感染者数が減少してきて、欧州のほとんどの国への渡航も許可になったばかりのドイツで大規模な集団感染が発生しました。
わが家から北東に150kmのところのギュータースロー郡にあるTönniesという食肉会社での集団感染です。
現在、新規感染者数1500名、濃厚接触者で在宅隔離をしている人は7000名以上にのぼります。
昨日来、新聞の一面トップはこの話題です。
今日からギュータースロー郡(人口37万人)には今月末までロックダウンが発令されました。
今回の集団感染に関しては会社の管理体制に対して批判が高まっています。
この会社は従業員9000名もいる食肉会社としてはドイツ最大手です。
ドイツ全国で販売される豚肉やソーセージのほぼ20%はこの会社の製品だということです。
ここの工場で働く従業員の多くはルーマニアやポーランドからの外国人労働者で、この労働者を雇っているのは、
第二次や第三次の下請け業者です。
そのため会社では労働者がどういう所に住んでいるのか把握していませんでした。
衛生的ではない労働環境や住環境が集団発生の原因だったようです。
それにしても「700名が集団感染」した時点で公になるとは、会社はそれまで感染の事実を隠ぺいしていたとしか思えません。
ただ新規感染者のほとんどは無症状か軽症で集中治療室にいる人は数人で、ベット数、人工呼吸器数も十分余裕があるということです。
私を含め国民がそれほどパニックになっていないのは、
この間の記者会見における危機管理部門の沈着冷静な対応も関係しているのかもしれません。
特にリーダーのトーマス・クールブッシュさんの頭脳明晰な応答に感心しました。
これまでの経過、現状、今後の取り組みについて原稿なしのフリートークでお話ししていました。
それにしても新型コロナウィルスとは本当に厄介なウィルスだと思います。
『コロナの時代の僕ら』の著者パオロ・ジョルダーノさんがNikkeiLUXのインタービューで、
「ウィルスは敵や、得体のしれないエイリアンのようなものではなく、私たち人間が生きている生態系の一部である」と述べているように、
新型コロナウィルスが駆逐されることはなく、私たちは今後「コロナウィルスといかに共生していくべきか」を考えなくてはならないのではないでしょうか。