もつぶやいていなかったのはご覧にならなかったのかも。

そういえば安倍首相も宿泊されたフロリダ州パームビーチにあるトランプ氏所有の豪邸「マー・ア・ラゴ」は別名「南のホワイトハウス」と呼ばれているのだそうです。




トランプ氏は毎週末のようにここでロビー団体と話したり、ゴルフをしているということですが、毎回エアフォース1で飛び、セキュリティの費用が1日あたり5000万円もかかるなんて、税金の無駄遣いとかの批判はないのでしょうか?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする