万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0675 をみなへし0610

2012年07月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0675 をみなへし0610

をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ
かつても知らぬ 恋もするかも  中臣女郎

0610     万葉短歌0675 ShuB595 2012-0730-man0675

□をみなへし さきさはにおふる はなかつみ
 かつてもしらぬ こひもするかも
○中臣女郎(なかとみの いらつめ)=未詳。「中臣氏の氏女(うじめ)であろう。歌はこの五首以外にはない。」
【編者注】題詞原文は「中臣女郎贈大伴宿祢家持歌五首」。その第一首。
【訓注】をみなへし(娘子部四)。花かつみ(はなかつみ=花勝見)。かつても(都毛)。恋もするかも(こひもするかも=恋裳揩可聞)。


万葉短歌0674 真玉つく0609

2012年07月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0674 真玉つく0609

真玉つく をちこち兼ねて 言は言へど
逢ひて後こそ 悔にはありといへ  大伴坂上郎女

0609     万葉短歌0674 ShuB592 2012-0729-man0674

□またまつく をちこちかねて ことはいへど
 あひてのちこそ くいにはありといへ
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】「大伴坂上郎女歌二首」の第二首。
【訓注】をちこち(彼此)。言は言へど(ことはいへど=言歯五十戸常)。逢ひて(あひて=相而)。ありといへ(有跡五十戸)。


万葉短歌0673 まそ鏡0608

2012年07月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0673 まそ鏡0608

まそ鏡 磨ぎし心を ゆるしてば
後に言ふとも 験あらめやも  大伴坂上郎女

0608     万葉短歌0673 ShuB592 2012-0728-man0673

□まそかがみ とぎしこころを ゆるしてば
 のちにいふとも しるしあらめやも
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】題詞原文は「大伴坂上郎女歌二首」。その第一首。
【訓注】まそ鏡(まそかがみ=真十鏡)[572歌]。ゆるしてば(縦者)。あらめやも(将在八方)。


万葉短歌0672 しつたまき0607

2012年07月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0672 しつたまき0607

しつたまき 数にもあらぬ 命もて
何かここだく 我が恋ひわたる  安倍虫麻呂

0607     万葉短歌0672 ShuB592 2012-0727-man0672

□しつたまき かずにもあらぬ いのちもて
 なにかここだく あがこひわたる
○安倍虫麻呂(あへの むしまろ)=題詞原文には「安倍朝臣虫麻呂」(-あそみ-)。第320歌参照。
【編者注】題詞原文は「安倍朝臣虫麻呂歌一首」。
【訓注】しつ(倭文)。たまき(手纒)。命(いのち=寿)。何か(なにか=奈何)。ここだく(幾許)。我が恋ひわたる(あがこひわたる=吾恋渡)。


万葉短歌0671 月読の0606

2012年07月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0671 月読の0606

月読の 光は清く 照らせれど
惑へる心 思ひあへなくに  ○

0606     万葉短歌0671 ShuB590 2012-0726-man0671

□つくよみの ひかりはきよく てらせれど
 まとへるこころ おもひあへなくに
○=未詳。題詞脚注原文は「不審作者」。
【編者注】題詞原文は「和歌一首」(こたふるうた-)。前歌が女(を装った)歌、当歌が男歌の「掛け合い」「当意即妙」となっている。
【訓注】心(こころ=情)。思ひあへなくに(おもひあへなくに=不堪念)。
【訓注-他書】[結句]堪へず思ほゆ(たへずおもほゆ=不堪念)。[講談社版]


万葉短歌0670 月読の0605

2012年07月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0670 月読の0605

月読の 光に来ませ あしひきの
山きへなりて 遠からなくに  湯原王

0605     万葉短歌0670 ShuB590 2012-0725-man0670

□つくよみの ひかりにきませ あしひきの
 やまきへなりて とほからなくに
○湯原王(ゆはらの おほきみ)=第375歌(初出)参照。全19歌(全短歌)。
【編者注】題詞原文は「湯原王歌一首」。
【訓注】あしひきの(足疾之)。山きへなり(やまきへなり=山寸隔)。


万葉短歌0669 あしひきの0604

2012年07月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0669 あしひきの0604

あしひきの 山橘の 色に出でよ
語らひ継ぎて 逢ふこともあらむ  春日王

0604     万葉短歌0669 ShuB589 2012-0724-man0669

あしひきの やまたちばなの いろにいでよ
 かたらひつぎて あふこともあらむ
春日王(かすがの おほきみ)=「志貴皇子の子。一般には安貴王(3-306の作者)の父といわれる。が、これを疑う説もある。養老七年(723)無位より従四位下。天平十七年(745)散位正四位下で没。3-243の春日王とは別人。」この一首。
【編者注】題詞原文は「春日王歌一首」。
【訓注】あしひきの(足引之)。語らひ継ぎて(かたらひつぎて~語言継而)。逢ふこと(あふこと=相事)。


万葉短歌0668 朝に日に0603

2012年07月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0668 朝に日に0603

朝に日に 色づく山の 白雲の
思ひ過ぐべき 君にあらなくに  厚見王

0603     万葉短歌0668 ShuB587 2012-0723-man0668

□あさにけに いろづくやまの しらくもの
 おもひすぐべき きみにあらなくに
○厚見王(あつみの おほきみ)=「父母未詳。天平感宝元年(749)、無位より従五位下。その後、少納言をつとめ、天平宝字元年(757)に従五位上となった。」初出歌、後に二首。
【編者注】題詞原文は「厚見王歌一首」。
【訓注】日(け)。思ひ過ぐ(おもひすぐ=思過)。君(きみ)。あらなくに(不有国)。


