2012-1202-man0799
万葉短歌0799 大野山0732
大野山 霧立ちわたる 我が嘆く
おきその風に 霧立ちわたる 山上憶良
0732 万葉短歌0799 ShuC032 2012-1202-man0799
□おほのやま きりたちわたる わがなげく
おきそのかぜに きりたちわたる
○山上憶良(やまのうへの おくら)=第799歌左注参照。併せて第34歌、第63歌参照。
【編者注】第794歌(長歌「日本挽歌一首」)への反歌五首の第五首。連作は、大伴旅人亡妻追善供養のさい、旅人にささげた歌。
【訓注】[真名仮名全対応]霧(きり=紀利)。我が(わが=和何)。おきそ(於伎蘇)[=息嘯]。風(かぜ=可是)。
【左注】長短合わせて六首連作の最後にある。憶良の長歌も、長歌題詞の「日本挽歌一首」の表現も、長短合わせて一首の数え方も、反歌五首の多さも、中国挽歌に対する日本挽歌(だから真名仮名の一字ごと対応)も、万葉集初出である。左注は、神亀五年(728)七月二十一日に筑前国守(つくしのみちのくちの くにつかみ)山上憶良が上(たてまつ)る、とする。
【編者注-筑前、筑後】依拠本は「筑前」を、第568歌では「ちくぜん」としたが、この第799歌以後では「つくしのみちのくち)と読む(以下、830、839、845まで確認)。「筑後」は第820歌で、「つくしのみちのしり」と読む。岩波書店版、小学館版の各全集では、いずれも音読みである。