万葉短歌0667 恋ひ恋ひて0602

2012年07月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0667 恋ひ恋ひて0602

恋ひ恋ひて 逢ひたるものを 月しあれば
夜は隠るらむ しましはあり待て  大伴坂上郎女

0602     万葉短歌0667 ShuB584 2012-0722-man0667

□こひこひて あひたるものを つきしあれば
 よはこもるらむ しましはありまて
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】「大伴坂上郎女歌二首」の第二首。
【左注大意】右の三首について言えば、大伴坂上郎女の母(石川内命婦)と安倍虫麻呂の母(安曇外命婦)とは、同居の姉妹、同母の親しい仲であった。だから郎女と虫麻呂とはいつも顔を合わせ、親しく話をしていた。これらの歌は恋歌まがいの戯歌(あそび問答)である。
【訓注】恋ひ恋ひて(こひこひて=恋々而)。逢ひたる(あひたる=相有)。夜(よ)。隠る(こもる=隠)。しましは(須臾羽)。あり待て(ありまて=蟻待)。


万葉短歌0666 相見ぬは0601

2012年07月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0666 相見ぬは0601

相見ぬは 幾久さにも あらなくに
ここだく我れは 恋ひつつもあるか  大伴坂上郎女

0601     万葉短歌0666 ShuB584 2012-0721-man0666

あひみぬは いくびささにも あらなくに
 ここだくあれは こひつつもあるか
大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】題詞原文は「大伴坂上郎女歌二首」。その第一首。左注については次歌参照。
【訓注】相見ぬ(あひみぬ=不相見)。幾久さに(いくびささに=幾久)。あらなくに(不有国)。ここだく(幾許)。我れ(あれ=吾)。恋ひつつも(こひつつも=恋乍裳)。あるか(荒鹿)。


万葉短歌0665 向ひ居て0600

2012年07月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0665 向ひ居て0600

向ひ居て 見れども飽かぬ 我妹子に
立ち離れ行かむ たづき知らずも  安倍虫麻呂

0600     万葉短歌0665 ShuB584 2012-0720-man0665

□むかひゐて みれどもあかぬ わぎもこに
 たちはなれゆかむ たづきしらずも
○安倍虫麻呂(あへの むしまろ)=題詞原文には「安倍朝臣虫麻呂」(- あそみ -)。「天平九年(737)外従五位下。翌年中務少輔、同十二年藤原広嗣の乱平定に功があり、従五位上に昇進。播磨守兼紫微大忠を経て、天平勝宝四年(752)中務大輔、従四位で没。」
【編者注】題詞原文は「安倍朝臣虫麻呂歌一首」。
【訓注】向ひ居て(むかひゐて=向座而)。見れども飽かぬ(みれどもあかぬ=雖見不飽)。我妹子に(わぎもこに=吾妹子二)。たづき(田付)。


万葉短歌0664 石上0599

2012年07月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌0664 石上0599

石上 降るとも雨に つつまめや
妹に逢はむと 言ひてしものを  大伴像見

0599     万葉短歌0664 ShuB582 2012-0719-man0664

□いそのかみ ふるともあめに つつまめや
 いもにあはむと いひてしものを
○大伴像見(おほともの かたみ)=題詞原文には「大伴宿祢像見」(- すくね -)。「形見とも記す。天平宝字八年(764)従五位下。左大舎人助、摂津少進などを経て、宝亀三年(772)に従五位上。」
【編者注】題詞原文は「大伴宿祢像見歌一首」。
【訓注】石上(いそのかみ)。降る(ふる=零)[布留]。つつまめ(将関)。逢はむ(あはむ=相武)。ものを(鬼尾)。


万葉短歌0663 佐保渡り0598

2012年07月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌0663 佐保渡り0598

佐保渡り 我家の上に 鳴く鳥の
声なつかしき はしき妻の子  安都年足

0598     万葉短歌0663 ShuB580 2012-0718-man0663

□さほわたり わぎへのうへに なくとりの
 こゑなつかしき はしきつまのこ
○安都年足(あとの としたり)=未詳。
【編者注】題詞原文は「安都宿祢年足歌一首」。
【訓注】我家(わぎへ)。声なつかしき(こゑなつかしき=音夏可思吉)。はしき妻(はしきつま=愛妻)。


万葉短歌0662 網児の山0597

2012年07月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌0662 網児の山0597

網児の山 五百重隠せる 佐堤の崎
さで延へし子が 夢にし見ゆる  市原王

0597     万葉短歌0662 ShuB579 2012-0717-man0662

□あごのやま いほへかくせる さでのさき
 さではへしこが いめにしみゆる
○市原王(いちはらの おほきみ)=第412歌参照。
【編者注】題詞原文は「市原王歌一首」。
【訓注】網児(あご)[阿児]。佐堤の崎(さでのさき=佐堤乃埼)。さで(左手)[第四句]。夢(いめ)。


万葉短歌0661 恋ひ恋ひて0596

2012年07月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌0661 恋ひ恋ひて0596

恋ひ恋ひて 逢へる時だに うるはしき
言尽してよ 長くと思はば  大伴坂上郎女

0596     万葉短歌0661 ShuB575 2012-0716-man0661

□こひこひて あへるときだに うるはしき
 ことつくしてよ ながくとおもはば
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=第380歌(初出)など84首参照。
【編者注】「大伴坂上郎女歌六首」の第六首。
【訓注】恋ひ恋ひて(こひこひて=恋々而)。逢へる時だに(あへるときだに=相有時谷)。うるはしき(愛寸)。言尽してよ(ことつくしてよ=事尽手四)。長くと(ながくと=長常)。思はば(おもはば=念者)。